ガンバライダーファイヤー   作:ドラゼイド

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お久しぶりです、第9話になります。
8話を更新するまでに半年かかって次話はもっと早く上げるぞ~!って思ってたのに結局10ヶ月かかりました(爆)
ほんとに何やってるんですかねこの男は???


第9話 激写・狙われるスクープ

「こんにちは~」

「いらっしゃい、って赤谷くん!久しぶりだねぇ」

 

 市内のパトロールの帰り、圭吾は久しぶりに立花書店を訪れていた。

かつて彼が初めて変身した時に見るも無残に破壊された店は比較的早く修復が終わったのか、つい先日営業を再開したようだ。

 

「リフォームしてる時にちょっと伺ったくらいですからね、ってかあのカウンターどうしたんですか?」

「せっかくリフォームするなら珈琲とか出せたらいいかなって思ってさ、文乃には反対されたけど作っちゃった!飲んでく?飲んでくよね!んじゃあおじさんが腕によりをかけて淹れちゃおっかなぁ~!」

「いやまだ飲むって言ってな……行っちゃったよ」

 

 誠は有無を聞かずにカウンターの奥に引っ込んでしまったので圭吾はコーヒーが出来上がるまで待たざるを得なくなってしまった。

カウンターの上には日出市で刊行されている週刊誌が開かれた状態で乱雑に置かれている。

 

「週刊日出……?立花さん、売り物こんなところに置いといていいんですか?」

「あぁ、それ僕がそこのコンビニで買ったやつだから大丈夫」

「一応ここ本屋ですよね!?」

 

 平日の昼間とはいえ開店中の看板を出しながらコンビニで買ってきたゴシップ誌を堂々と読んでいるのは本屋としてどうなのか。

そんなことを思いながら開かれていたページをちらりと見る。

仰々しいフォントで嫌でも目を引く見出しには“日出市を守る仮面の戦士!”と書かれていた。

見出し的にどう見てもガンバライダーのことだろう。

記事の中には望遠レンズか何かで撮ったと思われる解像度の低い白黒写真が差し込まれている。

いつの間にこんな写真が撮られていたのか、戦いに集中していて圭吾自身は全く気づいていなかった。

 

「最近は爆発だ怪物だって何かと物騒になったけど、こんな人が守ってくれてるって考えるとなんだか安心だねぇ」

「安心って、立花さんは怖くないんですか……?」

 

 えらくマイペースな物言いに驚きを覚えた圭吾は誠にそう聞いてみる。

一方の誠は意外なことではないというような雰囲気でコーヒーメーカーのスイッチを入れて圭吾の方へ向き直った。

 

「そりゃあ怖いよ。このお店もリフォームしたばっかりだし、また壊されたらとんでもない費用がかさむって考えるとね」

「いや、そういうこと聞いてるんじゃ」

「でもさ、お店やってるとああいうのをいっぱい見てるからなんとなくわかるんだよね」

 

 そう言って誠は圭吾から目線を外す。

つられてそちらを見ると絵本や児童書などが置かれているキッズコーナーがあった。

その中には仮面ライダーの書籍も置いてある。

 

「ヒーローには僕だってあこがれてたし、ああいう本を目を光らせて読んでる子供を見てるとさ、ここに載ってる彼も同じような存在なんじゃないかって感じがするんだ」

「そう、ですか……」

「まぁ、確証はないし僕が何となく思ってるだけどね。はい、コーヒーお待ちどうさま!」

 

 自分の戦っている姿について誰かから聞いたのは初めてで、投げかけられた言葉に少しだけ頬を緩ませながら圭吾は出されたホットコーヒーに口をつける。

 

「……なんか、普通ですね」

 

 味は普通だった。

ただただ普通だった。

 

 ────────────────────

 

「だーかーら!今日秋元社長に取材させてもらう約束なんですけど!」

「あいにくですが、本日週刊日出の伊澤様のご予定は入っておりません。それに秋元は本日不在の予定ですので」

「ッーーーー!もういいです!」

 

 圭吾がパトロールから戻ってくるとエントランスで何やら騒ぎが起きていて、隣を行く社員たちは怪訝そうな顔で受付を見ている。

渦中の中心である受付には大量の資料を小脇に抱えた見慣れない女性が立っていた。

 

「記者の人なんだって?」

「そうそう週刊誌の」

「人のゴシップで金もらえてるんだからさぞメシウマなんだろうなぁ」

「ちょっとそこ!聞こえてますよ!」

「うわすっげぇ地獄耳!?」

 

 社員の言葉に耳を傾けるとどうやら記者の取材が来ている、という断片的な情報を得ることができた。

ひそひそと喋っていた社員の声が聞こえたのか、女性記者は悪口を言ってきた社員に指をさす形になり社員たちはバツが悪そうにそそくさと入場ゲートを通り社内へと入っていってしまった。

その近くにいた圭吾はその女性記者と目が合ってしまう。

すると彼女は徐に圭吾へと近づき顔をまじまじと見つめてきた。

 

「貴方は……」

「えっと、俺に何か?」

「……いえ、知り合いに少し似てただけです」

「そ、そうですか……」

 

 彼女は「今度は絶対アポ取りますからね!」と、正面玄関全域に響き渡るくらいの大声で捨て台詞を吐くと、自動ドアをくぐってガンバライジング社を後にした。

 

「なんだったんだあの人……」

 

 帰社直後のあまりにもパンチのある出来事に圭吾は若干面食らいながらも、入館ゲートを通り社内へと歩を進めた。

 

 ────────────────────

 

ガンバライジング社 社長室

渦中の人物である秋元社長は社長室にいた。

 

「社長、記者の方は先ほどお帰りになられました」

 

 タブレットを操作しながら社長室に入ってきたのは秘書の湯川乃亜だ。

 

「はぁ、やはり私は取材の場に出るべきではないと?」

「そうは言っておりません。ただ社長は必要以上のことまでお話になられる癖がありますので」

「社長として説明の義務はあるべきだと思うのだが」

「それは公式の発表についてです。週刊誌の取材なんかに懇切丁寧に対応してたらあることないこと書かれるんですから」

「それは君の偏見が多少なり入っているのではないかな?」

「だいたい今回の取材だって社長が勝手に……とにかく、この後警察の方がお見えになりますので、準備を済ませておいてください!」

 

 乃亜の言い分に気圧されながらも道彦はプンスコと社長室を出ていく彼女の後ろ姿を眺めた後、座っていた椅子の背もたれに深く体を沈める。

これでも秘書業務に関しては問題なく行ってくれるため、強気に出ていても道彦は特になんとも思っていない。

それよりも頭を悩ませているのはここ数ヶ月で増えつつあるバグの出現情報についてだった。

通常の社長業務に加えバグへの対策にも頭を悩ませている現状、時間がいくらあっても足りないと、道彦の脳は少々パンクしかけていた。

 

「厄介なものだな、社長という物も……」

 

 自分以外誰もいない社長室の中で、彼は静かに呟いた。

 

 ────────────────────

 

「戻りました」

「パトロールお疲れ様~」

 

 ガンバライダールームに帰投した圭吾を七海たちオペレーターたちが出迎える。

目立った異変が見つからないためかルーム内の雰囲気もどこか緩んだものになっていた。

 

「そういえば正面玄関にいた週刊誌の人、って」

 

 そんな雰囲気に当てられてか、圭吾は先ほど正面玄関であったことを思い返し質問を投げかける。

 

「あー、なんか今日社長にアポ取ったとか言ってましたね!」

「結構な剣幕で出ていきましたけど」

「詳しい事情は分からないが、ガンバライダーの正体のように知られるとまずいことだってある。それに週刊誌だ、大方そういった機密を最初に暴いてやろうという側面が強いんだろう」

「そういうものなんですかね」

「だがアポがなかった以上こちらも取材を受ける必要はないと思うがね。さ、仕事に戻るぞ」

「はい、分かりました。山内さーん!教えてほしいことがあるんですけど!」

 

 能天気に答えながら秀のもとへ走っていく美穂を横目に、圭吾は顎に手を当て考え込む。

倫が出した結論はあくまでも仮説の域を出ないが当たらずも遠からずといったその意見に何か引っかかるものがあった。

何が、と言われても言葉で説明できるわけではない。だが何かが引っかかるのだ。

 

《ビィーッ!ビィーッ!》

 

 しかし室内に鳴り響くすっかり聞き慣れたバグ出現のアラームによって現実へと引き戻される。

素早くコンソールを操作した七海がバグの出現場所を割り出した。

 

「第2地区D-21にバグの反応、近くには建設中のビルあり、ッ!?作業員がまだ中に!」

「第2地区って、街の端じゃないですか!ここからバイクで行っても時間かかりますよ!」

「いや、大丈夫だ」

「藤崎さん!」

 

 ガンバライダールームのドアを開けて入ってきたのは薫だった。

 

「出動用のカタパルトがあります、それを使ってください!」

「カタパルト!?」

「有事の時用に用意しておきましたが、こんなに早く使うことになるとは。奥の扉が入り口です、とにかく急いで!」

「わかりました!」

 

 圭吾は頷いた後、弾かれるように扉の方へ走って行った。

 

「山内くんと原田さんはカタパルトとワープシステムの起動を!」

「いきなり実践かぁ……」

「テストは何回もやってきただろ?ほら、やるぞ!」

「は、はい!」

 

 少しの不安がありながらも秀に背中を叩かれた美穂は自分のデスクに座りインカムのスイッチを入れる。

 

『赤谷さん聞こえますか?』

「原田さん!聞こえてます!」

『今からシステムを起動させます、赤谷さんはこちらの指示に従ってください!』

「わかりました!」

 

 指示を聞いた圭吾はドアの隅に置かれたパネルにICカードを読み込ませ扉の先の部屋に入るとガンバストライカーを呼び出す。

 

『ストライカーをレーンの上において、ガンバストライカーのエンジンをかけたら、ドライバーを装着してください!』

「レーンに、こうか……!」

 

 言われた通りに車輪止めのついたレーンの上にガンバストライカーを固定させ、エンジンを起動、ドライバーを装着する。

 

『プラットホームとガンバストライカーの固定確認、発進スタンバイ!リフトアップ開始します!』

『システムリンク完了、ゲートの起動を確認。射出位置を第2地区D-21に設定。リフトアップ終了まで残り20だ!』

 

 2人のアナウンスを聞きながら圭吾は上昇する床に揺られながらハンドルを握りしめる。

きっかり20秒後、ガシャリと音を立てて床が止まると目の前にGRZのロゴの描かれたシャッターが現れ、それが左右に開くと滑走路と壁の電気が順に点き正面にゲートが形成された。

圭吾はICカードを取り出した右手を前に突き出し一回転させてからドライバーにICカードを差し込む。

 

「変身ッ!」

 

《RISE UP! FIRE!》

 

 叫びと共にアンダースーツとアーマーが生成され圭吾はファイヤーへと姿を変えた。

フェイスモニターがオンになるとバグの座標や監視カメラの映像など様々な情報が流れてくる。

 

『カタパルト接続、ストライカーの固定解除、ゲートの出力、安定域に到達!』

『進路クリア、ファイヤー発進どうぞ!』

「了解!」

 

 頭上のライトが3つ点灯し、美穂のゴーサインに返事をした圭吾はスロットルを思い切り回す。

後輪から白煙と甲高い音を立てながらガンバストライカーはゲートの中へと飛び込んで行った。

 

 ────────────────────

 

 ゲートを抜けた先、建設中のビルの資材置き場でオーズのバグは暴れていた。

爪の先が欠けたトラクローを展開し、作業員に襲い掛かろうとする寸前の光景が目に飛び込み、前輪を持ち上げてウイリー状態でバグへと一気に距離を詰める。

音でこちらに気づいたためか、バグは作業員の首を掴む手を緩めた。

その隙をファイヤーは見逃さず、勢いのままオーズのバグを轢き飛ばし、距離を取りながら後ろにいる数人の作業員に対して叫んだ。

 

「早く逃げてください!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 作業員が全員逃げたことを確認したファイヤーはバイクから降りゲートからハンドル剣を取り出した。

 

「速攻で終わらせる!」

 

 バグと睨み合うこと数秒、どちらからともなくお互いに接近しファイヤーはハンドル剣を横に斬り抜くが寸前のところでバグはバッタレッグを変形させ高く跳び、爪を突き立てることで鉄骨に張り付いてこちら側を見下ろしていた。

 

「壁に張り付くのズルだろッ!?」

 

 四方を安全柵で囲まれ遮蔽物も多い工事現場の環境はバグにうってつけであり、バッタレッグの跳躍力で四方を飛び回るバグにファイヤーは翻弄されていた。

 

「チィッ、ちょこまかと……!」

 

 バグに対して少々の苛立ちを覚えるファイヤーは舌打ちをしながら改めてオーズのバグを注意深く観察する。

初めのうちは不規則に動いているように感じていたが、跳ぶ軌道も少しずつパターン化してきていた。

 

「その攻撃はもう見切った!」

 

 体を横にずらし直撃を避けながら飛び込んできた懐を斬り抜く。

落下していた状態から懐を切られ、バランスを取れないバグはそのまま工事現場の床をゴロゴロと転がっていった。

 

「ウゥアァッ……」

 

 オーズのバグは腰部のオーメダルネストから黄色いメダルを2枚取り出し、それをベルトに入れ、オースキャナーでスキャンした。

 

『ラi怨!to邏!猇ーター!』

 

 ところどころノイズの走る音声を流しながら、バグは赤、黄、緑の3色の姿から黄色と黒で統一された姿へと変わる。

 

「コンボチェンジできるのかよッ……!」

 

 今までの出現例は単一のフォームのみだったためファイヤーは若干面喰いながらも持っていたを構え直す。

この姿のバグが、次に繰り出してくる攻撃は…… 

 

(速いッ……!)

 

 やはりというべきか、バグはチーターレッグ特有の高速攻撃を選んできた。

モニターで補足できないほどの速度で繰り出されるトラクローの斬撃に、ファイヤーは翻弄され内心焦っていた。

 

(落ち着け、こういう時は動きをよく読んで……)

 

 しかし理性のないバグの動きは野生動物のメダルによってさらに勘が引き上げられており、数回に一度攻撃をいなすので精一杯だった。

バイクを使えば速度的には対等になれるが小回りが効かない上に柵で囲われた狭い工事現場の外にバグを出してしまえば被害がさらに拡大するため、ファイヤーはじりじりと追い詰められていた。

手出しができないことを感じたのか、バグはライオンヘッドを激しく発光させる。

ファイヤーは咄嗟に腕で顔を覆うが、タイミングが若干ズレて圧倒的な光量をモロに喰らってしまう。

見えない中で即座に剣を構え直すが、次の攻撃はいくら待っても飛んでこない。

少しして視界が戻るとバグの姿は跡形もなく消えていた。

おそらく視界を奪ったタイミングでチーターレッグの加速力を使い逃げ果せたのだろう。

 

「クソッ、逃げられたか……」

 

 唇を噛みながら圭吾は変身を解除した。

すると、カシャリと微かな音が近くから聞こえてくる。

しかし辺りを見回しても音の鳴るようなものはなく、不審な人物はどこにも見当たらなかった。

 

「気のせい、か……?」

『赤谷くん?』

「何でもないです、これから帰投します」

 

 通信を終了し、会社に帰ろうと工事現場の安全柵を出ると徐に手を引かれバランスを崩してしまう。

 

「うおっ!?」

「静かに、ひとまずついてきて」

 

 頭上からどこかで聞いたことのあるような女性の声が聞こえ、慌てて顔を上げると見覚えのある顔が飛び込んでくる。

先ほどガンバライジング社の正面玄関で見た記者、伊澤瞳その人だった。

 

 ────────────────────

 

同時刻、ガンバライジング社・社長室

 

「ようこそ、ガンバライジング社へ。私は社長の」

「秋本道彦、でしょう?せっかくお時間を作ってもらったのに相手のことを知らずに接見する警察官はいませんよ」

「これは失礼、長谷川署長」

 

 長谷川と呼ばれた男、日出警察署署長の長谷川一哲は嫌味として吐き捨てた自分の言葉をおくびにも出さずに道彦に返されたことに対して苦虫を噛み潰したような顔になる。

 

「それで、本日はどのようなご用件で?」

 

 椅子に腰を据えながら表情をピクリとも変えずに涼しい顔で話しかける道彦に対して一哲はずいと距離を詰めて核心を突いていく。

 

「ここ数ヶ月で頻発している怪物騒ぎ、それに連動して現れる謎の戦士。アンタらは一体何を知ってる?」

「何を、ですか」

「惚けるな、御社が開発してる業務用パワードスーツに酷似したベルトを使ってる。証拠の写真だってある」

「ふむ、このくらい画質が荒い写真を突き付けられましても、いくらでも言いがかりをつけることができるのでは?」

「テメェ警察に喧嘩売る気か?」

 

 デスクを強く叩き強い眼光で道彦を睨みつける一哲、警察官として数多くの取り調べをしてきた彼の顔つきは並大抵の人間なら威圧感で縮こまってしまうような雰囲気と威圧感を与えていた。

背筋に冷たいものを当てられたような感覚に陥った乃亜は道彦のもとに駆け寄ろうとするが、当の本人はそんな彼女を右手を上げて制するとまるでなんともないような涼しい顔で一哲の目を見つめ返す。

対峙する両者の目線が交差する中、空高く飛ぶ飛行機の音だけが部屋の中にかすかに響いていた。

 

 

次回予告

「教えてください、あなたの知ってるアイツのこと」

「俺はただ戦いを楽しんでるだけさ。これまでも、これからもな」

「俺はただアイツがいなくなった理由が知りたいだけだ」

「私にもできることはやらせてよ」

第10話 (レンズ)が映すもの




とある作品に脳を焼かれたせいでカタパルトの設定が爆誕しましためちゃくちゃ影響受けてる…
バイク発進のイメージはクウガ4話と出撃!インパルス!です()

立花書店
立花文乃の父、立花誠が経営している本屋。
最新の文庫本や雑誌はもちろん、古本も取り扱っている。
「ただ本を売るだけでなく人の心に生涯寄り添える本を売ってあげる」という誠の思いが込められていて、それなりに客足がある模様。
1話でバグの攻撃を受け半壊したが、リフォームの良い機会と張り切ってカフェコーナーを増築したがコーヒーの味自体が普通なことと近くに喫茶店があるせいでそちらの収入は雀の涙程度らしい。
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