転生しちゃったみたいなので元いた時代を作りたい 作:Cucu
「あなた....何者?」
この質問が私に投げかけられるのは当然のこと。これはどの人から見ても同じこと。
そうだよね。そう思うよね。こんなこと普通の人は知らないんだもんねこんなこと。って感じ。
カエルちゃんが私を不思議そうな目で見ている。
ん〜、転生のことをこの場で言うべきか?いやいや、視聴者も見てる中で「私、転生者です!前のミルちゃんの事は分かりません!」なんて言ったら、悲しむだろうし、驚くだろうし、もしかしたら、国が私を見つけたら私を捕まえに来るかもしれない!それは困る!
後でカエルちゃんにだけ本当のことを伝えようかな。1人は知っている人がいると安心するし?
今は何となくで誤魔化しておこう!
「私はミルですよ?」
「そうかな?前はもっとなんかこう...子供っぽかったていうかなんというか....」
え?そっち?そっちなの?私がなんで昔のこと知ってるか、とかじゃなくて?
たしかに今の私は大人のつもりで過ごしていたけど、前のミルちゃんは子供っぽかった...のか?
「あぁ、えっと、イメチェンですよイメチェン!これからこれでいこうと思って。かっこいいのがいいなって。」
「ミルちゃんもそういうお年頃かぁ。」
「えぇ、それはどういうお年頃?」
前のこの二人の関係ってどんなのだったんだろう。とても気になる。もしかしてだけどカエルちゃんの方が年上キャラでミルちゃんが妹キャラみたいな感じだったのかな?
「そんなミルちゃんも大好き!」
「うわぁ!」
カエルちゃんが急に抱きついてくるもんだからびっくりしちゃったよ。
そんなこんなで時間がゆっくりと進んでいくのだった。
◆
「カエルちゃん、大事な話があります。」
今は配信を終えて、しばらく2人で桜の木の下で雑談をしていたところ。次回のコラボはいつにするかとか、今日の配信はどうだったとか。私はそこでちゃんとカエルちゃんに話をすることにした。
「ん?なに?」
「驚かないで聞いて欲しいです。」
「う、うん。」
「私、ミルじゃないです。」
「え、あ、うん....何となくそんな気はしてた。けど、ほんとに別人なの?」
「はい。ごめんなさい。」
やっぱり気づいていたようだ。前の2人はよっぽど仲が良かったんだろうな。
「ねぇ、だったらあなたは....何者?」
「ん....私は....」
「....」
「私は、転生者です。」
「....!?」
「すいません、突然の事で....私は数日前にミルちゃんの体に転生しました。なので私はカエルちゃんの事は今日のことしか知りません。そして、この体、ミルちゃんのことも知りません。」
「そうか...ねぇ....前の、私のミルちゃんはどこへ行ったの?」
「分かりません....ごめんなさい。私もなぜ転生したのか、なぜこの子になったのか、分からないんです。目が覚めたらこうなってて....」
「そ、そうなんだ....」
「あの....図々しいかもしれないですが、私と友達になって貰えないですか?」
「ちょっと、落ち着かせて貰ってもいい?少し考えて、私の想いを伝えたい。だから、明日の朝この場所に来て欲しい。」
「ん...わかりました。」
「ありがと。今日はもうおやすみ。」
「はい、おやすみです。」
◆
私は頭から機械を外す。
「やっぱりまずかったかな?」
私は今更ながらの後悔と少しの不安。このままカエルちゃんがミルの友達でなくなってしまったら、もしミルが戻った時にとっても悲しむだろう。そして、私の現段階での唯一の知り合い、話せる相手がいなくなる。それも怖い。
私はすることも無いので眠ることにした。
◆
朝。目が覚める。
スマホを開くと、朝6時半。昨日早めに寝てしまったのでいつもより早い時間。
私はリビングに行き、スティックを齧る。相変わらずの味だな。不味いとは言えない程度の変な味。齧りながら
窓辺に近づき、締めてあったカーテンを開く。目の前に広がるのはお隣さんの家の壁と不気味な街灯の光。上を見上げても雲はない。あるのは暗い暗い
あの上には本当に人が住んでいるのだろうか。今更ながら私の存在がなんなのか本当に分からない。心を締め付けるように胸が苦しくなる。私はどうやらこの世界は合わないようだ。この世界は、この時代は私の時とは遠く離れている。そのことを突きつけられるように真っ直ぐ見れない。
私は満腹になったので部屋に戻り、約束のあの世界へと行くために頭に機械を装着する。
目を閉じる。
またこの世界と少し別れることにする。
私は私が何者か分からない。
視界が真っ白に包まれる。
◆
〜カエル〜
目が覚める。
いつものベットの上。昨日のことを思い出すと朝なのに心が落ち着かない。ミルちゃんはミルちゃんじゃ無くなってた。親友のミルちゃんが。私の好きなミルちゃんが。
最初はミルちゃんが仕掛けたドッキリか何かだと思った。だから、私はミルちゃんがミルちゃんじゃないって気づけなかった。
ミルちゃんはどこへ行ったんだろう。そして、あの人は誰なんだろう。ミルちゃんの中で一体何があった?
私はいつものスティックを口の中へ一気に押し込む。
私は気持ちが落ち着かないまま、頭にかわいく装飾されたその世界の入口に触れる。そして、またあの真っ白の何も無い世界へと入り込む。