千冬「おい、今何時だ。」
「11時過ぎです。」
千冬「作戦会議の開始からもう1時間以上経つのに、まだ対処方法が定まっていないのか。このままでは作戦を決める前に銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)がここに来てしまう。」
一夏「こんな手間のかかる作戦をやるからだ。」
玲美「何も出来ない奴がごちゃごちゃ言う資格はないよ。」
織斑君と国津さんが睨み合う。
千冬「全く、お前達は仲良くできんのか。」
あゆみ「無理ですね。織斑君と国津さんは考え方が違い過ぎます。組織で同じ部署にしたら、一日で崩壊しますね。」
千冬「よし、これから私が指名した者以外は一切喋るな。話したらここから追い出す。何かあれば挙手をしろ。ああ、坂上は別だ。」
それを聞いて管制室が静まり返る。
千冬「織斑、相手は軍用機だ。訓練とは違って生命の危険がある。お前達が危険にさらされずに解決できる方法があるなら、試すのは当然だ。」
言い返せないのか、大人しくなった。
千冬「国津、場を乱すな。坂上が迷惑するぞ。」
今度は織斑先生が私を出汁にした。
千冬「とはいえ、この作戦が使えなくなった以上、別の作戦を考える必要があるな。坂上、どうする。」
あゆみ「今のままじゃ、情報が少なすぎて私ではどうにもならないです。とりあえず、接近して状況を把握するしかないですね。」
織斑君が挙手をする。
千冬「織斑。」
一夏「それは無理だろ。超音速で飛んでいるんだぞ。」
あゆみ「だからって、何の警告もなしにいきなり撃墜、は問題すぎるよ。」
場合によってはそのISのコアが恨みを抱いて、化けて出てくることだってありうる。
あゆみ「それに、何か裏があるような気がして…。」
もし篠ノ之博士がやったなら、赤椿の威力を示すための場、ということで筋が通る。勿論、それ以外の可能性もあるが。
「「「…。」」」
管制室が静まり返る。まあ、こんなことを言えば当然だろう。
千冬「裏がある、か。」
あゆみ「あくまでも私の勘ですけどね。ですが、こういう時は得てして悪い方に傾く物です。注意しておくに越したことはないですね。」
千冬「そうだな。で、どうするのだ。」
あゆみ「裏があるかもしれないとなれば、ますます対話が重要ですよ。」
また織斑君が手を挙げる。
一夏「そんなまどろっこしいことをしていたらこっちがやられるぞ。」
あゆみ「織斑君、今回の事件って、アメリカがIS学園に言いがかりをつけるためにワザと暴走させて、こちらに攻撃させることで重大な事故を発生させて、それの責任を全部学園に押し付けてくる可能性もあるんだよ。」
玲美「そうなったら、君は責任を取れるのかな?無理だよね♪」
相手の出方が読めない以上、想定できるシナリオは全部想定するしかない。だけど、相手のマッチポンプの可能性があるというのは、やっぱり嫌なものだ。気まずい雰囲気の中、シャルロットさんが手を挙げる。
シャルロット「流石にそれはあゆみの考え過ぎだよ。この臨海学校にはアメリカから来ている生徒もいる。将来有望な自国の生徒を態々危険に晒す真似はしないと思うな。」
あゆみ「確かに、これは考えすぎかもしれない。もう一度原点に立ち返るべきかな。」
時には単純に考えた方がいい時もある。そういう時は、何をしたいか、に立ち戻って考えるのが一番だ。
千冬「いや、詳細なスペックデータなのに、軍事機ということで軍事機密を盾に全ての能力を書いていない。坂上の考えが意外と当たっているかもしれんな。」
あゆみ「そうですか。完全な事故か、自作自演か、半々のつもりでしたが。」
千冬「よし、坂上、現場の指揮権をお前に預ける。」
あゆみ「え、ええっ!?」
こ、これは完全に想定外だ。
あゆみ「あの、現場の者がいちいち指揮していたら混乱しますよ。そのための管制室じゃないんですか。」
千冬「裏があるかもしれないから~、などと言い出すと、最早管制室の指示をいちいち待っていては手遅れだ。この作戦、お前に指揮権を預ける。」
指揮権を預けるということは、失敗した場合、元々指揮権を持っていた者が責任を取るということだ。
あゆみ「それはつまり、この作戦が失敗したら、織斑先生の首が危ないのでは…。」
千冬「残念だが、ここにいる者の中で、今回の件についてお前より広い視点で物事を見ていた者はいない。お前が一番適任だ。」
織斑先生の表情は悔しそうだった。恐らく、自分では力不足なのが悔しくて仕方ないのだろう。何故か知らないけど、専用機を使わないし。まあでも、今はそんなことより暴走を止める方が先だ。
あゆみ「分かりました。やれる限りのことをやります。」
千冬「そうか。頼むぞ。」
だが、国津さんが手を挙げる。
千冬「どうした、国津。」
玲美「一言言わせて。」
あゆみ「国津さん、言いたいことって。」
玲美「玲美から言わせれば、この暴走は篠ノ之博士の自作自演の可能性が100%だね♪」