逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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 よろしければ『ゴルディオンハンマー』を流す用意をしてからお読みください。


第14話『ゴルディオンハンマー!』

「夏だ!」

「海です!!」

「「川なんだけどな」」

「「ボス戦だ(です)!!!」」

 

 夏休みに入ってレイドの準備も本格化し、ちょっと3日ほどNWOにログインしない日が続いている今日この頃。俺とナギはレグルスさんとアーテルさんの2人と黒ミズチ周回に来ていた。因みに冒頭のセリフはナギ、アーテルさん、俺とレグルスさん、ナギとアーテルさんの順番で言ったものだ。

 

「まあ、いくら黒化ボスって言ってもこの戦力なら楽勝なんだがな」

「私と飛燕で竜と戦車を落として、レグルスさんが本体を即殺する。であってるよね」

「ええ。今回は私が支援を担当するので飛燕くんは火力を出すことに集中してください」

 

 今回の作戦はナギとアーテルさんの言っている通り。俺もナギもユニーク称号で戦力がかなり上昇しているから黒ミズチの竜と戦車くらいなら10秒もかけずに倒すことが出来る。後はレグルスさんが切り札で本体をワンパン。まあ、黒ミズチが出てくれない事には挑戦すら出来ないんだがな。

 

 そんな風に適当に雑談しながら再々再確認くらいしていた頃、

 

「すいませ~ん。黒ミズチがでたんですが、誰か倒せるプレイヤーはいませんか~」

 

 ボスの方でそんな声が聞こえた。多分第6の街に行きたいパーティーだな。

 

「出たみたいですね」

「そうだな。じゃあ行くか」

 

 レグルスさんはそう言いながらガオファイガ──―特殊装備を召喚した。流石にガオファイガーの実際のサイズよりは小さいが、それでもかなりの威圧感だ。というか

 

「合体はしないんですね」

「流石にな。リソースが足りん」

 

 ◇

 

 各々水上を走ったり飛んだりしながらミズチが現れる場所まで行くと、そこにいたのは事前情報通りに全体的に色が黒っぽく、見た目が禍々しくなった黒化ミズチ、正式名称【堕竜戦車・ミズチ】であった。

 

「《ディクリーズファイア》《ディクリーズアイス》《フルエンハンス》《フィジカルエンハンス》《フルカース》《フィジカルカース》。はい、バフデバフ終わったよ」

「んじゃあ、滅多に使わんアーツ使ってみるか。《天弓火嵐》!!」

 

 アーテルさんが炎耐性弱化のデバフをかけたので、物理面に特化した流星弓術のアーツの中でも、珍しい炎属性偏重の範囲攻撃アーツを使用する。その見た目に似合わず炎弱点なミズチの戦車を引く竜は体力を一瞬で消し飛ばされた。

 

「凄い威力だね。私も負けてられないよ、《相克の双拳》!!」

 

 戦車へと放たれたのは武器の属性が弱められる組み合わせだと威力が増加する、という何とも使いどころに困るアーツ。その発動条件が威力低下を許容しなければ満たせないだけあり、かなりの威力増加量を誇るソレをペットのスキルにより威力低下無しで使用したその火力は、余裕で戦車のHPを削り切ることに成功する。

 そして、

 

「ゴルディマーグ!」

 

 その言葉と共に呼び出された特殊装備は……昔義従兄さんと一緒に見たアニメそのまんまのハイパーツールだった。

 

「ハンマーコネクト!」

 

 何か俺とアーテルさんが余波でHPを1割ほど消し飛ばされながら某勇者王のハンマーが装着される。

 

「ゴルディオンハンマー!」

 

 構えられた金色に光るピコピコハンマーの効果は確か……防御無視ダメージ超過で超火力攻撃だったか。黒アストやら黒ミズチやらのレア泥突っ込んでるだけあって相当にぶっ壊れ効果だよな。特殊装備1つ分のリソースを全部火力に使ってるのもそれを後押ししてるし。

 

「ハンマーヘル!」

 

 別に核を引き抜く必要は無いので、打ち込む必要もない釘をミズチに打ち込み、

 

「ハンマーヘブン!」

 

 何かを引き抜く訳でもなく、ただただその釘を引き抜き、

 

「光になれえぇぇ!」

 

 お馴染みのセリフと共にミズチ本体に叩きつけられたハンマーは、ミズチの体力を消し飛ばし、ミズチを文字通り光にしながら振りぬかれた。やっぱかっこいいな、勇者王のハンマーは。

 

 ◇

 

「よく考えたら、カンスト80時代のボスを100レベルプレイヤー4人で挑むって軽いいじめだよな」

「しかも2人がユニーク持ちで、もう2人は次回ユニーク候補って言われてるようなパーティーだからね」

 

 黒化ボスの割には拍子抜けだったと思ったら、黒化ボスに対して持っている印象が半年以上前のモノだったことに気付いた黒ミズチ戦後。

 

「つっても、特殊泥もレア泥も無いんだろ」

「ですね。ドロップするまで周回するので、楽なのはいいことです」

 

 まあ、確かにその通りなんだが、半年ほど前は撃破報告が極振りくらいしかなかったボスも割と楽勝になるのは何となく虚しい気分になるというか……

 

「あ、次湧いたみたいだよ」

「よし、次だ!!」

 

 結局3~4時間程粘って、ようやくレア泥を必要数確保したのだった。

 

 ◇

 

 そんな感じで延々と黒ミズチと戦い続けた翌日。今日は珍しく一人で新大陸の森林エリアに欲しい素材を取りに来たところ、

 

「あれ、リーフさんにロウさんじゃないですか」

「ん? あ、飛燕くん。久しぶりだね」

「ですね。ナギちゃんは一緒じゃないんですか?」

 

 リアルでは旭義従兄さんの会社の社員で、ゲーム内では俺と同じく検証勢なリーフさん、ロウさんの姉妹と遭遇した。長女のオーロラさんがいないのは……昨日レグルスさんが今日は仕事で入れないって言ってたし、それかな? 

 

「ナギはすてら☆あーくで強化待ちですね。昨日素材が揃ったんで」

「ああ、昨日社ty──レグルスさんと周回した奴だね」

 

 思い返せばナギと一緒じゃないのはナギのために【尽焼の燎森】を取りに行って以来だから……かれこれひと月以上ぶりなのか。

 

「そちらこそ、オーロラさんと一緒じゃないんですか?」

「ああ、今日オーロラ姉さんは仕事で入れないんだよ」

「因みに私たちは有給です。偶然お仕事が無くなったので簡単に取れましたよ」

 

 まあ、やっぱり予想通りだったな。とまあ、森の奥へと進みながら他愛もない会話を続ける。

 

「ところでお二人はこんなところで何を?」

「今【鎖鎌術】を育ててまして、どれだけ戦えるのかの確認に新大陸横断中なんです。そういう飛燕くんは何をしているんですか?」

「『形代』の素材集めですね。木材から厳選した方が効果が高くなるので」

 

『形代』とは少し前のアップデートで追加されたアイテムで、障壁や結界みたいなダメージを遮断もしくは軽減するスキルやアーツ、魔法の効果を上昇させるアイテムだ。消費アイテムで、効果に対してコスパが微妙だけど、万一の時の保険として常備している紋章術師は多い。かく言う俺もその一人だったりする。

 

「高品質な木材ならここで採取するよりエルフと物々交換した方がいいんじゃ?」

「……いや、確かここって」

 

 二人がそう言ったタイミングで森の奥から木の根が飛んできたので《障壁》で防いでおく。リーフさんは思い当たらなかったけど、ロウさんは分かったみたいだな。

 

「ロウさんは分かったみたいですね。ここには現状発見されてる中で最上位の木材アイテムを落とすモンスターがいるんですよ」

 

 そう言いながら、木の根を《障壁》で防ぎつつ進んだ先には、天まで届くかと思う程巨大な木のモンスタ──―トレント系のワンダリングボスが鎮座していた。

 

「さあ、ここで出会ったのも何かの縁です。折角ですし一緒に狩りましょうか」

「「いやいやいや」」

 

 一緒に戦おうと提案したら全力で拒否されてしまった。こいつって見た目の割に戦いやすいボスなのに。

 

「ワンダリングボスを3人でとか無茶でしょ」

「そうですよ。私もリーフも動き知らないですし。よしんば知ってたとしても火力が足りないんじゃありませんか?」

 

 まあ、こいつについてよく知らないとそんな反応になるか。でも、

 

「こいつは基本的に木の根と木の葉、後果実で攻撃してきますが、それらすべての攻撃は《障壁》で止められます。見た目相応に体力は高いですが、見た目通り火属性に弱いので【紋章術】を持ってるプレイヤーがいればかなり楽になります」

 

 一応、発狂モードに入ると使ってくる地震と吸い込みからの押しつぶしコンボは《障壁》だけじゃ止めきれないけど、発狂モードに入る方が稀だし、言わなくてもいいだろう。

 

「なんでまあ、《ディクリーズファイア》《エンチャントファイア》《フルカース》《フルエンハンス》《フィジカルカース》《マジックカース》《フィジカルエンハンス》《マジックエンハンス》っと。こんな感じでバフデバフを積んでやれば」

 

 そう言いながら背中に背負った、トレント系モンスターの周回用にザイルさんに作ってもらった火属性特化機械弓【碌式紅焔弓】を構える。因みにナギの素材集めに付き合った過程で手に入った機械系レア素材を使用した一品だ。依頼料金で所持金の9割が吹っ飛んだけどまあ安い安い。

 

「【天弓火嵐】っと。まあ、こんな風に体力がごそっと削れるんですよ」

 

 ワンダリングボスのHPバーは全5本の中の最初の1本が6割ほど削れていた。

 

「という訳で、手伝っていただけますか?」

「「あっはい」」

 

 その日の夕方、木材系素材をアイテム欄いっぱいに抱えた3人のプレイヤーが新大陸の攻略拠点に現れたらしい。内2人は死んだ目をしていたらしいが、何でだろうな(すっとぼけ)




 リーフとロウは“まだ”そこまで変人ではないです。PS的には最前線組ということもあって十分化け物ですがね。
 唐突にIS×DX3rdとか言う変なクロスオーバーを書きたくなってキャラ作った結果『適合体と異形の刻印でHP130点あるブラックドックピュア(異形の刻印は複製体で取得)』と『EA下の黄金錬金で常備化ポイント80近くあって、ビークルモーフィングでモーフィングロボ作るモルフェウスピュア』ってのが出来ましたが、ワーディングでIS勢が詰んだりDXのインフレにIS勢がついていけなかったりという問題点により没になりました。うちの卓、ちょっと経験点170辺りからPCもボスもインフレが止まらなくなるので。

<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・【天弓火嵐】
 物理特化の流星弓術でも使用可能な火属性範囲攻撃アーツ。ダメージ内訳は物理2割炎属性8割。因みに属性特化の派生では上位互換に当たる《天弓燦爛(さんらん)》を使用可能。名前の元ネタは宝石姫のルビーのスキル。

・ミズチの炎弱点
 機械の水龍なので通常ミズチは炎等倍(鋼・水)だろうと予想。黒ミズチは等倍を弱点に、弱点を耐性に、耐性を等倍に変化させたため炎が弱点に。

・弱められる組み合わせの属性
 『キャラ設定』参照。ざっくり説明すると炎と氷とか水と木とか。

・リーフ
 本編にもある通り旭の大学の頃の後輩で会社の社員。リアルでの本名は『音泉 葉(おといずみ よう)』で、名前を英語読みしたものをゲームでの名前にした。ロウの妹で三女。見た目はバトスピの『[戦国の女神]ディアナ・フルール』のイメージ。魔法スキルに関する検証を積極的に行っており、ゲーム内で最も魔法スキルを所持しているプレイヤーだったりする。

・ロウ
 本編にもある通り旭の大学の頃の後輩で会社の社員。リアルでの本名は『音泉 律(おといずみ りつ)』で、名前を英語読みしたものをゲーム内での名前にした。リーフの姉で次女。見た目はバトスピの『[剣聖歌姫]ツル』のイメージ。武器スキルに関する検証を積極的に行っており、ゲーム内で最も武器スキルを所持しているプレイヤーだったりする。

・オーロラ
 旭の大学の頃の後輩で会社の社員。リアルでの本名は『音泉 彩(おといずみ あや)』で、オーロラが好きなのでゲーム内の名前をオーロラにした。リーフとロウの姉で長女。見た目はバトスピの『[神星姫]ノア・フルール』のイメージ。リーフとロウと同じく検証勢で全てのモンスターの情報を【鑑定】【看破】で調べるのが目標。そのためゲーム内で最も【鑑定】系のスキルを使用したプレイヤーだったりする。

・形代
 本文に説明がある通りのアイテム。元ネタはログホラのヒトカタ。

・トレント系のワンダリングボス
 名前は決まってない。HPは1億くらい。防御力もかなり高い。ただ炎属性に弱すぎるため【紋章術】等ででバフデバフを万全にしたうえで火属性アーツや炎属性魔法で攻撃すると面白いようにHPが減る。因みに飛燕が何でもない事のように攻撃を全て《障壁》で防いでますが、そんなことが出来るのはトップ紋章術師くらいです。
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