ジリリリリリリリリリリリリ!
突然サイレン音が周囲に響き渡る。
どこからか爆発の音が聞こえそれは大きな火災になっていく。
「どうなってんだよこれ!」
「キャーッ!」
「何この粒子!?」
「苦しい……」
「助けて……助けて……!」
大勢の人が爆発の影響で落ちてきた瓦礫の下敷きとなり、うめき声がいたるところから聞こえてくる。
でも、彼はそこから動くことはできない。
まるで金縛りにでもあっているように。
倒れている人を見ると、体の一部が粒子化していた。
何もすることができないのか、そう思った瞬間右腕が彼の意思に反してゆっくりと上がる。けれどそれが倒れている人のところへ届くことはない。
彼を捕捉したのか粒子は槍状になり飛んでくる。
彼の腕に激痛が走るが身悶えることも声を上げることも叶わない。
そのまま粒子は彼の右腕から体内に入っていく。右腕は熱を帯び、やがてそれは炎へと形を変えていく。
その瞬間周りの炎は右手に収束していきそれが弾けた後彼の視界は突然真っ黒になった。
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ジリリリリリリリリリ!
「またこの夢か……」
そう呟きながら赤谷圭吾は目を覚ます。
またいつもと同じ夢を見た。
サイレンだと思っていた音はなんてことない目覚まし時計の音だった。
幾度となく見てきた大規模な火災の夢だ。実際にそんな事件が起きた記憶や記録はないが、その夢は現実に起こったかのようにリアルかつ鮮明な夢だった。
「この時計がダメなのか?」
1人つぶやきながら近くにあったリモコンに手を伸ばす。
「日出市内にて強盗事件が発生し、」
惰性でつけたテレビの内容もどこか自分とは無関係などこかで起こっていることのように感じる。
実際そういった事件に関わったことはないから合っているといえば合ってはいるのだが。
「……」
結局テレビは消した。
なんとなく窓に近づき空を見上げると、いつもと同じ景色に雲が流れていく。誰もが笑顔で、毎日が平和。これが変わらないいつもの日常。
だが一つだけ、この街が普通と違うところがある。街の中心部にそびえ立つ大きなビル、ガンバライジング社の存在だ。
仮面ライダー研究機関であるガンバライジング社はその独自のテクノロジーによってガンバドライバーを開発、量産し消防や警察などに業務用モデルとしてリリースしている。
いつしか「変身したい」という子供が抱く空想は形は違えど現実となった。
「痛っ!?」
なんとなく窓に触れると指先に電気が走ったような感覚がする。10月に入ったばかりで静電気が起きるには早すぎる時期だ。
(なんだ今の、まぁいいや。今日はバイト休みだし新しい本でも買いに行くか)
そんなことを考えながら彼は本屋へと向かった。
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「相変わらず赤谷さんはミステリーが、って聞いてますか?」
「え?あぁ、すみません。ちょっと考え事してて……」
レジに立っていた立花文乃に声をかけられる。
立花書店、彼の家から5分ほどの所にある本屋である。
近くを通りかかったときに偶然見つけて以来よく利用していた。
「考え事って何をですか?」
「別に大したことじゃないんですけど」
「なになに、なんの話?」
奥からこの本屋の店主の立花誠が出てくる。
「赤谷さんが考え事してたって話」
「そっかぁ、そういうお年頃だもんな」
「店長茶化さないでください、っていうかそういうこと考えてたんじゃないですよ?」
「だってもうハタチでしょ?うちの子なんて優良物件だと思うけどねぇ」
「父親が自分の娘を優良物件とかいうのもどうなんですかね!?」
「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!」
「いやそういうことじゃないですよ!」
「ちょっとお父さん?」
「嫌だなぁ、冗談だよハハハ!」
そんな他愛もない話をしていると、突如として左腕、ちょうど腕時計をしていた位置に電流が走ったような感じがした。
「今朝と同じ感覚……?」
「どうしましたか?」
「あぁ、いえ。なんでもないです」
本を受け取ろうとしたその瞬間、地響きとともに謎の爆発が起きた。
窓ガラスは粉々に砕け散り、火花や土埃が舞う。
「これ預かっててください!」
「ちょっと!どこ行くんですか!?」
何か嫌な予感がする、そう思った圭吾は文乃の質問を振り切り外に飛び出す。
「あれって……!?」
彼が見た光景、それは得体の知れない怪物が人を襲っているところだった。
怪物はクウガのような姿をしていたが本来のそれよりも装甲が剥がれ落ち、複眼はひび割れ中から血走った眼球が露出していた。周りには禍々しいオーラが漂っている。
怪物が手をかざすと、手から衝撃波を出し、コンクリートの壁を易々と貫通する。
それは彼が知っている笑顔を守るために戦った戦士とは全く違う姿だった。
「やめろ!」
彼は怪物を止めようと咄嗟に走り出したが、簡単に受け止められてしまう。
一瞬の隙を見逃さず腹に重い一撃をくらい、近くの壁へと一直線に飛ばされた。
全身が軋むように痛い、その感覚だけが頭に残ったまま地面に伏してしまう。
「グハァッ……!クソッ……」
どうすればいい、そう思った瞬間目の前に光が差し、その発光体を手に取った。
掴んだものはガンバドライバーだった。
だが、なんとなくこれは業務用モデルのドライバーとは違うと感じていた。
(俺が使えってことなのか……?)
一抹の疑問を感じながらガンバドライバーを装着する。
その瞬間、何かが見えた。
ここは戦場だろうか?禍々しいオーラを放ったバグが誰かを取り囲む、その中央に立つのは炎を纏った赤い戦士。
それは彼が設定していたガンバライダーの姿だった。
《生体認証、赤谷圭吾、適格者としてデータベースへの登録完了。ユーザーロック完了》
《Ganba Driver,System Start-Up.》
その瞬間、いやずっと前から彼の覚悟は決まっていたのかもしれない。
今なら変われる気がする、そんな期待と自らを奮い立たせるため口を開く。
「そうだ、俺はずっと誰かを守りたいと思っていた。もう誰も悲しませない!今ここでみんなを守れるなら、俺が戦う!」
そう言ってICカードを装填し叫ぶ。
「変身!」
《RISE UP! FIRE!》
怪物が衝撃波を放つが、その直前に彼の体は光の筒と炎に包まれる。
筒が回り出すと無数の粒子がアンダースーツの形になり体を覆っていく。
筒がタイヤ状になり上空に消えたと思うと周辺の炎がアーマーへと変化し、アンダースーツに装着される。そして落下してきたタイヤが胸アーマーに装着され、フェイスモニターがオンになる。
変身が完了したその瞬間、炎が一層強くなり、上空へと大きな火柱を上げる。それが消えると彼はガンバライダーへと姿を変えていた。
「これが、俺」
すると、怪物が呻き声を上げながら、こう問いかけてきた。
「ダレ、ダ……」
「俺は、ガンバライダーファイヤーだ!」
ファイヤーは走り出し、バグに殴りかかった。
「ソリャッ、ハァッ、ドリャァッ!」
攻撃は見事にヒットし、バグは後ろによろける。
「えぇと確か!」
ドライバーに手をかざす。その瞬間ガンバライジング社のロゴが展開され、ハンドル剣が手元に転送される。
「ハァッ、ダァッ!」
ハンドル剣の刀身である圧縮SO-1合金がバグを切り裂く。
素早く逆手に持ち替え突進しながらバグを斬り抜き、ターンし剣先でバグを突き刺す。
「……ウゥー」
「これなら行ける!」
《Burst OK》
目の前のモニターにバーストの指示が出た。
装着されている顔パーツを外し、裏返す。
《Limiter release! Burst Change!》
「バーストチェンジ!ここからが本番だ!」
顔パーツをはめ直すとゲートからバーニアが出現し、ドライバーのリミッターが解除されボディーアーマーから炎が放出される。
《Burst Break!》
必殺技がモニターに表示され、必殺技を選択する。
《スピードロップ!》
ドライバーから認証音声が流れると、ゲートからトライドロンが現れ彼の周りを走り出し、バグの周りに高速回転するタイヤが積み上がる。
いくら弾こうとしてもタイヤはバグを外に出さないよう高速回転していた。
やがて四方に置かれたタイヤが接近し、バグを弾き飛ばす。
「フッ!ハッ!フッ!ハッ!デヤァーッ!」
高速回転するトライドロン上部の車輪を蹴りながらバグを蹴り次の蹴りを喰らわせる。
ファイヤーのキックは怪物に直撃し、大きな爆発を起こした。
「ふぅ、なんとか……って大丈夫ですか!?」
圭吾は変身を解除して怪物に襲われていた人の所へ駆け寄ろうとしたが、
「赤谷圭吾さんですね?」
スーツ姿の集団に呼び止められた。
「え?あ、はい」
「その男性は我々が保護します。一緒に来てください。」
だが、この時まだ彼は知らなかった。戦いの火蓋が切って落とされた事に。
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ガンバライジング社
圭吾は車に乗せられてガンバライジング社へと連れてこられた。しかし正面入り口ではなく地下駐車場からビルの中に入る。その後エレベーターに乗せられ、重厚な扉で閉ざされた部屋の前にたどり着く。
呆然と立ち尽くしていると、スーツ姿の人達はいなくなっていた。
「ここどう見ても立入禁止じゃん。どうすりゃいいんだよ」
見てみると、カードリーダーのようなものにガンバライジング社のロゴが書かれていた。
もしかしてと思い、圭吾は変身に使ったICカードをスキャンした。
ピーッ
ドアが開き、中に入る。中には機械類が並び、秘密基地を彷彿とさせる部屋だった。
「なんだここ」
「ここはガンバライダールームだ」
声のした方へ振り向くと、スーツを着た男性が立っている。
「えっと、あなたは?」
「あぁ、紹介が遅れてしまいすまない。私は秋本道彦、ガンバライジング社の社長だ」
「えっと、赤谷圭吾です。それで俺はなぜここに呼ばれたんですか?」
「赤谷くん、単刀直入に言わせてもらうと、君にはガンバライダーに変身してこの世界に迫り来る脅威を消し去って欲しいんだ」
「ちょ、ちょっと待って下さい、どうして俺なんですか?」
「それは君が適格者となったからだ」
「適格者?」
「ガンバライダーに変身する者の事だ。だが無理にとは言わない。全ては君次第だ」
数秒の沈黙の後、彼は決意を持って答えた。
「やります、この力でみんなを守れるなら、俺が戦います!」
次回予告
「ところで、適格者って具体的に何をすればいいんですか?」
「紹介が遅れました。僕はガンバライダーシステムの開発者、藤崎薫です」
「俺に出来ること、あの怪物を倒して平和を守ること、か」
「このバトルを終わらせるのは俺だ。お前に手出しはさせない」
「ガンバライダーブリザード……お前を倒す」
第2話 2人の適格者
ガンバライダー
ガンバライジング社が開発した強化スーツ。
戦闘データが記録されたICカードとガンバドライバーを使用することによってスーツとアーマーが転送されガンバライダーへと変身することができる。
初期数値
身長:200cm
体重:85kg
パンチ力:8t
キック力:15t
ジャンプ力:25m
走力:100mを5秒
(初期数値であり適格者の身体、並びに戦闘データ量などで能力値は変化する。)