戦わない最強戦士   作:223系新快速

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第76話 戦闘中の他愛ない話

~岸辺~

接近し、攻撃を躱し、危ないと思ったら一旦退いて流れ弾を皆に処理してもらう。危なげないから余裕がある。向こうもこちらが攻撃しないと分かっているから、暇だろう。私は個人間秘匿回線(プライベート・チャネル)をオンにする。

 

あゆみ「ナターシャさん、ただやり合うだけじゃ退屈ですし、何か話をしましょうか。」

ナターシャ「そうね。それにしても、貴方、ISの操縦巧いわね。」

あゆみ「それはどうも。」

ナターシャ「それにしても、代表候補生でも企業でもないあなたがどうしてそこまで出来るのか、秘訣を教えて欲しいわ。」

あゆみ「どう動くかのイメージが完全に出来ていて、それを実践できるので、高等技も出来るんです。」

 

嘘ではない。プリキュアとして戦った経験をもとに動きをイメージしているのは事実だし、そのアドバンテージは大きいけど、細かいところが違ったりするから、何も努力せずにいきなりここまで動かせたわけじゃない。

 

ナターシャ「凄いわね。イメージだけでそこまで出来るなんて。」

あゆみ「別に驚くほどの事じゃないと思いますよ。イギリスのブルー・ティアーズだって、パイロットのユーザーインターフェースを生かした機体ですし、想像力が豊かな人なら、多分同じくらい動かせるはずです。」

ナターシャ「成程ね。でも、そうはいっても、実際に出来るかどうかは別の話よ。アメリカに持ち帰りたいわ。」

あゆみ「え、ええ!?」

ナターシャ「貴方なら、今すぐにでもアメリカ代表になれるもの。」

あゆみ「えーと、アメリカ代表って第三世代機ファング・クェイクを操るイーリス・コーリングさんですよね。」

ナターシャ「そうよ。私とは親しみを込めてナタル・イーリって呼び合う関係よ。」

あゆみ「確かにファング・クェイクは安定性重視の機体ですからもし今回のように暴走して対処することになったとしても負ける気はしないですけど、私が国家代表になると色々問題があると思いますよ。」

ナターシャ「あら、どうしてかしら。これだけ上手いんだからどの国の国家代表にだってなれるわよ。」

あゆみ「理由は大きく分けて二つですね。まず、私のやり方は確かに玄人が見れば凄いってなるでしょうが、一般人からすれば面白くありません。国家代表にはなれるかもしれませんが、モンドグロッソに出たら間違いなくアメリカのイメージが低下しますよ。」

ナターシャ「うーん、そうなると圧力をかけるところが出てくるってわけね。特に女性権利団体は五月蠅そうね。」

あゆみ「そうですね。次に、私はそういう誰かを叩き潰すというのは向いていません。自分の実力を全部出すのは慣れていても、他人を妨害することは性に合わないですね。」

ナターシャ「成程、それは確かに一理あるわね。頂点に立つのはあくなき努力を続け、他人を蹴落とすのも厭わない者だから。」

あゆみ「はい。最後に、私の実力を正しく測れる人が少ないということです。この前学年別のタッグマッチトーナメントがあったんですが、そこでクラスメイトに手ほどきをしたんです。そうしたら見違えるような動きをして、各国の偉い人達は目を付けたんですが、私には無関心でした。」

ナターシャ「ええ!?あり得ないわ。これだけの動きをしたら嫌でも目立つわよ。」

あゆみ「多分専用機持ちと組んだからでしょうね。専用機持ちと組んだラッキーな人、位にしか思われなかったんじゃないでしょうか。実際には専用機持ちの方からペアを組むことを持ち掛けられたんですけどね。」

ナターシャ「色々と損しているわね。普通なら専用機持ちになっていないとおかしいくらいなのに。」

あゆみ「損ですか?私はそうは思いませんが。」

ナターシャ「え?」

あゆみ「エリートコースを歩んできた者がプロに入って伸び悩む、そういう例はよくありますよね。」

ナターシャ「ええ。」

あゆみ「私も多分そういうタイプです。だから、こうして色々苦労することが、将来につながると思うんです。それに、私はまだ16歳ですよ。遠回りをしたと言うには早すぎると思いますが。」

 

実際には24年生きているのだが、それを説明するのは大変なので、黙っておく。

 

ナターシャ「色々達観しているのね。」

あゆみ「中学生の時に凄い親友達と巡り合えましたから。」

ナターシャ「その親友に会ってみたいものね。」

あゆみ「そうですね。直ぐは難しいかもしれませんが、いずれ。」

 

~沖合~

私達は戦いを見守っている。

 

??1「流石あゆみね。これ以上ない作戦だわ。」

??2「ええ。ま、あゆみ以上の作戦を出せないこの世界の住人が不甲斐ないのもあるけど。」

??1「それもそうね。ま、この作戦はあゆみ以外には絶対出来ないけど。」

??2「ええ。それにしても、あの兎は早いとこ狩らないといけないわね。」

 

~岸辺~

あゆみ「ん?」

 

沖合に誰かいる。

 

ラウラ「あゆみ、どうした。」

あゆみ「沖合に誰かいるよ。誰かちょっと見てきて。」

シャルロット「分かった。僕が行くよ。」

 

~沖合~

??1「気付かれたわ。」

??2「仕方ないわね。」

 

ピカーッ

 

シャルロット「クッ…。」

 

凄く眩しい。

 

シャルロット「消えた…。」

 

あ、あの光は…。シャルロットさんが戻ってくる。

 

シャルロット「ゴメン、見失った。」

あゆみ「ううん、大丈夫。」

 

やっぱり見守っていてくれたんだ。分かってはいたけど、こうして実際に来てくれるとなると安心できる。

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