玲美「トーナメントが中止になった後も、玲美の脳内コンピューターの狂いは直らなかった。自分の能力を超えた存在のやることなんて、理解できる訳がないからね。」
あゆみ「うん。それで、どうしたの。」
玲美「狂っている中で、本人に直接聞くしかないと結論付けた。その時、清香達他の7人も同じことを考えていることを知った。」
さゆか「そう...。着眼点は違えどあゆみの凄さに意気消沈した...。」
癒子「それなら、皆纏めてISの動かし方を教わろうってなった。そこから少しでもあゆみの凄さを盗むためにね。」
静寐「いきなり聞いてもあれだから、まずはISの動かし方という当たり障りのない内容で関係を作ることにしたわね。」
ナギ「単純に上手くなりたいってのもあったけど。」
あゆみ「成程。」
玲美「で、あゆみの指導は分かりやすかったから、トーナメントでもかなり勝てた。」
箒「そうだな。いきなりセシリアと鈴を慌てさせるほどだったからな。」
セシリア「私の理論に基づいた指導より喜ばれていましたわね...。」
鈴「なんであゆみはそんなに教えるのが上手いのよ。」
あゆみ「プリキュアの中に、将来先生を目指している人や、ダンスユニットに入っていて、他の人にダンスを教えている人がいるからね。」
のぞみさんはココさんに憧れて教師を目指し、ミユキさんはダンスユニットのリーダーとしてラブさん達に教えている。
本音「おお~、そういう環境で育ったなら、教えるのも上手くなるのだ~。」
鈴「そうじゃなくて、聞きたいのは教え方のコツよコツ。何かあるんでしょ。」
あゆみ「コツかどうかは分からないけど、相手に教える際に私が気にしていることはあるよ。」
鈴「それを教えなさいよ。」
あゆみ「それは、相手と同じ目線に立つこと。相手が上手く出来なくて悩んでいるとき、自分ならそれを乗り越えるために何をどうやって習得したかを教える。場合によっては実演したり、補助をする。これが私なりのやり方だよ。」
本音「おお~、流石あゆみんなのだ~。」
あゆみ「これなら親近感も沸くし、再現がしやすい。」
静寐「確かに、瞬時加速(イグニッション・ブースト)を教わった時は、まずあゆみの瞬時加速(イグニッション・ブースト)を経験して、それから自分の中でそのイメージを再現することが主な内容だったわね。」
あゆみ「うん。そして、一つ主要な技を習得したら、暫く様子を見る。」
「何で様子を見るの?」
あゆみ「一つ主要な技術を身に着ければ、技術の幅が広がっていろいろ試したくなるもの。」
理子「それって、私とさゆかの背中合わせとか、」
清香「私と神楽の息の合った連携のこと?」
あゆみ「そうだよ。そんな時に色々指導しても、本人は五月蠅く思うだけ。だから、本人に任せる。こうすることで、本人も教えた人も思ってもみなかった力が出せる。」
玲美「凄い...。」
ラウラ「全くだな。」
癒子「様子見ってそんなに凄いの?」
玲美「凄いよ。教育者って他人にお節介を焼きたいからなる人が多い。だから、過干渉がいつもついて回る。ましてや、相手が極上の素材なら、自分の好みのタイプにしたがる。その可能性がほぼないって、中々出来ないよ。」
箒「一体どうやって身に着けたのだ。」
あゆみ「私が先輩のプリキュアに指導を受けた時のやり方がそれだからね。その後、私も後輩のプリキュアに同じように指導したから、プリキュアでは割と普通だよ。」
癒子「じゃあ、今後も教えてくれるの?」
あゆみ「うーん、それは考え中かな。」
癒子「どうして?こんなに凄いのに。」
あゆみ「この指導方法にも弱点があるからだよ。」
さゆか「どこに弱点があるの...。」
本音「思いつかないのだ~。」
あゆみ「私のやり方だと、1人1人につきっきりで指導するから、大人数を指導することが出来ないんだよ。それに、教わる側との相性もあるし、教わる側が受け身だと効果も半減する。しかも、マンツーマン指導は指導する人の癖が強く影響するから、私以外の人が指導すると逆に成長を阻害する可能性もある。」
どんなやり方もメリット、デメリットがある。最初は成長が実感できるから良いけど、ある程度のレベルになったら、デメリットも明確に意識して貰わないと指導の効果が薄れてしまう。
ラウラ「一理あるな。教官ほどの経験があるならいいが、あゆみはまだ学生で指導能力は確たるものがない。」
シャルロット「それにISはまだ登場してから10年。絶対的な方法が確立されていない以上、出しゃばりすぎるのはよくないってことか。」
鈴「ましてやあゆみは武器の扱い方の指導は出来ない。基礎は出来ても、武器も交えての動き方を教えるのは無理があるわね。」
癒子「それってどういうこと?」
セシリア「谷本さん、武器は重さがあるのですから、武器を持たない時と比べてその分動きは鈍ります。」
癒子「あ、そうか。」
シャルロット「しかも、撃った時に生じる反動は、威力が大きい武器ほど凄い。反動を打ち消すのか、反動を利用して距離をとるのか。その辺も計算に入れて普段から訓練しないといけないんだよ。」
癒子「じゃあ、色んなタイプの先生に教われば...。」
玲美「それは無理。一つを極めるのだって大変だから、そうコロコロ先生を変えたらどれも中途半端になる。」
静寐「つまり、万能な指導法はないから、教える側も教わる側もある程度妥協して、残りは自分の努力で埋めるってことね。」
あゆみ「そういうこと。もっとも、IS学園は倍率一万倍の難関を潜り抜けた、優れた人材が集まるエリート校だし、飛び抜けた人材が求められるから、指導力のある人がやるのであれば、私の指導方法も十分受け入れられると思うけどね。」
癒子「じゃあ将来はこの学園の先生になるの?」
あゆみ「多分ね。カウンセラーも兼任するかもしれない。周りがライバルばかりで、悩みを相談出来る人が少ないからね。」