ウマ娘三部作Secondシーズン 鮮血の女王 ~メディアの覚醒~【完結】 作:DX鶏がらスープ
すみません、まだもう少し完結まで時間がかかりそうなので、一応先駆けだけ置いておきますね
それではどうぞ
FAIRY TAIL
???side
――私の恋は、始まる前に終わっていた
(「ぐすん...ひっく...」)
もう一度会いたい
会ってお礼が言いたい
あなたのお陰で私はもう一度立ち上がれたんだって
あなたがいたから私は頑張れたんだって
そう伝えたかった
そして同時に言いたかった
あなたが好きですって
ずっと、ずっとあなたのことが好きだったんですって
例えあなたが覚えていなくても...それでも、私はあの時からずっと、あなたのことを想い続けていたんですって
だけど...
(「こんなのって...こんなのって...!」)
あぁ、だけど私はあまりにも遅すぎた
走って走って走り続けた
もう一度あなたに会いたい
会ってこの気持ちを伝えたい
それだけが私の足を動かした
それだけが私の生きる理由だった
だから必死に頑張った
勉強もレースも、そして何より女の子としての研鑽も
またもう一度会えた時に、少しでもあの時よりも成長した姿を見せられるように
少しでも女の子として見てもらえるように
私は精一杯自分にできることを必死にやったんだ
君は誰?
そう言われても構わなかった
それでも私は良かった
二度目の初対面、それでも絶対にあなたを振り向かせてみせるって
この気持ちを、あなたに伝えるんだって
そう思ってたのに...
(「うぁ...」)
だけど、私はあまりにも遅すぎた
もがいてもがいて...ようやくトレセン学園へ転入出来た時には、もうあの人の隣にはあの子がいた
私が手こずっている間にあの子はいつの間にかあの人の隣に...ずっと、私が立ちたかった場所にいて...
そして何より、あの人は笑っていた
あの懐かしい、少し困ったような笑顔は、私ではなくあの子に向けられていて...
そう、あの人は幸せそうだった。最後に見た時、どうしようもない絶望と諦観に満ちていたその顔にはだけど、打って変わったかのように明日への希望と燃えるような情熱、そして隣に立つ少女への溢れんばかりの愛情に満ちていて...
(「...っ!」)
もし、あの子だけならまだ良かった
私だって、あの人への想いは負けてない
どうしようもない絶望の底で、それでも私を救ってくれたのはあの人だ
呪われた運命を前にして、一度は全部を諦めかけた私を支えてくれたのは、何気ないあの人の言葉だ
今私がここにいるのは、全部全部あの人のおかげだ
だからこそ、もしあの子の片想いだけだったら私は遠慮なんてしなかった
例え担当とトレーナーの関係だったとしても構わない。正々堂々と名乗りを上げて、あの子と勝負することだって出来たはずだ
その程度のことで諦められる程、軽い気持ちじゃないんだ
だけど
(「...言えないよ」)
あぁ、だけど一目見ただけで分かってしまった
あの人は、あの子のことが好きなんだって
あの子と一緒に歩く日常が、今のあの人にとっては何よりも大切なものなんだって
並んで歩く二人を見た瞬間に、私はそれを確信してしまって...
だったらどうして、今更私がその間に入ることが出来るだろうか?
どうして大好きなあの人の幸せを壊すようなことが出来るだろうか?
どうして...どうして...
(「...今更、私を見てだなんて、言えるの?」)
トレセン学園の校舎裏
普段なら誰も通りかからないような薄暗い物陰に長くいたからだろうか
気が付くとあたりはすっかり暗くなり、見上げた夜空にはもう星が出ている
だけど、それでも私は動く気にならなかった
ようやく見つけた生きる理由
それをまた失った私には、もう立ち上がる意味なんてなくて...
(「もう...いや」)
そう言って暗い夜空に手を伸ばす
だけど何も掴めない
この手の中に残るものなんて何もなくて...
(「...もう...いやだよぉ...」)
視界が滲む
だけど誰もこの手を握ってくれる人なんていない
この広い夜空の下で、たった一人取り残された私の手を握ってくれる人なんて誰もいなくて...
(「あ!いたいた!」)
なのに
そんな声に振り向いた先にいたあの子は
(「探したのよ、■■■さん!
...ってど、どうしたの!!大丈夫!?」)
憎むべき恋敵
私の大切な人を奪った因縁の宿敵
そのはずなのに
(「み、見た感じ怪我とかは無さそうだけど...
ど、どうすれば良いかしら。この子、確か今日転入してきたばかりなのよね?」)
オロオロと狼狽える彼女はだけど、気が付くと私を躊躇なく抱き締めていて...
(「...ふぇ?」)
(「えっとえっと...だ、大丈夫よ!
あなたは一人じゃないわ!!」)
驚く私を、しどろもどろになりながらも、彼女はなんとか必死に慰めようとする
(「慣れない環境で戸惑うこともあるわよね。速い子や強い子ばかりで自分がやっていけるのか不安になることもあるわよね
わかるわ。アタシだって同じだったもの
だけどね...」)
彼女はぎゅっと私を抱き締める
それと同時に私を包み込むお日様の香り
見当違いの心配をしながらも、それでも私を抱き締めたその手は、どうしようもなく暖かくて
(「それでも、あなたは選ばれた
あなたが選ばれた
あなたの流した血が、汗が、涙が
今まで費やしてきたすべての時間と努力が、あなたをこの場所に...この国で一番スゴいウマ娘達のいるこの場所に連れてきたの
これだけは間違いない事実。誰にも否定できない、あなた自身の成し遂げたことなの」)
見ず知らずのはずの、完全な初対面の私にかけるその言葉は、それでも泣きたくなるくらいに優しくて...
何も知らない、赤の他人のはずの私のことを、この子が本気で心配しているのが痛いほどに伝わってきて...
(「だから大丈夫!あなたは強い子よ!きっとここでもやっていけるわ!!」)
そうやって微笑む彼女の笑顔が、あまりにも眩しくて
まるで太陽のような、すべてを優しく包み込むような輝く笑顔を前にして、私はとっさになにも言えなくて...
(「...うぅ」)
(「えぇ!!な、なんでまた泣き出すのよ!?
ア、アタシ何かヒドいこと言ったかしら!?」)
その言葉に首を横にふる
だけど止まらない、止められない
だって悔しかったから
あぁ、この子なら確かにあの人が好きになってもおかしくないって
きっとこの子なら、あの人を幸せにできるに違いないって、それが分かってしまったから
一人の恋する女の子としての敗北の涙
でも、それ以上になんだか報われたような気がしたから
何度も何度も傷付いて、ボロボロになった
諦めようと思ったのだって決して一度や二度じゃない
それでも歩き続けたその軌跡を
今となっては誰も知らない、足跡すらもう消えてしまったそれを、決して無駄なんかじゃなかったって、よく頑張ったねって、そう言って誉めてくれたような気がしたから
何も遺せない空虚な人生に、それでも価値はあったんだって、そう言ってくれたような気がしたから
止めどなく溢れる涙を、私は止めることが出来なくて...
――それが、私と彼女の出会い
擦りきれ、ボロボロになった私を救ってくれたもう一人の私の恩人
私にとって一番大切な人を奪った...
だけど、その代わりに私にとって一番幸せな時間をくれた女の子
掛け替えのない大切な思い出をたくさん、たくさんくれた、輝くような笑顔を浮かべた太陽のようなウマ娘
愛すべき恋敵
私の、たった一人の親友
"鮮血の女王"
それが後にそう呼ばれることになる少女との
本当は誰よりも優しいのに、それでも誰よりも憎まれ、妬まれ、恐れられた、そんな少女との
私の人生を変えることになる少女との
運命の出会いだったんだ...
本当に短いですが、今回はここまでです。
何度も言いますが、完結だけはさせます
読者の皆様をお待たせしてしまい申し訳ありませんが、どうかごゆるりとお待ちください