逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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第26話『武器よし、アイテム上限いっぱい。』

 

「武器よし、アイテム上限いっぱい。ステ振り忘れも無しっと」

「こっちも大丈夫だよ。用意するアイテムが減った分、素材アイテムを詰め込んだし」

 

 NWO第4回イベント前日の【楓の木】。所属する面々は皆明日のイベントの準備にいそしんでいた。

 それは俺とナギも例外ではなく、武器の耐久や持っていくアイテム、ステータスの振り忘れが無いか等の確認をしていた。

 

「あ、そうだ。忘れてた。この中で攻撃が全部無属性になっても困らない人ってどのくらいいます?」

 

 そんな中、ふと思い出した俺はギルドの皆へとそんな問いかけをした。

 

「私は特に問題は無いな」

「俺もだ。そもそも攻撃はメインじゃ無いしな」

「私たちも」「問題ないです」

 

 ふむふむ。カスミさんとクロムさん、それと白黒姉妹の4人か。それなら今ある材料で足りるな。

 

「じゃあ少し待ってください。ちょっと渡したいものがあるので」

 

 そう言って、自室に入り少しウィンドウをいじる。

スキルの【調合】から製作メニューの調合タブに飛んで、レシピ選択、素材は倉庫からの使用、オート作成っと。

 

「はい。このポーションを飲んでおいてください」

 

 広間に戻った俺は、そう言いながら今さっき作製したゲーミングカラーなポーションを机に置く。

 

「このポーションは一体?」

「凄い色してますけど」

「え~っと、効果は……おいおい、何だよこれ」

「5秒間耐性を無視して毒・麻痺・スタン・睡眠・氷結・炎上・病気・呪い付与、ただしいかなる手段を用いても使用者以外に効果を発揮することは出来ない。だって?」

 

さっきのポーションの名前はそのまんま『ゲーミングポーション』。現状判明している全ての状態異常を5秒間だけ耐性無視して受けるという効果。わざわざ運営がこんなものを用意しているのだから何かあるのだろうと思い作成、服用してみた所思った以上に有用なスキルが生えてきたのでギルドの人達にも取得させよう、という訳だ。一応ビルドによってはこのスキルのせいで戦力ガタ落ちとかもあり得るから人は選ぶけど。

 

「それは第2回イベントのメダルスキルで取得した【特化制作:毒薬】で作成できるアイテムです。それを使う事で全状態異常を同時に受けることで取得できるスキル【龍の瘴気】が取れます」

「【龍の瘴気】はHP80%以下の時に攻撃力が1.1倍になる代わりに全ての攻撃が無属性化する<特殊状態異常:龍瘴>を受けます。で、これのおかげで状態異常を受けている事が発動条件のスキルが実質無条件発動となります」

 

 因みに<特殊状態異常>とは耐性スキルが存在せず防ぐことが出来ない状態異常のことらしい。

ついでにだが、特化制作のスキルは単純な先行配布のようで、取得条件に【9月初旬のアップデートにて追加予定】とか書かれていた。効果としては所属カテゴリの制作系スキルでの制作において対応アイテムの作成にプラス補正、それ以外にマイナス補正が入り、尚且つ一部上位アイテムの作成が解禁されるというスキルだ。

 

「え~っと、何だ? つまり、その【龍の瘴気】ってスキルがあると、HP8割以下で常時火力1.1倍な上属性攻撃を使わないプレイヤーはデメリット無しってか?」

「それに加えて、今まで発動に手間がかかっていた【死中に活】*1や【根性】*2といったスキルも無条件発動となるな」

 

 そう、【龍の瘴気】は正直ぶっ壊れもいい所だ。流石に修正前【悪食】や極振り用ステ倍化系、【暴虐】に【機械神】なんかには適わないものの、一般入手可能なスキルとしては最上位に当たるだろう。というか比較対象にメイプルさんが持ってるようなユニークのチート級スキルを上げてる時点でお察しだろう。

 ついでに言うと、カスミさんが挙げていた【死中に活】【根性】に加えて、被状態異常かつHP1を条件としたスキル【不屈】*3【不退転】*4の発動も容易になるのも嬉しい所だ。

 

「ですね。ついでに特化制作のおかげで今回のイベントでの弓使いの不遇さが改善されたのも嬉しいです」

「そうなの? っていうかそもそも弓使いって不遇だったの?」

 

 サリーさんの疑問も尤もだろう。っというか今回のイベントの仕様は一部のプレイヤーにとって不利すぎるんだよな……

 

「今回のイベントでは個々人が持ち込めるアイテムは各種1スタックずつに限られます」

「因みに矢は1スタック99個で、矢の素材になるアイテムは他アイテムの作成でも需要が高いんだよね」

 

 せめて矢の仕様がUPOと同じく耐久値が0になったら壊れるタイプならまだ良かったのだが、NWOの矢は一回で使いきりのタイプなのだ。

 

「その上、現状一般的に見つかっている矢の種類は精々5種類程度です。つまりイベント中の攻撃回数が495×ギルドメンバー数になるってことですね。狙撃をメインにするならともかく、防衛メインで乱射前提の場合イベント中持つかは微妙な所です」

 

 イズさんのユニーク装備のおかげでイベント中に作成する選択肢もあるにはあるが、【特化制作:矢弾】を持っている俺が簡易工房*5で作成する矢とイズさんが自身の工房で作成する矢では、前者の方が高性能なのだ。後、【生産の心得】を持ってないため工房が無い場合に出来る生産行動が非常に単純なものに限定されているのもキツイ。

 

「で、どうにかできないか色々探してたところ【特化制作:矢弾】が救世主でしてね」

「私でも作れないアイテムを作れる時点で結構凄いスキルなのは分かるけど、そこまでなの?」

 

 イズさんが面白いものを見つけたような顔をしているが、正直これは想像以上だったぞ。

 

「【特化制作:矢弾】があると、矢をパーツ単位で作成することが可能になったんですよ。しかも、各パーツは1スタック999個」

 

 厳密には(やじり)()*6・矢羽の3パーツ。個別に細かいカスタムが出来、カスタムの種類ごとに別種のアイテムとして扱われる。更に、これらのパーツを用いて矢を作成する場合、接合するだけだからか、【生産の心得】が無くとも工房外で行える行動に分類されるのだ。

 

「その上、基本的に鏃が威力、箆が飛距離、矢羽が弾道に影響する見たいなんですよ。で、イベント仕様上そこまで長距離狙撃はする予定はないので鏃以外は多少粗雑品でも何とでもなるはずなんですよ」

 

 それこそ旧大陸の端から新大陸のモンスターを狙撃するのに比べればどうってこと無いことだしな。あれは本当に大変だった。気象条件から何から何まで厳選したせいで厳選に数か月かかったし、狙撃を成功させるために数時間粘らなきゃだったし。

 

「で、最近見つかったスキルに【現地調達】ってのがあるんですよ。採取ポイント以外からも素材が採取できる代わりに3段下の素材として扱われて、その上使ったアイテムの性能が3割落ちる【粗雑な】素材になるって奴です」

 

 正直普段だったらクソofクソもいいところな使いどころなんざこれっぽっちも思いつかないスキルだけど、今回イベントに限っては相当優秀なスキルになる。というか【特化制作:矢弾】持ってないアーチャーはこれ無いとお話にもならないレベルじゃないか?さっき言った495×ギルドメンバー数ってのもあまり現実的じゃない訳だし。

 

「イベントマップに木があるんだったら【現地調達】で採取した木材を使って矢を作っちゃえばいいんで、鏃だけ大量に持っていけば火力的には事足りる訳です」

 

 そんな訳で昨夜は徹夜で鏃の作成をしてたりする。流石に専用カスタムでそこそこ作成に手間がかかるアイテムを999個×3×2*7はきつかった。というか人力でやる量じゃぁ無かったよ確実に。

 

「ってな訳で【特化制作:矢弾】は俺にとっては救世主みたいなスキルだったわけです。普段のプレイにしても細かくカスタムした矢を使えるってのはかなり強いですしね」

「成程ねぇ。生産職としてはかなり魅力的なスキルね」

 

 確かにそうなんだが……

 

「特化制作はイズさんには合わないスキルですよ。対応アイテム以外の制作にマイナス補正が入るので。どっちかって言うと俺みたいな補助として生産育ててるとか、1分野に特化した生産職とか向けのスキルですね」

*1
被状態異常時全ステータス1.2倍。1層の町にて購入可。

*2
被状態異常時攻撃力1.3倍。1層の町にて購入可。

*3
全ステータス1.5倍

*4
攻撃力1.6倍

*5
ギルドの自室などに設置する制作設備。第4回イベントへの持ち込みは不可。

*6
矢の本体に当たる棒。主に木や竹で出来ている。

*7
3種類を飛燕とナギが持つ分で1スタックずつ。という意味




<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・【龍の瘴気】
 元ネタはモンハンの【龍気活性】。状態異常を受けていることが条件のスキルとのシナジーもモンハンの【死中に活】とのシナジーが元ネタ。

・イベントのアイテム持ち込み制限
 原作にてサリーが、『後半になるとアイテムも素材も尽きてくるだろう』みたいなニュアンスの発言をしていた。なのでこういう仕様なのだろう、という想像による設定。
 因みにイベントに持ち込めるアイテム数に制限があると勘違いして書いていたので、今話は1回丸々全部書き直しになっていたりする。
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