逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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第43話『これが私の蟲繰りです!』

【ファーストストライク・AOE】

(ⅰ)概要:

 本ボスはイベント3日目、6日目、7日目に戦えるボスです

 桜の木のような姿をしたボス1体と、銃を持った兵士のような見た目の取り巻き9体で構成されています。

 取り巻きへのダメージはスコアに加算されませんが、攻撃が非常に痛いので素早い殲滅力が求められます。

(ⅱ)ギミック:

 本ボスは戦闘開始時及び10秒ごとに回避不能の全ステータス15%低下デバフを与えてきます。

 このデバフは累積するため、解除手段が無い場合最終的には全ステータスが90%低下します。

 デバフを解除する方法、もしくはデバフを帳消しにするだけのバフが必要となります。

(ⅲ)行動パターン:

 ボス本体は一般的なトレントモンスターと同じく、根による叩きつけ及び花弁による範囲攻撃を行います。

 取り巻きの兵士は銃撃を行います。銃撃のダメージは固定値50+こちらのデバフの合計倍率なので、初期被ダメージ155、最終被ダメージ680となります。

 更に、兵士の攻撃頻度は毎秒10発と高めなので、早い段階で処理してしまわないとボスに攻撃を加える前にHPが尽きかねません。

 

「っと、これで後は最終日の準備だな」

「飛燕、大丈夫なの? 今のところ3ボス全部碌なスコア出てないけど……」

 

THE-HARDEST-PUNCHER(ザ・ハーデスト・パンチャー)』開催3日目。今日も今日とてボスへの挑戦権を検証のために消し飛ばした俺は、最終日に向けて計画を立てていた。

 

「まあ、それに関しては抜かりなく。前々からチマチマ育ててたペットもようやく育ち切りそうだし」

「……間に合わなそうなら手伝うけど?」

 

 今日も今日とて攻略サイトへの攻略情報の記載が終わったら、黒化ボスでペットのレベリングだ。

 ナギの申し出はありがたいのだが……

 

「いや、大丈夫だ。後3日もあれば十分間に合うし、イベント終わってから手合わせする時にナギを驚かせてやりたいからな」

「そんなに凄いの?」

「ああ。今の俺のビルドにぴったりのペットが見つかったんだ」

 

 とまあ、そんな談笑をしているとギルドの扉が開く。入って来たのはシルクさんとアーテルさん。そして今日も今日とて気合とか根性とか勇気とか、まあそんな感じのサムシング的な何かでボスをしばき倒してきたであろうレグルスさんだった。

 

「頼まれてた録画持ってきましたよ」

「事前情報以上に厄介なボスでしたね」

「そうか? カタログスペックだけで、実際戦ってみりゃ案外何とかなったぞ?」

「「「「それはレグルスさん(あなた)だけです」」」」

 

 全くこの人は……将来的に【月下の門】最強はこの人になるんじゃねーの? 

 

「まあ、お二人の挑戦、見させてもらいましょうか」

「だね。二人とも今日のボスとは結構相性いいもんね」

 

 報酬のレア素材と引き換えに録画データを貰い、早速再生することにした。

 先ずは……シルクさんからにするか。

 

 ◇

 

「1番、起爆」

 

 連れて来たテイムモンスターの一体、蝶の姿をしたモンスターに自爆命令を出す。

 このモンスターは麻痺特化。ダメージはほぼない代わりに極限まで麻痺の成功率と持続時間に振り切った、頼りになる子です。

 私のビルドじゃ取り巻きに動かれると対応できませんし、動かれる前に動きを止めてしまいますよ。

 

「2番は取り巻きに集中。3から5番はボスの方へ。6番とシラトは待機です」

 

 2番──火力特化のムカデは取り巻きに。3番──妨害特化のホタルと4番──炎上と出血特化のスズムシ、そして5番──火力特化の蛾はボスに。

 6番──毒特化の蜂とシラト──ペットの蛾は後々を考えて、分身を温存するために待機です。

 

「狙い撃ちます」

 

 ペットとテイムモンスターに命令したら、すぐにボスへの狙撃を始めます。デバフは貰っていますが、ダメージではなく毒の付与が目的です。それに、そもそも銃系はダメージにステータスが殆ど関与しませんからね。

 

 ペットとテイムモンスターの方も同様です。自爆ダメージは固定ダメージなので、デバフではダメージは落ちません。ダメージに関係するのは自爆時のHPと、爆発系ダメージを上昇させるペットスキルやスキルのみ。

 状態異常の方はこちらの付与率とあちらの状態異常耐性のみ。こちらも、デバフはダメージには影響しません。

 

 改めて列挙してみると、状態異常特化はこのボスに対して最適解レベルなのではないでしょうか。

 唯一の欠点は、戦闘時間が1分と短いので極端にダメージに特化した構成でなくては余りダメージが伸びないところでしょうかね。

 

「6番、シラト。攻撃準備」

 

 で、今から使うのが極端に特化した構成の秘策です。

 背中に背負った木箱──蟲箱から取り出したのは、糸玉。蚕のペットが作成した、毒の効果を引き上げる糸のアイテムを巻いたものです。

 

「これが私の蟲繰りです! 蚕毒啾々!!」

 

 ボスに向かって投げつけた糸玉に、6番とシラトの分身が突撃し、自爆します。

 6番は毒特化。ペットのシラトは毒の付与と、付与されている毒の強化に特化しています。

 具体的には、6番の方は毎秒100ダメージの毒を付与する攻撃が自爆1回につき4ヒット。シラトの方は毎秒50ダメージの毒を付与しつつ付与されている毒の効果を1.05倍にします。

 6番の毒も、シラトの毒と毒強化も、全部重複するので上手く付与できれば大ダメージを叩き出すこともできます。

 

 因みに今回6番は、分身は最大の600体出てたので計2400ヒット。このボスへの毒の付与率は体感6割程、今回は少し上振れて1500と少しの毒が付与されています。

 シラトの方は、分身は同じく600で計2400ヒット。毒は、こちらは下振れて1200程度。ですが、毒強化が2000回分入ったので6番の毒は全て(1.05)^20で約2.65倍。シラトの毒への強化は、計算が面倒なので詳しくは分かりませんが多分平均1.63倍くらいだと思います。

 私のスキルで私とパーティーメンバーの毒の効果が65%上昇しているので、割と雑な計算ですが今の一連の攻撃だけで毎秒81万程度のダメージを与える毒を付与したことになります。

 残り秒数は45秒なので、これだけで3600万ダメージになりますね。

 これだけ見るとかなりの大ダメージに見えますが、実際にはそうでも無いんですよね。

 

 抜刀術を使っている一般的なStr型プレイヤーがフルバフ状態で《奥義抜刀・王道楽土》を使用して出せるダメージは凡そ3000万から5000万。特化したプレイヤーなら1億は出ますね。

《殉教》込みではありますが、抜刀術プレイヤーが一瞬で出せるダメージを45秒かけてじわじわ出す、と言えば状態異常ビルドのダメージはそこまででも無いというのは分かると思います。

 

「1番は花弁の攻撃を優先的に潰してください。2番もボスを攻撃」

 

 取り巻きの処理が終わったので、取り巻きに集中させてた1番と2番もボスに集中させます。

 さっきはああ言いましたが、今日のボスに対してなら最適解クラスのスコアが出るのは事実です。

 なんせ、デバフでステータスが下がる関係で、デバフを逐一解除するかデバフに影響されないダメージソースを持ってくるかが最適なのが今日のボスです。

 先ほども言いましたが、虫系ペットのダメージソースは基本的にデバフではダメージは落ちません。

 

 それに、パーティープレイ前提なら普段使いでも悪くは無い戦闘能力にはなるんですよ。

 あちらはダメージ特化構成ですが、第5回イベント*1ユニーク称号エキシビション午後の部では虫系ペット特化構成の【牧場主】時雨さんが1位でしたしね。

 

「ラストスパートです。リソース吐き切る勢いで行きますよ!」

 

 ライフルから連続して状態異常弾を放ちます。これまで使っていた毒弾だけでなく、先ほど投げた糸玉と同様毒効果を引き上げる銃弾。それと、状態異常耐性を数秒だけとは言え引き下げる《呪陰弾》*2のアイテム版とでも言うべき銃弾です。

 

 少しでもダメージを伸ばすため、ペットとモンスターに細かく指示を出しつつ、バフを飛ばします。それと並行して、銃弾を叩き込む手も休めません。

 正直私の空間認識能力展開率では結構無茶な挙動をしているのは自覚してますが、折角相性のいいボスと戦えるんですから、出来る事なら1位取りたいじゃないですか。

 

 

 そんなこんなで頑張って出したスコアですが──

 

「これは……すぐに抜かれちゃいそうですね。もっと効率良いビルドを考えなくては」

 

 ──正直に言えば、ちゃんとした神官戦士のようなビルドの人が本気で戦えばすぐにでも抜かれてしまうようなスコアでしかありませんでした。

 

 毒強化をもっと頻繁に撒くべきでしたでしょうか? 連れてくるモンスターをもっと毒特化にして、取り巻きも毒で倒すべきだったでしょうか? 

 少し考えただけでまだまだ改善点が見つかりますね。私もまだまだ精進が足りませんね。

 

 ◇

 

「確かシルクさんは【紋章術】系のスキル育ててましたよね」

「ええ。【コート・オブ・アームズ】ですね。飛燕くんと同じ最終進化系ですよ」

 

 シルクさんの録画を見終わった俺たちは、折角なのでシルクさんのビルドの相談に乗ることにした。

 

「でしたら、ボスの攻撃は全部《障壁》で止められますし、取り巻きの攻撃も《障壁》でジャムらせれば無力化できるのでテイムモンスターの5枠全部毒特化でもいいと思いますね」

「いや、流石にシルクちゃんにそれはキツイんじゃない? 1体くらいは麻痺特化連れてった方が良いんじゃ?」

 

 まあ、結局のところ理論上最高スコアを出すなら【空間認識能力】をもっと鍛えないといけないって結論になるんだけどな。

 

「そうですね……後3日で可能な限り空間認識能力を鍛える事にしましょう。飛燕くん、ナギちゃん、手伝って貰えますか?」

「自分で提案したんですし、当然大丈夫ですよ」

「私も勿論!」

 

 シルクさんの空間認識能力を鍛えるとなると……《障壁》同士の干渉で打ち消し合わせる練習が一番かな? 

 

「じゃあ、私の事は後でいいのでアーテルさんの録画も見ましょうよ」

「っと、そうだな」

 

 ヒーラー系ビルドのアーテルさんがどうやってダメージを出したのか。気になってたんだよな。

*1
極振り本編ラストのPvPイベント

*2
極振り本編でセナさんが使っていた拳銃系のアーツ。『第177話 空雨銀閃』より




 因みに今話、毒の効果が思ったより強くなりすぎて5回くらい下方修正してます。
 それと、来週は共テなのでもしかしたらお休みするかもしれません(受験生ならこんなん書かずに勉強しろ)(息抜きも必須だろ)

≪追記≫
 息抜きに小説書いてたら思ったより書き溜め作れたんで来週も投稿します。何か2月末まで持つくらい書き溜めが出来ちゃったので。

<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・ファーストストライク・AOE
 凍京ネクロSMでは足の速い取り巻きと、デバフ与えてくるボスって構成のボスだった。
 有栖之宮の夜舞アリス(足早くて、単体で初動でAS(必殺技的な奴)使えて、被ダメごとにリジェネとバフと反撃するっていう、相当スペック高いキャラ)が取り巻きに速さで負けててダメージが碌に出なかった記憶がある。

・蚕毒啾々
 シルクさんの元ネタである、凍京ネクロSMの『蝶名橋オシラ』のAS。
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