逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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 本話は割と原作イベントの改変があります


第4話『おかしいだろ(でしょ)NWO!!!』

「ってな感じでNWO始めたので」

「何やってるの!?」

 

 NWOを始めた翌日の朝。学校にてNWOで行ったことを本条さんと白峯さんに報告したところ、白峯さんに盛大なツッコミを受けた。何故だ。解せぬ。

 

「いやまあ確かにそういうスタイルならギリギリを見極めるのが重要ってのは分かるけど、1刻みで検証までは普通しないでしょ!」

「いや、他のゲームと違って情報なんかがかなり不足してるから、じゃあ自分で調べるしかないよね?」

「いやそうはならないでしょ!!」

 

 まあ確かに自分で細かく検証するのは普通じゃないのは分かるが、本格的に始める前に下調べをするのはいたって普通だと思うのだが……

 

「まあ、それは置いといてさ。今日からメンテナンスなんだよね。私たちはメインでやってるゲームの方するつもりだけど、二人はどうするの?」

「私は情報収集したり、育成計画考えたりかな? 楓は?」

「う~ん……考えてないや」

 

 夕凪が話を逸らしてくれたので、どちらがおかしいのかはうやむやになった。そしてNWOがメンテ中の予定。うん、嘘は言ってない。UPO内でNWOの情報を掲示板見てwikiにまとめるつもりなだけだ。リアルでやるより自由にウィンドウ配置出来て時間加速もあるUPOでやった方が効率がいいからな。ただし『エコノミー』にだけは注意しないと作業効率が落ちちゃうからな。あぁ……Crescent Moon社のVRの作業スペース、結構なお値段だけどやっぱり欲しいなぁ。

 

「そういえば一つ疑問だったんだけど」

 

 そんな風に物思いにふけっていると、白峯さんが夕凪に質問をしていた。

 

「ナギって確かAglは最低限しか無いんだよね」

「うん、そうだね」

「じゃあ、何でイベントの映像だと結構高速移動出来てるの?」

 

 え? ナギがやってるのって結構な有名テクニックだと思っていたんだが……UPOだけだったのか? そう思って夕凪の方を向くと夕凪は首を横に振った。どうやらNWOがおかしいだけのようだ。

 

「NWO以外のゲームだと、割と有名なテクニックだったりするんだよ? コレ」

「え、そうなの!? どうやってるの?」

「Str任せに地面を蹴れば、反動で結構な勢いで移動できるんだよ。まあ、十分なVitなり反動ダメージを軽減するスキルなりが無いと、反動で結構HP削れるけどね」

 

 そう。【裁断者】や【スローター】も普通にやっている高Str低Aglキャラ御用達の瞬間的な速度を得る方法。反動移動やら反作用走法やら呼ばれてたりする移動法だ。ナギはこれをよく使っているし、俺も【爆破卿】式紋章スケボーでの移動も多いがこの移動法だって頻繁に使用している。むしろ白峯さんが知らなかったのが驚きだ。

 

 ◇

 

 そんなことがあった二日後。メンテ中の二日にスレの情報は粗方纏められたしイベントまでの予定も経てたし、タカキも頑張ってたし俺たちも頑張らないと。なんて冗談は置いといて、準備万端だと意気込んでNWOにログインしたメンテ明け。ナギから某止まらない団長のAAが送られてきたのは見なかったことにする。うん。こっちはポルナレフのAA送ったけど見なかったことにする。

 

「私たちはまだ見てないんだけど、二人はもうイベントの告知見た?」

「ううん、私たちも今から見るところだよ」

 

 待ち合わせ場所のカフェでメイプルさん、サリーさんとの打ち合わせを行う。カウンター席に座ってるのが第一回イベントでの四位と六位だったのは見なかったことにする。うん、聞き耳を立ててるのも気付かなかったことにする。一応ナギに『気をつけろ』と目線を送ると『分かってる』と目線が帰って来た。ついでにメイプルさんとサリーさんの方に耳を傾けると、どうやらここにいる全員が第二回イベントの予告を見ていなかったので、メニューのお知らせから最新のものを開く。

 

「へー、次はサバイバルイベントなんだ」

「メダルを探すイベントなのね」

 

 ……は? えっ……は!? 全く訳が分からない。というかこの運営は正気なのか? メイプルさんとサリーさんが何か話し合ってて、俺とナギに話を振ろうとしていることなんて既に意識の外。数秒の思考停止の後、俺の手は自然に動いていた。俺は脳内に『飛燕.exeは動作を停止しました』という文章を浮かべながらログアウトボタンを押し、カセットをUPOと入れ替えログイン。コンマ1秒もズレなく全く同じタイミングでログインしてきたナギとアイコンタクト。大きく息を吸って、吐いて、もう一回吸って……

 

「「おかしいだろ(でしょ)NWO!!!」」

 

 俺とナギの叫び声がメフテル*1に響き渡った。

 

 ◇

 

「で、一体何があったんですか?」

 

 日課の花火ルを終えて店番でもしようかと考えながら【すてら☆あーく】に向かっていた俺は、町の中心で叫んでいる飛燕さんとナギさんを見つけ話を聞こうとギルドに連れて来たのだが……

 

「あぁ……うん。何て言うかなぁ」

「うん。何て言うかねぇ……本当に何なんだろうねぇ」

 

 かれこれ5分ほどこの調子なのだ。一応注文だけはちゃんとしてくれたのだが……

 

「はい、お茶とお団子。NWOが今度は何しちゃったの?」

 

 注文の三色団子を持ってきたセナも質問をする。状況から考えてNWOで何かあったのは確定的に明らか。今度は何やらかしたんだ? スキルか? それとも装備か? 

 

「えっとなぁ……」

「えっとねぇ……」

「「探索イベントで探すアイテムが1%にも行きわたらない」」

「「……え?」」

 

 探索イベントという事はUPOでの第二回イベントのような感じだろう。それで探すアイテムが1%にも行きわたらないということはそのアイテムを奪い合う争奪戦のようなイベントなのだろうか? いや、それだとこの二人がこんな風になる訳が無い。だとすると……どういうことだ? 

 

「ああ、これじゃ説明が足りないですね。NWOの次のイベントは探索イベント、広大なフィールドを一週間かけて探索するイベントです。メインはメダル捜索、フィールド上に隠されたメダルを集めて10枚集めればイベント終わりに装備やスキルに交換できるみたいです」

「メダルはPKで奪い取れて、第一回イベント上位勢は最初からメダルを持ってるんだって。リスポンに回数制限は無いけど初期位置に戻されるよ。因みにリアルでの経過時間は2時間だから時間加速は84倍だね。後、交換ラインナップは100種類ってこと以外は非公開だって」

 

 二人の補足説明を聞くに、件の探すアイテムというのはメダルのことで間違いないだろう。だとするとそれが1%にも行きわたらないというのはどういうことか。

 

「後……メダル以外にもアイテムやらスキルやらが隠されていたり、最初からメダルを持っているプレイヤーが最後にメダルを失っていたらメダル5枚を獲得できるとかありますね」

「第一回イベント1~10位はメダル10枚分の価値の金のメダル、11~20位はメダル5枚、21~50位はメダル1枚って違いはあるけど第一回の上位陣はすごく有利だね。で、一番問題なのが」

 

 二人が一拍置いて言う。

 

「「フィールドに隠されたメダルの総数が300枚ってことだな(ね)」」

 

 うん。これに関しては素直に言わせてもらおう。NWOの運営はバカだとかそういうレベルじゃない。大バカだ。

 

「それって、え~っと……NWOって初回ロッドは」

「5万本だね。今は第三陣まで入ってきてて、ソフト総数は12万5千本だったはずだよ」

「そのイベントって参加条件ってあったりしますか?」

「二層到達済みじゃないと参加できませんね。因みに、二層に行くためのボスは巨大なシカで、最初はツノのリンゴを落とさないとダメージが通らない上、一回だけ復活して復活後は発狂モードになる割とクソボスです」

「じゃあかなり少なめに、ソフト総数に対するプレイ人数を半分、二層到達人数を4分の1、イベント参加人数を更にその半分だと仮定するとイベント参加者は……7800人くらいですね」

「で、メダルの最大数は……300+(10×10)+(5×10)+(1×30)+(5×50)で730枚。つまり交換できる最大人数は73人だから……」

「確かに1%にも行きわたらないですね。じゃあそれ以外のスキルや装備が多い……とは考えにくいですね、あの運営だと」

 

 この予想は大分どころかあり得ないレベルで甘く想定しているから、実際には0.5%切る可能性すらあり得るだろう。その上それ以外にもあまり期待ができないとなると……

 

「このイベント、84倍の効率でレベリングが出来る以外にメリットありますか?」

「無いですね。一応仕様悪用して談合したりは出来そうですが、基本的にモンスターもプレイヤーも見つけ次第皆殺しが一番効率がよさそうです」

「私としてはもう内容云々よりどうやって時間加速84倍なんて実装したのかの方が気になるんだけどね」

 

 ナギさんはもう内容に関しては思考を放棄して、時間加速84倍の方に興味を移したようだ。確かに効率を求めるなら談合か皆殺しかって、真面目に考える方が馬鹿らしくなるけど、

 

「時間加速はCrescent Moon社しか実用化出来てない技術だったはずですし……あの高いライセンス料払ったんでしょうね。倍率に関しても、今の運営サーバーは加速100倍とかいってるらしいですし」

「じゃあ、わざわざそこまでしておいて肝心の内容が『広大なフィールドでメダルを捜索』よりも『広大なフィールドでメダル争奪戦』の方が正しいような内容なんだね」

 

 これは本当に流石としか言いようがない。案の定タカ●トミーの再来とまで言われたとんでも具合は健在のようだ。

 

「ところで、お二人はイベントまで何するつもりですか?」

「知り合いが割と効率良いレベリング場所知ってるので、そこでレベリングしようかと。色々と試したいこともありますし」

「12体で6レベまで上がる上に火力皆無でもワンパンできるモンスターが湧く場所があるんですよ。しかも、町からあまり離れてない場所に。流石に10を超えてからのレベリングには効率が悪いみたいですけど」

*1
UPO第2の街。極振り原作における主人公『ユキ』の所属するギルド『すてら☆あーく』がある街であり、数少ないユキによる爆破被害に合っていない街。又、唯一今後も爆破被害に合う可能性が無い街である




 あれ…? 何故私は今話の半分をユキ視点で書いてるんだ? そして何故NWO内の描写が頑張って増やして700字程度なのにUPO内の描写が2000字いってるんだ?
 作中でもセナ=サンが言ってますが、『メダル探索イベント』じゃなくて『メダル争奪戦』の方が正確にイベント概要を言い表せてると思う。後、大量の独自設定でメダル枚数を大幅に水増ししても交換の100種類に届かないのホント何なの…

<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・地面を蹴った反動で高速移動がNWOでは知られてない
 極振りでは普通に出てきたけど防振りではこんな描写見たことなかったため。これが広く知られてるとなると、名前忘れたけどStr極の黒白姉妹が高速移動することになるのか。

・第一回イベント11位~50位までのメダル&最初から持ってたプレイヤーが終了時に失ってた時のメダル
 メダル枚数の水増し+ナギによって順位が繰り下げになった文の帳尻合わせ+オリキャラ達に上位陣をPKさせるつもりだからその分の帳尻合わせ。ここまで無茶苦茶な独自設定でも1.8倍程度…もうちょっと増やしてもよかったかもしれない。

・NWOの初回ロッド
 アニメでは描写の問題だろうけどそこまでプレイヤーでごった返すような様子は無かった。取り合えず親の本棚から拝借した『出遅れテイマーのその日暮らし』1巻に書いてあったLJOの初回出荷分の本数を参考にした。

・時間加速
 極振り第23話の『体感時間の加速、フルダイブ型のゲームが実現した今ですら空想の産物とされていたそれが実装されたのだ。』に準拠し、NWO運営は自社製の時間加速を実現できずにUPOの運営会社であるCrescent Moon社にライセンス料を払って使っていることにした。

<追記>
 極振りを読んでいない本作読者がある程度いるようなので『メフテル』についての説明を脚注として追加。
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