転生しちゃったみたいなので元いた時代を作りたい 作:Cucu
電脳世界、真っ白な世界に入ると目の前には1本の桜の木が現れる。これはあのミルちゃんが想像したもの。この想像物は本物なのか、それとも本当にただの想像なのかは桜を見た事のない私は知ることは出来ない。
私、泉咲カエルは悩みに悩んだ。このまま新しいミルちゃんを受け入れるのかどうか....
でも、決めた。
もし元のミルちゃんが戻ってきた時に私たちの関係が変わっていたら、混乱するだろうし、ミルちゃんのことだから、多分泣いちゃうかも。そんな彼女を私が支えてあげる必要があると思う。だから、今のミルちゃんの近くにいてあげるべきだと思う。今のミルちゃんが例え何者かわからなくても、いつものように接しよう。
そうしないと私が壊れちゃいそうだから。
◆
桜の木の下に座り込む。カエルちゃんが来るのを待つために。
でも、そのカエルちゃんが私と何らかの関係を築いてくれなかったら私は1人になってしまう。もし、1人になったら私は本当に頼る人を失ってしまう。この時代は私の時間じゃない、私はここにいてはいけない存在なのだと。そんなことばかりを考えてしまう。
寂しい。苦しい。
私だって元の時代に戻りたい。来たくてここに来たわけじゃない。本当の私は誰かは分からないけど....私ってそもそも転生した?前世の記憶ってのも私の想像、妄想なのでは?じゃあ、私は誰だ?ミルじゃない誰か?私は一体────
「ミルちゃん?」
木の後ろからカエルちゃんが顔を出した。
「あ、カエルちゃん...」
「ミルちゃん!?どうして泣いてるの!?」
「え...あぁ.....」
私の目からいつの間にか涙が溢れていた。でも、今はそれよりもカエルちゃんの答えをききたい。私という存在を誰かに肯定して欲しい。
「カエルちゃん...その、私と友達に....わぁ!?」
カエルちゃんが抱きついてきた。
「もちろんだよ!もう1回友達になろう?あなたがここに来た意味探そうよ!」
「え、でも....私は私が誰なのか分からない!...本当の私はここにはいないんです!」
カエルちゃんが私を認めてくれたのに、私自身が私を否定してしまった。でも、否定するしかない。こんな自分がわからないやつのことを人がわかるはずない。
「なんで?ミルちゃんはミルちゃんだよ!今のあなたはミルちゃん!他の誰でもないよ!」
「私は....ミル?」
「そう。あなたはミル。」
「....ミル。」
カエルちゃんがさっきより強い力で包み込む。私はカエルちゃんの胸に顔を押し付けて抱きつく。こんな真っ白な世界なのにカエルちゃんの匂いがする。こんな世界なのにカエルちゃんの鼓動が聞こえる。すごい。こんなものまで再現されてるなんて。現実にはない温かさ。この世界は私の知っているものがある。
私はこの世界が好きだ。
◆
「落ち着いた?」
「はい。すいません泣いちゃって。」
私はカエルちゃんの胸で泣いた。それから落ち着くまで何分だっただろうか、というところ。
「いいよ。ねぇ、私たち友達になるわけだし、ミルちゃんのこともっと知りたいな!」
「そ、そうですね....転生者っていうのは話しましたよね?」
「うん。」
「実は前世の記憶ってほとんどないんです。」
「ええっ!?じゃあなんで転生者って思うの?ってか、転生なんてホントにあるの?」
「私だって転生したことないんでよくわらないです。でも、なんとなくそんな風に思うんです。自分のことは覚えてないんですけど、住んでいた時代の環境というか風景とかが思い出せるんですよ。ほら、この桜だって....」
「え?ってことは何?桜があった時代ってこと?前世はどれくらい前なの?」
「これが正しいか分からないんですけど、大体300年程前だと勝手に思ってます。」
「さ、さんびゃくねん....」
カエルちゃんは驚きのあまり、開いた口が塞がらない。
「この時代と違って、世界中に植物が存在していて、動物や自然と共存していこうといていました。」
「そうなんだ....今は植物も動物も見ることが出来ないもんなぁ。私も見たことない!」
「そうなんです。だから、私はこの時代が自分の時代では無いので、どうしても心が病んでしまいそうです。この地下の世界は私に合わないのです。」
昔の世界に帰りたい。家でゴロゴロしたいですね。
「そっか...あ、そうだ!ねぇねぇ!その300年前の世界、作ろうよ!」
カエルちゃんが大きな声で叫ぶ。
「え、どうやって?そんなの作れる場所なんて...」
「ねぇミルちゃん?今ここはどこだと思ってる?」
「え?ここって....あっ!!」
私は身を見開き、周りを見渡す。
「そう!想像するだけでなんでも作れる真っ白な世界だよ!ここなら作れるんじゃないかな!」
「なるほど!」
「よし!じゃあ、次の配信はここ集合ね!」
「はい!」
勢いで決まってしまったけど大丈夫かな?とも思ったが、内心とても楽しみな私でありました。