~放課後~
クラス代表の仕事をしていたら遅くなっちゃった。早くアリーナに行かないと。
鈴「うわあああ!」
凰さんが怒りながら走ってくる。どうしたのだろうか。私はさりげなく体を廊下の真ん中に寄せる。
ドォン
あたかもこちらからぶつかられたふりをする。言いがかりをつけるわけじゃないし、話すきっかけを作るためにこれくらいしてもいいだろう。
あゆみ「イテテ...、凰さん!?」
鈴「うう...。」
あゆみ「取り敢えず落ち着こう。私の部屋に行こう。」
~1020室~
鈴「と、いうわけなの...。」
凰さんの話だと、お互い大きくなったら毎日酢豚を食べさせてあげるという約束をしていたらしい。ところが、織斑君は何をどう勘違いしたのか、酢豚を奢ってくれると思い込んでいたそうなのだ。
あゆみ「それ、味噌汁告白だよね。」
凰さんが頷く。
あゆみ「酷いなあ。女の子の気持ちを無下にするなんて。」
鈴「でしょ。」
あゆみ「で、凰さんはどうしたいの?」
鈴「ボコボコにする。」
あゆみ「素手で?」
鈴「当然。」
あゆみ「それは良くないよ。」
鈴「どうしてよ。」
あゆみ「今、ボコボコにすれば、すっきりするのは確か。でも、後で後悔するかもしれない。」
鈴「う...。」
あゆみ「どうせやるなら模擬戦と称してISでやったら?それなら、幾ら派手にやっても問題ないだろうし。」
鈴「そうね。そうするわ。見てなさい一夏、目に物見せてやるんだから。」
凰さんが燃えている。
あゆみ「良かった。って、しまった、箒さんとの特訓の約束忘れていた~!」
私は慌ててアリーナに向かう。
~アリーナ~
箒「遅いぞ。」
あゆみ「ゴメン、クラス委員の仕事があったし、凰さんを慰めていたら遅くなっちゃった。」
箒「別に見過ごしてもいいではないか。」
あゆみ「困っている人をほおっておけないんだよ。それにどうやら織斑君の朴念仁が原因みたいだし。」
箒「成程。敵ながら、そこは同情する。一夏の奴、犬に噛まれて死ね。」
セシリア「女心が分からない男は、馬に蹴られて死ぬといいですわ。」
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・
次の日、凰さんが織斑君に詰め寄っている。
鈴「い~ち~か~!」
一夏「り、鈴!き、昨日は悪かった。」
鈴「そんなこといいわ。それより、あたしと模擬戦しなさい!」
一夏「模擬戦?」
鈴「そう、勝った方が何でも言うこと聞くの。」
一夏「おう、分かった。それで、いつやるんだ。」
鈴「今日の放課後第三アリーナで。逃げたら許さないわよ。」
風のように去っていった。
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あっという間に放課後になった。専用機持ち同士の試合がまた見られるということで、アリーナは大入り満員だ。
あゆみ「凰さん、えーと...。」
こういう時はどう声を掛けるべきなのかな。
鈴「あたしが納得するためにやることだから、どうこう言う事ないわ。」
先に言われちゃった。
あゆみ「じゃあ、私が言うことは何もないね。」
鈴「それだけで十分よ。」
試合が始まる。だが、
鈴「まさか、一夏がここまで弱かったなんてね。そんなんであたし達を守るのは無理よ。」
一夏「う...、ぐ...。」
あゆみ「本音さん、恋する乙女は強いね。」
本音「全くなのだ~。」
戦闘ではもはやなく、一方的な蹂躙。そう呼んで差し支えなかった。接近すれば青龍刀で押し切られ、距離を取れば非可視の砲撃が襲い掛かる。かと言って一撃必殺の零落白夜は命中率の低さのせいでまるで役に立たない。織斑君が負けず嫌いだからシールドエネルギーを回復させて何回もやっているけど、全部凰さんの勝利だ。
鈴「面白くないから終わりにするわ。1組に他に専用機持ちっている?」
セシリア「私ですわ。」
セシリアさんが名乗り出る。
鈴「本番ではあたしが勝つわよ。首を洗って待ってなさい。」
セシリア「それはどうだか。それに、貴方の相手をするのは私ではありませんわ。」
鈴「専用機が代表じゃないなんて、1組も大したことないわね。」
セシリア「そうやって油断していると痛い目に遭いましてよ。」
鈴「そう。じゃあ、クラス代表に伝えといて。あたしが圧倒的な差をつけて優勝するってね。」
あ、これもしかして、とんでもない爆弾?本音さんを見ると、凄いオーラを出している。
本音「あゆみ、絶対勝つのだ。」
あゆみ「本音さんが怒っている。」
本音「私だって怒るときは怒るのだ。」
あゆみ「いつもの間延びした、のほほんとした雰囲気じゃない。獲物を狙う獅子の目をしている。」
本音「何時もの私は本性を隠すための仮の姿なのだ。あゆみ、弱点調べるのだ。」
あゆみ「うん。」
部屋に戻り、パソコンを立ち上げて調べ始める。しかし...。
あゆみ「これといった弱点はないね。」
本音「うーん、だとすると、後は本人の自信を無くすくらいしか...。」
自信を無くす?そうだ、その手があった。戦意喪失した戦士程やりやすいものはない。鳳さんが自信を無くしそうなネタは...。あった。よし、この作戦で行こう。
本音「あゆみ、どうしたのだ?」
あゆみ「秘策があるよ。」
本音「どんなのだ?」
あゆみ「本音さんも更識家の従者なら分かるでしょ。こういうの、実行に移すまでは口外しない方がいい。」
本音「何か騙されているみたいなのだ。本当にあるのだ?」
あゆみ「敵を騙すにはまず味方からっていうでしょ。それに、秘策は本当にある。無かったら、攻撃の苦手な私は絶対に勝てない。」
本音「分かったのだ。じゃああるということにしておくのだ。」