模擬戦は一時間以上続いたが、
箒「はあ、はあ…。あ、当たらない…。」
箒さんの息が上がってきた。
あゆみ「いつも通りだよね。体力の限界?」
箒「あ、ああ。ここまで長いことISを扱い続けるのは初めてだ。もう持たない。そういうあゆみはずっと動き回っていて疲れないのか?」
あゆみ「え、私? 5時間でも10時間でも乗れるよ。体力はそこまでないはずなんだけど、ISに乗る体力は別物みたい。スラスターをずっとフル稼働させているから、そっちのエネルギーはなくなるかもしれないけどね。」
束「なら、箒ちゃん、粘り殺しだよ。」
粘り殺しなんて、私に分があるんだけどなあ。よし、あれをやろう。
あゆみ「でも、シールドエネルギーをエネルギーバイパスでスラスターに送り込めば際限なく回復できるよ。」
千冬「またマニアックな技を…。」
セシリア「確かにシールドエネルギーを消費して他のエネルギーに変換することはできますね。ですが、シールドエネルギーは最重要エネルギー。それをわざわざ消費するなんて、普通ならあり得ませんわ。」
あゆみ「確かに、一つ間違えば自滅する。そういう点では零落白夜と同じだね。でも、相手が攻撃を当てられないなら、シールドエネルギーは1でもいいんだよ。」
一夏「なっ、それ俺のことを馬鹿にしているのか。」
あゆみ「そういうつもりじゃないけど…。」
千冬「今の話をどう解釈したら自分が馬鹿にされていると考えられるのだ。」
バシィ
一夏「イッテ~。」
織斑先生の出席簿アタックが炸裂する。
白式「自業自得だね。」
赤椿「そんなの勝てないよ。」
箒「私の負けだ。」
赤椿も箒さんも負けを認めた。もっとも、箒さんはまだ赤椿の声が聞こえないようだけど。
あゆみ「じゃあ、持久戦が今後の課題だね。時間稼げばいいだけなら、誰だって喜んで
耐久作戦使うよ。」
箒「ああ。」
千冬「篠ノ之が降参したから坂上の勝ちだな。」
束「う、嘘…。」
箒ちゃんが束さん特製の第四世代機に乗っているのに、あんな凡人に負けるなんて…。
櫛灘「第二世代の、それも訓練機で第四世代機に勝っちゃったよ…。」
ティナ「最新鋭の機体をもってしても勝てないなんて…。」
千冬「お前達もこれで分かっただろう。機体の性能が勝敗を決める全ての要素ではない。坂上は極端な例かもしれんが、一組にはタッグマッチで専用機持ちに本気を出させるようなペアもいた。それを心に留めて訓練を行うように。」
「「「はい。」」」
全員が訓練の準備を始める。ふと見ると、束が怒っている。
千冬「どうした、束。」
束「認めないよ。こんなこと。なんで束さん特製の第四世代機(オーパーツ)があんな第二世代機(アンティーク)の、しかも訓練機に負けるのさ。」
千冬「さあ、なんでだろうな。センスがいいといっても、それだけであんな極端なやり方をして勝つのは無理がある。何かコツを隠しているのかもしれん。」
束「絶対に聞き出す。」
束さんの思い通りにならないことなんて、あっちゃいけない。
私が降りてくると、篠ノ之博士が待っていた。
束「なんで箒ちゃんに勝ったのさ。」
あゆみ「私も最初は善戦程度にしようと思っていたのですが、折角だし、身に着けた回避方法を次々に試していたら、どんどんのめりこんでいって、時間が伸びて箒さんがギブアップしちゃったって感じですね。」
束「そうじゃなくて、技術面。アンタが今やったのって、全部ISでもトップクラスの難易度の技だよ。」
あゆみ「イメージを完全に掴んでいるからです。後はそれを実践するだけです。」
束「チッ。人選ミスか。赤椿の能力を見せつけようと思ったのに。」
あゆみ「だったら織斑君にやってもらったら良かったんじゃないですか。一撃必殺型の彼なら私みたいなことにはなりませんでしたよ。」
束「いっくんの零落白夜じゃ箒ちゃんが負けちゃうよ。」
あゆみ「じゃあ、他の候補生は?」
束「強すぎて箒ちゃんじゃ負ける。」
あゆみ「じゃあ、無理ですね。篠ノ之博士の希望に添えるような人、ここにはいません。」
披露の場での強さを示したかったんだろうけど、生憎とそんなことができるのはこれまで実力がありながら不遇をかこっていた人くらいのものだ。箒さんはそうじゃない。剣道の実力はあるけど、ISの実力はまだまだだ。それなら、模擬戦よりも第四世代機の機体の能力を見せたほうが良かった。白騎士事件の時からプレゼン能力が下手なのは変わってない。
束「只の一生徒のくせに生意気。」
千冬「私から言わせれば、お前のほうが余程生意気だぞ。」
篠ノ之博士は何も言わずに去っていく。
束「箒ちゃんの実力を見せつけるための相手がないなら作るまでだよ。」
私は世界中のISを物色する。
束「ん、これなんかいいかな。」
第三世代機 アメリカ所属
私は即座にシステムをハッキング、プログラムを書き換える。
束「これで、箒ちゃんの赤椿は最強だって証明されるよ。」
~ハワイ~
ナターシャ「ふう~、今日もいい天気ね。」
今は飛行訓練中だ。
ビーッ
突然警告ランプが鳴り出す。
ナターシャ「えっ、な、何!?」
次の瞬間、
ナターシャ「くっ、指令、応答願います!
~指令室~
「直ぐに僚機で止めろ。最悪撃墜してもかまわん。」
しかし…。
「駄目です、速度が速すぎて振り切られました。」
「どっちに向かっている。」
「日本です。」
「ならば、日本に止めてもらうほかあるまい。」
「しかし、また一つ貸しを作ることに...。」
「そんなこと言っていられるか。あれはアメリカの最新鋭機なのだぞ。」
指令が拳を固く握りしめる。