逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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第30話『よくぞここまで来た、侵入者よ』

 

 50層のボス部屋に入った俺たちの目に飛び込んできたのは、まるで監獄のような光景であった。

 そして、その中央に鎮座する背丈が俺の3倍はありそうな騎士甲冑。

 

『よくぞここまで来た、侵入者よ』

 

 どこからともなくそんな声が聞こえてくる。その声に俺たちが警戒していると、やはりと言うべきか騎士甲冑が動き出し、傍らにある大剣を手に取った。

 

『この先へ進みたくば、我を打ち破ってみよ』

 

 その言葉と共に、開戦の合図とでも言うかのように大剣を地面に叩きつける。

 

「上等! オーロラさん、あいつのステータスは?」

「名前は『神獄の守護者(Guardian of Jail)』、HPは1本1000万が5本で計5000万。全ダメージ半減状態異常特大耐性でオーバーダメージ無効!!」

「厄介な。《影縫い》《チェインアロー》《ウィークネススナイプ》《チェインアロー》」

 

 オーロラさんの鑑定結果を聞きながら『神獄の守護者』の右前に陣取り、ヘイト度外視の高火力コンボを叩き込む。

 

「状態異常に特大耐性ですか。分かってはいましたが私はそこまで仕事できそうにありませんね。あ、バフは受け持つのでデバフ優先でお願いします」

「分かりました。そうですね……取り合えず《フルカース》《フィジカルカース》《マジックカース》《ディクリーズファイア》《ディクリーズアイス》」

 

 サポート役の二人(オーロラさんとシルクさん)は後ろに下がりつつバフデバフを飛ばしてくれる。ポンポン魔法を撃ちまくるから大分ヘイトを稼いでいるが、それ以上のペースでヘイトを稼ぎ続ける俺がいるのでターゲットは俺から動かない。ついでに《影縫い》による拘束は状態異常扱いではないのでこっちには来れない。

 

「【メイジズコンセント】発動完了! 《エンドオブザワールド》行きます!!」

「こっちも準備完了だよ! 《ライトニングフィスト》からの《ワイバーンストレート》!!」

 

 自己バフを積み終わったリーフさんとナギも攻撃に加わる。俺からヘイトを奪わない程度に適度に足止めしてくれているので、こっちは安心してどんどん高火力コンボを叩き込める。《チェインアロー》*1のおかげでダメージがどんどん上がっていくのは結構見てて楽しい。その分どんどんヘイトも上がっていくけど。

 

「こっちは準備完了です。飛燕くんはどうですか?」

「《チェインアロー》《ウィークネススナイプ》《チェインアロー》《パワーショット》っと。多分これで大丈夫です」

 

 事前の作戦通りナギとリーフさんに足止めして貰っている間に俺がヘイトを稼ぐ。そして俺へのヘイトが十分に溜まった、()()タイミングでロウさんが動き出す。

 

「【ヘイトエクスチェンジ】《タウンティングシャウト》、【初撃必殺】《トランスレイトブレード》!!」

 

 今回ロウさんが持ってきたのは“大楯”。【魔導短剣術】と同じく、直受けタンクが不遇な状況の改善として運営が実装したスキル【武装大楯術】を育て終わったため、実戦に持ってきたそうだ。

 

 【ヘイトエクスチェンジ】は味方1人とヘイトを入れ替えるスキル。回避タンクにはあまり使われないが、直受けタンクには有用なスキルらしい。というのも、現状直受けタンクをまともに運用するには耐久スキルを大量に積む必要があるが、それだとどうしても火力はそこまで出せない。アタッカーが火力インフレしている今、ヘイトを稼ぐアーツだけではどうしてもアタッカーにヘイトが負けてしまう。だからこそこういったスキルでアタッカーとヘイトを交換する事が必要らしい。因みに回避タンクの場合は、直受けタンクが耐久スキルを積んでる枠に火力スキルと回避スキルを積むため、火力もちゃんと出せる。なんなら【舞姫】さんがユニークを手に入れる前の二つ名【銀閃】の由来になってるスキル【銀閃】*2のように、火力スキルと回避スキルを両立できるスキルまであるから回避と火力の両立は割と簡単だったりする。回避面は技術である程度補えるしな。

 

 《タウンティングシャウト》は“タウンティング”なんて名前についてる通り自身へのヘイトを上昇させるスキル。このスキル自体は大楯系の共通アーツとしてサービス開始当初からあるのだが、この間のメンテで効果が大幅に上方修正されている。この上方修正幅がかなりヤバかったりする。具体的にはヘイトだけなら回避タンク以上に稼げるようになったくらいには。運営も流石にここまで直受けタンクが不遇なのは不味いと思ったのか、相当なヤケクソ強化してきた訳だ。

 

 【初撃必殺】は1戦闘中1回のみ使えるスキルで、MPとHPを現在値の8割消費する代わりに次の攻撃のダメージ1.5倍、それが自身の戦闘中最初の攻撃なら更に2倍、という効果だ。ご丁寧にHPとMPをコストに要求してくるおかげで【抜刀術】*3【魔導短剣術】*4辺りと組み合わせても火力は上がらないどころがむしろ落ちるが、【武装大楯術】との相性は悪くなかったりする。

 

 《トランスレイトブレード》は【武装大楯術】最大の攻撃アーツ。1戦闘中1回のみ使用でき、発動時点のヘイトに応じてダメージが上昇するというアーツだが、その倍率が馬鹿げてる。ついでに【初撃必殺】によるダメージ上昇とこのアーツ効果によるダメージ上昇は乗算処理だったりする。んでもって、StrDexの準極な俺が割と本気でヘイトを稼ぎまくってたため、それと交換したロウさんの現在のヘイトは相当ヤバいことになってる訳で……

 

『ぐうっ……まさかこれほどとはな。予想外だったぞ、侵入者よ』

 

 ロウさんの楯の周りに発生した、ヘイトが実体化した刃に貫かれた神獄の守護者は、その体力を急激に落とした。いくら俺たちが1本と半分削ってたからって、残りゲージ1本まで易々持ってくとかバケモンか?

 

『ならば、こちらも全力でいくとしよう。覚悟せよ!!』

 

 そう言うと、持っている大剣を思い切り俺の方へ投擲し、背中に背負ったエクセキューショナーズソードを構えた。って、対象俺!? ヘイト無視かよ!?

 

「《障壁》《障壁》《障壁》ぃっ!!」

 

 あっぶね、今完全に油断してた。ギリギリ障壁で止まったが、150枚も障壁割ってくるとかどんだけ威力馬鹿げてんだよ!!*5

 

「飛燕、どうせ残り1ゲージなんだし押し切っちゃってよ」

「分かった。オーロラさん、シルクさん、バフデバフのかけなおしお願いします」

 

 しれっとさっきの攻撃にバフデバフのリセット効果があったみたいなので、バフデバフのかけなおしを頼んでおく。……ナギとロウさんの二人がかりで押し負けてるってことは相当Strが上がってるみたいだな。確かにこれはちゃっちゃと押し切るに限るな。

 

「《ウィークネススナイプ》」

 

 先ずは一射、ユニーク装備の効果も載せて射る。

 

「《歪曲》」

 

 その矢の軌道上に紋章を展開。《歪曲》はその名の通り紋章を通った対象の軌道を曲げる紋章。曲げれる角度も小さく、かといって多重展開するならMP消費がバカにならないまだまだ改良が必要な紋章ではあるが、こういった開けてない空間で火力を出すなら必要だからな。しょうがない。

 

「《加速》《追衝の一矢》《チェインアロー》《パワーショット》《チェインアロー》《スナイプ》《チェインアロー》《イーグルショット》」

 

 《歪曲》の多重展開でフィールド内を縦横無尽に駆け巡った後、神獄の守護者の真後ろから命中させるコースで《加速》させる。

 この《加速》はユキさんが《加速》《減退》を公開してくれないのでトップ紋章術師が集まって開発したもの……なのだが、ユキさんのモノに比べれば速度上昇効果もMP効率もいまいちな、微妙な代物だ。やっぱりこまごまとした改良を積み重ねてきたユキさんの紋章には適わないものの、効果自体はユキさんがよく使ってるのがよく分かる便利さなので俺も時間を見つけては改良しつつ使用している。

 そして、《ウィークネススナイプ》が命中する直前に中るよう《追衝の一矢》*6を放つ。そして3秒間に積み上げられるダメージの限界に挑戦するかの如くアーツを連打する。この間のイベントの時とは違って距離を取らなくていい分アーツ連打の効率はこっちの方が上だったりする。

 

 ここで一つ豆知識だ。俺のユニーク装備【龍神天馬の弓(サジタリアス)】の効果『狙撃威力上昇(1/1)(狙撃距離に応じて距離)』だが、これの“狙撃距離”とは自分と相手の距離ではなく、矢が飛んだ距離のことを指すことが最近判明したのだ。これによって今まで室内では十分な効果が発揮できないと思っていたユニーク装備効果が室内でも十分な火力を発揮できると判明したのだ。

 

 俺のユニーク装備効果込み《ウィークネススナイプ》は【幻影泥竜】相手にHPを2割削っている。つまりはクリティカルで1発200万、非クリティカルでも単純計算で100万は出る訳だ。その上《チェインアロー》を3発挟みつつの火力の出やすいアーツ3連打。

 一連の流れにより神獄の守護者に与えたダメージは最後のゲージの9割7分5厘。残りHPは25万だが、流石にMP使いすぎてリソースカツカツですぐにはそんな火力が出せない。なので、

 

「リーフさん、頼みます」

「頼まれた! 【精神統一】【メイジズコンセント】発動、MP回復完了。《マナバレット》!!」

 

 火力を出す準備をしていたリーフさんにとどめを刺して貰う。

 いやぁ、やっぱり【無属性魔法】の火力は優秀だなぁ。

*1
直前に与えたダメージに応じて威力が上昇し、2つ前に使用したアーツが《チェインアロー》だった場合更に威力上昇。ダメージに応じて直後に使用するアーツの威力を上昇させる物理特化派生の【弓術】系スキルのアーツ。クールタイムが1.5秒と非常に短く、物理弓で火力を出すときには必須級のアーツ。

*2
ステータス上昇・回避率上昇・ジャスト回避したらバフ、という効果のスキル。

*3
最大ダメージを出すコンボではHP・MPが1になり、Vit・Min・Int・Aglが0になり、攻撃後即死する

*4
最大ダメージを出すスキルがHPを現在値の7割消費し、ダメージに消費量/500が掛けられるというもの

*5
飛燕たちは知る由も無いが、神獄の守護者が使用したのはゲージが残り1本になった時に受けたダメージに応じて威力の上がる攻撃である。

*6
着弾後3秒間に対象が受けたダメージの50%を固定ダメージとして与えるアーツ




<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・【武装大楯術】
 夏休み利用してガンダムUC見直してたらシナンジュの盾がかっこよかったので生えたスキル。

・【ヘイトエクスチェンジ】
 元ネタはログホラ。あった方が何かと便利だと思ったから持ってきた。

・《タウンティングシャウト》
 同じく元ネタはログホラ。ヘイトを稼ぐアーツが欲しかったので持ってきた。

・【初撃必殺】
 元ネタはヒャッハーの『壱打確殺(にのうちいらず)』……だけど原型無いくらいいじってる。

・《トランスレイトブレード》
 ヘイトガンガン稼げるんだから、それをダメージに出来たら面白そうってことで実装。攻撃のイメージはUCのシナンジュの盾。
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