この星では、侵略を目論む地球外知的生命体のワームが、擬態という能力で自身の姿を人間に変えて生活している。
「光一くん、朝よ」
寝室のカーテンを開けて、光一を起こす聡美。
眩い太陽光で、光一は目を覚ました。
「おはよ」
「おう……」
「朝食できてるから、顔洗っておいで」
「うん」
光一は洗面所で顔を洗い、歯磨きを済ませてリビングに移動して食卓に着く。
テレビにニュースの映像が流れている。
ニュースではドッペルゲンガーについて報道がされており、それを見たものが近日中に死体で発見されるというものだった。
ドッペルゲンガーのニュースは、七年前から出ており、時折その報道を行う。
「くだらねえ。ドッペルゲンガーなんて迷信だ」
ニュースを見ながら朝食を食べる光一。
「どうせ死体もただの殺人事件だよ」
「私、ドッペルゲンガーを知らないんだけど、なんなの?」
「自分にそっくりな人物が現れて、それを見ると三日以内に死ぬっていう作り話だよ」
「ふーん」
「ごちそうさま」
食べ終えた光一が、食器を流しに置く。
「じゃ、仕事行ってくるな」
光一は家を出ると、車に乗り込んで警視庁に向かう。
光一の職業は警察官だ。所属は警視庁捜査一課。いわゆる殺人や強盗などの凶悪事件を扱う刑事だ。
運転中、光一は歩道を歩く亡くなった妹に瓜二つの女性を見かけた。
(洋子?)
(いや、そっくりなだけだ)
通り過ぎた後、サイドミラーに映った洋子が、光一の運転する車の方を振り返る。
やがて、光一の車は警視庁に到着し、降りた彼が庁舎内に入っていく。
エレベーターで階上に昇り、捜査一課の部屋に入る。
「おはようございます」
室内を見渡すと、いつもより職員が少なく、閑散としていた。
「みなさん、どちらへ?」
光一が警部に訊ねる。
「つい今しがた殺人事件が発生してな。担当が臨場したところだよ。お前も行ってこい。住所はピーフォンに入ってるからな」
光一はピーフォンの住所を頼りに現場に臨場する。
「お疲れ様です」
捜査員が敬礼する。
現場はすでに規制線が張られていた。
「被害者は?」
「
「ZECT?」
「はい。防衛省内の対侵略組織だそうです」
「詳細は?」
「調べたんですけど、機密事項で介入できませんでした」
「どういうことだ? これは殺人事件なんだよな?」
「それが、地球外生命体のワームが関わってる感じで、捜査権がZECTに移りそうで」
「ワーム?」
「知らないんですか? ドッペルゲンガーの噂。その噂、ワームが原因のようですよ」
「ただの噂だろ? 非科学的存在がどうやって人を殺すんだ?」
「それがそうでもないんですよ。ワームっていう生命体が実在して、地球を侵略するために人間社会に溶け込んでるんですよ」
「で、被害者を殺害した容疑者は?」
「現場付近の防犯カメラにこの子が映ってました」
光一は防犯カメラの映像を見た。
(まさか、さっきのそっくりさん?)
「これ、洋子さんですよね? 僕には洋子さんがやったようにしか見えないんですけど」
「言ってなかったか? 洋子は半年前に亡くなったんだ」
「それじゃ、これはワーム……?」
「そのワームってのはなんなんだ? 地球侵略を目論んでるって言ってたけど、本当にそんな存在がいるのか?」
「僕も直接見たわけじゃないので断言はできませんが、ZECTの話では存在するみたいです」
「そのZECTもなんか
捜査員のピーフォンが鳴る。
ピーフォンが洋子の行方を報せたのだ。
「行くぞ」
光一たち捜査員は洋子の元へと向かった。
捜査員が洋子を囲む。
「お前、洋子なのか?」
「お兄ちゃん?」
「洋子は死んだはずだ」
洋子はネイティブに姿を変えた。
「な!?」
洋子に戻るネイティブ。
「これが私の正体。お兄ちゃんたちのことだから、もう特定してるんでしょ? さっき、遺体で発見された男が本当の私を殺したのよ」
「お前は洋子の仇を討ったというのか?」
「私、ネイティブなんだ。ネイティブはワームと敵対しててね。遺体で見つかった男もワームなんだ」
洋子は懐からバックルを取り出して光一に渡した。
「これ、お兄ちゃんにあげる」
「なんだよこれ?」
「マスクドライダーシステムよ。これがあれば、ワームに対抗できるわ。私のオリジナルがお兄ちゃんに託そうと開発したものよ。私にはもう時間がないの。お願い、この星を救って……」
洋子はそう言い残し、爆裂霧散した。
「な!?」
「この場合、法的にはどうなるんだ? 地球外生命体を殺害した場合……」
「人間じゃないから、殺人にはならないと思います」
「そのベルトを渡せ」
刹那、どこからか男の声が聞こえた。
捜査員が振り返った先に立っている男が、ワームに姿を変えた。
光一がバックルを装着すると、カブトゼクターが飛来する。
カブトゼクターはワームに体当たりをしてから光一の手元に収まった。
「やるしかないみたいだな」
光一はゼクターをバックルにセットする。
「HENSHIN」
音声が鳴り、光一は仮面ライダーカブト・マスクドフォームに変身した。
ワームは脱皮し、アラクネアワーム・ルボアに変態。クロックアップでカブトを翻弄する。
「うわ!」
カブトは吹っ飛ばされ、壁へと激突した。
「痛……くない」
カブトは体勢を整えると、ゼクターホーンを展開した。
「CAST OFF」
マスクドアーマーが弾け飛び、カブトホーンが起き上がる。
「CHANGE BEETLE」
仮面ライダーカブト・ライダーフォーム。
捜査員たちは、吹き飛んだアーマーの被害を受けて宙に舞う。
カブトはサイドバックルを叩いた。
「CLOCK UP」
捜査員たちが地面に落下するまでの一瞬の出来事。
カブトは接近するルボアの隙を突いて乱打し、スロットルを押した。
「ONE TWO THREE」
ゼクターホーンをマスクドフォームに位置に変え、再度展開する。
「RIDER KICK」
カブトがルボアに飛び蹴りを放った。
ライダーキックをまともにくらったルボアは爆裂霧散した。
「CLOCK OVER」
捜査員たちが地面に叩きつけられた。
カブトゼクターがはずれ、変身が解ける光一。
「やったのか……?」
「何が起きたんだ?」
地面に伏す捜査員は疑問符だらけだった。