がっこうぐらし!マルチRTA DLCバイオハザードver.1.24 全員生存ルート 作:食卓の英雄
ふと、微睡みから覚める。隣には私の手を握るるーちゃんがいて、寝ぼけ眼のままふわぁ、とあくびを一つ。
寝汗をかいたのか、若干の気持ち悪さを覚えつつ芳ばしい匂いが鼻孔に入り込む。じゅーじゅーと何かを焼く音は馴染み深いものだ。
ああよかった。あれは悪い夢で、いつもどおりの日常が始まるのだ。……なんて、思えればよかったのだけど。
「ん…」
射し込む陽光に目を萎ませ、私の心境とは真逆に晴々しい青空が広がっていた。……学校の屋上だ。当然、昨日のことは夢でもなんでもない。
るーちゃんの反対側を見れば、この屋上に避難してきた3年の丈槍由紀さんと柚村貴依さんに恵飛須沢胡桃さん。まだ平穏だった学校生活では三人ともに面識はなかった。いや、同じ学年である以上どこかで関わっているかもしれないのだけど、それを一々覚えていられるほど記憶力に自信はない。
どうやらこの未成年組では私が一番に起きたらしい。慣れない場所での睡眠に少し体の違和感を感じつつも、伸びをして誤魔化す。
はっきりと覚醒して匂いのもとを探すと、佐倉先生とイーサンさんが慣れた様子で料理を作っており、さながら夫婦のようだ。
独身の佐倉先生とは違ってイーサンさんの方は結婚しており子供もいるらしいのだが、それを言うと拗ねる気がするので口には出さないでおく。
突如やってきた外国人の二人の男性に警戒を抱いたのだけど、話してみれば中々好感が持てたし、彼も巻き込まれた一人なのだと考えると過剰に反応するのも渋られた。何より、彼はるーちゃんを危機から救ってくれた人である。
もう一人のピアーズさんはこのような生物災害が起こった際に対処する専門機関に所属しているらしく、今は連絡をとっているとの事だ。こちらも、悪い人ではないのだろうけど、どうにも武装や立場のせいで話しかけづらい。だけどその実績はよく、これまで世界中で起こった似たようなテロもその組織が解決していると佐倉先生からも太鼓判を押された(私は全然知らなかったので、もし無事ここから生き残れたらもっとニュースを見ようと思った)。
私が体を解している間に、匂いに誘われたのか他の子も続々と起きて朝食となった。これまた驚いたのが佐倉先生の料理力だ。普段の様子からは想像もつかない凝った料理も作れるらしい。
園芸部の育てた野菜を使った野菜炒めも評判は良かった。まさか部活動がこんな形で役に立つとは思ってもいなかったが、この感謝の形は悪いものではない。
だけれど懸念もある。昨日は何とか生き残れたが、いつあの化け物があのドアを破って襲ってくるか気が気ではない。
それでもみんなはこの学校の中を探索するべきだと言う。それは当然屋上で立てこもるだけではいづれ生きていけなくなるのが分かっているからだろう。
当然私もそれは理解しているつもりだ。でもそれと恐怖心は別だ。あの化け物と関わりたくない。このままここに引きこもってしまいたい。専門家もいるし全て任せて、一般人に過ぎない私達はここで待つべきだと、そう言うつもりだった。
「それなら私もついてくよ。いくら専門家でも囲まれたら危ないだろうし、道案内もいるだろ?あいつらは動きも遅いし、私には……コレもある」
恵飛須沢さんが声を上げた。それは彼女の先輩だったものを殺めた園芸部の備品であるシャベルだ。大人たちはそんな彼女を宥めていたが、恵飛須沢さんの意志に押し負けた形だ。何より彼女の言葉が事実だったことも含まれているに違いない。
結局、全員で班を分けていくことになった。私達はバリケードを作って探索するピアーズさんたちを迎える役割だ。足を挫いていた柚村さんも、るーちゃんもついていくというのだから、私が行かないわけにはいかない。
一応、大人二人は拳銃を渡されており、いざとなったら私達はすぐ逃げることを第一としてバリケードづくりに励んだ。
「柚村さんは何で立候補したの?あなたは足だって挫いていたのに。……怖くないの?」
私は机を運ぶ彼女に問うた。私は怖くて堪らないのに、彼女は自然体でいるように見えたから。そんな私の感情が透けていたのだろうか、彼女は真剣な顔で答えた。
「…確かに、若狭の言うとおり怖いよ。いきなりこんなことになっちゃったし、人間があんなのになるなんて、フィクションだけで十分。少なくともあんなのに慣れる生活なんて真っ平御免だね。でも、何もやらないわけにはいかないよ。私だけ仲間外れ……とは違うけどやれることがあるならやっとかなきゃ後で後悔するだろ?」
「…そう。強いのね。私はそんなこと、全然だわ」
やっぱり、私は彼女たちとは違う。臆病で、保守的で、楽な方向に流されやすい。私なんてるーちゃんがいなければ、膝を折っていたかもしれない。
「いやいや、若狭は立派だよ。私らの中じゃあ一番頭がきれるし、色々とやってくれるし。別にあの化け物と戦えば偉いってことじゃない、適材適所って奴だよ」
「……そうなのかしら」
ああ駄目だ。そんなつもりはないだろうに、私に耳障りのいい言葉を投げかけているように疑ってしまう。
「そうだよ!りーねえは家事とかおせわとか、お金を数えるのもじょうずなんだよ!」
「るーちゃん…だったっけ?そっかそっか、お姉ちゃんはすごいんだな」
「うん、おべんきょうも出来るし、優しいし……あとおっぱいが大きい!」
「るーちゃん!?」
「あー、俺は何も聞いてない、聞いてないぞ…」
まさかのセリフに思わず声を大にしてしまう。咄嗟に口を押さえて息を潜めるが、かれらの気配はなかった。
「りーねえはみんなに負けないくらいがんばってるよ」
「るーちゃん…」
それは必死で、でも慰めとかじゃない真剣な顔。背後の佐倉先生もうんうんと頷いている。
「そうそう、若狭さん…って二人共若狭だから…悠里ちゃんね。悠里ちゃんは卑下することなんてないの。何かあったときは、私達大人に任せなさい。あなたが責任を感じる必要はないの。生徒の悩み一つ引き受けられないで先生は名乗れないからね」
「めぐねえ……。そんな頼り甲斐のある大人みたいなこと言えたんですね」
「貴依さん!?」
「…ふふっ」
ああ、可笑しくて笑いが漏れてしまう。こんなときに信じられないけど、今私は笑っているのだ。それを見た三人はここぞとばかりに私を、褒め倒そうとして、早々にネタが尽きてしまったのか絞り出すように唸る彼女たちに少し拗ねるようにおどける。
まあ、こんな状況でも、夢を見ることは出来るのだ。希望だって、ピアーズさんのおかげで見えてきた。……もう少しくらいは普通に過ごしてみようかしら。
「…ありがとう」
「お、おー、なんか照れるなあ」
「どーいたしまして」
頬が朱に染まるのを見れば、ちょっとした意趣返しも成功したらしい。
「…よし、これでタックルくらいじゃ崩れないだろ」
どうやらそうしている間もバリケードは組まれた。かれらは目的が無ければ物に強く影響を及ぼすことはない。知能も低いらしく野生動物よりも与し易いとのことだ。これならバリケード前で挑発でもしなければかれらはそもそも上にいる私達には気付けないだろう。
「ふう、三階には全然いなくて助かったわ」
「その分、下に行ったゆき達がちょっと心配だけど、まあ大丈夫だろ。ゆきは何かと勘がいいからね。ひょっとしたら危ないところ全部避けてるかも…」
「流石にそれはないでしょ…」
ああ、こうして気軽に話し合える友達は貴重かもしれない。いつもは私が頼られる側という感じだったから。
「待った、やつらの声が聞こえる。それも…複数だ。準備しておいた方がいい」
「!」
先頭を往くイーサンさんの静止に全員の意識が移る。るーちゃんはみんなの真ん中に立ち、ゆっくりと一歩一歩に注意を払って階段前へ飛び出した。
「なんて数なの…?」
それは今までの楽な作業を帳消しにするほどにたむろっているかれらの群れだった。どうやら階段を登るのが苦手なのか躓いたりし、その音に反応した個体がどんどんと引き寄せられてこうなったらしい。
それは私達の存在に気づくと明確にこちらを向いて歩き始める。その姿に恐怖を抱かないわけではない。でも、逃げるわけにはいかないのだ。
「二人は登ってくるのを押し返して!絶対に深入りは駄目よ!」
「はい先生!」
そう言って、私と柚村さんは一心不乱に押し寄せるかれらを突き落とした。幸いだったのはかれらの体幹の悪さだ。単純な力ならともかく階段の上という地の利であれば少し強めに押し出すだけで後ろを巻き込んで落ちていく。
そうなれば、一度に相対するかれらの数は極端に少なくなり、それをイーサンさんが手に持った斧で仕留めていく。躊躇なく一振りで頭部を割るたび、血が飛び階段を濡らしていく。
「クソッ、数ばかり多いな」
「その通り…ですねっ!」
いくら一度に相手する数が少ないとはいえ、人間の頭蓋を割る威力で斧を振り続け、ましてや引き抜く動作も含めれば相当に体力を使うだろう。
何人めかのかれらがまた倒れ伏した所で態勢を立て直すために下がると、それと入れ替わるように佐倉先生が前に出る。
先生は負けず劣らず鋭い中段蹴りでかれらを吹き飛ばしていく。普段の言動から全く想像がつかない程に研ぎ澄まされており、きっと過去の私に言っても信じられなかったことだろう。
「先生足元!」
柚村さんが叫ぶ。かれらを突き飛ばす尻目に見れば這ってきていたかれらが足を掴んだのだ。
ひゅっ…と声にならない声が漏れる。このままではあの群れの中に落とされてしまう。たとえ耐えても、この場を切り抜けられなくなる。無理を承知で、柚村さんに任せてフォローに回ろうと向けた視界の先では、かれらを蹴りつけた足をそのまま回転させて頭部を蹴り潰す佐倉先生の姿があった。
うん、すごくアグレッシブだった。その…下着的な意味でも。
その後、すぐにイーサンさんが復帰して維持は楽になったが、基本落とすだけの私達では数を減らせない。どころかこの音を聞きつけてやってきたかれらもいるため少しずつしか削れていない。
尽きぬ意欲で向かってくるので、こっちは少しも気も抜けない。噛まれるのが駄目だとは知っているが、引っかき傷からもと想像すれば万全を期すほかないからだ。
「あっ」
しまった…!思い切り突き出したモップは数体を巻き込んで落としたが、内一体が掠っただけでこちらに直進してくるのがいた。
急いでモップを戻そうとするけど、もう一度突くには近すぎる。
「やーっ!」
それと同時、私の後ろからるーちゃんの声がした。瞬間かれらに向けて椅子が投げ込まれ、近づいてきたかれらも足を掬われていった。
何で、とか前に出ないで、だとか言いたいことはあったけど、今はそんな暇はない。
「るーちゃん…ありがとう」
「うん!」
それだけ言うとるーちゃんはまた後ろに戻る。再び手に力を込めて押し返すが、やはり疲労はごまかせない。このままでは押されるという予感が湧いて出る。
それは他の人も同じらしい。額に浮かぶ汗粒が体力の消耗を如実に表していた。
「温存してる場合じゃなさそうだ、さっさと片付けるぞ!」
「っ、はい!」
イーサンさんがポケットから拳銃を取り出すのと同時、佐倉先生も銃を両手で構える。
「二人共退くんだ!」
警告に従ってすぐ後ろに回れば、慣れない破裂音と共にかれらの頭から血が溢れ、動かなくなった体だけが取り残される。
銃撃は続き、一回の音に合わせて一人が倒れる。百発百中の腕前を見せつけていた。それが少しの間続くと、踊り場には死体の山と大量の血痕が残され、ここでの惨状を如実に表している。
柚村さんは少し顔を顰め、当然私もいい気分はしない。るーちゃんにはそれを見せないようにいいつけ、ふとこの二人がどう思っているのか。そう恐る恐る顔を覗き込んだ。
イーサンさんは苦虫を噛み潰したように憐れみの視線を、佐倉先生は……悲壮感が漂っていた。
そうだ。当たり前だ。何を考えていたのだろうか。大人だから、簡単に殺せる。大人だから、冷静になれる。……教師だから、私とは違うと思っていた。でも、違う。違ったのだ。
ああ、当たり前だ。
イーサンさんは、最近子供が生まれ、可愛くて仕方がないと溢していた。そんな時期に、その子も将来通うであろう学校の生徒に、思いを重ねているのだろう。でも、面識もない、他国の人物だからこそ、まだ軽いショックで終わっている。
酷いのは佐倉先生だ。この学校に何年も勤務し、生徒から親しまれていた先生は知り合いも多い。自分に親しく接してくれた生徒が人ならざるものとなりまたそれを殺す。ひょっとしたら、今まで襲ってきた中にも知っている顔があったのかもしれない。それは…なんて残酷なことなのだろう。
そうだ。私は、勝手な勘違いで、自分とは違う、自分よりも大人だからと言って、この現実から目を背けたいとばかりに押し付けていただけに過ぎなかったんだ。
それからは、るーちゃんに声をかけられるまで呆然としていたと思う。
その後、また寄り付く前にと全員でバリケードを建設した。かなり疲れたけど、それと引き換えにある程度の安心を手に入れた。
でも探索に行ったくるみちゃん(本人が名前で呼んでくれと言っていた)達を待っている間も、その思考は途切れなかった。
安全の確保された三階で使えそうなものを探しにいって、あわよくば生存者がいないかと期待したけど……。それは、残酷な現実を突きつけるだけだった。
「それにしても先生、あのときは映画みたいでしたね。こう、キックとか…銃とか」
柚村さんが気まずくなった空気を変えようと、先程の話題を出す。その瞬間に、佐倉先生の目が若干下がる。
「…ええ、そうね。そうしないと生きれない場所があったから。必要に応じて…そうなっただけよ」
「あ…、ごめん。そういうつもりじゃ…」
「いいのよ。今はそれよりどうにか生き残ることを考えましょう。ほら、イーサンさんが何かを組み合わせてるわ。見てきたら?」
「はーい」
それに合わせて、私もいたたまれない気持ちになり近づいた。名目上は、るーちゃんとの会話のためにと。
そうして、私が離れ始めた瞬間に、ポツリと何かがこぼれた。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
小さく聞こえたそれは、佐倉先生の懺悔だ。ああ、ああ。こんな心優しい先生に、生徒を殺させるなんて。
あまりに抱えるものが大きすぎる。それを、私に少し持たせてはくれないだろうか。私では、そんなことを言える立場にないことは分かっている。だからこそ、年長者として身と心を削る彼女に、何かしてやれること…。
(やっぱり、家事とかかしら…?)
うん。これだ。むしろ、他の生徒組や男性陣よりは秀でていると自覚しているのだ。これからは、私がそれを担っていこう。不慣れなことは、当番制にでもすればいいのだ。
「……りーねえ何かあったの?」
またも不思議そうにるーちゃんが尋ねる。そう、昔からこの子は勘が鋭いのだ。
「ううん、なんでもないわ」
そっと頭を撫でて有耶無耶にする。
私だけ、何もできていないと思った。ゆきちゃんやるーちゃんみたいに明るくて素直な性格でなく、くるみちゃんみたいに肉体労働も上手ではない。……どれも、私じゃなくていい。むしろ、私以上だった。
でも、佐倉先生の顔を見れば分かる。私も、私にも、やれることがあるんだと。
りーさんが覚醒?しました。
このバイオDLCだとめぐねえをプレイアブルキャラとして使った場合メンタルが強いのですが、NPCの場合めぐねえの身体的ステータスと別に乱数で決まります。普通よりは強いですが、走者は鬼強メンタルめぐねえの想定で動いてるので回復足りてません。
そして頼れる大人がいる場合、りーさんは原作の責任うんぬんでストレスとかがたまりづらく、地雷になりにくいです。
でもある条件が加わると急に責任感が芽生えてSAN値上限が高くなる代わりに家事させないと原作並みの発狂かます可能性があります。当然走者はそんなこと知りません。
感想高評価よろです。モチベ上がります。
テンポって……どうですかねぇ
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TMP早いっすね
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ああ〜いいっすね〜
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ちょっと遅い……遅くない?
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TMP早くしろ〜↑(ホモはせっかち)