ラウラ「教官の腕なら間違いない。」
鈴「行けるわね。」
「成功間違いなしよ。」
誰もが賛成している。となると、後は本人の意思だけだ。
あゆみ「織斑先生、どうですか。」
千冬「私は問題ない。が…。」
あゆみ「どうしたんですか?」
千冬「束が拒否しているな。」
横を見ると、篠ノ之博士が怒り狂っている。
束「いっくんじゃないと駄目なんだよ!」
玲美「そりゃどういうことで?何一つ勝っているところがないよ♪」
束「いっくんが暴走を止めないと、この作戦は意味がない!」
玲美「やっと本音を吐いたね。全部アンタが仕組んだことだって。」
あゆみ「分かっていたんじゃないの?」
玲美「本人が自白しない限り証拠にならないよ♪」
あゆみ「成程。」
国津さんはそのためにあんなことを言ったのか。
玲美「まあ、状況証拠なら既にあったけど♪」
あゆみ「それって?」
玲美「プログラム文は、プログラマーごとに癖が出るから、解析したら引き籠り兎のだって一発で分かったよ♪」
千冬「そうか。それで、どうなのだ。」
束「そいつの言う通りだよ。けど、分かったからどうなるの?」
千冬「どういうことだ。」
束「この作戦以外に解決方法なんてないよ。」
千冬「お前が協力すれば済むことだ。」
束「いくらちーちゃんでも嫌だね。」
千冬「束!」
あゆみ「織斑先生、やるしかないですよ。」
千冬「どういうことだ。」
あゆみ「
マッチポンプではあるが、それは操縦者には関係のない話。だから、嫌でもやるしかない。
千冬「坂上がそう言うなら仕方ないな。」
玲美「そうだね。引き籠り兎とは違って、何が大切なのかちゃんと見極めているよね♪」
国津さんが嫌味たっぷりに言う。
あゆみ「織斑先生、この作戦の間は織斑先生が指揮を執ってください。篠ノ之博士のことは私より良く知っているでしょうから。」
千冬「よし。」
束「さ、いっくん、箒ちゃん、出撃準備だよ。」
一夏「おう!」
箒「姉さん、何故私もなのだ。」
束「いっくんの白式のエネルギーは零落白夜で消費するから、他の機体で運ばないといけない。相手は超音速の機体だから、赤椿の機動力が必要なんだよ。」
箒「嫌だが、あゆみがやるといった以上、仕方ないな。」
玲美「成程、こうやって彼の活躍を間近で見させて、元の鞘に納めようって魂胆か。上手くいくわけがないのに。」
束「フン、凡人には束さんの崇高な作戦なんて理解できないよ。さ、束さんも行かないと。」
千冬「どこに行く。」
束「いっくんの雄姿を見届けるんだよ。」
千冬「そうか。」
束「そういうちーちゃんは見ないの?」
千冬「私は指揮があるから、ここを離れるわけにはいかん。」
織斑君、箒さん、篠ノ之博士が準備のために外に出る。私達もその様子を見るために外に出る。
千冬「2人とも、無理はするな。」
一夏「大丈夫だって千冬姉。大船に乗ったつもりで安心して見てくれよ。」
あゆみ「箒さんは自分に出来ることをやればいいんだよ。」
箒「ああ。」
やがて準備が終わる。
一夏「行くぜ、箒。」
箒「本来なら乗せたくなどないが、今回は特別だ。言っておくが、運ぶだけで助太刀などしないぞ。」
一夏「あんな暴走機、俺一人で止めてやる。」
織斑君と箒さんが飛び出す。篠ノ之博士も海岸を走って現場に向かう。3人を見送り、私達は管制室に引き返す。
あゆみ「国津さん、凄いよ。篠ノ之博士に一歩も引かないなんて。」
玲美「ああ、あれはゲームの台詞を真似ただけ。」
あゆみ「え、そうなの?」
玲美「そうだよ。シミュレーションゲームにマッドサイエンティストへの対処の仕方があって、そのうちの言葉攻めを真似た。ただそれだけなのに、見事に引っ掛かったよ。」
あゆみ「だとしても、実行できるのが凄いよ。普通なら篠ノ之博士が相手となると、まず委縮するよ。」
それを聞いた国津さんが俯く。
あゆみ「どうしたの?」
玲美「本当に凄いのは坂上さんだよ…。」
何か訳有りのようだ。
あゆみ「何か訳有りだね。作戦が終わったら、話を聞いてもいいかな。」
玲美「うん…。」
~海上~
銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の姿が見える。
箒「あれか。」
一夏「箒、ここから見ていろ。俺が止めてやる。」
一夏が飛び出す。
エネルギー弾が襲い掛かる。
一夏「この~!」
やはり駄目だ。あんな真正面から何の策もなしに突っ込んで、ダメージを与えられるわけがない。
ドォン
被弾する。そして、動きが鈍くなったところに次々と被弾し、海へ落下する。やれやれ、回収するか。
束「いっく~ん!」
私より先に姉さんが海の上を走って一夏を回収する。