2日目は訓練日だ。訓練機達は普段狭いアリーナに閉じ込められている分、今日は思い切り飛び回らせてあげよう。
千冬「専用機持ちは別行動だ。ISの非限定空間における稼働試験を行う。」
専用機持ちの皆がぞろぞろと集まる。
千冬「ああ、篠ノ之、お前もだ。」
あれ、箒さんは専用機持ちでないよね。
セシリア「箒さんは専用機持ちではありませんが。」
千冬「直ぐに分かる。」
ドドドドド
向こうから誰かがやってくる。
束「やあやあ、会いたかったよ、ちーちゃん。さあ、ハグハグしようよ。愛を確かめ…」
千冬「うるさいぞ、束。」
束「ぐぬぬ、相変わらず容赦のないアイアンクローだね。」
そういいながら抜け出しているあたり、只者ではない。
束「エヘヘ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかな。おっきくなったね、箒ちゃん。特にここが。」
胸を揉む。
箒「ね、姉さん、皆が見ている前で...。」
千冬「そうだぞ束。さっさと自己紹介しろ。」
束「え~、面倒くさいなあ~。」
千冬「いいからやれ。」
束「はいはい。私が天才科学者の篠ノ之束さんだよ~。ハロ~。終わり。」
千冬「織斑の自己紹介と同じレベルで酷いな。」
一夏「今更蒸し返すなよ、千冬姉。」
バシィ
千冬「織斑先生だ。」
清香「え、まさか、ISの生みの親である篠ノ之博士!?」
神楽「どうしてここへ?」
束「それはね、箒ちゃんに誕生日プレゼントをあげるためだよ。」
箒「姉さん、プレゼントって一体何ですか。」
束「上を見て。」
ダイヤモンドみたいなものが落ちてくる。
ズズーン
開くと紅のISが佇んでいた。
束「じゃじゃーん。束さんお手製の箒ちゃん専用機、『赤椿』だよ。全スペックが現行ISを上回る第四世代機だよ。」
ラウラ「だ、第四世代機!?」
シャルロット「まだ各国で第三世代が運用を開始したばかりなのに。」
櫛灘「篠ノ之さん、篠ノ之博士の身内ってだけで専用機貰えるの?」
ナギ「なんかずる~い。」
理子「そーだそーだ。」
玲美「不公平だ~!」
皆が騒ぎ出す。
束「世の中に公平であったことなんて一度もないよ。さあ箒ちゃん、早速乗ろう。」
箒「姉さん、私には専用機を持つなんてまだ無理です。それは自分が一番分かっています。」
訓練していても、第三世代の専用機持ちとの差は嫌というほど分かる。第二世代の、それも訓練機であの動きについていけるあゆみは本当に凄い。それに、今専用機なんて貰ったら、またあの過ちを...。
束「大丈夫だよ箒ちゃん。すぐに乗りこなせるよ。」
姉さんは専用機を持つことの意味を分かっているのだろうか。
箒「私なんかより、余程相応しい人はいます。」
束「例えば?」
箒「私の親友のあゆみは、私なんか足元にも及ばない。一般生徒なのに、専用機持ちと張り合えるのですから。」
今はまだ、校外では親友ということにしている。
束「束さんからすれば、ちーちゃん以外は誰も凡人。たいしたことない。」
なんて口では言ったけど、アイツ、色々私のこと邪魔しているんだよね。何とかしてボロボロにしないと。
あゆみ「貰ってもいいんじゃない。その上で、専用機持ちに相応しい実力をつければいいんだよ。力を暴走させないくらい強くなれば、もうあんなことは起きない。」
箒「あゆみ…。」
あゆみ「それに、もう国家要人保護プログラムに縛られることもなくなる。」
箒「そ、それは本当か!?」
あゆみ「うん。それは調査済みだよ。あれは人質対策だから、箒さんが自分で身を守れるのであれば、適用を外せるって担当者が言ってたよ。」
だとすれば、もうあんな目に遭わされずに済む。
箒「分かった。姉さん、お願いします。」
束「うん、じゃあ、
姉さんは素早い手つきで作業する。
束「箒ちゃんのデータはすでに入っているから、最新のものに更新して、はい、終わり~。」
シャルロット「は、速い。」
セシリア「優れた技術者でも数十分はかかるはずですわ。」
束「束さんをそこらの凡人と一緒にしないでよね。さ、ちょっと使ってみて。右が『雨月』で、エネルギー刃を放つよ。左は『空裂』で、斬撃に合わせて帯状のエネルギーをぶつける。」
私は二本の刀を使ってみる。
箒「す、凄い…。訓練機の打鉄とは全然違う。」
束「倉持技研なんて二流の技術屋が作った量産機となんて、比較しないでほしいな。あいつら、いっくんの専用機も結局欠陥機にしたし。」
一夏「欠陥機…。なら、俺が勝てないのは機体のせいなんですか。」
束「そうだよ。今度束さんが改造してあげるよ。」
白式「確かに扱いづらいかもしれないけど、一夏は僕の全力を引き出そうとしていないよ。責任転嫁だね。」
千冬「やれやれ、そういう相談は後でしろ。」
束「で、第四世代の新武装が、この展開装甲だよ。自動支援プログラムにより、独立稼働が可能なのだ。」
セシリア「そ、それって、ビット兵器の発展形...。」
束「そうだよ。さてと、誰かと模擬戦して、その性能を確かめないと。」
千冬「そうだな、よし織斑…。」
束「待って。さっき箒ちゃんが言っていた坂上って子がいい。」
千冬「どういうことだ。坂上は専用機持ちではないぞ。」
束「品定めだよ。箒ちゃんより強いかどうか、興味を持ったんだよ。」
本音を言うと、この模擬戦で、専用機には絶対に勝てないってことを思い知らせたいんだよね。そうなれば、少しは自重するはず。
箒「姉さんが他人に興味を持つなんて…。」
千冬「それだけ坂上は凄いということか。坂上、いけるか。」
あゆみ「ラウラさんにも品定めされましたし、私は平気ですよ。ラファールで行きますね。」
何も疑わずに乗ってきたね。この赤椿、今までのようにはいかないよ。