JK農家のふぁんたじーな日常生活~異世界から帰ってきたら何故か幼女魔王がついてきた。それでも私は農家を目指す!~ 作:ボコォ
「着いたのじゃっ♪」
ロリ魔王はリビングの奥にある木で出来た扉の前で立ち止まると、私の方に向き直った。 両腕を後ろで組んでいる彼女は、なんだか目をキラキラさせて怪しい笑みを浮かべていた。
「この先……何かあったっけ?」
二日前にこの家に来たばかりなので、私はほとんど内装を知らない。 一階にあるとすれば……やっぱりお風呂場なのかなぁ
というか……ロリ魔王と二人でお風呂っていろんな意味で怖いんですけど。 隙を見て後ろから攻撃されそうなんですが……。
「別にお主を襲おうなんて思ってもいないのじゃが……」
当たり前のように私の思考を読んだロリ魔王は、ため息交じりに呟く。 いや、金髪のツインテールに角が生えた幼女からお風呂に誘われると誰でも警戒はするんよ。 特に相手が元魔王なんだから……
まあ、ものは慣れようである。 ある程度やってみれば最初の不安なんかすぐにどこかへ行くのだから。
「……まあ、お……二人で……も……ない……のじゃ」
「ん? 琴音ちゃん今なんて言ったの?」
うつむいたままぼそぼそと言うから全然聞こえなかったんですが……
そのまま彼女を見つめていると、何か変なことを妄想したのかぐんぐん顔が赤くなっているではないか
ちょっと……なんかキレて突然魔法ぶっ放しそうで怖いんですが
「べ……別にお主とお風呂で(自主規制)なんて一ミリも思っていないんじゃからにゃっ!」
……魔法よりもヤバいものぶっ放してきたんですがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! え、何? 魔族ってそういう文化があるの? というか半泣き状態で最後噛むとかもういろんな意味で犯罪でしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
……うん、一旦落ち着こう。 こういうときは深呼吸してっと
「すーーっ はぁ~」
「……お主は一体どうしたのじゃ?」
(それはこっちのセリフでしょぉぉぉぉぉこの犯罪系幼女ぉぉぉぉぉ)
「……どさくさに紛れて何変な単語を作ってるのじゃお主」
そんなことを言うロリ魔王は、もう冷静さが戻っている。 切り替えが早いのかなんなのかもうよく分からない
「……それで、本題なのじゃがこの扉の先は別世界なのじゃ」
「ふぁ……?」
めっちゃ重大なことをそんな適当に言っていいの……? というかコレどこ○もドアか何かかな?
「まあ、別世界って言っても我が作った結界なのじゃが……とりあえず入って来るのじゃ」
そう言ったロリ魔王はおもむろに扉を開けた。 てかそんなものいつの間に作ったんや……?
扉を抜けた先には、大きな書庫が広がっていた。 ライトノベルの様なサイズの物から、私の身長位ある物まで……多種多様本が並べられている
ざっと見ただけでも余裕で一万冊はあるぞこれ……
一番手前の棚を見つめていたロリ魔王は、私の方に振り返った
「ここは<インデックス> っていう我の記憶を具現化した場所なのじゃ♪」
「……記憶を具現化って何? もうちょっと分かりやすく説明してよ。 あと名前もうちょい何とかならなかったの?」
「我が説明するよりもと○るシリーズを見た方が分かりやすいのじゃが……」
(説明放棄されたんですが……というか、やっぱりそれが元ネタだったんかい)
と○るシリーズは一応、更新(アップデート)前の日本で私が女子高生やってた時に読んだことはあるライトノベルなのですが、簡単に説明……は長すぎて出来ないやつです
「あっちの方と若干意味は異なるのじゃが、簡単に説明すると我の記憶が本になって置かれた場所……というのが適切じゃな」
「その中身……今も増えているの?」
「もちろんじゃとも。 おっ、最新版が出来上がったのじゃ。 読んでみるのじゃ」
ロリ魔王は、目の前で生成されたばかりの文庫本サイズの本を手渡してきた。 なにこれ……しっかりと革?で外装が出来てるし意外に本格的なんですが……
彼女は笑顔で手渡してきたけど……さすがの私でも人の記憶を覗くことはしたくないのよね……
(でも中身がめっちゃ気になる……だって自分じゃない誰かの記憶だもん、普通に生きててもそんなもの読むことってないだろうし……これってかなりいい機会なのでは……?)
少しためらったものの、勇気を出して?私はロリ魔王の記憶を見てみることにした
『dふぃfjごgkmlごgkbphづsんspすcs……』
(何これ!? なんか文面が猫が書いたみたいにバグってて全く読めないんですが……)
ごちゃごちゃな平仮名と英語の羅列がページ一杯に広がっている。
(もしかして全部こんな感じなの……?)
嫌な予感がしたため、私はパラパラとページをめくってみる
『SDんfじぇおfmfpfjflふぉf;Dんうぇjpk:……』
『ドSジャ;詩dpfjンdpdjs;S;dkddkd@k……』
「bdkdさpどs@あじゃあ@うあさhydsかおかjdbsis……』
思った通り、全部文字化けしている。 こんなのが本といえるのだろうか?
「あ、忘れとったのじゃが我にしか読めないように内容は全て暗号化されてるのじゃ……」
「なんでそれを先に言わないんや……」
後になってロリ魔王に言ったのだが、この時ロリ魔王が「お主の反応を見たかったからなのじゃっ♪」なんて笑顔で言い放っていれば私は彼女にデコピンでも一発お見舞いしていたかもしれない(デコピンといっても直径が一メートルほどの丸太位なら素材にもよるが一撃で破壊するほどの威力は出るものなんですけどねっ)
「我もこの部屋には数年程入っていなかったから……普通にその仕様を忘れてたのじゃ」
「数年……? この部屋って昨日ここに作ったものじゃないの?」
「我が魔王になった頃にこの結界を作ったのじゃ。持ち運び式の結界じゃから、我がどこに行っても滞在している建物のお風呂場に生成されるようになっているのじゃよ。ちなみに、この部屋の扉を開けれるのは我だけで、我以外の奴が開けても普通にお風呂に繋がるだけなのじゃ」
結構スケールのデカいことやってるのに平然とした表情で言える辺り、流石元魔王やなぁ……
「結界って持ち運べるの!? 一回発動したらずっとその場にいるものじゃないの……?」
「発動する際、呪文の中にとある言葉を入れて詠唱すればだれでも簡単に作れるのじゃ。 持ち運び式だと何かと便利じゃよ。ちなみにここは我の衣装部屋も兼ねてるのじゃ♪」
(うっそでしょ……この書庫が衣装部屋なの? 服らしきものが1つも見えないんですが)
周りを見ても本、本、本……なんか頭が痛くなってくる
「うん、とりあえずイメージはこんな感じじゃな……」
突然そう言ったロリ魔王は、本棚に向き直ると……先程見ていた奴のとなりの本棚に手をかざした
「召喚っ! <柊琴音の衣装>」
相変わらず雑なことにはもうツッコまないが、今の彼女の冒険者名が聞こえたぞ……
私がキョトンとしている中、本棚から一冊の本が勝手に足元に落ちてそこから魔法陣が広がった。
そこから金色の光の柱が出現し、ロリ魔王を包み込む。
そういう類(たぐい)の光にはもう慣れたので、その様子を普通に見届けた。
十秒ほどでその光は収まった。 が、そこにいたのは先程までとは若干異なる見た目のロリ魔王だった
髪の色こそ変わってはいないものの、ぼさぼさだったツインテールは綺麗にまとまってストレートツインテールになっている。
特徴的で一番の目立ちポイントだった角は姿を消しており、その代わりに三角形の黄色いネコ耳が生えていた。
お姫様が着てそうなデザインのフリル付きの黒いドレスは、見た目の年相応の子が着てそうな黒を基調としたフリル付きのワンピースへと変わっていた
全体的に見ても、元々あった魔王っぽさがほとんどなくなっており、その代わりというべきなのかぴょこぴょこと動くネコ耳がより幼女っぽさを醸し出している。
これなら、どこから見ても普通の幼女にしか見えない気がする……。
「ど……どうにゃ?」
両肘と手首を曲げ、ぐーに握った小さい手を前に出し、右手を自分の顔に付けて左手は前に出して片足立ち。俗に言う猫のポーズでロリ魔王は私に話しかけてくる
「う~ん、暴力的に可愛いからなんか許せちゃう。 だたネコになるなら、もふもふな尻尾もあれば完壁だったのに……なんか惜しい」
「尻尾が生えたらもう猫人族(ねこびとぞく)じゃろ……」
「……早速語尾のにゃんを忘れてるし……」
「のじゃロリが語尾にゃんって聞いたことないのにゃが……」
……聞いたことない割にはなんか違和感ない喋り方になってるんですが
「気にする必要はないのにゃ♪」
ぱちっとウインクを決めるロリ魔王……いやもうただのロリかもしれない
「別にロリ魔王で良いのにゃ」
「……ロリって入ってるけどいいの?」
「問題にゃいのにゃ」
本人が良いって言ってるんで大丈夫ってことにしよう。
というわけで、ロリ魔王の外見カスタマイズ、終了
「……どうするにゃ? もう寝るにゃ?」
「今何時なの……?」
「深夜2時過ぎなのじゃぁ……」
ロリ魔王はあくびをしながら言った。 なんか、こっちに戻って?来てから時間の感覚が物凄いバグってる気がするんですが……
まあ、とりあえず寝る前にやることをやろう
「……とりあえず、私先にお風呂入るね」
「別に浄化魔法かければ汚れや匂いなんか一瞬で落ちるんじゃが……」
このロリ魔王、見た目が変わっても性格がほとんど変わっていない気がするぞ……
「お風呂入らないと精神的になんか嫌なのっ!」
このまま話していると時間を忘れてしまいそうなので、ロリ魔王にそう言い放った私はこの部屋<インデックス>を後にすることにしたのだった