転生しちゃったみたいなので元いた時代を作りたい 作:Cucu
おはようです。
転生して3日目、えーと、ミルです!
今日はコラボの日です。楽しみ〜!
転生してから人とまだ喋ってないから色んなことを聞いてみたい。人と喋って安心したいって言うのが本音。
でも、まだ配信まで時間があるので、今日ちょっと外に出てみたいと思います。ここが一体どこでこの時代の街並みはどんなのなのか気になるからね。
私の家はどうやら一軒家っぽい。家族で住むには広いとは言えないが、一人暮らしには十二分に広い。あ、そうそう。私の家族はこの家には住んでいないみたい。一人暮らし。さみしーなー。
....よしっ!早速出かけよう!
っと、その前に朝ご飯食べようかな。でも、食べ物らしい食べ物はない。スティック状の何か。この家にはキッチンがなければ冷蔵庫もない。机の上に置いてあったのはこのスティック状の何かよく分からないもの。
初日にお腹が減って何かないか家の中を探し回っていたところ、見つけたこれ。最初は何かわからなかったから、匂いを嗅いでみて、食べれそうだったのでかじってみることに。ちょっとしっとりした食感。味は美味しいともなんとも言えない感じ。ちょっとしょっぱい。そして、全部食べきったところで妙に満腹感に襲われた。こ、これが未来の食べ物か!と最初は驚き、ワクワクしたのだが、3日目となるとさすがに飽きてきた。なんと言っても、満腹感はあるのに食べた気にならない。味も微妙だし。あー!ラーメン食いてー!味の濃いもの食いてー!焼肉食いてー!この時代にそんなものはなさそうだけど。
私はスティック状の何かを食べ終わり、今度こそ出かける。服装はこの子の部屋にあったやつ。実は結構迷った。この時代のファッションの当たり前なのか分からないけど、とっても変な服ばかりだった。その中でもましなのを選んだらなんとなく可愛いと思った。
私は玄関のドアを開く。この時代は一体どんな風になっているのか。楽しいといいな。
そして私は初めてこの時代を見た──────
◆
私はとってもドキドキしていた。ドアを開けて、外の光を見るその瞬間まで。でも、その感情は一瞬で無くなった。子供が前日の天気予報で雪が降ると聞き、次の日の朝、ワクワクしながら外を見たら、雪ではなく雨が降っていた時のように。胸の鼓動だけが速いまま。私は私のいた時間に取り残されたような気分。
外の世界は暗かった。空が無い。雲がない。太陽が見えない。何より空気がずっと重い。ここは....地下だ。
◆
私はドアを出たあと、怖くなって部屋に戻り閉じ籠った。想像できなかった。人口が爆発的に増えていて、地下ですら人が住んでいることが。
あ、配信の時間過ぎちゃった。私は体を起こして、机の上に置いてあった電脳世界の入口である機械を手に取って頭に装着する。
ああ、人って怖いな。
そんなことを考えていると、意識は真っ白な世界へと吸い込まれていった。
◆
「やっほー!ミルちゃん!」
目を開けると目の前に可愛い女の子が浮いている。カエルちゃんだ。カエルちゃんの足元に黒い板が現れそこに立つ。え?今それどうやったの?私も地面に立ちたい!
私が驚いていると、カエルちゃんが話しかけてくる。
「早く地面を
そうぞう?創造?そんなことどうやって...あ、想像するのか....えっと、地面地面地面。あ、どうせなら土の地面にしよう。足に優しい柔らかいやつ。
すると、足元に茶色い地面が現れる。
「なにそれ!?」
「え?」
「その地面だよ!見たことない!」
「あぁ、これは土ですよ?」
「土...?土ってあの土?」
「どの土を想像しているか分からないけど?これが土です。」
「えぇ....ミルちゃん、なんで土を知ってるん?ねぇ!視聴者!土見たことある人いる?」
よく見るとカエルちゃんを見ると彼女の目の前に配信画面が浮かんでいた。視聴者数は8人。ちゃんと視聴者がいる....!少数ながらコメントも飛んでいる。この人たちも地下に住んでるのかなぁ。
「土か....。あっ!これって!」
「?」
「ミルちゃん!あれなんだと思う?あの土に刺さってるやつ!」
カエルちゃんが指を差した方向には、土でできた地面とそこに生える1本の桜の木。その木の下にベンチが設置してある。あれってもしかして、昨日ここで
「今日この世界にログインしたらね、普段は真っ白な世界なのに何故かあれがあったんだよ。だから、ミルちゃんが来るまであれがなんなのか議論していたんだよ。」
「ん?あれ?ミルちゃん?」
私は空中に浮く足を思いっきり動かして桜の木の下に寄っていく。
私は木の横までたどり着くと木の幹を撫でるように触る。す、すごい....本物の木みたいにザラザラしてる。上を見上げると白っぽい花が沢山咲いている。
「.....ぇ、ねぇ、ミルちゃんってば!あ、やっと気づいた。ミルちゃんはこれが何か知ってるの?触って大丈夫なの?」
「うん。これは桜。」
「さく、ら....?なに?それ。」
「え、桜知らないの!?木だよ。植物だよ。」
「ショクブツ?植物ってあの?大昔にいっぱいあったって言う....」
「そう。」
コメント欄は8人しかいないのに、上に消えていくコメントの速度が明らかに速くなる。
「桜....綺麗。でも、なんでそれがこんなところにあるんだろう。桜とか土とか見たことある人いないのに。」
「えぇっと....これ多分私が
「想像って....こんなに細かいのはかなりの知識が無いと作れないよ。」
「あれ?そうなんですか?」
私もそこまで細かくは知らないけど、もしかしたら前世の私がそういう職業とか趣味で何かしていたのかもしれないな。
「ねぇ!今日はゲームする予定だったけど、この桜を観察する回にしない?」
「分かりました。」
「視聴者のみんなも気づいたところとかあったら言ってね!」
「あぁ、これは花ですね。この花から植物は実をつけて種ができて、どんどん増えていくんですよ。」
「へえ〜、ミルちゃん物知り〜。」
「かつての日本ではこれを見てお茶を飲んだり、お酒を飲んだり、ご飯を食べたりして宴会みたいなことをしていたんですよ。」
「おちゃ....?おさけ....?ごはん....?」
「私もお酒飲みたい!」
「いや、あなた多分だけどまだ未成年ですよね?ダメですよお酒は。」
「未成年は飲んじゃダメなの?なんで?」
「んーと、なんとなく?です。」
「じゃあ、お茶飲んでみたい!」
「いいですね。お花見しましょうか。えっと、お茶を
すると、目の前に湯のみと緑色のお茶が現れる。あれ?この世界って味とかするのかな?
すると早速、カエルちゃんがお茶を一気飲みする。
「っごくっごく、うえ〜なにこれ!熱いし苦ァい!」
「お茶はこういうものですよ。」
「そうなの?お茶も初めてだよぉ。」
「なんかこうやってたくさんの人と桜の下でお茶を飲むって落ち着きますね〜」
目覚めてからずっと独りだったからこうやって人と喋りながらっていうのは落ち着く。私は人といるのが好きな人だったのかな?
「ねぇ、ミルちゃん....」
「ん?なんですか?」
「あなた....何者?」