ガンバライダーファイヤー   作:ドラゼイド

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第5話です。
まーた1話更新するまでに2ヶ月もかかってるよコイツ…


第5話 忍び寄る影

「発生した十数件の事件についてですが」

 

 圭吾はガンバライダールームで定期報告会に出席していた。

珍しく適格者の2人も出席していたが裕樹は飲み物が切れたからと、聡はお手洗いで一時的に席を外していた。

 

「ここまでで何か質問等ある方はいらっしゃいますでしょうか?」

「あの……」

 

 恐る恐る圭吾は手をあげ質問をした。

 

「ここ1ヶ月のバグの出現に規則性とかってあるんですかね?」

「現状としてはわからないです。まだ十数件しかケースが少ないのでバグについての情報が少ないのは確かですし」

「そうですか」

「どうかしたんですか?」

「思ってみれば、奴らのこと全然知らないなって」

「言われてみればそうでしたね。それでは次に進み」

 

ピピッ!

 

 次に進もうとしたときアラートが鳴り響く。

そばに座っていた田沼が手早く端末を操作し反応のあった場所を算出する。

 

「バグの反応を確認!」

「場所は!?」

「日出ショッピングモールです!」

「報告会は中断、適格者は至急現場に向かってください」

「了解!」

 

 報告会は途中中断となり、圭吾はエレベーターに乗り1階へ降りた。

裏口のハッチからゲートを開き、ガンバストライカーを取り出して発進させる。

今回もいつもと同じようなバグだろう、この時までは彼もそう思っていた。

 

「赤谷君、今回は僕たちも一緒に戦うよ」

「せいぜい足を引っ張るなよ」

「うるせぇコーヒー飲みに席外した奴に言われたくないわ!」

 

 通信を開きながらバイクを走らせる。

ガンバライジング社からショッピングモールまでは目と鼻の先であり、圭吾は一番最初に現着した。

避難する人の波に逆らって走ると彼の目の前にはゲンムのバグが現れた。

だが彼はいつもとは違う何かを感じた。

言葉で言い表せるような違和感ではなかったが、明らかに何かが違う。まるで何かを振り払おうとしているような。

 

「なにかが、おかしい?」

『赤谷さん?』

 

 通信が入るが反応に遅れる。

 

「……え?何か言いました?」

『いえ、なんだか普段と違うと思って』

「ッ、なんでもないです。変身!」

 

 彼はガンバライダーへと姿を変えた。

ゾンビゲーマーの姿を模したバグだったのでその影響だろう、一瞬浮かんだ最悪の考えを振り払う。

ゲートからをハンドル剣を取り出し駆け出す。

 

「ハァーッ!」

『タ、タス…ケ…』

「バグが……喋った!?」

 

 喋るバグと対峙しファイヤーは攻撃の手を止めてしまい、気づくとファイヤーは武器を降ろしていた。

 

『赤谷さん何やってるんですか!?』

「……このバグ、意識があるのかもしれないです」

『!?』

 

 攻撃してこないことが分かったのかバグはボディーブローを繰り出してくる。

本来なら避けられたはずのそれを真正面から受けたファイヤーはゴロゴロと地面を転がっていく。

 

『貴方が戦わなければ多くの命が犠牲となるんですよ!』

「だからって、もしこのバグが人間だったらどうするんですか!?助けを求めてる一人の命を見殺しにしろってことですか!?」

 

 幸いにも避難は完了しているので人的被害が出ることはない。

とはいえこのバグを倒してしまった場合、最悪バグと一体化していると思われる人を殺すことになりかねない。

そのため確証がなければ迂闊に攻撃することもできず、かといってこのままこのバグを放置するわけにもいかない。

思考を巡らせ打開策を考えるがいい案は思い浮かんでこなかった。

一度気絶させて対策を立て直そう、そう思った時、背後から声が聞こえてきた。

 

「見てられないな」

「誰だ!?」

 

《GUN…!》

 

無機質な機械音と共に遠くから放たれた銃弾はファイヤーの頭のスレスレを通り正確にバグを射抜いて爆発が起こる。

振り返るとバグは霧散していた。

 

「誰が来るのかと思ったら、この間の君一人だけか」

「お前は誰だ……?」

「俺もガンバライダーさ。そうだな、シャドーとでも呼んでくれればいい」

「そんなことはどうだっていい。お前、さっき人を」

「よく出来てただろ、音声ユニット」

「何……!?」

「俺が適当に声を入れてただけさ、傑作だったぜ?お前が慌てふためくさま」

「ふざッ……けんな!」

「お?ようやくやる気になったか!お手並み拝見と行くぜ?」

「お前がバグを操ってたのか!?」

「さあどうかね?」

「ッ!!!」

 

 ハンドル剣の刀身とブレイクガンナーがぶつかり火花が散る。

拮抗していると思っていたが、シャドーのパワーが強かったのか次第に押されていく。

 

「そんな、なんで!?」

「経験の差だ、お前じゃ俺には勝てない」

「……!うるっせぇぇぇ!!!!!」

 

 その瞬間、圭吾の頭の中で何かが切れた。

走り出し、怒りのままハンドル剣を振り回す。

 

「アァァッ!!!」

「おうおう、パワーが上がったね!でもッ!」

 

 振り回したハンドル剣はあっさりと受け止められ、ブレイクガンナーの銃弾がファイヤーのボディに叩き込まれる。

 

「ウアァッ!」

 

 吹き飛ばされたファイヤーは壁に激突しコンクリートにめり込む。

衝撃の余波で変身が解除され、圭吾はその場にへたり込む。

 

「クッソ……!」

「へぇ、まだそんな目できるんだ。でもこれで終わりだ」

 

 シャドーはブレイクガンナーを圭吾の方に向け発砲し、大きな土埃が立つ。

しかし放たれた銃弾は彼に当たっていなかった。

 

「大丈夫かい赤谷君?」

「ったく、何してるんだ」

 

 圭吾の目の前にはブリザードとサンダーが立っていた。

寸前のところでサンダーが銃弾を狙撃していたのだ。

 

「君は何者だい?ドライバーを持ってるってことは関係者かもしれないけど、あいにくデータベースの中にも存在してないんだよね」

「名乗るほどのものじゃないさ、さっきも言ったが気軽にシャドーとでも呼んでくれればいい」

「お前が誰だろうとどうでもいい、そのドライバーをどこで手に入れたのか、お前は何を知っているのか、全部話してもらうぞ」

「2対1か、面白い。それじゃあ第2ラウンドだ」

 

 お互いに武器を構え、どちらからともなく走り出す。

2対1という数的ハンデがありながらもシャドーは善戦していた。

連戦ではあるが余裕があるのか挑発してくる。

 

「ほらほら、そんなもんかァ?」

「認めたくないけど、結構やるね……」

「チィッ、アンタが動きを止めろ。その間に俺がやる」

「あ、ちょっと!」

 

 連携を取らなければ彼は倒せない、そう思いサンダーが共闘を呼び掛ける前にブリザードはそう吐き捨てた。

自分の間合いまで距離を持っていきガシャコンソードを振りかぶる。

 

「さて、さっきの質問に答えてもらおうか」

「おいおい、俺は何にも知らないさ。ただこのドライバーを貰ってデータを集めてるだけさ」

「データだと……?」

「おっと、おしゃべりが過ぎたか?」

「つまりアンタはただの小間使いってことか?」

「あぁそうさ、これで満足かい?」

「チッ、ハズレか。だがアンタがドライバーを持ってるのはこれから先面倒だ。ここで倒させてもらう」

「へぇ、じゃあやってみなよ。その代わり俺もここから本気出すから、さァ!」

 

 その瞬間、押さえつけていたガシャコンソードの力が弱まった。

 

「何ッ!?」

 

 弱まったといってもブリザードが意図的に力を抜いたわけではない。

文字通りシャドーが本気を出し、先ほどとは桁違いのパワーでブリザードに殴り掛かる。

 

「そォらッ!」

「ぐぅッ!?」

 

 一撃はアーマー越しに深く突き刺さり口から空気が漏れる。

その一瞬にして形勢は逆転し、ブリザードはその場に倒れ伏した。

 

「おうおう、デカいのは口だけかァ!?」

「ガッ!ぬか……せ……」

 

 口では威勢を張っていても背中に降ろされた足は確かに肺をつぶす勢いで沈み込んでくる。

次第に空気がうまく入らなくなり視界に広がる地面がぼやけてくる。

 

「ブリザード!」

「コイツも、ここまでか」

 

 足を離されてもうまく空気が回っていないのかうまく動くことができない。

すでに興味を失ったのかシャドーの視線は残ったサンダーの方向に向いていた。

 

「くっ……」

 

(戦闘を避けてこの場から離脱したいけど、一瞬でいいからブリザードから意識を逸らさないと救出は絶望的、こうなると……)

 

「赤谷く……ッ!?」

 

 サンダーはまだ動けるはずの圭吾に声をかけようと向きを変えたが彼は忽然と消えていた。

 

「足、退けろォッ!」

「ッ!?」

 

 もう一度ファイヤーに変身した圭吾は音もなく近づき思い切り右ストレートを繰り出す。

彼が倒れていた場所、それはシャドーの背中の延長線上にあり、死角から放たれたその攻撃は見事シャドーの顔にヒットした。

 

「サンダー!今のうちに」

「へぇ、アンタそんなこともできたんだ」

「「ッ!?」」

 

 今のうちに退避を、そう思い声をかけたが目の前には早くも体勢を立て直したシャドーが立っていた。

 

「ファイヤー、今すぐゲートを開いて撤退して!」

「でもそれじゃ」

「全員共倒れになるよりマシ!急いで!」

「ッ、わかりました」

 

 指示に従いガンバライジング社へのゲートを開きバイクを呼び寄せた勢いのまま裕樹を背負ったファイヤーはゲートの中に飛び込んでいく。

 

「さてと、僕は逃がしてもらえなさそうだね」

「当たり前だろ、せっかく1番強そうな奴が残ってんだからさァ!」

 

諦めたようにサンダーは武器を構え互いに駆け出していく。

拮抗する実力、向こうの猛攻に合わせて武器を振るいいなすのが精一杯だった。

飛び散る火花の中でサンダーは逃げ方を考えていた。

そんな余裕のない中でシャドーは顔パーツに手をかける。

一瞬遅れてサンダーも顔パーツに手をかけ互いに叫ぶ。

 

「「バーストチェンジ!」」

 

《Limiter release! Burst Change!》

 

 お互いに顔パーツを裏返しバーストする。

自分たちも使っているはずのバーストのはずなのに出力は明らかにシャドーのほうが上、一瞬にして変わった空気感の中で再び両者は対峙する。

それぞれが必殺技を選択しチャージ状態に入る。

 

《FLOAT,DRILL,TORNADO》

《SPINNING DANCE!》

 

 シャドーはゲートからカリスアローと3枚のラウズカードを取り出しリーダー部分に連続でラウズする。

 

《カモン!バナナオーレ!》

 

 一方のサンダーはゲートからバナスピアーを取り出し持ち手を自分の方へ引きながらひざを曲げ低く構える体勢になる。

飛び上がったシャドーは回転を加えながら一直線にサンダーの方向へ飛んでいく。

着弾寸前でサンダーはバナスピアーをバナナ上のエネルギーとともに突き出しキックを受け止める。

サンダーの右腕とシャドーの右足にはそれぞれ大きな負荷がかかる。

しかし互いのエネルギーが多すぎたのか片方が力尽きる前に一面は爆発と煙に包まれる。

煙が晴れるとそこからサンダーは消えていた。

 

「チッ、逃げたか。」

 

 つまらなさそうな声を出しながらシャドーは変身を解除する。

 

「まぁいいさ、戦いが始まれば嫌でも顔を合わせることになるんだからな」

 

 フードを被った青年は不敵に笑うとかざした手からゲートを作り出しどこかへ消えていった。

 

次回予告

「トレーニングルームの使用許可?」

「じゃあ、なんでここまで来たんだい?」

「それは」

「さァ、遊ぼうぜェッ!」

「それでも……俺は絶対に逃げない!」

第6話 戦う理由




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