戦わない最強戦士   作:223系新快速

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第9話 オルコットさんとの特訓

~1020室~

私はベッドに倒れこむ。

 

あゆみ「疲れた~。」

本音「あゆみんお疲れ~。」

あゆみ「本音さん、明日からどうなるのかな。」

本音「どうなるって?」

あゆみ「代表候補生を破った上に乱入騒ぎ。絶対騒がしくなるよ。」

本音「確かに大変だね。あゆみんはそういうの嫌なの?」

あゆみ「別にそういう訳じゃないけど、変な噂が立つのがね。」

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

翌日、私は事情聴取室で織斑先生に事の一部始終を話していた。但し、ISと会話できることは伏せた。今目立ちすぎるのはよくない。

 

あゆみ「というわけです。」

千冬「そうか。良く分かった。乱入してきた未確認機だが、無人機だった。」

あゆみ「道理で、動きが機械っぽかったわけですね。それにしても、無人機なんて作れるのでしょうか。」

千冬「さあな。どこかの天才科学者が考え出したんだろう。」

あゆみ「凄いですね。人間と同等の機械を作り出せるなんて。」

千冬「ま、乱入騒ぎで後の試合がが全て中止になったから、唯一勝ちを挙げたお前がクラス代表だ。」

あゆみ「分かりました。じゃあ、私はこれで。」

千冬「待て、少し聞きたいことがある。」

あゆみ「何でしょうか。」

千冬「答えたくなければ黙っていても構わん。入学試験で教師を倒した時から思っていたが、只者ではないな。お前、戦う存在だろう。」

あゆみ「どうしてそう思うんですか。」

千冬「代表候補生の攻撃を完全に見切り、乱入にも慌てず仲間を救助。その上特徴まで見つける。普通の学生がそこまで出来ると思うか。」

あゆみ「分かるんですね。先生のおっしゃる通り、私は、別の世界で戦士でした。それが、何かの力でこの世界に飛ばされたんです。」

千冬「そうか。しかし、何故それを言わない。」

あゆみ「力を失ったからです。それだと普通の人と変わりません。それに私は戦わない最強戦士と言われていましたから。」

千冬「何だそれは。矛盾しているぞ。」

あゆみ「ええ。説明するのも難しいですし、実際に見てもらうのはもっと無理です。ですから、戦士であったと言わない方が自分にとっても周りにとっても良いことです。」

千冬「成程。一理あるな。黙っておこう。」

あゆみ「それはそうと、オルコットさんが心配です。やりすぎたでしょうか。」

千冬「なーに、あの程度でやり過ぎなどありえん。あれでやりすぎになるのなら、オルコットの鍛え方が足りないだけだ。」

 

~1年1組~

あゆみ「皆おはよう。」

「「「おはよう...。」」」

あゆみ「どうしたの?暗いよ。」

清香「暗くもなるわよ。あれを見て。」

 

あ、オルコットさんがどんよりとしたオーラを放っている。原因作ったの私だし、私がフォローしないと。

 

あゆみ「オルコットさん、話があるんだけど、昼休み、いいかな。」

セシリア「...。」

あゆみ「オルコットさん!」

セシリア「は、はい!」

 

思わず飛び上がるオルコットさん。

 

あゆみ「驚きすぎだよ。」

セシリア「す、すみません。ボーっとしていたもので。それで、何ですの。」

あゆみ「昼休み、空いているかな。」

セシリア「え、ええ。」

あゆみ「じゃあ、食堂で。」

 

~昼休み~

オルコットさんはずーっと考え事をしている。

 

あゆみ「オルコットさん、私に負けたことがそんなに悔しいの。」

セシリア「それもありますが、それ以上に今後のことについてです。」

あゆみ「今後のこと?」

セシリア「はい。私は厳しい競争を勝ち抜いて、代表候補生に上り詰めたのです。ですが、昨日、これ以上ないほど無残に負けてしまいました。このままでは代表候補生を下ろされるかもしれない。そう思うと...。」

あゆみ「それでずっとどんよりしていたのか。」

セシリア「はい...。」

あゆみ「うーん、オルコットさんがあれこれ悩むのは、まだやり切った感がないからだと思う。」

セシリア「えっ?」

あゆみ「私から見たら、オルコットさんはまだまだ成長できるよ。」

セシリア「私にまだ伸びしろがあるのですか。」

あゆみ「オルコットさんの一番の課題って、なんだと思う?」

セシリア「私の課題、ですか?そのようなものは...。」

あゆみ「オルコットさんはビット兵器の性能をまだ十二分に発揮できてない。」

セシリア「どういうことですの?これ以上射撃の能力を上げるのは...。」

あゆみ「オルコットさんのビット兵器は直線コースしか取らないから、コースを読めたら躱すのは比較的楽。後はエネルギーが尽きるまで粘るだけ。昨日の私みたいに自滅を誘ってもいい。」

セシリア「う...。」

あゆみ「だから、自由自在に曲げられるように訓練するんだよ。えーと、なんだっけ、その技術。」

セシリア「偏向射撃(フレキシブル)、ですか。」

あゆみ「そう、それ。」

 

自動追尾(ホーミング)を使う戦士は別に珍しくない。プリキュアでは、キュアサンシャインの必殺技、プリキュア・ゴールドフォルテ・バーストがその筆頭だ。でも、ISではかなり難しい技術だ。

 

セシリア「最高レベルの難易度ですわよ。各国のエースでもできるかどうか。」

あゆみ「分かっているよ。でも、オルコットさんがこれ以上強くなるなら、偏向射撃(フレキシブル)を習得するしか方法はない。」

セシリア「分かりましたわ。こうなったら一人でも...。」

あゆみ「誰が一人でって言ったの?私も手伝うよ。」

セシリア「いいのですか?私のためにそこまで…。」

あゆみ「情けは人の為ならず、だよ。それに、原因作ったのは私だし。」

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

放課後、私達はアリーナで準備をしていた。

 

あゆみ「思ったよりあっさり許可が取れたね。」

セシリア「候補生はやはり特別なのですわ。さてと、どうやって練習すべきでしょうか。」

あゆみ「偏向射撃(フレキシブル)の練習方法を調べたけど、どこにも載ってない。だから、私なりに考えた練習方法を試すしかない。」

 

強いエネルギー源に引き寄せられるなら、相手が逃げても自動追尾(ホーミング)になるけど、オルコットさんの武器はそうじゃないから難しい。

 

セシリア「と言いますと?」

あゆみ「私が的を持って動き回るから、オルコットさんがそれを狙う。最初は単純な動きで、曲がるようになって来たらだんだん複雑にする。」

セシリア「分かりましたわ。」

あゆみ「それから、一度に四基は難しいから一基ずつ。」

 

私は的を持って直線コースに構える。

 

セシリア「行きますわよ!」

 

ビット兵器がレーザーを射出する。それを見て私は右に移動する。オルコットさんは懸命に曲げようと意識を集中させている、が、曲がらない。

 

あゆみ「もう一度!」

セシリア「はい!」

 

今度も曲がらない。

 

あゆみ「曲がるまでつづけるよ。」

 

あれからアリーナの使用終了時間まで訓練を続けたけど、曲がらなかった。

 

セシリア「結局ちっとも曲がりませんでしたわね。」

あゆみ「うーん、でも野球で変化球を身に着けるためには何千球、何万球と投げ込むらしいから、まずは数をこなさないとね。」

セシリア「そういうのって、ISでは初めてですわ。」

あゆみ「え、そうなの?」

セシリア「私は初めて触れた時から、自由自在に扱えていましたから。」

あゆみ「そうか。確かに、そういう人じゃないと学生で候補生にはなれないよね。」

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