逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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第54話『さて……ナギ、MP残量は?』

 

《ダンジョン『徘徊する狂気の寺院』》

《現在の当ダンジョンの踏破者 : 0》

《現在のダンジョン内にいるプレイヤー : 10》

《ダンジョン難易度 : 12/10》

《ダンジョン踏破率 : 100%》

《ダンジョンボス : 鍵にして門たる外なる邪神Lv120》

 

「ゲージ3本目! ナギは位置取り頼むぞ!!」

「分かってるよ! 飛燕こそ、体力調整ミスらないでね!!」

 

 ダンジョン『徘徊する狂気の寺院』のボス【鍵にして門たる外なる邪神】。

 1ゲージ目は単純に避けにくい攻撃、2ゲージ目は空中にいると即死レベルのダメージを喰らう攻撃。とくれば3ゲージ目は当然“地上にいると即死レベルのダメージを喰らう攻撃”である。

 より具体的に言うならば、地上付近に薄紫の瘴気が立ち込め、それに触れている間1ヒット3000程度の超多段ヒットダメージを受けるのだ。

 これまたヒバリの【燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや】で無効化できるため、2ゲージ目と同じ手法で超余裕……とはいかないのである。

 

 なんとこのボス、2ゲージ目と3ゲージ目を削り切るのにかかった時間が一定を超えると、4ゲージ目の間バフがかかるのである。

 バフの詳細は、全ステータスに5倍補正&耐性の【全ダメージ半減】が【ダメージ上限設定:5000】に変換というものである。つまり、レイドボス由来の超絶高いステータスが更に馬鹿みたいに高くなった上で、どれだけ大ダメージを与えようと1ヒットあたり5000までしかダメージを与えられなくなるのだ。

 

 このバフが発動すると俺とナギの戦力では到底4ゲージ目を削り切れず、かといって2ゲージ目と3ゲージ目を規定時間内に削り切ろうと思うとナギのリソースをかなり消費する事になり5ゲージ目が到底削り切れない。

 

 故に、俺とナギが辿り着いた攻略法とは──

 

「“ヒバリから香に入れ替え”、からの【融合炉心】! ナギ!!」

「分かってる! 【熾凍ノ逆鱗】全開!! ハァッ!!」

 

 ──大ダメージにより4ゲージ目を飛ばすことである。

 

「そうだなぁ……名付けて、紅牙裂空! なんてね」

「グリモアさんみたいなこと言ってないで、早く位置取りしてくれ」

 

 タネはこうだ。

 まずは俺が、武器への融合ペット“香”を使いハヤテと融合。【空ヲ翔ケル】【チャンバー】【覚醒】【オーバードーズ】の火力増強につながるスキル/ペットスキルをフル起動。

 続いてナギが、背水スキルである【熾凍ノ逆鱗】を最大倍率で起動。そして俺と同じように、【竜ノ翼】【覚醒】【オーバードーズ】の火力増強につながるスキル/ペットスキルをフル起動。

 何重にもバフを盛り火力を底上げした上で、速度による威力補正と弱点を攻撃したことによる補正。そこにクリティカルが乗れば、3ゲージ目ミリ残しからギリギリ4ゲージ目を削り切れるという訳だ。

 ……そう。()()()()()()()()()()だ。運が悪いと、ここまで来て最初からやり直しになってしまうのだ。正直精神的に大分キツイ。ただ、これ以外に有効な手段が無いのも確かなので頑張って運ゲーで攻略中である。

 

 因みに4ゲージ目を飛ばすのはもう1つ理由があるのだが、それは後程。

 

「さて……ナギ、MP残量は?」

「3割くらいだね。【覚醒】のこと考えると【悪食】【肉風船】は使えて4……いや、ギリギリ5回かな? 飛燕は?」

「香はMPなくなったからもう肉壁くらいしか出来ることないな。ヒエンとヒバリはちょっと心許ないけどまだいける。白・刻・嶺は使ってないから万全だ」

 

【主人ノ僕ハ我1ツ】のデメリットでペットが1体しか持てないナギとは違って、色々なペットを育ててるタイプだからまだまだリソースには余裕があるぞ! 

 まあ、5ゲージ目はその余裕を吹っ飛ばすくらいえげつない行動してくるんですけどね。

 

「うぅ……そういうの聞くとこういうイベントじゃぁ【主人ノ僕ハ我1ツ】持ちが不利なのが改めて実感できるよ……」

「その分通常プレイで強いんだからお相子(あいこ)だろ。普通のペットは【魔力核】全部*1と【あなたと共に】【忠誠ノ誓イ】*2積んだら自由枠1つしかないんだぞ? 【覚醒】ほぼ確定で入る奴なんてスキル枠はほぼほぼ確定なんだぞ?」

「それはよ~く分かってるよ。その分プレイに自由さは無いけどね!」

 

【主人ノ僕ハ我1ツ】のメリットは『スキルを追加で8つ取得できる』というもの。これの恩恵が非常に大きくて、現在の完凸ペットでもスキル枠は7つ。実に倍以上のスキルを取得できるというのは大きな利点となる。

 ナギとの会話でも言った通り、ペットのスキル枠はほぼほぼ必須スキルで埋まっている。それを削らず欲しいスキルを入れられるのは非常に大きい。

 まあ、その分ペット枠が1枠しかないから基本的に残機も普通より少ないし、ペットが出来る事も限られるわけだから、どっちにするかは自分のビルドと要相談って感じだな。

 

 閑話休題。

 

【鍵にして門たる外なる邪神】の5ゲージ目は、形態移行時とHPが1/5減少するたびにプレイヤー全体にSAN攻撃を飛ばしてくる。確定じゃないけど恐らく1d8/3d10くらいのもので、運が悪いと今までのSAN減少分と合わせて永久発狂*3。運が良くても一時的発狂は避けられない*4

 

 その上で、最初の1/5の間は不可視の衝撃波と弾幕による攻撃を不規則に行ってくる。ここまでならまだある程度パターンで回避できる。

 

「危なっ! やっぱり衝撃波は避けずらいな」

「飛燕のペットは皆HPもVitも高くないもんね。ライフで受ける! も気軽に出来ないしね」

 

 ……回避できる(回避できるとは言っていない)。5ゲージ目の衝撃波は1ゲージ目の衝撃波よりも【空間認識能力】に映りにくいため、回避が難しい。

 避けにくい分火力もそこまで高くないが、俺のペットは耐久に乏しいものが多いため、そのそこまででも無い火力でも致命傷になりかねない。

 

「しょうがない。安定取って嶺使っとくか。次は2ゲージ目モードだし」

「リソース満タンならまだ大分余裕あるもんね」

 

 しょうがないのでヒバリと並んで耐久がある方なペット、嶺に変更する。今の被弾ペースならMPリジェネが十分間に合う……はず。

 

 そしてリソースを節約しつつ削り続け3~4分程。

 HPを1/5削ればSAN攻撃からの行動パターン変化だ。2ゲージ目と同じタイプの霧を発生させたうえで、当たると状態異常を喰らう衝撃波を繰り出してくる。

 この形態も2ゲージ目と同じくヒバリで余裕……とはいかないのがこのボス。1ゲージ目モードとは異なり衝撃波は不可視では無いものの、衝撃波の頻度が2ゲージ目の頃と比べて非常に上がっている。ヒバリでは状態異常回復が間に合わずジリ貧になってしまう。……えぇ。なってしまうのですよ(5敗)。

 

 で、だ。1/5~2/5はさっきも言った通り2ゲージ目と同じく飛行禁止+状態異常。2/5~3/5は3ゲージ目と同じく地上禁止+状態異常。

 この2つならダメージエリアを避けつつ殴っていれば比較的楽に削ることが出来る。だが……

 

 

 だが、3/5~4/5の形態はこれまで以上に鬼畜極まる鬼使用。先ほど飛ばした4ゲージ目の行動を、更に鬼畜にした行動を行ってくるのだ。

 ここで、先ほど4ゲージ目を飛ばした理由の2つ目が関わってくる。4ゲージ目の行動は、不可視の衝撃波・時空の歪み? のような地雷・局地的な霧又は瘴気をランダムに5~10回→扉召喚→扉からランダムな“外なる神”を召喚→ランダムな5~10回行動に戻る。というものだ。

 召喚される邪神は『ニャルラトホテプ』『シュブ=ニグラス』『ダオロス』の3種類。効果はそれぞれ攻撃+デバフ・取り巻きとして【The Dark Young】──黒い子山羊を1~5体召喚・1分間12秒ごとにSANを1d10喪失、というもの。

 

 この中で特に厄介なのはほぼ確実に発狂することになる【ダオロス】だ。正直、コレが出た瞬間負けを確信するレベルだ。

【ニャルラトホテプ】はデバフが厄介だが、攻撃自体は比較的回避しやすいし慣れれば一番楽だった。これはデレ行動扱いでもいいと思う。

【シュブ=ニグラス】の取り巻き召喚も厄介と言えば厄介だが、【ダオロス】に比べればかなり楽なので厄介度で言えば中ぐらい。【ダオロス】召喚されるよりは断然ありがたいのでこれが出ても大分嬉しい。

 

 それ以外の行動も厄介だ。不可視の衝撃波は言わずもがな、地雷はありとあらゆるゲームで忌み嫌われる行動なのでお察し。霧と瘴気は2・3ゲージ目のものなので直撃すればほぼ即死だ。

 

 

 度重なる失敗を経て俺とナギが導き出した攻略法は──

 

「よし来た、今! 今!! 今!!!」

「殴れ殴れ! 出来れば3回以内!! 3回越えたら【ダオロス】出る確率が7割超える!!!」

 

 ──唯一攻撃が止まる門召喚のタイミングに、一気に殴り切ることである。

 攻撃のタイミングでは回避に専念。門召喚のタイミングでのみ一気に殴り切るのだ。多少時間はかかるが、下手に殴る方に意識を持っていかれてHPを削られるよりはまだマシだ。

 え? 削り切るまでに【ダオロス】が出たら? ……運良く被害の小さい発狂内容引かない限りは諦めて死ぬしかないな。ここで発狂したら流石に無理だ。

 

「飛燕、ニャル様出たよ!」

「こっちでも確認した! 攻撃はパターンAで時計回り!!」

「了解!!」

 

 ニャル様をデレ行動扱いしているのは、攻撃がある程度パターン化できるからでもある。

 5つのパターンに分けられた上で、更に攻撃の順番が時計回りと反時計回りに分けられる。その上で、5つあるパターンの内3つは最初の2回の攻撃で、残り2つも続く2回の攻撃で判別できる。

 この性質のおかげで初撃さえ回避してしまえば後は非常に容易く回避できる。

 

 

【ニャルラトホテプ】【ニャルラトホテプ】【シュブ=ニグラス】【ニャルラトホテプ】というとんでもない幸運なパターンを引き当て、ようやく最後の1/5に到達したのだった。

 


 

 =========================

 

 Name:(きょう)

 Race:ポーラーナイト・シーカーオウル

 Master:飛燕

 Lv 60/60

 HP 2500/2500

 MP 2500/2500(5000)

 Str :50 Dex :300

 Vit :25(15) Agl :500

 Int :50 Luk :100

 Min :25(15)

 

《ペットスキル》

【音響探査:地形】【音響探査:宝物】【音響探査:階段】【音響探査:モンスター】【夜目】【無音飛翔】【幻身】【地獄耳】

【極夜】

 隠密効果強化(極)

 

《スキル》

【忠誠ノ誓イ】【魔力核】【魔力核Ⅱ】【魔力核Ⅲ】【魔力核Ⅳ】【覚醒】【この身を捧ぐ】

 

《装備枠》

 頭:【姿隠しの耳飾】Vit-10 隠密補助

 足:【姿隠しの足飾】Min-10 隠密補助

 

 =========================

*1
合計MP+100%

*2
両方残機スキル。2つともとると1体で残機2つになる

*3
SAN0。クトゥルフ神話TRPGでは事実上のキャラロス。UPOでは多分強制発狂? SAN0になった描写が『記念番外編 れーちゃんと翡翠のどきどき☆くとぅるふくっきんぐ』しかないからよく分からん

*4
一時的発狂はSAN値が一度に5以上減少すると発症する。1d8なら発狂するかは5分5分だけど、事前にかなり減らされてるのでSANチェックの成功率は低い。3d10で5未満を出すのはもはや絶望的な確率。[1,1,1]か[1,1,2]しか無い




<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・3ゲージ目で展開してくる薄紫の瘴気
 元ネタは『クトゥルフ神話RPG瘴気の海に眠る少女』。研究所パートで立ち込めてる瘴気がモチーフ。
 因みに作者は全称号コンプ済みで、現在2作目にあたる『血塗られた天女伝説』の全称号コンプに挑戦中です。そっちも既に8割がた終わってるので近々3作目『水晶の呼び声』の全称号コンプに入る予定。
3作全部名作だったのでおススメです。

・不可視の衝撃波
 コレも元ネタは『瘴気の海に眠る少女』。ラスボスのヨグ様が不可視の衝撃波を放ってHPダメージを与えてくる。
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