逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話 作:LR44(ゆっくり)
という訳で思いついたけど無理があるってことで没になった展開を採用します。
お気に入りを見る限り、極振りを読んでいない本作読者がある程度いるようなのでUPOのイベント前に差し込んでおくUPO上位勢についての解説回です。
後、UA5000行きました。ありがとうございます。
「え~っと、これで……よし映った!」
ここは【楓の木】。イベント最終日である今日、何故全員が集まって別ゲーの配信を見ているかと言うと、数日前に遡る。
~~~~~ここから回想~~~~~
「皆アイテム集めは順調? 最終日前までに必要分は集められそう?」
「私は終わりそうだよ」
「俺も順調だな」
「私も終わりそうよ」
「右に同じくだ」
「以下同文だよ」
「じゃあ最終日はナギと飛燕の様子を見ようよ、配信するみたいだし」
~~~~~回想ここまで~~~~~
「ナギのメモによると、今回UPOで行われているのは王都防衛戦って言う大規模レイドだって。1週間王都を守り切るイベントで、今日はその最終日らしいね」
サリーの言葉を聞いて、カスミが信じられないものを見たかのように口を開く
「なあ、サリー。私はUPOというのは剣と魔法のファンタジーだと聞いていたのだが?」
「そうだね。開発陣の趣味で機械系の装備とかアイテムがあること以外はNWOと同じ感じで考えて良いって書いてるね。強さのジャンルが違うとかちょっと不穏なことも書いてるけど」
その言葉を聞いたカスミは、配信画面を指さして言う。
「私の見間違いでなければ、戦艦や列車砲、戦車に戦闘機なんかが映っているのだが?」
「開発陣の趣味の機械系アイテムらしいよ。第4回イベント『ミスティニウム解放戦』でも大活躍だった【アルムアイゼン】【クロイカラス】【戦車はいいぞ】の部隊だって」
カスミの言う通り、現在画面に映っている王都はファンタジー系MMORPGとは思えない光景だった。川には戦艦、陸には戦車。空には戦闘機や超翼射出司令艦とか極輝覚醒複胴艦とか最撃多元燃導艦と呼ばれていそうな戦艦。引かれた線路の上にはスペリオル・ドーラとかそっち系の列車が。そしてよくよく見てみると戦艦ではオーラマシンやらガンダムやら、ヨロイやら勇者ロボやら劔冑やらのロボットが最終チェックを行われている。
UPOプレイヤーからしてみれば一般的な光景であろうが、当然ながらNWOプレイヤーである【楓の木】の面々からすれば、到底ファンタジー系のゲームだと信じられるものではなかった。
「ちょっと一回UPOはファンタジーを辞書で調べなおすべきじゃないか?」
「そうでもないと思うよ。『地球舐めんなファンタジー』なんて言葉もあるくらいだし。それに、ほら」
カナデが指さした場所にはいかにもファンタジーと言った様相の集団がいた。例えばそれは剣と魔法、例えばそれはスチームパンク。多種多様な装備に身を包んだ集団は、まさしくファンタジー系MMOと呼ぶにふさわしいものであった。一部バイクに乗っていたり、バイクと合体していたりするのは見なかったことにした。
「あんな風にちゃんとしたファンタジー系な装備の人もいるし」
「まあ、確かにそうだな。それにしても、流石にサービス期間に1年も差があるとこっちより格段に強そうだな」
そんなクロムの発言を聞いたイズがポツリと呟く。
「ところで、あっちの有名プレイヤーにはどんな人がいるのかしら? 私、UPOは良く知らないのよね」
「私もあまり知ってる訳じゃないから、ナギのメモを読むだけになるけど──」
そう言ったサリーは一端配信画面を小さくすると、『UPO 有名プレイヤー 一覧』という名前のパワポを開いた。
「まず、トップギルドの中でも最上位として挙げられてるのが【極天】と【すてら☆あーく】の2ギルドだね。この2つはギルドメンバー全員がユニーク称号持ちなんだって」
「ユニーク称号? こっちのユニーク装備みたいなもの?」
メイプルの言葉に、サリーは首を振る。
「いや、UPOのユニーク称号は何かしらの記録を持っている人に対して運営から贈られるものらしいよ」
「へえ、その2ギルドのメンバーはどんなユニーク称号を持ってるんだ?」
クロムの疑問に答えるように、サリーはパワポのページを切り替える
「まず、【極天】のメンバーは、物理ダメージ最大の【裁断者】アキ、モブを倒した数最大の【スローター】センタ。この二人がStr極振りらしいね」
そう言いながら、画面に金髪で刀を7本差した軍服のプレイヤーと青髪で全身タイツの槍使いを映す。
「で、スクショ回数最大【写術翁】ザイードに総移動距離最長の【限定解除】レン。この二人はAgl極振りね」
今度は黒いボロボロのマントと髑髏の仮面を纏った男性と橙の長髪にサイドテールな女性が映る。
「味方を庇った回数最大の【弱者の盾】デュアルがVit極振り、魔法ダメージ最大の【爆裂娘】にゃしいがInt極振り。捕食回数最大の【頂点捕食者】翡翠がMin──魔法防御力の極振りで引き金を引いた回数最大【トリガーハッピー】ザイルがDexの極振り。この8人らしいよ」
三度画面が切り替わり、金の長髪でカソックを纏った神父と小柄な黒髪の魔法使い、クリーム色のセミロングなロリ……よりは少しお姉さん。一歩後ろで何故か胃を押さえている赤髪の女性プレイヤーが映された。
「で、【すてら☆あーく】は、ジャスト回避回数最大の【舞姫】セナ、Luk──幸運の極振りで爆破系アイテムの購入・作成・使用回数最大及び大型建築物オブジェクトの爆砕の【爆破卿】ユキと物理連撃数最大の【オーバーロード】
そう言って今度は、銀髪碧眼の所謂幼女体形な少女と紫がかった銀髪で目にハイライトの無い同じく幼女体形な少女。そしてそれに挟まれて肉食動物に今にも襲われそうな草食動物のような雰囲気を醸し出している、黒髪黒目で中肉中背な男性プレイヤーが映し出される。
「それと、一度に魔法でフィールドを凍結させた範囲最大の【大凍界】つらら、一部機械系及び固定シンボルモンスター討伐数最大の【撃墜王】ラン、取引金額最大の【大富豪】れーの6人だって」
群青色の髪をサイドテールにした苦労人のような雰囲気を醸し出しているお姉さん、目付きが悪くて長い白髪を一つにまとめた男性。そしてその二人と手をつないでいる、二人の妹か何かのように見える黒髪黒目の幼い女の子が映る。
「残念ながら極振りは今回イベントかなりガチガチに隔離措置受けてるみたいだから、その9人の活躍は見れないみたいだね」
「隔離措置を受けるって、その人たち今まで何やってきたのかしら」
イズの疑問に、サリーは渡されたメモのページをめくり、『極振りのやらかし』と書かれたページを開く。
「え~っとね、こんなことが書いてあるね」
そう言って以下の内容を画面に映し出した
===
・山を斬る
・ダメージオーバーフローでバグる
・湖を支流ごと蒸発させる
・森を燃やして、それをキャンプファイヤーに見立ててマイムマイムを踊る
・ダンジョンを消し飛ばす
・街を爆破する。更にその際破壊不能オブジェクトを破壊してしまう
・1日1本ビルを爆破するのがノルマ
・迷惑な客の口内に爆弾を詰め込んで、街中で爆発させる
・ダンジョンボスを務める。その際の討伐報告は本人1件、再現NPC1件の計2件のみ
・全員の必殺技をぶつける事でサーバーをダウンさせる
・他プレイヤーを食べる事の出来るレストランを建築する
・戦闘行為への参加を禁止されているイベントで、戦闘面で大活躍を果たす
・イベントダンジョンを自身の展開する天候で乗っ取る
・強すぎてPvPイベントソロの部への参加を禁止される
・絡んできたプレイヤーを光堕ちさせる
・Luk極振りとDex極振りがレイドボス召喚VSレイドボスクラスクラスまでステータス底上げという化け物バトルを行う
・システム限界速度で戦闘を行い、極振りと最前線組以外が戦闘を観戦不可能になる
・戦闘が激しすぎて破壊不能オブジェクト以外の全てが崩壊する
・情報処理能力はリアル異世界人以上
・リアル異世界人に『異世界でも滅多に見られない』と称される
・バトロワで開幕核ぶっぱ
・バトロワそっちのけでダンジョンアタック
・食べ歩きツアーの結果バトロワ優勝
・クリスマスに街中で核の花火を打ち上げる
===
「ってところね」
「なんて言うか……本当にMMOの話なのか疑いたくなるレベルね」
「まあ、元々UPOは本当に現代のゲームなのかってレベルの代物だしね。この間のイベントでの時間加速とかもUPOの運営が作った物だし」
何かを調べていたカナデは、そう言いながらウィンドウを皆の真ん中に動かす
「ネットには極振り同士でのPvPの様子とか公開されてるみたいだね。見てみる?」
「うん! 見てみたい!」
そう言ったメイプルに答えるように再生ボタンを押す。
画面に映し出されたのは金の短髪の男性と橙のサイドテールの女性。先ほど紹介されたStr極振りのアキとAgl極振りのレンであった。
「去年の12月に開催されたPvPイベント『正月礼賛、餅つき兎は最強の夢を見るか』の極振りエキシビションマッチ決勝戦だって。限界までスローにしてるらしいから多分見れると思うよ」
「ってことは最強決定戦って考えてよさそうね」
その動画を見た反応は大きく3つに分けられた。
「……全く見えない」
「私もよ。いくら生産職だからって、一応トップのつもりなのに……へこむわね」
戦場を埋め尽くす閃光と稲光しか碌に見えないのがメイプルとイズ。
メイプルの強さはぶっ壊れスキルと装備、そしてセオリーというものを一切知らないが故の発想力によるものであり、本人の肉体的スペックはどうしても上位勢はおろか中堅にも。下手をすれば初心者にすら劣りかねないものである。
イズはトッププレイヤーとは言え、それは生産職として。元々武器スキルの取得と通常武器の使用が出来ない代わりに生産に極大の補正が入り、生産行動で経験値が入るようになる【生産の極意】を取得した、所謂『生産職』と呼ばれるプレイヤーなのだ。攻撃手段が『採取用アイテムを武器として用いる*1』『制作アイテムの爆弾*2』『店売りの爆符*3』程度しかないこともあり、戦闘はからっきしである。
要するに、全く見えないとしても仕方がない2人なのだ。
「ギリギリ残像が見える……ってレベルか」
「私もそのようなものだ。多少は自身があるつもりだったが……」
ギリギリ残像やブレにブレた姿が捉えられるのはクロムとカスミ。
二人とも、NWOでも最上位に当たる前衛というだけあり、全く見えないという事は無いものの、やはりタンクとある程度攻撃を受ける事前提の前衛と言うべきか。十全に見切るだけの動体視力か、はたまた見たものを処理するための脳のスペックか。それらが足りていなかったようだ。
「うわっ、何なのよこの戦い。ちゃんと見えないどころか、ちょくちょくブレて見えるとか……」
「その上、見えたところを繋ぎ合わせても脳が理解を拒むレベルの戦闘しかしてないね。……まさかUPOがここまでとは思わなかったよ」
ちょくちょくブレているとは言えちゃんと見えているのがサリーとカナデ。
片やNWOでも最上位に当たるPSの持ち主。片やUPOでも通用するほどの記憶力の持ち主。いくらUPOの極振り同士の戦闘とは言え、限界までスロー再生されたものであり、流石にこの二人ならば辛うじて見る事は出来た。
とは言え、辛うじて見ることが出来るのと、戦闘を理解できるのはまた別の話。空間認識能力もなく、あくまでも二人が“異常”なのはNWOを基準とした場合の話である。そんな二人がゼロコンマ1秒単位での戦闘を理解できるわけが無かったのだ。まあ、そもそも雷や蛇腹刀のワイヤーを足場とした三次元戦闘を
「ま、まあ。極振りの戦闘能力については一端考えない事にしましょう。それより、他のユニーク称号についてよ」
強引に話を逸らしながら、また別の画像を表示するサリー。
「え~っと、特殊装備使用時間トップの【傀儡士】シド、特殊装備同時使用数トップの【提督】ZF、後……バイクになってる時間トップ? の【蹂躙機構】ホセが所属しているギルド【モトラッド艦隊UPO支部】、通称バイク艦隊とか」
某アドラステア*4を背景に、バイクと合体していたりする3人が映し出される。
「アイテム作成数トップの【大工場】ツヴェルフ、フィールド開拓トップの【農民】ハーシルと命中率トップの【魔砲少女】の……射手子ことミザリーが所属している【アルムアイゼン】」
今度は列車砲を背景に3人のプレイヤーが映し出される。*5
「後は……夜間ログインに関する諸々トップの【ナイトシーカー】カオルと魔法同時発動数トップの【賢者の石】ブラン所属の【ボクと団長と酒と愉快な仲間たち団】とか、魔法連撃数トップの【マナマスター】コバヤシ所属の【クロイカラス】、防御貫通回数トップの【初死貫徹】chaffee所属の【戦車はいいぞ】、テイム関係のトップ【牧場主】時雨所属の【わんにゃんパラダイス】、回復関係トップの【大天使】イオ所属の【空色の雨】がユニーク持ちを抱えてるギルドだって」
画面にはそれぞれの姿がギルドを代表する何かと共に連続して映し出される。*6
「で、後はギルド未所属のユニーク持ちね。レア泥回数トップ【ラッキーセブン】シルカシェン、絵を描いた回数トップ【大先生】
「「「「「二人が?」」」」」
何故か二人だけいっぺんに紹介しなかった事に他の5人が首を傾げると、一拍置いてからサリーは言い放つ。
「……狙撃距離トップの【狙撃手】が
「「「「「え?」」」」」
サリーの言葉に、全員揃って驚きの声を上げる。
「凄いじゃん! 二人とも!!」
素直な賞賛と驚きの声を上げるメイプル。
「流石にちょっと信じられないわね」
現実離れしすぎており、疑いの声を上げるイズ。
「動きの癖が同じだ。本人で間違いないね、これは」
冷静に動画を見比べ、真偽の判断を行うカナデ。
「それならばあの異様なまでのPSにも納得だな」
「ああ。メイプルに勝ったってのも頷けるな」
納得がいったとでも言うようにしきりに頷くカスミとクロム。
「お、ようやくイベントが始まるみたいよ?」
サリーのその言葉で画面に目を向けると、いよいよ戦闘が始まろうとしていた。
やっぱり防振りキャラ書くのが苦手です。極振りキャラなら頭の中で勝手に動いてプロットを何も残らないレベルでぶっ壊してくれるのに(単純な作品に対する知識量の差)(後、極振りの方がキャラが立ってるってのもあるかも)
『戦闘機』って打つときに変換候補の一番上が『閃刀姫』だったせいで誤変換が……(鄰芝閃刀姫と隣芝ティアラメンツとかいうゲテモノデッキを使ってる作者。体感8割くらい鄰芝or左腕が初手に来る)
ダンバインの15話からの展開を見て、最近の異世界転移物の一時帰還展開もこのくらいハードな方が面白いんじゃないかって思ったけど、ロリスミみたいな展開も好きなので悩みどころ。
<今回のオリジナル要素&ネタ解説>
・【生産の極意】
防振りでいう『生産職』の基準が分からなかったので本作では【生産の極意】を所持していることを条件に。それにしても、NWOは生産職に厳しすぎやしませんかねぇ。
・アキVSレンの戦闘を【楓の木】の面々がどれだけ見れたか
独断と偏見で決定。現在の動体視力や脳のスペックを表している。
因みに、【楓の木】の面々の空間認識能力適合率は飛燕>ナギ>カナデ≧サリー>カスミ≒クロム≧イズ>メイプル≒マイ≒ユイ。
・射手子の【アルムアイゼン】所属
列車砲は【アルムアイゼン】所属だったので、その操縦手の射手子も【アルムアイゼン】所属だろうという予測。