ウマ娘三部作Secondシーズン 鮮血の女王 ~メディアの覚醒~【完結】   作:DX鶏がらスープ

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Q:作者ちゃん前作でマヤちゃん教信者って言ってたよね?
どうしてマヤの誕生日に、外伝上げずに別の子の作品を上げてるの?

A:すいませんすいませんすいません!!
別に忘れてたわけじゃないんですけど、
意外と近い日だって認識が本当に沸かなかったんです!

だからマヤちゃん!
後ろの戦闘機の編隊に爆撃の合図送るのやめてぇぇぇっ!?



第一部 アプリルート崩壊編
欠落の景色


イチバンになる

 

 

 

それが、これまでの人生におけるアタシの至上命題だった

 

 

 

 

ワァァァアアアァァァッッ!!

 

 

 

 

「おっと!ここで6番ダイワスカーレット選手、後方のウマ娘達を振り切った!!」

 

走る、走る、走る

 

風を切り、大地を蹴り、残ったすべてを振り絞って、最後のスパートをかける。

 

「ダイワスカーレット選手、後方との差は縮まらない!このまま最後まで行ってしまうのか!?」

 

走る、走る、走る

 

全力で走るアタシに、余裕なんてものは欠片もない。

ここまでのレースで、限界を超えて稼働するアタシの身体に、疲労していない部分などどこにもないし、身体中が軋んで悲鳴をあげている。

本音を言うなら今すぐにでもレースを投げ出し、倒れ込んでしまいたいくらいだ。

 

だけど!!

 

(負けない!!)

 

アタシは歯を食いしばる。

 

そうだ。絶対に負けてなんてやるもんか!何故ならアタシはダイワスカーレット!イチバンのウマ娘!!

そしてイチバンのウマ娘は...

 

(絶対に、負けない!!)

 

噛み締めた口に入った砂利が音をたてる。それでも、アタシは構わず前を向く。

全力で大地を踏み締め、爆発的な加速をもってして後方との差を広げる

 

「はぁぁぁぁぁあああっっっ!!」

 

そしてそんな風に全力で走りきった果ての果て

限界のさらにその先、そこでアタシが見たのは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サァァァ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かで

 

 

 

 

どこまでも広がる

 

 

 

 

無人のターフ

 

 

 

方向感覚さえも失うほどの、あまりにも、あまりにも広大すぎる、そんなターフで...

 

「...!!」

 

思わずアタシは息を呑む。

それは決して初めてじゃないはずの光景。

レースで1番になる度に見る光景。

なのに、なぜか今はそれが急に空恐ろしく、不気味なもののように感じてしまう。

なぜなら...

 

「広い...」

 

思わずそんな言葉がこぼれる。

だが、目の前に広がるあまりにも雄大な光景の前に、それは何の変化も起こさない。

アタシの口から溢れ落ちた小さな呟きは、大海に落ちた雫のように、無限に広がる静寂の中に溶け込んでいくだけで...

 

 

 

サァァァ...

 

 

風が吹く。

そして、その風がアタシの後方に吹き抜けた後には、まるで何事もなかったかのようにターフが広がっている。風が先の言葉を空間から洗い流したかのように、深緑の絨毯が世界の果てまで広がっている。

それを見て、アタシの背中を冷たいものが伝う。

 

...そう、そこはあまりにも広すぎるのだ。目の前に広がるそれを前にしては、人なんて存在はあまりにも小さく弱い生き物だ。だからこそ、その圧倒的なスケールの差に、対峙するアタシは原始的な恐怖を覚える。

 

だけど、アタシにとって何より恐ろしかったのは...

 

(...)

 

アタシは周囲を見渡す。だが周りには誰もいない。それどころか、何もない。そこにはただひたすらに緑色の光景が広がっているだけ

そしてただ一人アタシだけが、そんなどこまで続くのかすら分からないターフのど真ん中に、ポツンと一人で佇んでいて...

 

(...寒い)

 

思わず身震いしてしまう

何もない...本当に何もないそこは、どこか寂しく、悲しく...そして何より寒くて...

 

(...)

 

誰もいない、何もない、そんなあまりにも空虚な空間の前に、気が狂いそうになる。

 

(誰か!誰かいないの!?)

 

そんなアタシの焦燥も、心許なさも、永遠の沈黙と無限の深緑の彼方へと溶けていって...

 

 

 

サァァァ...

 

 

 

ターフを吹き抜けていく風が去った後には、それが存在したことすらなかったことになるような気がして...

 

(誰...か...)

 

伸ばした手を掴んでくれる人は、どこにもいなくて...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...だけど、それは実際にはほんの一瞬のこと

 

 

 

ワァァァアアアァァァッッ!!

 

 

 

「やりました!6番ダイワスカーレット選手!!見事今回のレースでも一着の座を射止めました!!この子を止められる子はいないのか!?」

 

ゴール板を横切り、そのまま惰性で少しだけ走った後に足を止めたアタシの耳に飛び込んできたのは、レースの熱気にあてられ、感情を抑えきれなくなったのであろう実況の声。

それを聞いてアタシは我に返る。

 

そして、気が付くとアタシは歓声に包まれていた。

 

「おめでとう!」

「よく頑張った!」

 

会場の至る所から、そんな心からの祝福と歓喜の声がアタシを包む。

それは正しく勝者の特権。

頑張って頑張って、頑張り抜いた者だけが得られるもの。栄光の証。

それはまさしく、イチバンのウマ娘だけが見れる光景だ。

 

でも...

 

(...)

 

アタシはつい俯いてしまう

何故なら、そんな輝かしい光景とは裏腹に、ファン達の暖かい声に応える気になれなかったから。

その声援が、逆に苦しかったから。

だから、アタシは下に向けた視線を上げることができない。

 

...勿論、アタシは別に自分のファンが嫌いな訳ではない。むしろ、自分の頑張りを認めてくれる人達を、嫌いになんてなるわけがない。

 

そして、レースの勝利に対しての喜びや達成感が無いわけでもない。

そもそも、アタシがレースに対して手を抜くことなどありえない。どんなレースでも、出ると決めた以上は全力で取り組む。努力を惜しむことなど絶対にありえない。

故にこそ、自信のがんばりが報われたという喜び、そして目標を達成したという充足感は当然ある。

 

だけど...

 

(...)

 

アタシはその場でペコリと頭を下げてから、くるりと方向転換をする。

そして、戸惑う彼らに背を向けてターフの上から去っていく。

 

(「...どうしたんだろう?」)

(「...もしかして、具合でも悪いのかな?」)

 

ざわざわ、ざわざわ

 

後ろから観客達の声が聞こえる。

そのほとんどが、レースで1着になったにも関わらず浮かない顔をして去っていくアタシを心配したもので、それに対して、アタシはそっと胸中で彼らに感謝する。

だけど、アタシは足を止めない。そのまま出口まで歩き続ける。

 

...そう、確かに今日この場にいるアタシは1番のウマ娘。

それは間違いようの無い事実だ。

しかし...

 

(...)

 

アタシは歩き続ける

 

...が、少し思うところがあって一度だけ振り返る。

すると、そこにあるのは当然ターフ。

先のレースで少々汚れてしまったとはいえ、広々とした芝の絨毯が目の前には広がっていて...

 

 

 

(「お前の言う“イチバン”って言葉に、意味なんてねぇ...」)

 

 

 

「...!!」

 

 

 

(「幼稚で!適当で!!そして何よりーー...!!」)

 

 

 

(...違う!!)

 

その先を思い出す前にアタシは思わず顔を背ける。

だけど、目の裏に焼き付いているのはさっきのゴールの瞬間の光景。

誰もいない、何もない...そんなあまりにも空虚で寒々しい...空っぽな光景だったから...

 

(違う!違う!!アタシは...アタシは...!!)

 

アタシは首を降る。

そして、たまらず上を見上げる。

目の前に広がるターフから目を背けるように

続く言葉から目を背けるように

だけど...

 

(.........アタシ...は...)

 

たまらず上げた目線の先にあったのは、青い青い...空だった

 

 

 






イチバンって...何でしょうね?



ところで、皆さんは新シナリオやってますか?

作者は基本エンジョイ勢で育成も下手なので、
新シナリオでようやくSランクを作れたのはとっても嬉しかったです

ですが問題なのは、その記念にピスケス杯のグレードリーグに出したできたてほやほやのSランクウマ娘達が、何の間違いかうっかりAリーグで勝ち残ってしまったことで...



ヤメロー!シニタクナ-イ!!


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