仮面ライダーカブト - 恋人はワーム   作:桂ヒナギク

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1.変身

 この星では、侵略を目論む地球外知的生命体のワームが、擬態という能力で自身の姿を人間に変えて生活している。

 精悍(せいかん)な顔立ちをした人間の青年、大貫(おおぬき) 光一(こういち)は、及川(おいかわ) 聡美(さとみ)という、端正な顔立ちをした同い年の女性と同居していた。

「光一くん、朝よ」

 寝室のカーテンを開けて、光一を起こす聡美。

 眩い太陽光で、光一は目を覚ました。

「おはよ」

「おう……」

「朝食できてるから、顔洗っておいで」

「うん」

 光一は洗面所で顔を洗い、歯磨きを済ませてリビングに移動して食卓に着く。

 テレビにニュースの映像が流れている。

 ニュースではドッペルゲンガーについて報道がされており、それを見たものが近日中に死体で発見されるというものだった。

 ドッペルゲンガーのニュースは、七年前から出ており、時折その報道を行う。

「くだらねえ。ドッペルゲンガーなんて迷信だ」

 ニュースを見ながら朝食を食べる光一。

「どうせ死体もただの殺人事件だよ」

「私、ドッペルゲンガーを知らないんだけど、なんなの?」

「自分にそっくりな人物が現れて、それを見ると三日以内に死ぬっていう作り話だよ」

「ふーん」

「ごちそうさま」

 食べ終えた光一が、食器を流しに置く。

「じゃ、仕事行ってくるな」

 光一は家を出ると、車に乗り込んで警視庁に向かう。

 光一の職業は警察官だ。所属は警視庁捜査一課。いわゆる殺人や強盗などの凶悪事件を扱う刑事だ。

 運転中、光一は歩道を歩く亡くなった妹に瓜二つの女性を見かけた。

(洋子?)

 洋子(ようこ)は妹の名だ。

(いや、そっくりなだけだ)

 通り過ぎた後、サイドミラーに映った洋子が、光一の運転する車の方を振り返る。

 やがて、光一の車は警視庁に到着し、降りた彼が庁舎内に入っていく。

 エレベーターで階上に昇り、捜査一課の部屋に入る。

「おはようございます」

 室内を見渡すと、いつもより職員が少なく、閑散としていた。

「みなさん、どちらへ?」

 光一が警部に訊ねる。

「つい今しがた殺人事件が発生してな。担当が臨場したところだよ。お前も行ってこい。住所はピーフォンに入ってるからな」

 光一はピーフォンの住所を頼りに現場に臨場する。

「お疲れ様です」

 捜査員が敬礼する。

 現場はすでに規制線が張られていた。

「被害者は?」

野中(のなか) (まさる)、三十五歳。ZECT(ゼクト)の隊員です」

「ZECT?」

「はい。防衛省内の対侵略組織だそうです」

「詳細は?」

「調べたんですけど、機密事項で介入できませんでした」

「どういうことだ? これは殺人事件なんだよな?」

「それが、地球外生命体のワームが関わってる感じで、捜査権がZECTに移りそうで」

「ワーム?」

「知らないんですか? ドッペルゲンガーの噂。その噂、ワームが原因のようですよ」

「ただの噂だろ? 非科学的存在がどうやって人を殺すんだ?」

「それがそうでもないんですよ。ワームっていう生命体が実在して、地球を侵略するために人間社会に溶け込んでるんですよ」

「で、被害者を殺害した容疑者は?」

「現場付近の防犯カメラにこの子が映ってました」

 光一は防犯カメラの映像を見た。

(まさか、さっきのそっくりさん?)

「これ、洋子さんですよね? 僕には洋子さんがやったようにしか見えないんですけど」

「言ってなかったか? 洋子は半年前に亡くなったんだ」

「それじゃ、これはワーム……?」

「そのワームってのはなんなんだ? 地球侵略を目論んでるって言ってたけど、本当にそんな存在がいるのか?」

「僕も直接見たわけじゃないので断言はできませんが、ZECTの話では存在するみたいです」

「そのZECTもなんか胡散臭(うさんくさ)いな。本当にあるのか? そんな組織は聞いたことがないぞ」

 捜査員のピーフォンが鳴る。

 ピーフォンが洋子の行方を報せたのだ。

「行くぞ」

 光一たち捜査員は洋子の元へと向かった。

 捜査員が洋子を囲む。

「お前、洋子なのか?」

「お兄ちゃん?」

「洋子は死んだはずだ」

 洋子はネイティブに姿を変えた。

「な!?」

 洋子に戻るネイティブ。

「これが私の正体。お兄ちゃんたちのことだから、もう特定してるんでしょ? さっき、遺体で発見された男が本当の私を殺したのよ」

「お前は洋子の仇を討ったというのか?」

「私、ネイティブなんだ。ネイティブはワームと敵対しててね。遺体で見つかった男もワームなんだ」

 洋子は懐からバックルを取り出して光一に渡した。

「これ、お兄ちゃんにあげる」

「なんだよこれ?」

「マスクドライダーシステムよ。これがあれば、ワームに対抗できるわ。私のオリジナルがお兄ちゃんに託そうと開発したものよ。私にはもう時間がないの。お願い、この星を救って……」

 洋子はそう言い残し、爆裂霧散した。

「な!?」

「この場合、法的にはどうなるんだ? 地球外生命体を殺害した場合……」

「人間じゃないから、殺人にはならないと思います」

「そのベルトを渡せ」

 刹那、どこからか男の声が聞こえた。

 捜査員が振り返った先に立っている男が、ワームに姿を変えた。

 光一がバックルを装着すると、カブトゼクターが飛来する。

 カブトゼクターはワームに体当たりをしてから光一の手元に収まった。

「やるしかないみたいだな」

 光一はゼクターをバックルにセットする。

「HENSHIN」

 音声が鳴り、光一は仮面ライダーカブト・マスクドフォームに変身した。

 ワームは脱皮し、アラクネアワーム・ルボアに変態。クロックアップでカブトを翻弄する。

「うわ!」

 カブトは吹っ飛ばされ、壁へと激突した。

「痛……くない」

 カブトは体勢を整えると、ゼクターホーンを展開した。

「CAST OFF」

 マスクドアーマーが弾け飛び、カブトホーンが起き上がる。

「CHANGE BEETLE」

 仮面ライダーカブト・ライダーフォーム。

 捜査員たちは、吹き飛んだアーマーの被害を受けて宙に舞う。

 カブトはサイドバックルを叩いた。

「CLOCK UP」

 捜査員たちが地面に落下するまでの一瞬の出来事。

 カブトは接近するルボアの隙を突いて乱打し、スロットルを押した。

「ONE TWO THREE」

 ゼクターホーンをマスクドフォームに位置に変え、再度展開する。

「RIDER KICK」

 カブトがルボアに飛び蹴りを放った。

 ライダーキックをまともにくらったルボアは爆裂霧散した。

「CLOCK OVER」

 捜査員たちが地面に叩きつけられた。

 カブトゼクターがはずれ、変身が解ける光一。

「やったのか……?」

「何が起きたんだ?」

 地面に伏す捜査員は疑問符だらけだった。

 

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