戦わない最強戦士   作:223系新快速

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第75話 雪解け

千冬「まず織斑、相手の攻撃は受け止めて当たり前と思っていないか。」

一夏「そんなの当たり前だろ。相手の攻撃を避けるのは卑怯な奴のやることだ。」

千冬「それはアニメやゲームの中だけだ。ISのようなパワードスーツは、人を簡単に殺傷できる。まずは相手の攻撃が当たらないようにするのが最優先だ。」

一夏「だけど…。」

千冬「それとも、お前は私以上の実力があるとでもいうのか。」

一夏「う…。」

 

やはり勘違いしているようだ。

 

千冬「そんなことが許されるのは他を圧する実力を持っている者だけだ。殆どの人間はそれが出来ないから、策を練ったり、相手の攻撃を回避するといった工夫を積み重ねて自分より実力が上の者に勝とうとする。坂上はそれが極端なだけだ。」

一夏「だけど、それはビビッて逃げ回っているだけじゃないか。」

千冬「ただ単純に逃げ回るだけならな。だが、そんな奴はむしろこちらからすればカモだ。逃げ方が単調で仕留めるのは訳ないし、何のプレッシャーも感じない。だが、坂上は違う。」

一夏「どこが違うんだよ。」

千冬「坂上は、相手の動きを全て見切っている。」

一夏「な、何!?」

千冬「相手の武器の特性を100%把握しているから、次に何を仕掛けてくるかを予測出来る。」

一夏「それで俺の攻撃が悉く...。」

千冬「そうだ。その上で相手が一番嫌がることをしてくる。」

一夏「嫌がらせって…。」

千冬「それも作戦の内だ。自分の実力だけで相手を圧することが出来ないなら、相手に実力を発揮させないのも作戦の内だ。鳳に対する心理作戦など、その真骨頂だな。相手の図に乗った発言に付け込んで鳳の動揺を誘い、自分の戦いをさせなかった。」

一夏「幾ら嫌がらせといったって、やり過ぎだろ。」

千冬「坂上は基本優しいが、自分から隙をさらけ出す相手には容赦はしない。あれは凰に対する戒めの意味合いもあったからな。実際、あれ以降、鳳は大分と謙虚になったから、坂上の作戦は大成功だ。自分が勝つだけでなく、相手の成長も促すなど、並大抵の頭の良さでは思いつかん。」

 

しばしの沈黙ののち、一夏が口を開く。

 

一夏「千冬姉、相手の動きを見切って全部躱すって、そんなに凄いことなのか?」

千冬「ああ。ある意味一番嫌な戦法だ。」

一夏「どういうことだ?」

千冬「当たらないということは、自分の攻撃が一切通用しないということ。即ち、圧倒的な実力差を示せる。それを知ったら、相手は戦意喪失するからな。私も相手によってはこの戦法を取っていた。今はまだ弱いが、将来私の脅威になりうる者にな。」

一夏「そ、そんな...。千冬姉がそんなことを...。」

千冬「勝負に生きる者の定めだ。それは諦めろ。だが、坂上の凄さはここからだ。」

一夏「何が凄いんだ?」

千冬「武器を一切持たずに挑むことだ。」

一夏「そんなの自殺行為だろ。」

千冬「普通ならそうだ。完全武装した敵に丸腰同然で挑むなど、私でも躊躇する。だが、坂上はそれが出来てしまう。これは真似しろと言われても出来んな。」

一夏「そんな凄い奴なら、相手を攻撃したら圧倒するはずだろ。何でそうしないんだよ。いつも相手の心をへし折る必要はないだろ。」

 

もっともな疑問だ。

 

千冬「さあな。お前があの事件をきっかけに強くあろうとしたように、坂上にもそういうきっかけがあったのかもしれん。」

一夏「そうか…。だが、一つだけ受け入れられないことがある。」

千冬「何だ?」

一夏「強くなるためにはハーレムは絶対だと言うところだ。」

千冬「やれやれ、織斑、お前の方が余程ハーレムを作りやすいぞ。世界で唯一ISを使える男である上に、容姿が整っている。普通ならハーレムを作っているところだ。」

一夏「ち、ちち、千冬姉!?」

千冬「それだけ元気ならもう大丈夫だな。管制室で戦いを見ろ。」

 

そこに、

 

真耶「お、織斑先生、すぐ来てください!」

 

山田先生が飛び込んできた。

 

千冬「山田先生、どうした。」

真耶「凄いことが起きています!」

 

束が動いている以上、嫌な予感しかしない。急いで戻る。

 

~管制室~

千冬「何が起こった。説明しろ。」

真耶「まずは画面を見るべきです。」

 

篠ノ之の赤椿が光り輝いている。

 

千冬「これは、単一仕様能力(ワンオフアビリティ)の発現!?まさか、もう二次移行(セカンド・シフト)したのか!?」

真耶「そうではないですが、突然光り輝いたんです。」

 

そして、その内容が示される。

 

千冬「単一仕様能力(ワンオフアビリティ)絢爛舞踏、自機及び接触した仲間の機体のシールドエネルギーを無限回復…。」

玲美「嘘でしょ。」

千冬「国津、どういうことだ。」

玲美「これ、どれだけ攻撃してもシールドエネルギーが減らないというチート級の能力だよ。しかも、窮地に陥ってからのこの逆転劇。まるで漫画だよ。」

 

国津が驚きのあまり普通の語尾になっている。だが、確かにそれだけ衝撃的な能力だな。どれだけ攻撃してもエネルギーが無限に回復するのであれば、攻撃する意味がなくなる。

 

玲美「永久機関なんて存在していないって証明されたはずなのに…。あ、周りのエネルギー分布を調べる必要があるね。」

千冬「おい束、お前の仕業か。」

 

私は一番心当たりのある人物に電話をする。

 

束「ううん、こんなの束さんでも無理だよ。というか、こんなのが発現するなんて、完全に予想外だし。」

 

束すら予想だにしない能力。一体どうなるのだ。

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