がっこうぐらし!マルチRTA DLCバイオハザードver.1.24 全員生存ルート 作:食卓の英雄
「イーサン、悪いがこの無線を修復できるか?こいつがなけりゃ現状の報告すらままならない」
「おいおい、天下のBSAAもヘマをするんだな。クリスは教えてくれなかったのか?」
「生憎ね。想定した訓練はしているとはいえ、何が原因かもわからないのはゴメンだ。幸いにもウチのところは優秀だ。一人で突っ走るわけにもいかない」
「それは一人で突っ走るしかなかった俺への皮肉か?しかし…化け物は化け物に違いないが…俺のときとは随分違うな」
「当たり前だ。むしろベイカー家の事件はこれまでと比べても毛色が違う。そもそもバイオテロなんてものに前例が通じるとは思わない方がいい。それは痛いほど思い知ったからな…」
「はっ、共通するのはどれもロクでもないってところか」
「違いない」
朝起きたら、ほんの僅かな違和感を残した日本語が耳に落ちる。
まぶたの上から感じる光がまた新しい朝がやってきたことを知らせていた。
「四人とも、もう朝だぞ。朝食もユウリが作ってくれた。ほら、早く起きるんだ」
起こされるという当たり前の日常が、今や遠い昔に思えて来る。とにもかくにも、他の心配は後回し。今のあたしは生きている。それで十分だ。
もともと起きていたあたしは当然として、以外なことに由紀も嫌がることなく起きては配膳などを手伝っていた。対して最後まで抵抗してたのは恵飛須沢のやつだ。布団代わりのシートに包まってイヤイヤと首を振る姿は中々お目にかかれるものじゃない。
あいつ、陸上部じゃなかったのか…。
こんな事になって、メニューを考えられる余裕があるのはいいことなんだろうか。今までの献立とはまた違った料理は飽きさせずに生きているという実感を得られるが、そのうち枯渇してしまうのでは、とも懸念する。
未だ慣れない屋上での食事に、誰一人として文句も言わず、この非日常での日常的な会話を続けている。由紀はいつも通りの明るさで、なんてことないように振る舞ってるけど、それが少し強張っているようにも見える。素もあるだろうけど、気を使って余計に大袈裟な反応を返している。
めぐねえも昨日から元気がなさそうだ。直接殺さなかったあたし達とは疲労もショックも桁違いだろう。立ち直ってくれればいいんだけど…。
「そういえば、さっき俺のときとは違うって言ってたけどさ、あたし達が知らないだけでこんなのがぽんぽん起こってんの?」
「…聞いてたのか」
気分を変える、というよりはこの地獄へ対しての質問だ。こんな惨劇が、少なくとも二度以上行われなければあの発言はない。
「ああ、と言っても俺は詳しいことは知らない。この男ならその疑問に応えてくれるさ」
「何!?いや、しかし一般人に…それもまだ若い…」
「いいや、巻き込まれた時点で当事者だ。いい加減その奇妙な線引を改めろよBSAA。お前たちの仕事はバイオテロの早急な解決、および被害者の救助のはずだ。むしろ何も言わなきゃ対策もできない。言ったおかげで人が助かるのと、秘匿したせいで死なれるのだとどっちがいい?今は情報が必要なんだ。……そうだろ?」
遠慮なく詰め寄るイーサンにピアーズは少しの間顔をしかめて目を泳がせると、観念したように口を開いた。
「はぁ…分かった。あまり詳しいことは言えないが、軽い触り程度でいいなら」
「勿論!」
あたしが言うより前に恵飛須沢が威勢よく答えた。
みんなが固唾を呑んで次の言葉を待っていると、ピアーズはその詳細を話し始めた。
「分かった。まず1998年のラクーン事件、これが後に続くバイオテロの最初の引き金になったんだ――――」
―――――
「……とまあ、大まかにはこんなところだな。何か質問は?」
本当に、壮絶な話だった。そんなにも長い間、こんな事が世界中で行われていたとは。教科書でも習ったラクーンシティのことや、アンブレラのこと。それに連なるように加速した生物兵器の散布。人の汚い部分の寄せ集めのような実験が繰り返されていたことは確からしい。
これは流石に予想していたことよりも遥かに深刻なことだった。見れば他のみんなも衝撃を受けているらしい。
「…なあ、そんだけ色々あるなら今広がってるやつのことは分かんねーの?」
これも恵飛須沢だ。言動からそうは思えないけど、あたしらの中では一番この状況に適応できている。流石に切り替えが早い。
「いや、今回に関しては他と条件が合わない。恐らくは完全な新種だろう」
「そうなの?でも、最初に話したのとおんなじように聞こえたのだけど…」
それは、あたしも思った。てっきりそれが広まったのかと考えていたけど、時系列が合わなくって不思議に思ってたんだ。
「Tウイルス系統のゾンビのことか。確かに似ているけど、特殊な変異や飢餓は確認されてない。本来の活性死者には栄養の補給が第一でそれが足りなくなると休眠状態に入ったり、共食いが発生するが、どうにもそれらがない。どうやら同種以外しか眼中にないんだろう。それと、ゾンビにしては生前の行動に忠実だ。これは脳組織が完全に破壊されていないと取ることも出来る。だから、今の所正体は判っていない」
「そうか……。まあ、私達で対処できる範囲のやつで運が良かったってことか」
「ちょっと、くるみちゃん。それは流石に不謹慎だよ」
「そ、そうだよな。悪い」
結局、それ以降は考えても意味がないとしたのか、今後の予定などを考えながらの会食になった。
…それにしても、りーさんはとても同じ年には思えない。落ち着いた雰囲気とか、胸のサイズや泣きぼくろなどが実年齢以上に大人に見せているんだろうな。……いやいや、こんな時に何考えてるんだあたしは。
「さて、見回りでもいくか」
流石に、今の疲れてるめぐねえや由紀には任せられない。こういうときこそ、余裕のある奴がやらないとな。
流石に単独行動は危険だから、もう一人見回りを募集しようかと恵飛須沢に近寄ると、イーサンの弄っていたラジオが動き始めた。
これには思わず耳を傾けた。何か情報はないのか、それだけを求めて。
『だれか、生存者はいるか…。私はもう死を待つのみだが、せめてこの情報を届けたい…。やつらは、どうにも生前の行動を真似しているように思える。昼や夜、場所で随分とやつらの数に差があるみたいだ…。うっ、ああぁぐぅ――――ザザザザザ』
それはあんまりにあんまりな内容だったけど。でも、それでも得られるものはあった。かれらの行動だったり、生存者だったり。
やっぱり、生前の行動を真似するっていう仮定はほぼ合ってたらしい。
……職業でも変わるなら、かれらの活動はさながら出勤だ。もし雨が降れば……。いや、今の所そんな気配はないし、頭の片隅に留めておくくらいに考えておこう。
というより、一番心惹かれたのはシャワーが復旧するかもしれないって事だ。もう三日も風呂に入ってないし、服だってそのまま。流石にリフレッシュしたかったところにこれだ。
あたしにはもう神様か何かに見えた。いや、本当に。……直ったらあたしを一番にしてもらえるように頼んでみるか……?
とにかく、少しは気が晴れそうだ。
それからは見回りとか色々だ。自分に出来ることがあればやるし、疲れたりしたら屋上で休む。途中でめぐねえとも話したけどやっぱり寝不足気味でもあったらしい。
だから大人しく寝かせて由紀たちに見張らせておいた。全く、あんな顔しといて何が「私も手伝うわ」だ。あんなに凄い動きは出来るのに、こうまで違うと温度差で熱でも出そうだ。
昼食を終えると、これからのことを見越した『おつかい』(命名:由紀)が行われることになった。
購買じゃ駄目なのかって意見も出たけど、これがどれくらい続くかわからない以上、身近な校内のものこそ後回しにして、本当にいざとなったときのための備蓄にしたほうがいいらしい。
そう言われると、まだ余裕のあるうちに行ったほうが焦りもなくて済む。最悪何も得るものがなくてもいいからだ。
最初は男二人で行くつもりだったらしいけど、由紀が立候補してて、それは流石に怖いからあたしもついていく事になった。
学校にはちゃんと戦える恵飛須沢もいるし、心配はいらないだろう。……というより、あたしにとっては由紀の方が心配だ。現にめぐねえからも子供みたいな注意されてるし…。まあ、めぐねえの顔に生気が戻ったのはいいことかな?
いくら覚悟を決めてたとしても、バリケードを超える瞬間は堪らなく不安になった。ここから先は安全が保証されてない。襲われるリスクが増えるのだと。
それを察知したのか由紀が先に降りて「貴依ちゃん……もしかして、怖いの?」なんてからかってきたもんだから、つい「出来らぁ!」なんて強がって言ってしまった。
きっと、あたしが普段どおりの態度でいられるのも由紀のお陰なんだろうな。調子に乗るから絶対に本人には言わないけど。
昨日の探索で校舎の見取りを把握したのか、スムーズに動いていき、少し危うい場面もあったけど、それも死角から現れた一度きりだった。どの先生かから拝借した車を一発で探し当ててからは、久しぶりの車の匂いに安堵を覚えたものだ。
外は酷いものだった。屋上からの景色や話からそれほど期待はしてなかったけど、実際に目で見るのとは違うんだって、今思い知った。所々にパニックのあとが刻まれて、家々も生活感が消え失せより閑散とした空気の街だった。
ホームセンターも、電気系統は駄目になっていて結構薄暗く感じた。中でも、棚に隠れたり音を頼りにしながら物資を回収していくのは緊張した。
由紀のやつがチェーンソーを持ってきた時はぞっとしたし、その直後に電源を押したときは本気で肝が冷えた。電気がなかったのが幸いだったな。こんな中であの爆音を鳴らされたら瞬く間に囲まれるだろうに。
イーサンにも燃料や取り回しで説得され、泣く泣くもとの場所に置いていく姿は本当にアホの子そのものだった。
「あっ、貴依ちゃん見てみて!あそこ、ガソリンスタンドだよ!」
「おー、本当だ。給油のために寄っとくか?」
指を指し、運転しているピアーズに言う。
しかし軽く一瞥すると必要ないとばかりにトントンとメーターを小突いた。
いや、そんなことされても車のあれこれはよく知らないんだけど……。まあ、多分大丈夫なんだろう。
「まあ、状況だけでも見ておいたほうがいいか。二人共頼んだぞ」
「あっ、はーいピアーズさん!うおー!車がいっぱい停まってるかも?いや、もしかしたらどかーんてなっちゃうかも……」
狭い車内だというのに由紀が手を挙げたせいで余計に圧迫感が増す。っていうか、そのくらい分担しなくても…。
いや、違う。そうか。何もできてないとしょげてた由紀のために…。当の由紀は思惑どおりというか、任された仕事に喜んで飛びついた。
「…ありがとう」
「…何のことだ?」
案の定、白を切られたけど、感謝は伝えた。わざわざ蒸し返すものでもないだろう。
そして通過する寸前、割られたガラスやざんばらになった給油管、そして恐らくは人が住んでいたであろうキャンピングカーが散らばっていた。
開け放たれたバックドアの内部に覗けるのは荒らされた生活感のある間取りと、外から続くいくつもの血痕だ。これが放棄されたのはいつか知らないけど、この様子から逃げられてはいないだろう。
「誰かいたのかな」
「でも、多分もう…」
やっぱり、見ないほうが良かったかもな。キャンピングカーで耐え凌ぐことは、真っ先にあたしも考えた。それが、少し歯車が違うだけでこのような憂き目にあうなんて。あんまり、考えたくはない。
「コンビニ、壊れてるね…」
そう呟いたのは由紀だった。あたし達が見慣れている、全国チェーンの某店は、いまや不気味さを引き立てるオブジェクトの一部と化してしまっていた。
電気系統が止まっているのだろう。薄暗い店内に何かで破られたガラスが店内に散らばっていた。この壊れ方から、恐らくは彼らではなく知性ある人間が行ったのだろう。
「さて、残ってるといいが…」
そう言って、幾分か荒らされた形跡のあるコンビニ内部へと足を踏み入れた。
様子は思っていたのよりも酷かった。コンビニらしい清潔感はなく、薄暗い室内は汚れと血で、退廃的な空気をまとっている。
綺麗だった陳列棚は乱暴に手が加えられており、結構な商品が床に落ちていたり、中身が撒き散らされていたり、まあ、何処かで無意識に思ってたイメージとかけ離れてて、やっぱりがっかりした。
「おっと、おでましだな」
開いたままのバックヤードから店員の服を着ていたかれらが歩み寄り、近づく暇もなく一撃で沈められた。
「よし、今のうちに取っていこう」
ピアーズの提案であたしと由紀を内側に入れて、両端の二人が警戒。その間にさっさと必要な物を回収していくスタイルになった。
なんだかんだ、細い道ならこれがいいらしい。
「お菓子は…まあ、割と無事だな。腹に貯まるようなのがあればいいんだけど」
「はーい、わたしアイス欲しい!」
「いや、全部溶けてるだろ」
この応答は勿論小声だ。こんなところで大声を出して誘き寄せでもしたらいかに装備が整っていても危ないかもしれない。
パンなんかは常温でも大丈夫そうだけど、今が暖かめの気候だから少し不安が残る。
「えっとねー、これとこれと……あちゃー、これはダメかも」
「由紀…分かるのか?」
「えー、うーんと……勘?」
勘かよ…なんて思ったけど、こいつの勘は何だかんだで信用できる。別に切羽詰まってる訳でもないし、由紀が避けたのは辞めとくか。
「惣菜は……流石に駄目か。もう臭いがしてる。夏場はもっと酷かったなこれは。……弁当は…」
「やめといた方がいい。外見に影響はなくても確実に悪くなってる。俺のときも酷かった」
「分かった」
経験者の言葉だ。これを無視して何かあったら目も当てられない。やっぱり、一人だけじゃあ生きられなかったな。なんて今更ながらに他者の存在に心が安らぐ。
こんな時でさえ、やつらへの警戒はあっても完全な恐怖はない。……家族の有り難みは分かってたつもりなんだけどなぁ…。
「えーと、他に頼まれたのは雑誌と…ナプキンと……。うーん、りーさんは料理の本でいいかな?くるみちゃんは…サバイバル?あっ、漫画もいいかも!」
「まあ、図書室にはないからな。後でるー向けの絵本とかも探してやるか…」
他にもあったが、雑誌は割とテキトーに入れた。流石に雑誌の内容まで選り好みは出来ない。
そして最後。まあ、生理用品だ。あたしだって買ったことはあるけど、正直他の人にも良いのかはわからない。まあ、それも当てずっぽうでやればいいか。
「おっ、あったあった。…って、あんま見るなよ」
「いや、悪い。つい視線が…」
あたしにだって人並みの恥ずかしさはある。見知らぬ他人ならまだしもこれからも同じ場所で生活していくかもしれない男性だ。流石にあたしなんかを意識するようなことはないだろうけど、変に気を使われるのも嫌だった。
顔が赤くなってる自覚はある。あー、柄じゃないったら。こういうのは若狭のが似合ってるだろ。
「あー、たかえちゃん顔赤ーい!」
そしてこいつはなんで今そんな小学生みたいな言動なんだよ…。こいつにも来てるはずなんだけどな。…いや、ひょっとしたら…。あり得るのがちょっと笑えないな。
取るものは採ったし、帰ろうかと由紀のリュックのチャックを閉めたところで、かれらが寄ってきた。
「下がってろ」
「イカした格好だな」
二体のかれらは服がところどころ破け、そこから噛み跡が覗ける。服装はいかにもチャラい若者が好きそうな感じだ。体の具合から、多分最近「成った」んだと思う。
「あの靴、ガソリンスタンドに落ちてた」
由紀が言えば、確かにそれらしいものが思い起こされる。片方だけの靴を履いたかれらと、同じ靴の惨劇場。つまりは、そういうことだろう。
「こうなったら楽にしてやるのが一番だ」
動きの遅いかれらは一瞬で片付いた。イーサンとピアーズが一撃で終わらせたからだ。
前にも手慣れてるとは思ったけど、ここまで冷静にいられるのも今までの経験からか。でも今はそれが頼もしい。
まあ、それはそれとして負担をかけっぱなしってのもあたしの気がすまない。
かれらの遺品なのだろうバールを拾い上げ、軽く調子を確かめる。……うん、これならあたしにも振れそうだ。
それなりに軽くて、取り回しもしやすい。かれらと戦える人間は多い方がいいはずだ。
……シャベルをあんなにブンブン振り回す恵飛須沢はちょっとどうかしてると思うけど。
「それは?」
「んー…今からあたしの相棒?」
人間絶対なんてものはない。何もかんも頼りっぱなしじゃあいざとなった時に足を引っ張る。だから、やれることをやる。由紀や若狭姉妹には出来そうもないしな。
「よし、それじゃあ車に戻るぞ」
「わかった」
「了解であります!」
なんて由紀が冗談めかして言って、あたし達は急いで車へと駆け込んだ。
テンポって……どうですかねぇ
-
TMP早いっすね
-
ああ〜いいっすね〜
-
ちょっと遅い……遅くない?
-
TMP早くしろ〜↑(ホモはせっかち)