戦わない最強戦士   作:223系新快速

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第55話 篠ノ之博士登場

2日目は訓練日だ。訓練機達は普段狭いアリーナに閉じ込められている分、今日は思い切り飛び回らせてあげよう。

 

千冬「専用機持ちは別行動だ。ISの非限定空間における稼働試験を行う。」

 

専用機持ちの皆がぞろぞろと集まる。

 

千冬「ああ、篠ノ之、お前もだ。」

 

あれ、箒さんは専用機持ちでないよね。

 

セシリア「箒さんは専用機持ちではありませんが。」

千冬「直ぐに分かる。」

 

ドドドドド

 

向こうから誰かがやってくる。

 

束「やあやあ、会いたかったよ、ちーちゃん。さあ、ハグハグしようよ。愛を確かめ…」

千冬「うるさいぞ、束。」

束「ぐぬぬ、相変わらず容赦のないアイアンクローだね。」

 

そういいながら抜け出しているあたり、只者ではない。

 

束「エヘヘ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかな。おっきくなったね、箒ちゃん。特にここが。」

 

胸を揉む。

 

箒「ね、姉さん、皆が見ている前で...。」

千冬「そうだぞ束。さっさと自己紹介しろ。」

束「え~、面倒くさいなあ~。」

千冬「いいからやれ。」

束「はいはい。私が天才科学者の篠ノ之束さんだよ~。ハロ~。終わり。」

千冬「織斑の自己紹介と同じレベルで酷いな。」

一夏「今更蒸し返すなよ、千冬姉。」

 

バシィ

 

千冬「織斑先生だ。」

清香「え、まさか、ISの生みの親である篠ノ之博士!?」

神楽「どうしてここへ?」

束「それはね、箒ちゃんに誕生日プレゼントをあげるためだよ。」

箒「姉さん、プレゼントって一体何ですか。」

束「上を見て。」

 

ダイヤモンドみたいなものが落ちてくる。

 

ズズーン

 

開くと紅のISが佇んでいた。

 

束「じゃじゃーん。束さんお手製の箒ちゃん専用機、『赤椿』だよ。全スペックが現行ISを上回る第四世代機だよ。」

ラウラ「だ、第四世代機!?」

シャルロット「まだ各国で第三世代が運用を開始したばかりなのに。」

櫛灘「篠ノ之さん、篠ノ之博士の身内ってだけで専用機貰えるの?」

ナギ「なんかずる~い。」

理子「そーだそーだ。」

玲美「不公平だ~!」

 

皆が騒ぎ出す。

 

束「世の中に公平であったことなんて一度もないよ。さあ箒ちゃん、早速乗ろう。」

箒「姉さん、私には専用機を持つなんてまだ無理です。それは自分が一番分かっています。」

 

訓練していても、第三世代の専用機持ちとの差は嫌というほど分かる。第二世代の、それも訓練機であの動きについていけるあゆみは本当に凄い。それに、今専用機なんて貰ったら、またあの過ちを...。

 

束「大丈夫だよ箒ちゃん。すぐに乗りこなせるよ。」

 

姉さんは専用機を持つことの意味を分かっているのだろうか。

 

箒「私なんかより、余程相応しい人はいます。」

束「例えば?」

箒「私の親友のあゆみは、私なんか足元にも及ばない。一般生徒なのに、専用機持ちと張り合えるのですから。」

 

今はまだ、校外では親友ということにしている。

 

束「束さんからすれば、ちーちゃん以外は誰も凡人。たいしたことない。」

 

なんて口では言ったけど、アイツ、色々私のこと邪魔しているんだよね。何とかしてボロボロにしないと。

 

あゆみ「貰ってもいいんじゃない。その上で、専用機持ちに相応しい実力をつければいいんだよ。力を暴走させないくらい強くなれば、もうあんなことは起きない。」

箒「あゆみ…。」

あゆみ「それに、もう国家要人保護プログラムに縛られることもなくなる。」

箒「そ、それは本当か!?」

あゆみ「うん。それは調査済みだよ。あれは人質対策だから、箒さんが自分で身を守れるのであれば、適用を外せるって担当者が言ってたよ。」

 

だとすれば、もうあんな目に遭わされずに済む。

 

箒「分かった。姉さん、お願いします。」

束「うん、じゃあ、最適化(フィッティング)とパーソナライズを始めようか。」

 

姉さんは素早い手つきで作業する。

 

束「箒ちゃんのデータはすでに入っているから、最新のものに更新して、はい、終わり~。」

シャルロット「は、速い。」

セシリア「優れた技術者でも数十分はかかるはずですわ。」

束「束さんをそこらの凡人と一緒にしないでよね。さ、ちょっと使ってみて。右が『雨月』で、エネルギー刃を放つよ。左は『空裂』で、斬撃に合わせて帯状のエネルギーをぶつける。」

 

私は二本の刀を使ってみる。

 

箒「す、凄い…。訓練機の打鉄とは全然違う。」

束「倉持技研なんて二流の技術屋が作った量産機となんて、比較しないでほしいな。あいつら、いっくんの専用機も結局欠陥機にしたし。」

一夏「欠陥機…。なら、俺が勝てないのは機体のせいなんですか。」

束「そうだよ。今度束さんが改造してあげるよ。」

白式「確かに扱いづらいかもしれないけど、一夏は僕の全力を引き出そうとしていないよ。責任転嫁だね。」

千冬「やれやれ、そういう相談は後でしろ。」

束「で、第四世代の新武装が、この展開装甲だよ。自動支援プログラムにより、独立稼働が可能なのだ。」

セシリア「そ、それって、ビット兵器の発展形...。」

束「そうだよ。さてと、誰かと模擬戦して、その性能を確かめないと。」

千冬「そうだな、よし織斑…。」

束「待って。さっき箒ちゃんが言っていた坂上って子がいい。」

千冬「どういうことだ。坂上は専用機持ちではないぞ。」

束「品定めだよ。箒ちゃんより強いかどうか、興味を持ったんだよ。」

 

本音を言うと、この模擬戦で、専用機には絶対に勝てないってことを思い知らせたいんだよね。そうなれば、少しは自重するはず。

 

箒「姉さんが他人に興味を持つなんて…。」

千冬「それだけ坂上は凄いということか。坂上、いけるか。」

あゆみ「ラウラさんにも品定めされましたし、私は平気ですよ。ラファールで行きますね。」

 

何も疑わずに乗ってきたね。この赤椿、今までのようにはいかないよ。

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