ここはカイロ国際空港。エジプトの世界の窓口であるここは多くの人が行き交っていた。その中に3人の男たちがいた。
1人は銀色の髪を柱のように纏めて立てたフランス人の男。
1人は白い髭をたくわえた初老の男。
1人はここエジプトでは珍しい格好の学ランを着た男。
3人は向かい合い、別れを惜しんでいるようであった。
「ジョースターさん、承太郎。DIOのクソ野郎を倒すためにアブドゥルと花京院、そしてイギーが死んじまった。 辛いことがたくさんあった……」
「ポルナレフ……」
「ああ」
そう、この男たちこそ、人知れず世界中の人間たちを支配しようとしていた闇の帝王・DIOを倒すために立ち向かった戦士、J・P・ポルナレフ、ジョセフ・ジョースター、空条承太郎であった。
DIOを倒す最中で、彼らの大切な仲間たちは命を落としてしまったのである。
「でも楽しかった!皆がいたからこの旅は楽しかった!」
「うん」
「そうだな。楽しかった、心からそう思う。」
しかし、彼らは落ち込んでばかりではなかった。これからの時を、仲間たちの想いを無駄にしないためにも前を向くのであった。
『フランス国際空港への便の搭乗が間もなく始まります。お乗りのお客様は――』
空港のアナウンスが放送され、承太郎たちは別れの時が来たことを悟る。
最後の挨拶にポルナレフはジョセフと承太郎にハグをし、二人はポルナレフの腕に手を置いて応えた。
「じゃあな、しみったれたじいさん。長生きしろよ!
そしてそのケチな孫よ、俺のことを忘れるなよ!」
「また会おう、わしのことが嫌いじゃあなけりゃな!間抜け面!」
「忘れたくても、そんなキャラしてねえぜ、テメーはよ。
元気でな」
三人は涙ぐみながらも、帰路へと歩を踏み出した。ポルナレフは故郷、フランスに。承太郎とジョセフはDIOの呪縛から解き放たれたホリーと会うために日本へ。
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【日本・●●空港】
ジョセフが乗ると飛行機が墜落する、というお約束はなく、今回は無事に日本へとついた承太郎たち。
二人の足は自然と速まるが承太郎には気になることがあった。
「おいジジイ、さっきから気になってるんだが、何をそんな奥歯に食べカスが詰まったような物憂げな顔をしやがって。なにか心配事があるのかい」
「ギクッ!い、いやそれはじゃな……」
「やっぱり何か隠してるんじゃあねーか?さっさと白状しやがれ。これから感動の再会って時によ」
承太郎の予想はズバリ的中。今回の旅でジョセフの考えは孫にすっかり筒抜けになってしまっていた。
「DIOの影響によってホリーは原因不明の高熱に倒れてしまっただろ。それでわしらが離れている間にスピードワゴン財団に最高の環境でホリーの看病を頼んでおったのだが、一向に症状の進行は止まらずに、非常に危険な状態にあるという連絡が途中であったんじゃ」
「何い!?どうしてそのことを黙ってた!? それじゃ今回の旅は無駄だったっていうのか!」
「落ち着け承太郎!話は最後まで聞かんか!」
承太郎が声を荒げたことで、周囲の人からの注目を集めてしまっていた。
「チッ、それでオフクロは生きてんのか」
「ああ、勿論じゃ!心配するな!
話を戻すとな、スピードワゴン財団は最高の医療は出来るが、ホリーの身に起きていた現代の科学では解明できないようなことに対処することは非常に難しかったのだ。言ってもスピードワゴン財団は歴史の浅い組織じゃ。そういうオカルトな現象への知識はほぼ無いに等しい。
そこでだ!日本の古来から『呪い』に立ち向かう専門家、『呪術師』にホリーの治療を任せることにしたんじゃあ!!!!」
「……よく分からんがその『呪術師』ってのはスタンド使いなのか?」
「違う!彼らはスタンドとは全く違う力、『呪術』を使うらしい。ワシも詳しくは知らんがな。
しかし、実力は確かなようでな。たちまちホリーの病状がある程度沈静化したという連絡があった。」
「まぁ、スタンドや吸血鬼なんてものがあるんだ。いまさら呪術師なんてものが出てきても驚きはしねぇ。
しかも腕は確かと来た。
それで何が心配なんだ?法外な金額の報酬でも吹っ掛けられたか?」
「それがの、向こうが求めてきた物は、『お前』じゃ」
「何?ジジイ、あんたの可愛い孫をそのわけわからん奴らの呪い(まじない)の生贄にするってか!?」
「お客様、どうかいたしましたか!?」
「うっとおしい!!すっこんでな!!!」
「ひいっ!」
またもやジョセフに怒号をあげる承太郎に、なにかあったのか心配した空港の警備員がくるが、生粋の不良である承太郎はおかまいなく警備員にも凄み、引っ込ませてしまった。
「話は最後まで聞けと言ったろ承太郎!向こうは呪いに使うためにお前の命を求めているのではない。
東京には呪術を使う若者たちを育てる機関、『東京都立呪術高等専門学校』というのがあるらしい。そこにお前を入学させたいと言ってきておるのだ。」
「学校?なんでそんなモンに入らなくちゃいけねえ。」
「それは直接会って話すと言われた。」
呪術師、学校、取引。
旅が終わって一息ついたと思ったら、再び面倒なことに巻き込まれることになってしまった承太郎であった。
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そんなこんなで自宅へ着いた承太郎とジョセフ。
承太郎は玄関の扉を開けようと手を伸ばすが、ふと止まってしまう。
ジョセフからホリーが快方に向かっているとは聞いているが、それは果たして本当なのか?以前のように戻らなかったら、とつい悪いことを考えてしまう。
そんな考えを押し殺し、意を決して承太郎はガラッと扉を開けた。
「承太郎~~~~~~~~~~~~~!!!!」
扉を開けた瞬間にホリーが承太郎の胸に飛び込んできた。
それを慌てて承太郎は受け止め、抱きしめた。
「お袋、体は大丈夫か」
「ファインセンキュー!イエーーイ!嘘のように体が軽いわ!」
承太郎は昔のように笑う母親を見て、悪い考えが当たらなくてよかったと、ホッと胸をなでおろす。
絶賛反抗期である承太郎もこの時ばかりは母親と抱きしめ合った。
「ホリィーーーーーーーー!!元気じゃったか!!」
「パパ!会いたかったわ!」
後ろにいたジョセフに気づき、ホリーとジョセフは抱きしめ合った。
「パパが手配してくれた方たちのおかげで持ちこたえられたのよ、ありがとうパパ。」
「そうか!奴らは役に立ったか!良かった良かった!!」
「――いやー、お役に立てて何より。
家族の再会って感動的だね。良かった良かった。」
「「誰だ」じゃ!?」
家の中に見知らぬ男がいて警戒する2人。
ましてやそれが眼帯をしながら不自由なく廊下を歩いてくる、いかにも不審者の風貌をしている男がいるものだから警戒するのも無理はない。
「ヤダ2人とも。彼は私の面倒を見てくれた『五条悟』さんよ?
見た目は変だけど良い方よ。」
ホリーがそう言うが、承太郎とジョセフは怪しすぎるその見た目に警戒心を隠せないでいた。
「そんなに警戒されると傷ついちゃうな~。これでもホリーさんの命の恩人だよ?」
「――おい悟、彼女を看病してたのはほとんど私だろ。」
飄々と話す五条の後ろから出てきたのは、白衣を着て目の隈が目立つ女、『家入硝子』がノタノタと出てきた。
「ごめんごめん!
ま、僕と硝子の2人で助けたってことで!!」
「そ、そうか。君たちがホリーを助けてくれた『呪術師』か。
すまなかったな。今回は本当にありがとう。」
「イヤイヤ。困っている人を助けるのはトーゼンの事ですよ。
それよりも『約束』の方は守っていただけますね?」
「それはじゃな、五条君。その、ハハハ……」
五条は人助けと言うが、善意での行動というものにほど遠い存在である彼の言葉は軽薄に聞こえた。後ろにいた家入硝子も五条の言葉を聞いてケッと吐き捨てていた。
ジョセフは約束の事を持ち出されてごまかすように笑い、五条は承太郎の方を向いた。
「キミが空条承太郎かい?随分ガタイが良いね、強そうだ。
話は聞いたと思うが、キミには東京都立呪術高等専門学校、通称『呪術高専』に入学してもらうことになる。
僕はそこで教師をしているんだ。ヨロシクね。」
五条はそう挨拶するとスッと手をだして握手を求めた。
しかし、承太郎はそれに応えることなく黙ってガンを飛ばしていた。
「あれ、承太郎君?無視かなーー?」
「――テメェ、『家族水入らず』ってやつだぜ。お袋を助けてくれたことには感謝する。話は今度聞いてやる。だから今は失せな。
それに俺は花京院の親に挨拶しに行かなくちゃあならねぇからな」
「! 承太郎、花京院君は?それにアブドゥルさんは?」
ホリーは花京院とアブドゥルがいないことに気づき、ジョセフを見た。
ジョセフは何も言わずフルフルと首を振り、ここにいない2人の身に起きたことを悟ったホリーは泣き崩れた。
それを見て五条は差し出した手をおろし、ふざけた雰囲気を改めた。
「確かに、今はそれどころじゃないよね。すまない。
ジョセフさん、スピードワゴン財団を通してまた連絡します。」
「ああ、頼む。」
そう言って五条と硝子は帰っていく。
承太郎はこれから起こるであろう面倒なことに思いを馳せ――
「やれやれだぜ」
頑張って続き書きます。