転生しちゃったみたいなので元いた時代を作りたい 作:Cucu
あれから一日がたった。
私はあれから色々調べた。
まず、この子の名前、つまりこの身体は佐藤ミルというらしい。この時代で高校生というのかは分からないが、18才。ピチピチだ。
そして、この時代のこと。
今この世界はどうなっているかと言うと、私がいたであろう時代からそこまで日常生活としては変わっていないようだ。スマホやパソコンだって見た目は全く変わっていない。もちろん中身はものすごいことになっているけど。
でも、変わってないことがない訳では無い。まず、この世界には植物がほとんど存在しない。かつての日本、つまり田舎のような植物が自然に生きれる場所がない。存在できないのだ。どこを見ても民家やビルばかり。植物が生きることの出来ないほどにぎゅうぎゅうに人工物が並んでいる。どうやら土すら見たことがない人が無限にいるみたいだ。やばいなこれ。すごい発展具合。
そらに、どういう原理かは分からないけど酸素が人工的に無限に生成できるようになったらしく、また、二酸化炭素などの影響での地球温暖化の心配はないようだ。なぜ?それどうやってやったの!?
そうなったのは今からだいたい200年程前。だから植物を見たことがあるものは居ないと言っていいだろう。存在は知っていても、見たことがないって言うのが現状みたい。植物の記録や歴史は何故か全て消去されているようだ。
そして、この世界で人が溢れている原因とも言えることがある。実はこの地球、世界の半分以上が死んでいる。いや、人間にとって住めない環境である、と言った方がいいのかもしれない。どうなっているかは見ることは出来なかったので分からないが、言葉のみで説明されていて、写真などが一切検索に引っかからなかった。こうなった原因は世界大戦が起きたわけでも、宇宙人の侵略にあった訳でもない。でも、あるひとつのページに書かれた言葉が私に衝撃を与えた。
「人類はこの星の半分を星に返した。」
最初は意味がわからなかった。この星に一体何が起こったのか。それは国によって隠されているようだ。検索しようとしても何も出てこない。普通はこの世界の歴史なので出てくるはずなのに。
何があったにせよ、この国、日本は無事なようで、失われた星の半分の地域に住んでいた人々はどうやらこちらに移り住んでいるようだ。
そしてそして、昨日のメッセージ。コラボがどうたらこうたらってやつ。あれは、この子は普段から配信サイトで配信しているらしくて、他の配信者とコラボする時のものだった。しかも、この時代の配信は普通の世界で行うものもあるが、ごく稀にバーチャルで行っている人もいるみたい。簡単に言えばVR。昔転生前にアニメやマンガでよく見たような電脳世界。完全に脳の意識を電脳世界のアバターに落とし込み、アバターを自分の体のように動かす。夢のような世界。
だけど、この300年後の世界ではそれは真新しいものではなく、昔のもの。一昔や二昔よりももっと前の産物。流行りはとうに過ぎ、使っている人は限られる。
今は大昔に一体何があったかという考察や昔のものを見せるというのがトレンドらしい。なにそれ楽しいの?
ちなみにこの子は本名である「ミル」で配信しているみたい。この時代には珍しい、電脳世界で。前世で言うVTuberみたい。アバターはとってもかわいい茶髪の女の子。
明日は配信かー。どんなのだろうなー?楽しそう。
コラボ相手は「カエル」ちゃん。カエルと聞くとどうしてもあのブヨブヨしていたり、緑色だったり、可愛いのがいたり、みたいなあれしか思い浮かばないのだが普通の女の子らしい。こちらも電脳世界で配信している数少ないミルの仲間だ。
私はとりあえずVRについて調べてみた。配信できないんじゃつまらないしね。
VRは目を覆うような機材を頭に装着して、電源を入れるだけでできるらしい。机の引き出しを見てみるとそれが入っていた。
私はどんなものかを体験するためにベッドで寝転び、電源を入れた。
◆
目を開けるとそこには無限とも呼べる真っ白な世界と目の前に文字や絵が表示されている。タイトルを見る限り、ゲームの類のものみたい。テト○スっぽいものもある。昔やった気がするなぁ。昔は昔でも300年ほど昔にね?
辺りを見渡すが私以外人も物もない。
私の足はふわふわ浮いている。違和感しかない。これは永遠に落ちているのか?とも錯覚する。
地面に立ちたいなぁと思ってしまう。さっき画像で見た硬い町の地面ではなく、土の柔らかい地面に。私は目を閉じ、土の地面に樹木が一本立ち、その下にベンチが置いてあるのを想像する。
そろそろ、この世界からも離れようかな。酔っちゃいそう。配信の仕方もわかったし。
私は頭の中でログアウトと唱えると体の感覚が布に包まれる。目を開けるとさっきでいた私の部屋。す、すげぇ。これがVRか。気持ち悪くなるのは嫌だけど、明日の配信はすごく楽しみだ。
私は明日に備えてそのまま寝ることにした。