逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話 作:LR44(ゆっくり)
「《
金剛。アーテルさんが、一度発動した
「せいっ!」
「甘いですよ!」
その証拠に、明らかにナギの攻撃によるダメージが少ない。大剣を盾にされているとしても少なすぎる。確かアーテルさんのVitは軽鎧すら装備できない最低値の0、特殊装備の使用を前提としたビルドだったはず。装備で盛ってバフで盛っても、基礎値が0ではもっとダメージが入ってもいいはずだ。
……VitとMinを共有化する効果がありそうだな。それと、
なら、
「ナギ、俺も前に出る!」
「分かった! 援護は任せて!」
相手の防御が固いなら、俺の出番だろう。俺の使っている【弓闘術・○○】系には、|防御貫通+累積する防御デバフ付き高回転アーツ《雨垂》や
「《雨垂》!」
「っ、やっぱり気付きましたか。面倒ですね」
ナギからの攻撃のように大剣で受けずに、慌てて回避するアーテルさんの反応。やっぱり、《雨垂》の防御デバフは受けたくないみたいだな。
防御デバフを受けたくないなら話は早い。俺が使っている【紋章術】系統の魔法には、当然防御デバフもある。それに──
「どうしたんですか? 防御デバフを受けたくないなら解除すればいいでしょう?」
「分かってて言っているんでしょう?」
「ええ、当然」
──アーテルさんは【特化紋章術】の《特化付与》を使っている。つまり得られるメリット相応のデメリットも同時に受けている訳だ。
知ってるぞ。《特化付与》のデメリット効果で一番コスパがいいのは『発動中武器以外のスキル封印』と『痛覚減少深度低下』だって。今のアーテルさんはお得意の回復魔法が封じられてるはずだ。
事前にかけられた《リジェネレーション》分の回復はあるけど、その程度なら俺が《雨垂》と《獄炎》を回すだけで簡単にダメージの方が上回る。ただ、アーテルさんにはまだ少し余裕がありそうに見える。ということは……
「ナギ! 《雨垂》あと3回当てたら攻撃頼む!」
「成程、了解! こっちももうちょっとで積めるバフは積み終わるよ!」
「そこまで気付いているんですか……本当に面倒な人ですね、あたなは」
「アーテルさんにだけは言われたくないですよ」
アーテルさんのことだ。どうせ特化付与にはHPが減少するほど耐久性能が上昇する効果をつけてるんだろう。でもって、俺の高火力攻撃はあくまで連撃前提だから、そういう手合いとは相性が悪い。
逆にナギの方は元がStrVitの準極なのに加え、背水系とか火事場とか呼ばれる類のスキルでステータスを大幅に底上げするビルドだ。高いStr故に一撃が重く、武器が籠手であるため攻撃速度も速い。常時オワタ式なんてデメリットは大抵の準極が抱えているものでしかない以上、さして気になるものでもない。そのデメリットをある程度解消するために食い縛りスキルを採用してるわけだしな。
俺にはアーテルさんに勝てなかったとしても、ナギであればアーテルさんに十分に勝ち目はある。まあ、あくまでバフデバフが十分なら、だけどな。
「1,2……よし、ナギ! いけるぞ!!」
「了解! ハァッ!!」
下から上に救い上げるようにのナギの拳が振るわれる。ゲーム内故に効果があるのかは分からないが、地面に衝撃を逃がせない様に放たれたその拳は、寸でのところで大剣の刀身に阻まれてしまうが、その程度想定済みだ。防御の上からでもHPを削れるように防御デバフの数とアーテルさんの残りHPは調整済みだ。
「おっとっと。あれ? 食い縛りも復活も無いの?」
「特化付与のデメリットだろうな。『発動中武器以外のスキル封印』でもつけてたんだろ」
「あぁ、そっか。うっかりしてたよ」
追撃の拳を空振りし、バランスを崩したナギがばつの悪そうな顔をしながら頭をかく。そのまま早いところ切り札の発動を止めようとレグルスさんの方を見るが──
──間に合わなかった。そこには、絶望的な光景が広がっていた。
背中には巨大なV字状の翼、右腕には元より何倍も巨大な右腕がドッキングしており、全身が金色に光り輝いてた。
その姿は、まぎれもない【勇者王】の切り札──ゴルディオンフィンガーであった。
◇
『よっしゃぁっ! ゴルディオンアーマー、発動!』
特に意味は無いが、気分が上がるのでいつも言っているセリフを叫ぶ。アーテルが時間を稼いでいるうちに、無駄に時間がかかる発動シークエンスを終わらせてしまわなければ。
インベントリから取り出したテトラポット状のパーツを6つ射出する。一つ一つが莫大なリソースを注ぎ込んだ特別製の特殊装備だ。
『ブロウクンコネクト!』
『スパイラルコネクト!』
『ストレイトコネクト!』
『プロテクトコネクト!』
右肩、右膝、左膝、左肩の順にパーツを光の鎖で接続する。それから、右肩と右膝のパーツ、左肩と左膝のパーツが上下に合体する。
『ガジェットコネクト!』
そして、尾の先端にパーツが
『ギャレオリアコネクト!』
最後のパーツを後頭部と何本ものチューブで接続。6つのパーツの間に黄金の光の膜が張り、V字状の翼となる。
これが、俺の切り札。6つの特殊装備による莫大なリソースを速度と火力に極振りした、正真正銘俺の最強の防具だ。
そして、最強の防具があるなら当然最強の武器も存在する。
『最後はこいつだぁっ!』
再度インベントリからパーツを取り出し、右腕にドッキング。そのまま右腕を高速回転させ外装を吹き飛ばし、
ゴルディオンフィンガーを装備すると同時に、全身が金色に光り輝く。これで俺の最強モードは完成だ。
完成と同時にアーテルがやられたようだが、大した問題でもない。これなら、この状況なら、一撃で決めきれる。
『行くぜ!』
ゴルディオンフィンガーをナギと飛燕の方に向ける。流石に元ネタ通りフルパワーで連発とまではいかないから、フルパワーで使えるのは1度きり。
だが、今の俺はゴルディオンアーマーのおかげでAglも尋常じゃないレベルだ。最高速は、数値換算すれば3000000近いだろう。当然リソースもバカ食いするが、確実に一撃で仕留められるこの状況なら関係ない。
各所から光を漏らしながら、途方もない速度で突撃する。行く手を阻むものは例外なく全てが光になり、後ろには光の軌跡のみが残る。
ナギと飛燕は復活や食い縛りを残しているだろうが、そんなもの意味なんてない。これはそういう、当たれば死ぬ類の攻撃だ。
ゲーム的な話をすれば、ダメージ超過効果持ち即死級スリップダメージ攻撃。
『ふぅ。終わった……か?』
俺自身、まだフルパワーでの速度域に適応できていないから全力突撃中は【空間認識能力】全開でも周囲の状況がよくわからないんだよな。ナギには確実に当たったのは分かるんだが……
と、そこまで考えたところでまだ『Winner』の表示が出ていないことに気付く。ということは……
『飛燕! どこ……そこか!』
「残念ながら。もう、遅いです」
◇
ゴルディオンフィンガーを構えたレグルスさんは、右腕をこちらに向け、突っ込んでくる気満々だ。
元々ゴルディオンハンマーの時点で対プレイヤーに関しては過剰ともいえる威力を誇っていたのだ。その最終形態ともいえるゴルディオンフィンガーなど、当たればちりも残らないだろう。
「ここは……飛燕! あと任せた、よっとぉ!」
「了解、任された!」
即座に両方が生き残ることは不可能だと判断したナギによって上空へ投げられる。それを認識した瞬間、【存在偽装】を起動しつつ即席で作成した《幻影》の紋章で俺の幻影もどきを作り出す。
流石にユキさんみたいに即席で実用レベルの紋章を創ることは出来ないから、あくまで俺に背格好が似てる気がするボヤっとした人影が見える程度の紋章だが……レグルスさんは今、極振りに匹敵する速度域*2で突っ込んできているから、はっきりとは見えていないと思いたい。
レグルスさんのゴルディオンフィンガーがナギを光にしたのを確認しつつ、弓をレグルスさんの方に構えながら《障壁》を蹴って体制を整える。
『飛燕! どこ……そこか!』
レグルスさんが、俺を倒し切れていないことに気付き周囲の様子を探る。最上位のステルススキルである【存在偽装】を発動中とは言え、流石に《障壁》を使ったらそりゃあばれるよな。でも、
「残念ながら。もう、遅いです」
ナギと一緒に俺をやれなかった時点で、レグルスさんは半分詰んでるんですよ。
俺が今から使うのは、単純なダメージのみで言えば物理弓最強のアーツ。
『威力が類似アーツの3倍近い』『希少な長射程ダメージ超過攻撃』『絶対ヒット絶対クリティカル』『クリティカル補正1.2倍』という莫大なメリットを抱える代わりに『発動時MP全消費』『発動後死亡』『自身のバフと相手のデバフを無視してダメージ計算する』という莫大なデメリットも同時に抱えることになったアーツ。
その名も──
なんかPvPがワンパターンだなと思いながら書いてました。因みに今話ラストシーンは、PvPイベントを思いついた時に真っ先に思いついたシーンだったりします。
<今回のオリジナル要素&ネタ解説>