逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話 作:LR44(ゆっくり)
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昨年発売され、クソゲーオブザイヤーにて話題に挙がることもあったものの、『
そのゲームの新大陸──所謂エンドコンテンツのようなエリアにて、巨大な四足歩行の赤い竜との戦闘が行われていた。
「次、右前足の叩きつけ! 《障壁》《フルエンハンス》《フルカース》!!」
巨大な竜の行動を見極め、前衛で戦っている幼馴染へバフを飛ばしながら、背中に生えたカラスの翼を羽ばたかせ余波を回避する。Vitに必要最低限しか振っていない俺では余波でも即死する上、今の機動力を失えば最も厄介な噴火攻撃が避けられなくなるため細心の注意を払わなければならない。実際昨日2回ほどやらかしたし。
「分かった! 《ライトニング・フィスト》!!」
前衛で攻撃を行っている幼馴染が竜の翼をはためかせながら、発生の早い攻撃アーツにて的確にカウンターを決めているのを確認し、俺は体制を整え狙撃体制に入る。幼馴染の方はVitが十二分に高いうえ、天候効果も完全無効できているため俺とは異なり体力にはまだまだ余裕があった。
「カウント175! 《レジストファイア》《フィジカルエンハンス》《ウィークネススナイプ》!!」
180秒周期で行う噴火攻撃のカウントが残り5秒となったため、炎耐性上昇と三種ステータスバフを幼馴染に飛ばしつつ、この時だけ狙いやすくなる弱点目掛け、弱点に当たることでダメージが上がるアーツを使用する。
ここは新大陸火山エリア。複合属性スリップダメージや水属性効果低下等、厄介な天候効果が常時発動しているエリアである。そして今戦闘を行っているのは
当然ながら楽に勝てるような相手ではないし、ましてや2人で挑むような相手ではない。だがしかし、
「ひるみ狙うよ! 《オーバードーズ》《覚醒》《デュアル・フィスト》!!」
危なげなく回避を行った幼馴染がペットによる強化スキルと高火力のアーツを発動したのを横目に、儀式魔法のための舞を行う。これまでのペースから予測して、後60秒ほどでHPが500万を切る。その前に速攻で決めるための準備を終わらせておくという訳だ。
そして丁度60秒後、予想通りHPが500万を切った。視界の端に映る儀式魔法のメーターは9割ほど。これなら問題なく発動できる。
「大技来るぞ! 《障壁》《フルカース》《ディフェンスカース》《フルエンハンス》《フィジカルエンハンス》《アローレイン》!!!」
大技により幼馴染のHPが急激に減少し……ペットの食いしばりスキルによりHPが1残る。そこへ《アローレイン》にて描かれた魔法陣により発動された毎秒50のHPを回復する儀式魔法が《覚醒》のコストを帳消しにする。俺の方は余波のみでHPが2回も消し飛び、憑依していたペットがいなくなりカラスの翼が消滅する。死亡したペットに心の中で礼を言いながらインベントリより取り出した鋼色の石を上へと放り、叫ぶ。
「香! 《融合炉心》からの《覚醒》《オーバードーズ》、《チャンバー》! 《ディクリーズファイア》《ディクリーズォーター》《エンチャントウォーター》《マジックエンハンス》《バスターアロー》!!」
「一気に決めるよ!! 【
放った石が鋼の鷹になり、弓と融合する。ボスには水と炎の耐性弱化、自分と幼馴染に水属性を付与し自身のInt,Min,Dexを上昇させたうえでダメージ計算をStr+Intで行うアーツを放つ。幼馴染は特殊装備である拳とブーツに搭載された加速機構を使用限界まで起動する。入念な準備の末放たれたその攻撃力は、当然のようにこれまでとは一線を画すものであり、ボスのHPを一息に削り切っていった。
メニューを開くと、表示されたのはワンダリングボスを討伐した際に現れる画面。俺たちは無事にワンダリングボス“アビスフレイマー”の攻略に成功したのだった。
◇
「え~っと……よし。録画はちゃんとできてるな」
戦闘の録画が問題なく出来ていることを確認した俺は画面を閉じる。
「じゃあ後はリポップ周期の確定だけだね。となると結構暇が出来るね」
それを後ろから覗き込んでいた幼馴染は流石、伊達にずっと俺の検証に付き合っている訳ではなくこの後の予定もばっちり把握していた。
「まあ確かに……目ぼしいワンダリングボスは軒並み倒された後だし、都合悪い人いるからレイドボスは挑戦できないし。何しようか」
「今日はもう遅いし、明日考えようよ。ほら、もう日付まわってるよ」
そう言われメニュー画面から時計を見てみると0時15分を指していた。
「うわっ、もうこんな時間か。じゃあまた明日な」
「うん、また明日ね」
流石にいい時間だったので、開いたままだったメニューのログアウトボタンを押し、現実へと意識を帰還させた。
「さて……夕凪にはああ言ったが、朝までにきりのいいところまでは纏めときたいしな」
ログアウトし、ベッドから起き上がった俺は、そんなことを呟きながら机の上のデスクトップパソコンを立ち上げ、文書作成ソフトウェアとついさっきの録画を用意した。
「あ、そういや昨日の配信見逃してたんだった」
そうして作業を始めようとしたところで最近よく見ている爆破系美少女配信者の生配信を見逃していた事を思い出し、動画投稿サイトを開きアーカイブから見逃していた配信を再生する。先週の配信みたいにアーカイブに残ってないとかじゃなくてよかったと、そんなことを思いながら黙々と作業を進めていくのだった。
◇
朝、いつも通り、5時半に設定している目覚ましが鳴る10分前に起きた私──千影 夕凪は、顔を洗って制服に着替えると、隣の家に向かった。
「あ~、やっぱりまだ寝てるみたいだね」
チャイムを鳴らしたけど、案の定何も反応が無かったので、いつも通り貰っている合鍵でドアを開けて中に入る。 階段を上って部屋に入ってみると、思った通り部屋の主である来島 飛燕はパソコンで文書作成ソフトを立ち上げたまま机で寝落ちしていた。かわいい寝顔だなぁと思うと同時に、少しいたずらをしてみたくなった。何をしようか少し考えて、耳元に口を寄せて、
「飛燕、朝だよ。起きて」
と、そっと囁いてみる。驚いたのか慌てて起き上がる飛燕の頭をひょいと避ける。まだ頭が回り切っていないのか、ボーっとしてる飛燕を見て、ついつい笑みがこぼれる。
「どうせまた纏めてたら寝落ちしちゃったんでしょ。ほら、ご飯作っちゃうから顔でも洗ってきなよ」
「んぁ……そうする」
目を擦りながら下に降りていく飛燕を見送りながら、作成中の文章を少し見てみる。実際に戦ってみた立場から見てもとても分かりやすく、文句の付け所のない内容だった。
「飛燕も頑張ってるんだなぁ。最初の頃とは比べ物にならないくらい分かりやすいし。っと、こんなことしてる場合じゃなかったね。はやくご飯作らないと。え~っと……うん、今日はお魚かな?」
少し冷蔵庫の中身を思い出し、何を作るか考えながら私も下に降りて行った。今日の朝ごはんは白米に卵焼き。それと焼き魚にしようかな。ご飯は飛燕が寝る前に炊飯器セットしてるだろうし。
その後、すっかり目が覚めた飛燕と朝ごはんの用意をして、いつも通り二人で食べて、片づけて、家を出た。ずっと昔からの変わらない朝の様子。私の両親は毎日仕事が忙しいみたいで、滅多に家に帰ってこない。飛燕は色々あって両親を亡くした天涯孤独の身。だからこそ私と飛燕は小さいころから一緒に過ごしてきたし、頻繁にお互いの家に泊まったりもしている。今日もいつも通りに二人で並んで登校している時に、ふと思い出して飛燕に聞いてみる。
「そういえば、飛燕はしばらく何するつもりなの?」
「う~ん……特にこれと言ってすることもないんだよなぁ。すぐにでも手に入れたい素材とかも無いし」
「じゃあさ」
飛燕の反応は予想通りであり、だからこそ私は飛燕に一つの提案をしてみる。
「飛燕はさ、NWOって知ってる?」
防振り要素最後の一言だけ…
あれ? これって本当に防振り二次創作で合ってたっけ?
本当はワンダリングボスを倒した時の画面(極振り『:Ⅱ説・爆破系美少女配信者しらゆきちゃん④』参照)も再現したかったのですが、特殊タグとかチンプンカンプンだったので諦めました。
<今回のオリジナル要素&ネタ解説>
・アビスフレイマー
本文中にもあったように、新大陸火山エリアに出現するワンダリングボス。HPは比較的少なめではあるが非常に高い攻撃力を誇る。因みに噴火攻撃の詳細は『参加人数×2か所の地面から発生する物理・魔法複合で炎・土属性の即死級超多段ヒット攻撃』となっている。
・飛燕とナギが使用していたアーツ
《アローレイン》及びペットのスキル、紋章術は極振り原作中に登場しているもの。それ以外はオリジナルで名前は適当。