9時でゲス!
けっひっひ。
さっき、茶髪で片目が隠れたヤツを使い魔にしてやったでゲスよ!
この調子でどんどん使い魔を増やしていって山脇様といっしょに世界征服するでゲス! ……と思ったらあそこにいるのは山脇様でゲスね! さっそく、世界征服を進めるでゲスよ!
「山脇様! これからどうするでゲスか?」
山脇様は天才マッドサイエンティストでゲス! あちきでは思いもよらないようなことを簡単に思いつくでゲス。
けれど、あまり頭が良くないところもあるでゲス。そういうときはあちきがしっかりしなきゃならないでゲスね!
「あら、豊後。そうね…… 毒を作ろうかしら。キャンサーを一網打尽にして世界征服を成し遂げるのよ! いくよ! 豊後!」
「毒でゲスか!? はい! でゲス!」
毒とは驚いたでゲス! 戦うだけが世界征服ではないということでゲスか!? さすが山脇様でゲス!
これなら世界征服もすぐそこで間違いなしでゲス!
──────────────────
昼ごはんの時間でゲス!
毒を作るのは失敗してしまったでゲス……。薬が爆発して山脇様の髪がアフロみたいになってしまったでゲスよ……。
でも、山脇様は全然諦めてなかったでゲス! 「ふっふっふ……仏の顔も3度までよ! 豊後!」と言ってたでゲスよ! きっと凄いことを言ってるんだと思うでゲス!
食堂に着いたでゲスよ!
山脇様と一緒に列に並ぶでゲス。あちきはご飯が山脇様の次に好きでゲス! いつも山脇様と一緒に食べるので一番好きな時間でゲス!
今日のメニューはなんでゲスかね……。っ!
唐揚げでゲス! 唐揚げでゲスよ! この匂い、この見た目、たまらないでゲス……
テーブルまで持って行くのが待ちきれないでゲス……早く食べたいでゲスよ……やっとテーブルについたでゲス。
「いただきます」「いただきますでゲス」
きちんと手を合わせてから食べるでゲスよ。じゃないと山脇様に叱られるでゲス。……そして、パクリ。
ん〜〜!! 美味しいでゲス!!
「豊後。あまり急いで食べるとこぼすわよ。もっとゆっくり食べなさい」
「はい! でゲス!」
危なかったでゲス! もう少しで大事な唐揚げを落とすところだったでゲスよ……パクリ、パクリ、パクリ、ゆっくり丁寧に食べるでゲス。
そして、最後の一個をパクリ。
……無くなってしまったでゲスよ。ご飯の時間は好きでゲスが、この時間だけは切ないでゲスね……。
「もう食べ終わったのかい。仕方ないね……。ほら、私の唐揚げもやるよ。食べなさい」
「いいでゲスか!? ありがとうでゲス!」
なんと! 山脇様があちきに唐揚げをくれたでゲス! あちきのお皿に唐揚げが復活でゲスよ!
さっそく食べようと箸を伸ばすでゲス。けど、そこで大事なことに気づいてしまったでゲス……
「でも、山脇様の唐揚げが無くなってしまったでゲスよ…… 使い魔のあちきばかりが食べるわけにはいかないでゲス…………だから、これは山脇様が食べるでゲスよ!」
こんな美味しい唐揚げを、あちきばかりが食べるなんて良くないでゲス! 山脇様も食べるでゲスよ!
……ほんとはもっと食べたいでゲスが我慢でゲス
……でも、食べたいでゲス……いや! 我慢でゲスよ! あちき!
「豊後。私はさっき軽食を摂ったからお腹が空いてないのよ。だから食べてくれると助かるわ。……ふっふっふ! この私の使い魔なら、しっかりと食べて役に立ちなさい!」
「そうでゲスか!」
やったでゲスよ!!
パクリ! ん〜〜〜! 美味しいでゲス! 幸せでゲスよ……パクリ。パクリ。
今度こそ食べ終わったでゲス! もうお腹一杯でゲス……幸せでゲス……
そして、ちょうど昼ごはんの時間が終わったでゲス。
「それじゃあ豊後! 訓練に行くわよ!」
「はい! でゲス!」
次は訓練の時間でゲス! 今なら何でもできる気がするでゲスよ!
山脇様と一緒に訓練所へ向かう途中、突然声を掛けられたでゲス。
「あっ! ぶんちゃん! 相変わらず可愛いな〜」
「その声は……使い魔でゲスか! 可愛いって言うなでゲス! もっと敬うでゲスよ!」
朝、使い魔になった茶髪が話し掛けてきたでゲス!
「そんなこと言わずにさ。ほらほら」
「や、やめるでゲスよ! くっつくなでゲスーー!」
あちきを抱きしめてくるでゲス! 使い魔の癖に生意気でゲスよ! うわー! 変なところも触ってくるでゲスー!
「……茅森。……そろそろ辞めなさい」
「うわっ! ワッキーいたんだ……」
「いたわよ!! ずっと隣で立ってたでしょ!! その目は飾りなの!? あとワッキー言うな!! 女子に失礼でしょ!!」
「え〜、でも、ワッキーはワッキーだし……」
「私は、や! ま! わ! き! よ。そして、イヴァールという名前があるわ! せめて、こっちの名前で呼ぶのよ!!」
「仕方ないなぁ……わかったよ、やまぼん」
「全っ然! 違う! やまぼん!? イヴァールはどこにもないじゃない! ぼんは何!? 私のミドルネームから取ってるの!? あと、それも女子につけるようなニックネームじゃないのよ!!」
「そうでゲスよ! 山脇様は山脇様でゲス! もっと敬うでゲス! 使い魔のくせに生意気でゲス!」
あちきの使い魔が暴れてるでゲス! 使い魔にしたのは失敗だったかもしれないでゲスね……
「……というか豊後。茅森が使い魔ってのはどういうことよ?」
「朝会ったときに使い魔にしたでゲスよ! あちきにパンケーキをくれたのでゲス! あと、山脇様には内緒と言われて一緒に風呂に入ったでゲスよ」
「……茅森? ……まさか」
「うわっ! にっげろ〜!」
あっ! 使い魔がとんでもない速度で逃げてくでゲス! 突然現れてあっという間に去っていったでゲス……とんでもないやつでゲスよ……
「あっ! 茅森っ! っ!……逃げ足だけは速いわね。……まったく、豊後、茅森にはついて行っちゃ駄目よ。何をされるか分からないから。それと、新しい使い魔はいらないわ」
「そうでゲスか……でも、世界征服のためには人数が必要じゃないでゲスか?」
「……いいのよ。……世界征服はね。ゆっくりやればいいわ。……ふっふっふ! それに、お前がもっともっと頑張ればいいのよ! ……それに、私も頑張る、……もっと頑張らなくちゃ。二人で世界を征服しようじゃないの!」
「はい! でゲス!」
あちきは怠けてしまっていたでゲス! 人に頼るよりももっと自分で頑張るべきだったでゲスよ! 本当に、いつも山脇様には気付かされることばかりでゲスよ……すごいでゲス……山脇様はすごい人でゲスよ!
「それじゃあ訓練に行くわよ!」
「はい! でゲス!」
たくさん訓練して山脇様の役に立つでゲス!
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訓練が始まったでゲス! あちきのやる気は十分でゲスよ!
「豊後! 6時の方向! 天音! 4時の方向よ!」
「わかったでゲス!」「うむ」
山脇様の指示通りに戦うでゲス! あちきが銃を撃つたびに映像の敵がどんどん消えていくでゲス!
……どんどん訓練が進むでゲス。もうすぐ、訓練も終わりの時間でゲスね。
「皐月、神崎! 4時の方向よ! 桜庭は援護を!」
「了解です♪」「了解でゴザルよ!」「……わかりました」
殆どの敵を倒し終わったでゲスよ。残すは数体でゲス。
そろそろ終わりでゲスね。そう思ったとき山脇様が少しふらついたでゲス! そして、敵の攻撃が直撃してしまったでゲス!
「ぐっ!」
そのまま地面に叩きつけられてしまったでゲス! 危ないでゲス!
「! 山脇様! 大丈夫でゲスか!?」
「……大丈夫よ。痛みは無いし問題ないわ。」
訓練装置が止まったでゲス。怪我はしないようにできているらしいでゲスが……心配でゲス……。
「イヴァールちゃん。大丈夫でしたか?」
「珍しいな。普段は神崎のミスばかりだというのに」
「拙者ばかりではないゴザルよ! 天音殿だって前回は……あれ? 前々回で……あれ? …………あれ!? 拙者ばかりだったでゴザルよ! 今気づいたでゴザル! ……ショックでゴザルよ……。山脇殿、大丈夫でゴザルか?」
「……お怪我はありませんか?」
「ありがとう。少し目眩がして失敗してしまっただけよ。何ともないわ」
そう言って立ち上がるも、まだ少しふらついているでゲス。不安でゲス……
「山脇様! 今日はもう終わりにするでゲスよ! また明日やるでゲス!」
「……いえ、訓練を続けるわよ。私達はもっと強くなる必要があるの。それに、あと少しで終わりだもの。……ふっふっふ! もう大丈夫よ!」
山脇様が元気になったでゲス! そして、訓練が再開して危なげなく残りの敵を倒したでゲス。終わった頃には、山脇様はすっかり元気になっていたでゲス!
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夜ごはんの時間でゲス!
メニューは……カレーでゲス! はわぁ〜〜、この香りがたまらないでゲスよ!
「山脇様! カレーでゲスよ!」
「……そうね。……美味しそうね」
訓練が終わって少ししてから、また少し山脇様は元気が無くなったでゲス。ご飯を見たら元気が出るかと思ったでゲスが……変わらないようでゲス。……心配でゲス。あちきならどんなことがあってもカレーを見るだけですぐ元気になる自信があるでゲス!
「どうしたでゲスか? いつもの山脇様と違うでゲスよ」
「っ! ……そうね。……私がこんなんじゃだめね。……よし! 豊後! 食べるわよ!」
「! はい! でゲス!」
元気になったでゲス! いつも通りの山脇様でゲス!
カレーをパクリ。ふわぁ〜〜。美味しいでゲス! やっぱりカレーは最高でゲスよ!
パクリ。パクリ。さいごに、パクリ。ふぅー。ごちそうさまでゲス。お腹いっぱいで幸せでゲス……
「山脇様。これからどうするでゲスか?」
まだまだ一日は終わってないでゲス。世界征服のためには朝から夜までやることばかりでゲスよ!
「そうね。それじゃあ、キャンサーから身を守る素材の研究でもしようかしら。ふっふっふ。とんでもなく頑丈な無敵な盾を作るわよ!」
盾でゲスか! あちきは敵を倒すことばかり考えていたでゲスが、確かに守りも重要でゲスね……さすが山脇様でゲス! あちきでは思いつかないでゲスよ!
「行くわよ! 豊後!」
「はい! でゲスよ!」
研究所へ行くでゲス!
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結局、無敵の盾はできなかったでゲス……
ものすごい頑丈な板はできたでゲスが、重すぎてまともに動かなかったでゲス。山脇様がそれに押し潰されたときは驚いたでゲスよ。本当に危なかったでゲス……
寮へ帰る途中、山脇様がまた少しぼんやりとしてるでゲス。そういえば、訓練のときや夜ご飯のときもぼんやりしていたでゲス。
「なにか悩みでもあるんでゲスか?」
「……何もないわよ。……ふぅ、今日も終わりね」
「そうでゲスね! 明日が楽しみでゲス! 今度こそ世界征服するでゲスよ! けっひっひ!」
「……」
相変わらず、ぼんやりしたままでゲス。……やっぱり、なんだかおかしいでゲス。
「……山脇様? どうしたでゲスか?」
「……あぁ、少し考えごとをしていたわ。……豊後、先に寮に帰ってなさい。……私はもう少し涼んでから戻るわ」
……なんだか少し不安でゲス。……でも、たまにはそういう気分のときもあるでゲスよね。
「はいでゲスよ!」
あちきは先に1人で帰るでゲス。いつも山脇様に頼っている分、しっかりするでゲス!
寮に向かって歩いている途中、後ろを振り向くとベンチに座ってじっと俯いている山脇様が見えたでゲス……やっぱり、不安でゲスが……山脇様に限って何かあるはず無いでゲスよね!
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部屋に戻って、風呂に行って、寝るでゲス。……でも、山脇様のことが気になってなかなか眠れないでゲス。
時計を見ると、別れてから3時間経ってもう23時でゲス。まだ山脇様は帰ってこないでゲス。……さすがにおかしいでゲス。
山脇様を探しに行くでゲス!
静かにベッドから起き上がるでゲス。パジャマから着替えて、ヘルメットを装着して外に出るでゲス。他に持っていくものは特にないでゲスね。
とりあえず、別れた場所まで行ってみるでゲス。
思ってたよりも暗いでゲスね……道には誰もいないでゲス……怖くないでゲスよ!
あの辺りが山脇様と別れた場所でゲスね…… あ!! いるでゲス! あっさり見つかったでゲスよ!
……でも、なんだか様子がおかしいでゲス……別れたときと同じベンチで、同じく俯いた姿勢のままで座っているでゲス……なんだか、少し怖いでゲス。
「……山脇様?」
「……」
ちらちらと電灯が点いたり消えたりしているでゲス。俯いた山脇様の横顔が影で暗いでゲス。
「や、山脇様? もう11時でゲスよ? 帰らないでゲスか?」
「……………………ごめんね……」
「……きゅ、急にどうしたでゲスか? 謝られることなんて何もないでゲスよ。……早く帰らないと風邪を引くでゲスよ!」
「……………………豊後ぉ……ごめんね……私は何もできない……何もできないの……うっ……うぅっ……うぅぅ」
な、何が起こったのかわからないでゲス。あやまったと思ったら泣いてしまったでゲス!
あっ! もしかして、どこか痛むのでゲスか!? 訓練とか盾作りとかで怪我したのかもしれないでゲス! それならすぐに病院に行かないとマズイでゲス!
「大丈夫でゲスか!? 病院に行くでゲスよ!」
病院に行くために山脇様の手を取るでゲス。……すごい冷たいでゲス。ずっとここにいたんでゲスよね……。
病院へ向かう途中、山脇様に話しかけても「ごめんね」と繰り返すだけでゲス……。まるで別人のようでゲス……。どうしちゃったのでゲスか……
病院に着いて診察を受けるでゲス。待ってる間、不安がいっぱいでゲス……
そして、診察が終わったでゲス。お医者さんが話す病名は全く想像していないものでゲス……
『鬱』
山脇様が鬱になったでゲス。