ウマ娘三部作Secondシーズン 鮮血の女王 ~メディアの覚醒~【完結】   作:DX鶏がらスープ

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さぁ、物語はすでに終盤
クライマックスはもう目の前です!

...と言いたいところですが、そこに至るまでもう少しだけ引きを追加しますね




第六部 ダイワスカーレット 天皇賞(秋)編 後編
Another view 3


 

 

「?」

 

違和感を覚えて足を止めると、あれ程ひどく降り続いていた雨は、いつの間にか止んでいた

 

「...」

 

ピチョンと、足元の水溜まりに傘から水滴が落ちる

ザアザアと周囲一体を覆っていた雨音は、気が付くとすっかりなくなっていて、あたりは静寂に満たされている

そんな中で一人傘を持ったまましばらく佇む

 

少しの間ぼーっとしていたからだろうか?

ウマ娘として人間よりも遥かに鋭い感覚器官を持っているというのに、周囲の変化にまったく気が付かなかった自分に少し呆れる

 

だけど

 

(...まぁ、いっか)

 

そう歎息すると共に、あえて傘をさしたまま、もう一度歩き始める

ようやく薄くなり始めた雲の隙間から差し込む日の光に照らされて、足元に残る水滴がキラリと光る

それを見ていると、これはかえって散歩日和なのかもしれないと思う感性は、別におかしなものではないに違いない

 

そう、そもそも天候なんて些細なことなのだ。だって天気がどうであろうと行く先は変わらない

勿論それによって右往左往することはあるだろう。現に今日だって傘がなければずぶ濡れになっていただろうし、降ってきたのが雪でも同じこと。台風なんて来た日には、そもそも外になんて出られないだろう

 

だけど

 

(それでも...)

 

それでも、それは歩くのを止める理由にはならない。さっきも言ったが、雨や雪が降っているのなら傘をさせば良いし、台風に関しては家の中でやり過ごして後日また出掛ける予定を立てれば良い。外出なんてそんなものだし、それはこと人生についても同じ。案外そんなものなのだ。

 

だからこそ...

 

長かった道のりもついに終わる

あれ程までに空を覆っていた雲も、今ではすっかりどこかに行ってしまった

必然その場に残るのはどこまでも青く透き通った空だ

そして、そんな澄み渡る晴天の下、立ち止まったのはやっと目的地についたからだ

 

これまでさしていた傘を畳む。

見上げた空はどこまでも青く高い

まるでどこまでも続くような無限の蒼穹を前にすると、人間とはなんてちっぽけな存在なんだと実感する

それでも

 

(それでも、そんなちっぽけな存在だったとしても...)

 

懐から一枚の写真を取り出す

そこに写っている日々はもう戻らないけれど

だけど、それでもそれは、かつて確かにあったものだと知っているから

もう戻れない、それでも覚えている

絶対に忘れたりなんかしない、そう決めたから

 

 

 

「...そろそろ出てきたらどうなの?」

 

 

 

アタシは、今まで敢えて無視していたその子に、ようやく声をかけたのだった

 

 





いくつか書いていたAnother viewもこれで完結です。
果たしてこれがどのように本筋に絡んでくるのかは、この先をお楽しみに



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