逸般UPOプレイヤーがNWOをプレイする話   作:LR44(ゆっくり)

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 本作ラストバトル。今まで以上に気合を入れて書き上げます。

《追記》先日ハーメルン11周年だったらしいですね。おめでたいです


第65話『そこ! 隙あり!!』

「──せいッ!!」

「はぁッ!!」

 

 銃剣と拳がぶつかり合う。互いにバフは十分に積めていないが、元々のステータス傾向的に力比べなら私の方が有利。

 それに、最終的なバフ倍率でも私が勝っている……のだが、私はバフ全開だと強制オワタ式なのに対して、セナちゃんは攻撃を食らうとバフリセットされる代わりにHPは残せる上に何回でも積みなおせる。

 ステータス差で押しつぶすのは難しいし、技術では若干負けてる。それに加え――

 

「【魔力転換:衝撃】100%!」

「【水月(みなもづき)】!」

 

 ――これだ。セナちゃんの豊富な回避スキル。これが問題だ。私のDex(命中)は絶望的で、元々システム的に回避してくる相手は天的なのに、セナちゃんは更に技術でも回避してくる。

 装備補正もStr,Vit,Aglに特化させてるからこういった手合いとは本当に相性が悪い。普段は飛燕(Str,Dexの準極)に任せたり、飛燕から支援貰って何とかしてるけど、飛燕は今藜ちゃんを抑えてくれてるから私の支援まで手が回らない。

 とまあ、不利だ不利だと言ってきたけど、ただ不利なだけじゃ勝率4~5割なんて維持できないからね。ちゃんと勝ち筋はあるんだよ。

 

「そこ! 隙あり!!」

「毎回毎回、嫌なタイミングで!」

 

 システム的な回避には、スキルやアーツの発動の手間と、クールタイムという実質的な使用制限がある。技術的な回避では、どうしても回避できないタイミングが存在する。

 意識するのは、この二つを()()()()こと。どちらか片方だけでも使えたら、セナちゃんなら確実にジャスト回避カウントをためてくる。だから、絶対にこの二つをそろえて、そのタイミングで大技を叩き込むのが必要。

 

「私もセナちゃんも主導権握られるとキツイ者同士。このまま勝たせてもらうよ!」

「悪いけど、そうはいかないよ! 舞姫!!」

 

 このまま一気に押し切ろう、と、そう思った瞬間。セナちゃんが自分を巻き込む攻撃を放ち、それを無理やりジャスト回避するという荒業で、分身作成に必要な速度域までバフを積んできた。

 そこからの連続攻撃に、今度はこちらが押され気味になる。

 

「こんなに早く切るつもりは無かったんだけどなぁ、しょうがないか。【自傷強化】、全起動!」

「それならこっちも! 天候、制圧。《神化幻明・稲荷火》!」

 

 それならば、と自傷強化を起動し背水系スキルを全起動するが、セナちゃんはそれに合わせて天候を展開してくる。

 スタジアムの空が、一部の隙もなく紅蓮の色に塗り潰される。

 確かあの天候の効果は……上空にいるとスリップダメージ(火)を食らうのと、天候破壊効果。それと火属性強化に火属性消費軽減とか火属性に特定の相手への特効付与とかだったはず。

 スリップダメージと天候破壊は私のスタイル上あまり意味がないけど、火属性方面に強化が入るのは痛いなぁ。遠距離攻撃出来ないせいで、セナちゃんクラスの人に引き撃ちされ続けると負けかねないんだよねぇ。

 

「【狐の絵筆】。虚実混装、乱れ舞姫!」

「あぁもう、面倒なものを! 【空間認識能力】全開!!」

 

 セナちゃんは【狐の絵筆】で追加で3人の幻影を作り出す。それが分身込みで7人分なので、実体のあるのが7人に実体のないのが21人、合計28人ものセナちゃんがフィールドに現れる。

 そして、幻影に実体がないのをいいことに攻撃の檻を作り出す。幻影は実体の攻撃を、実体は幻影の攻撃をそれぞれ突っ切って攻撃を仕掛けてくる。去年の決勝戦でも使っていた、確実に相手をしとめる一手だ。

 この攻撃を凌ぐなら、まずは幻影と実体を見極めないことには始まらない。もう少し温存しておくつもりだった【空間認識能力】の全力展開を切って、受けていい攻撃と受けてはいけない攻撃の見極めに集中する。

 

「そこぉっ!!」

 

 幻影の攻撃は無視しつつ、実体のある攻撃は回避か迎撃を行う。ついでに行けそうだったので分身を殴って消しておく。手数が減ればそれだけ回避が楽になるからね、分身を消すのは積極的に狙っていくよ。

 

 そうやって、私が分身を消すたびにセナちゃんが新しく補充する膠着状態がしばらく続いた頃、戦況が動いた。

 

「貰った!」

「ッ、しくじった」

 

 判断ミス。攻撃の見極めに集中しすぎて、隠密状態で接近していたセナちゃんに気付くことができなかった。

 分身を殴り倒した隙を突かれて、逆に右腕を失うことになってしまった。

 

「これは不味いね……」

 

 流石に、利き腕を失っては攻撃を凌ぐのは難しい。このままでは次々と攻撃を貰って、すぐにHPも残機も尽きてしまうだろう。

 

「しょうがない、か」

「諦めた、訳じゃないよね。そういう(たち)じゃ無いし」

 

 流石セナちゃんだ、私がそう簡単に諦めるような性格じゃないのをよく分かってる。

 伊達に数えるのが億劫になるほど私と戦ってる訳じゃないね。

 

「本当はもうちょっと取っておくつもりだったけど、使わなきゃどうにもならないからね」

 

 そこまで言って、私は両手を打ち合わせようとして……右腕が無いせいで盛大に空振りする。なんだかちょっと締まらないけど……まぁ、いっか。

 

「さあ、行くよ」

 

 ◇

 

「弓矢は近接武器ィッ!!」

「相も変わらず、突拍子も、無いことを!」

 

 俺の役目は藜さんの足止め。ナギとセナさんの決着がつくまで藜さんをナギの方に向かわせないことが俺の役割だ。

 本来なら、武器が弓・素のVit,Minが軽鎧装備要求最低値(25)・防具はDex寄りだなんて足止めに向かない要素の役満みたいな俺だが――

 

「シィッ!!」

「ッ! 巧い、ですね」

「必死に練習しましたからねぇ!」

 

 バフで耐久を底上げ、デバフで火力を落とし、《障壁》を合わせつつ、弓で受け流す。ナギと必死に練習したおかげで、この一連の流れは淀み無く行うことができる。

 突き込まれた槍を、弓の本体――確か弓幹(ゆがら)とか言うんだったか――の上を滑らせて受け流す。そのまま、お返しとばかりに伸びきった腕に向かって弓を振るう。

 

「危ない、ですね!」

 

 完璧なタイミングだと思ったのだが、あっけなく回避され反撃として横薙ぎに槍を振るわれる。流石にこれは受け流せないので《加速》を入れて大きく距離を取ることで回避する。

 

「《疾風》!」

「《ミーティア》!」

 

 俺の高速射撃と、藜さんの高速突進が衝突する。ただ、俺が放ったのはあくまで碌にバフもかかっていないただのアーツ。矢一本と人一人という質量差の前には、一瞬たりとも動きを止めることは能わない。

 仮に止められたとしても、レグルスさんの時とは異なり、今回は加速レーンの準備も出来ていないため懐に飛び込みアーツを使用する事も難しい。

 

「《矢斬》、《舞奉》!」

 

 だから、前に出る。【弓闘術・流星】のアーツによるバフをかけつつ、即席の加速レーンを通り藜さんに肉薄する。当然、あちらも迎撃の用意は出来ているが、

 

ライフ(残機)で受ける!」

 

 ライフ――もとい残機で受けて無理やり攻撃を通す。【弓闘術・流星】のアーツによるバフは、攻撃が当たった場合バフ倍率が上昇するおまけ効果がついている。手ごたえ的に、このおまけ効果を発動できるか否かが勝敗を分けかねないからな。少々無理してでもアーツを当てに行くぞ。

 

「《轟炎》!」

「甘い、です。《レイ・ストライク》!」

 

 接近しているので、近距離ほど威力が上がるアーツを使用する。藜さんはいつもの《レイ・ストライク》を使ってくるが、矢を射た後の弓で受け流しておく。

 相手もアーツを多用してくれるなら、モーション固定だとか発動後硬直だとかの隙をつかれるリスクが減るから、こちらも気兼ねなくアーツを使えるな。

 

 と、ここまでの攻防を繰り広げた辺りでフィールドに変化が訪れた。空が一面紅蓮に染まる。炎が天を満たす。

 セナさんの天候《神火幻明・稲荷火》だ。思ったより早く切ってきたな。出来ることなら、ナギが()()を切ってからのが嬉しかったんだがな。

 

「丁度いいですね。《獄火》!」

「一応、ちゃんと、属性、ありましたね。そういえば!」

 

 そもそもの【弓闘術】系のスキルを持っているプレイヤーが少ないのと、その全員が物理弓のため普段は気にも留めないが、実は【弓闘術・○○】系のアーツには属性がついているものも多い。

 『炎系』のアーツには火属性が、

 『風系』のアーツには風属性が、

 『水系』のアーツには水属性が。

 それぞれ設定されている。ついでに物理と属性の割合は使用者の『Str基礎値+Vit基礎値』と『Int基礎値+Min基礎値』の割合に対応しているから、俺の場合凡そ『物理:属性=95.5:4.5』だ。

 たかが4.5%、されど4.5%。俺のStrが高くダメージが出やすいのもあり、《神火幻明・稲荷火》による火属性強化が入った状況では無視できないダメージになる。この程度のダメージでも、積み重なればバカにならない程HPを削られることになるのだ。

 

 ただ、それもこれも()()()()の話だ。片や元々前衛で、プレイし始めてからずっと槍を使い続けていたプレイヤー。片や元々後衛で、最近弓を近接武器として使い始めたプレイヤー。その二人が接近戦をすれば、どちらに軍配が上がるかは言うまでもないだろう。

 当然、俺もそれは分かっているし練習も必死にした。とは言え、主に練習したのは防御がメイン。攻撃面は対モンスターか対自分、それと対ナギくらいしか経験がない。

 

「はぁ、はぁ……どうしたんですか? 俺のHPは全然残ってますが、そっちのMPは大分削れてるじゃないですか。このままじゃジリ貧ですよ?」

「それは、そっちも、同じじゃ、ない、ですか」

 

 故に訪れるのはしばしの膠着状態。俺の攻撃は藜さんには当たらず、藜さんの攻撃も俺には当たらず。互いにHPは削れないのにMPは削れて行く、互いにジリ貧なこの状況。

 強いて言えば、MPで見れば回復スキルを持った俺が有利。HPで見れば回復スキルを持った藜さんが有利。よって、リソースだけなら互角。

 ただし、藜さんは元々前衛型でVit(物理防御),Min(魔法防御)が高めなので少しなら直撃をもらっても余裕があり。対する俺はVit,Minを捨ててる以上一発が命取りになる。

 

 総合的に見れば不利なこの状況が動いたのは、もう一方の戦況が動いたその時であった。

 


 

Name : 飛燕

 称号 : 狙撃手

 Lv 100(レベル上限)

 HP4050 /4758

 MP 4000/4032

 Str:520(3990) Dex:520(3990)

 Vit:25 (125) Agl:0(0)

 Int:0(0)Luk:100 (100)

 Min:25(125)

 

《スキル》

【堅忍不抜】【不羈独立】【コート・オブ・アームズ】【戦術工兵】【弓闘術・流星(極)】【隠者上戸】

【天眼】

 鑑定

 看破

 鑑定系スキル効果上昇

【慧眼】

 Str+30%

 回避率上昇25%

 命中率上昇40%

 “目”に関わるスキルの効果上昇

【法眼】

 Dex+30%

 クリティカル率発生上昇35%

 会心威力上昇50%

 “目”に関わるスキルの効果上昇

兵器倉庫(アーセナル)

 ストレージ拡張(20スタック)

 武器・防具専用枠(30スタック)

 矢弾専用枠(50スタック)

 重量制限無効

【】

 Str+15% Dex+15%

 ストレージ拡張(15スタック)

 矢弾取り出し速度上昇

 

 ‐控え‐

【魔弾の射手】

 

《装備一覧》

【皇氷之弓 改漆】

 Str+300 Dex+300

 属性:氷・毒⇔雷・毒

 命中率強化(中)

 装備制限:狙撃スキル 男性

 レベル制限:100

 耐久力:1,000/1,000

【弐型浮遊魔導書・伍式】

【蒼皇氷の耳飾 改漆】

 Str+50 Dex+50

 空間把握能力補佐

 装備制限:男性

 レベル制限:100

 耐久力:1,000/1,000

【蒼皇氷の軽鎧 改漆】

 Vit+100 Min+100

 Str+50 Dex+50

 天候ダメージ軽減

 装備制限:男性

 レベル制限:100

 耐久力:1,000/1,000

【蒼皇氷の籠手 改漆】

 Str+200 Dex+200

 矢弾取り出し速度上昇

 装備制限:男性

 レベル制限:100

 耐久力:1,000/1,000

【蒼皇氷の脚甲 改漆】

 Str+250 Dex+250

 装備制限:男性

 レベル制限:100

 耐久力:1,000/1,000

【蒼皇氷の靴 改漆】

 Str+150 Dex+150

 地形ダメージ軽減

 装備制限:男性

 レベル制限:100

 耐久力:1,000/1,000

※装備ボーナス(蒼皇氷)

 弓による攻撃に5%の追撃が発生する

 

《アクセサリ》

【賢者の証 : 消費魔力】×4

 消費MP軽減 80%

【波濤の鋭牙】×5

 クリティカル威力上昇100%

【蒼穹たる連理の指輪】

 与ダメージ+15%

 天候効果軽減

 対となるアクセサリを装備しているプレイヤーとパーティーを組んでいる時、スキル・アーツのリキャスト-30%




『リンバスでデイリーと鏡ダンジョンサボりがちだったせいで【水袋(ファウスト)】*1取り損ねて、真面目にリンバスの周回やり出した』ので執筆時間は減ったけど、『このラストバトルは脳内でずっと構想練ってた』から執筆速度は上がってるので結果的に執筆は早く終わるようになりました。

 ところで、リンバスのE.G,Oの見た目がとんでもなく好みなので、ホロメンと組み合わせたイラストとか見てみたいんですよね。
誰か書いてないですかね。特に『白上フブキ』×【4本目のマッチの火(良秀)】とか『白上フブキ』×【狐雨(イサン)】とか、『紫咲シオン』×【電信柱(ドンキホーテ)】とか。

<今回のオリジナル要素&ネタ解説>

・《神化幻明・稲荷火》の効果
 銀鈴さんがTwitterでマシュマロに返答してたのを参考に、名前から何となくで効果を追加してこうなった。

・弓闘術の属性
 元検証班では属性が無いが、それはUPOの方で属性がついていたら強すぎたため、ということで。

*1
ファウストの現状最強バージョンで発動条件を容易に満たせるうえに、現状希少な体力精神力を同時に回復する必殺技

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