戦わない最強戦士   作:223系新快速

57 / 91
第56話 模擬戦vs箒さん

あゆみ「ラファール、この試合、色々試すよ。」

ラファール7「はい。」

千冬「試合開始!」

箒「でやーっ!」

 

箒さんが剣道を生かした鋭い刀捌きで向かってくる。それを私は全力で回避する。刀だけど、エネルギーを使っての攻撃もできるから、ただ距離を取ればいいというものでもない。私は少し距離を開ける。

 

箒「くっ、また絶妙な間合いを…。」

 

箒さんは雨月からエネルギー刃を出してくるけど、慣れていないからそのパターンは単調だ。

 

千冬「坂上の奴、相変わらず距離の取り方が上手いな。」

シャルロット「刀がぎりぎり届かない位置にいるから瞬時加速(イグニッション・ブースト)をかけて急接近するか、エネルギーを使うしかない。」

ラウラ「だが、箒はエネルギー系の武器は扱い慣れていない。」

セシリア「これはあゆみさんのペースですわね。」

 

面白くない。なら。

 

束「今の箒ちゃんには斬撃のほうが扱いやすいよ。」

箒「わかった。」

 

試合中にアドバイスを送るのはあんまりフェアじゃないけど、これは公式試合じゃない。それに箒さんが強くなるほうがいい。さてと、斬撃を飛ばすなら、こっちもそれ相応の手で対抗しないと。

 

ビュッ

 

何発も来る斬撃を素早く前後上下左右に動いて回避する。

 

箒「な、なんだ、ぬるぬるっと気持ち悪い動きしたぞ。」

あゆみ「確かに気持ち悪いかもしれないけど、これは個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)という技術だよ。」

 

開放回線(オープン・チャネル)で皆に聞こえるように言う。

 

束「う、嘘でしょ~。」

千冬「五月蠅いぞ束。」

 

篠ノ之博士が叫ぶ。それを織斑先生が叩く。

 

理子「それ物凄い高等技術だよね~。」

ティナ「どういうこと?」

 

私が指導した人と代表候補生の皆は分かっているけど、他の人ははてなマークだ。

 

千冬「ボーデヴィッヒ、説明しろ。」

ラウラ「はい。スラスターに次々に点火することで自在な方向に加速できる、強力な瞬時加速(イグニッション・ブースト)です。ですが、点火のタイミングがずれたら即失速するため、上級者向けの技術。各国のエース級しか扱えないとされています。」

シャルロット「代表候補生の僕でもできない技術なのに、それをあっさりできるんだから、あゆみは凄いよ。」

岸里「代表候補生ができないことをやるって…。」

櫛灘「坂上さん、一体何者?」

あゆみ「それだけじゃないけどね。」

静寐「それだけじゃないって?」

あゆみ「まず、回避にはセンサーを組み合わせている。センサーで相手の動きや攻撃を拾って、それに合わせてスラスターの方向を調整して回避しているよ。」

神楽「そんな難しいこと、よく習得できたわね。」

あゆみ「そんなに難しいかなあ。ビット兵器の並列処理(マルチタスク)に比べればなんてことないよ。あれは同時に多数のことをやらないといけないけど、これはセンサーで拾った情報をそのまま回避に利用しているだけだから。」

鈴「戦いながら第三者と平然と会話できる時点でおかしいのよ。」

あゆみ「それと、PICはマニュアル制御にしているよ。」

束「そんな馬鹿な...。」

 

また篠ノ之博士が驚いている。

 

かなりん「な、何が凄いの?」

千冬「凰、説明しろ。」

鈴「はい。パッシブ・イナーシャル・キャンセラー、略してPICは、物体の慣性をなくしたかのような現象を起こす装置。これがあるからISは飛べるのよ。そして、普段はオートだけど、マニュアルにすることもできるわ。マニュアルの方が細かく制御できるけど、機体制御をより意識する必要があるから、難易度は格段に跳ね上がるわよ。実際にPICをマニュアルにしている人なんて初めて見たわ。」

あゆみ「私もPICをマニュアルにするのは今日が初めてだよ。」

セシリア「なぜ今まで使わなかったのですか。」

あゆみ「流石に難しいからね。だから一か八かの面はあったけど、こうしないとあの斬撃は避け切れないからだよ。流石第四世代機だね。」

本音「でも、その攻撃を見切って回避できるあゆみんはもっと凄いのだ~。」

箒「それにしても、あゆみが乗っていると速く感じるのは何故だ?」

あゆみ「最高速度を出し続けているから。」

箒「最高速度を出すのは当たり前のことではないか。」

セシリア「箒さん、こんな急な方向転換を連続でしていながら、最高速度を出すのはそれ自体が一つの技術ですわよ。」

あゆみ「個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)なら、トップスピードを出したまま方向転換できる。最高速度が800km/hの機体でも、実際に戦闘で出せるのは5,600km/h。でも、私なら額面通り800km/h出せる。」

セシリア「それだと、第三世代機の専用機と遜色有りませんわ。」

千冬「訓練機のラファールにしては速すぎると思ったら、そういうからくりか。てっきり光学迷彩を纏ったブースターでもつけていたのかと思っていた。」

あゆみ「それだと燃料切れと、撃ち落としによる減速が怖いですよ。」

 

私はそう言いながら急速接近する。

 

箒「貰った!」

 

箒さんが雨月で狙ってくる。

 

あゆみ「ラファール、いくよ。」

ラファール7「はい!」

 

ピタリ

 

雨月が空振りする。

 

箒「あの速度で急停止!?」

あゆみ「一零停止だよ。」

シャルロット「トップスピードから進行方向と逆向きに加速することで急停止する技か。これもそう簡単に出来る技じゃない。」

ラウラ「AICキラー作戦でも使ってたな。これは騙される。」

束「...。何アイツ。」

 

只の一生徒が、何でISのトップクラスの技術を難なく使いこなしているのさ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。