逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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 ※今話には火薬と爆薬についての解説がありますが、wikiを見ながらにわか知識で書いたので間違っている部分もあると思います。興味がない人は読み飛ばすことを推奨します。何か900字くらいに膨れ上がったので。


第5話『普通にボウフィッシングと洒落込むか』

「「ここがあの女のハウスね」」

「「あの女のハウスって何!?」」

 

 第二回イベントまで残り一週間。レベリングのために訪れた洞窟での俺とナギの発言に、メイプルさんとサリーさんは鋭いツッコミを入れてくれた。

 

「じゃあ、まずはこれだな」

 

 そう言って取り出したのは二つの爆弾。片方は店売り品そのままだが、もう片方は……ポーション瓶に紙が詰まっているものだった。

 

「その爆弾、何なの?」

 

 サリーさんが質問を投げかけてくる。

 

「爆破漁って爆破の衝撃で魚を殺したり気絶させて取る漁があるんだ。基本、ダイナマイトを使うからダイナマイト漁とも言うんだが、それがNWO内でも使えるかどうか検証するための普通の爆弾と水中対応の爆弾」

「普通の爆弾は水中だと爆発しない可能性が高いからね。爆破には一家言ある人が知り合いにいるんだけど、その人と相談しながら考えて昨日夜なべして作って来たの」

「水中対応の爆弾って?」

 

 メイプルさんからの疑問の声。まあ、当然だろう。件の爆破に一家言ある人の受け売りではあるけれど、解説しよう。

 

「先ず断っておくが、これからするのは現実(リアル)での火薬の話になるからな。最初の火薬である『黒色火薬』は木炭と硫黄、硝酸カリウムの粉末の混合物で、反応は“燃焼”よりも“爆轟”だからどちらかと言うとこれは“火薬”じゃなくて“爆薬”に近いんだ。で、黒色火薬の燃焼速度の速さを改良したのが『褐色火薬』で、黒色火薬の木炭を褐炭に変えたんだ。ただ、これも所詮黒色火薬の改良版でしかなかったから現在軍事用とで使われているのは『無煙火薬』という火薬で、ニトロセルロースのみの“シングルベース火薬”、ニトロセルロースとニトログリセリンの“ダブルベース火薬”、ニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログアニジンの“トリプルベース火薬”ってのがあるんだ。因みにニトロセルロースは脱脂綿なんかのセルロースを硝酸と硫酸の混酸でニトロ化したもので、ニトログアニジンはグアニジンにニトロ基が置換した化合物だな。黒色火薬と褐色火薬は湿気に弱くて、湿気を含むと発火しなくなって結果的に爆発しなくなるんだ。無煙火薬なら酸素をニトロセルロースが持ってるから水中でも湿気を含んでいても爆発するんだが、このゲームの火薬は件の爆破に一家言ある人に見てもらったところ黒色火薬っぽいから水中では多分爆発しないんだよな」

「“火薬”は“燃焼”反応を使うもので、“爆薬”は“爆轟”反応を使うものなんだ。爆薬として一番有名なのは、ダイナマイトに使われているニトログリセリンだね。これはグリセリン分子の3つのヒドロキシ基を硝酸と反応させてエステル化させたもので、僅かな振動でも爆発することもある物質で最初は爆薬としては不向きと考えられていたけど、アルフレッド・ノーベルが珪藻土を使ったダイナマイトを考案して実用化されたんだ。湿気を含んでいても爆発するし、衝撃で爆発するから雷管に火薬を使ってなければ水中でも問題なく爆発するね。ニトログリセリンと同じ爆薬に分類されるTNT火薬はトリニトロトルエンを主成分にするもので、トリニトロトルエンってのはトルエンのフェニル基の水素のうち3つをニトロ基で置換したものなんだ。これはC-4なんかに使われてるね。これは」

「ちょっと待ってちょっと待って」

 

 ナギと二人で昨日【爆破卿】から聞いた爆弾についてのうんちくを披露しているとサリーさんから待ったがかかった。

 

「いきなりそんなこと言われても理解できないから要点だけ纏めて貰っていい?」

「「NWO内で火薬を使った水中で爆発する爆弾を作るのは難しそうだったから爆発魔法の符を詰めて魔法的な爆発を発生させるようにした爆弾を作った」」

「じゃあまずは普通の店売り爆弾を」

 

 そう言いながら店売りの爆弾を水中に放り込み、そこに火魔法を放つ。火魔法で爆弾の耐久がなくなったのか消滅エフェクトを発生させながら見えなくなった。

 

「予想通りだね。ちゃんと録画してる?」

「勿論。じゃあ次はこっちを」

 

 今度はポーション瓶を水中に投げ込み、起動キーワードを口にする。

 

「爆破!」

 

 瓶の中に隙間なく、30枚ほど詰められた爆破魔法を込められた符(1つ5000ゴールド)が一斉に爆発し、爆破範囲内にいた魚が次々に死んでいく。しかし、爆破の余波で死ぬ魚はいるものの、衝撃で気絶した魚は見当たらなかった。

 

「これは……失敗かな?」

「ああ。これじゃあこっちも期待はできないな」

 

 そう言いながらアイテム欄から取り出すのは巨大なハンマー。店売り品で一番破壊力があるハンマー(15万G)である。因みにさっきの符やこのハンマーの購入資金はナギに出してもらい、代わりに俺はUPOで【悉燼の燎丘】の素材を提供する予定だったのだが、偶然【爆破卿】の攻略にご一緒させてもらえたことで【尽焼の燎森】素材にグレードアップ出来たのだ。

 

「そのハンマーはどうしたの? ナギは格闘だし、飛燕は弓でしょ」

「石打漁、もしくはガチンコ漁ってしってるか? 《エンチャント・ストレングス》」

 

 サリーさんから投げかけられた疑問に疑問で返しつつ、Strにバフをかける。やっぱり進化後スキルでカスタム性も高いUPOの紋章術に比べると使い勝手はイマイチだなあ。こっちでも使い込めばあんな風に使いやすくなる……のは期待できない気がするな。

 

「《ダウンバースト》!」

 

 風魔法で下方向に叩きつける風を発生させる。装備とアクセサリでブーストしても今の基礎が初期値しかないMPでは8割のMPが持っていかれる魔法。その分威力は強力で、一気にハンマーが加速され、爆音と共に湖底に叩きつけられた。因みにMP特化装備はナギが持ってた各ステータス特化装備を借りました。ついでにナギは今移動をスムーズにするためにAgl特化装備で俺を負ぶって湖まで来て、Dex特化装備に着替えて釣りをしている。

 

「こうやって湖底を叩いたり湖中の石に石をぶつけたりして衝撃で気絶した魚を取る漁なんだが……これ、さっきの魔法の余波で死んだ魚以外はダメージも何も受けてないな」

「じゃあ、間接的な衝撃は発生しない……ってことでいいのかな?」

「多分な。できればもうちょっと判断材料が欲しいが、一応暫定ってことでwikiに追記しとくか」

 

 録画を止め、ちゃんと録画出来ていることを確認し、そろそろ容量がきつくなってきたなあと思っているとサリーさんが不思議そうな顔をしていた。

 

「え? ……もしかして飛燕ってwiki書いてるの?」

「ああ。まだスレの情報とちょっとやった検証の結果くらいしかないwikiだけどな。……っていうかwikiが立てた人と俺しか編集履歴が無いってどんだけ過疎ってんだよ」

 

 その上、立てた人は基本的な雛型を作ってからは一切編集してない始末。UPOの方はもっと色んな人と編集してるから一から自分でやる大変さを始めて理解したよ。

 

「まあ、愚痴ってもしょうがない。普通にボウフィッシングと洒落込むか」

「ボウフィッシングは普通じゃないと思うよ。少なくとも日本では。確かに飛燕ならそっちの方が効率良いだろうけど……」

 

 一先ず検証を終え、ボウフィッシングをしようとしたらナギに突っ込まれた。普通に釣るより、空間認識能力で魚の位置を把握してから弓で射抜いた方が効率が良いんだから当然やるに決まってるのに。というかナギもこのくらいは当然予想してただろうに。

 

「あっ……矢が予想通りの軌道をとってない……」

 

 完璧に弾道を予測して射った矢は、水中で予想と異なる軌道を描き魚から離れた位置を通り湖底に落ちた。これであの挙動するってことは水中の処理は今のVRMMOでメジャーな奴を採用してなくて……多分初期のころにたまにあった奴を使ってるんだろうな。そういやNWO運営の前身の会社は全部アレ使ってたっけ。再度録画を始め、調整しながら矢を射る。割と苦戦した(当社比)けれどもレベルが2桁行く頃には完璧に命中させられるようになった。

 

「そういやここでのレベリングが終わったらどうするつもりなの?」

 

 そんなこんなで何だかんだインベントリ内の鱗がそろそろ2スタック行きそうな頃にサリーさんからの質問。まあ、今回ので数狩るのはそこまで難しくないって分かったし……

 

「モンスターの分布とかドロップとか調べながらレベリングかな?」

「勿論私もつき合うよ。こっちで手伝った分メインでやってる方で手伝って貰える約束だし」

 




 割と真面目(当社比)なレベリング回。ただし文字数の約4分の1は火薬と爆薬の説明。防振り二次創作の姿か? これが……?

<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・NWOの爆弾は黒色火薬使用
・爆破魔法を込められた符(1つ5000ゴールド)
・店売り品で一番破壊力があるハンマー(15万G)
・《ダウンバースト》
・間接的な衝撃は発生しない
・wikiが立てた人と飛燕しか編集履歴が無い
 書いてるうちにノリで出来たオリジナル要素の数々。

・ポーション瓶
 生産職向けのポーションの瓶だけを納品するクエストがあって、それ用に作成できる設定。

・《エンチャント・ストレングス》
 【補助魔法Ⅰ】で使用可能なStr25%アップの魔法。名前の由来は『サモナーさんが行く』の『フィジカルエンチャント・ファイア』。【補助魔法Ⅹ】になると50%アップの『ブースト・ストレングス』が使用可能になる。Aglアップは『エンチャント・アジリティ』、Vitアップは『エンチャント・バイタリティ』、Dexアップは『エンチャント・デクステリティ』、Intアップは『エンチャント・インテリジェンス』

・水中の処理は(中略)初期のころにたまにあった奴を使ってる
 SAOPよりVRでの水の再現は非常に難しい設定。再現度はUPO≫≫NWO≧その他VRMMO。NWOで使われているのはバグが非常に多く発生するため使われなくなった設定。NWOは異常な技術力(一般人基準)でバグを全て処理してる。
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