山脇様が鬱になったでゲス。
まさか、山脇様が鬱になるなんて…考えられないでゲスよ。
山脇様はこのまま入院することになったでゲス。あんなに頑張っていた訓練も休みになるらしいでゲス…
山脇様が心配でゲス。早く良くなるといいでゲス…
「山脇様…大丈夫でゲスか?」
ベッドの上に座っている山脇様は相変わらずぼんやりとしているでゲス…
山脇様が心配でギュッと手を握るでゲス…でも、いつもなら力強く握り返してくれる手が力ないままでゲス…
「豊後…ありがとう…大丈夫よ…」
か細い声でゲス…
いつもみたいに高笑いを上げて噓だと言ってほしいでゲス。「使い魔の訓練だよ!」なんて言って笑ってほしいでゲス…
でも、そんなことは起きないでゲス…
山脇様は疲れた顔をして横になったでゲス。あちきは山脇様の手を握りしめて、山脇様が早く元気になるように祈ることしかできないでゲス。それから、しばらくして寝息の音が聞こえてきたでゲス。
そういえば、あちきよりも先に山脇様が寝るのは珍しい気がするでゲス。昨日も、一昨日も…? そういえば、一昨日のことがいまいち思い出せないでゲスね。昨日の朝、山脇様から、世界征服の拠点としてここへ移動したという話を聞いたでゲスが…その前はどうしていたんゲシたっけ? …………まぁ、いいでゲスか! それよりも、今は山脇様の方が大事でゲス!
今日は寮に帰らないで山脇様を見守るでゲス。
山脇様が早く良くなることを願って、山脇様の手をギュッと握るでゲス。ときどき苦しそうにするのは悪夢でも見ているのかもしれないでゲスね…何もできない自分が悔しいでゲス…
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気づくと日が昇ってきていたでゲス。いつの間にかかなりの時間が経っていて驚くでゲス。
山脇様の目が覚めたら全部元通りで元気になってたり…しないでゲスかね…
目を覚ましたでゲス!
「山脇様…身体はどうでゲスか?」
「……」
…相変わらず元気のないままでゲスね。
お医者さんには、薬を飲んでいればよくなると聞いているでゲスが、あちきも何か力になりたいでゲス。何かないでゲスかね…
そうでゲス!
図書館に行って鬱を調べるでゲス! そうすれば、何か良くなる方法が見つかるかもしれないでゲス!
そうと決まれば、さっそく行くでゲスよ。少しでも早く山脇様を助けるでゲス! …でも、今の山脇様を一人残していくのは心配でゲスね。一応、聞いてみるでゲス。
「山脇様。一緒に図書館に行かないでゲスか?」
「…ごめんね。…あまり動きたくないのよ」
やっぱり、行かないでゲスよね…行くか迷うでゲス…。
…でも、仕方ないでゲス。山脇様を置いていくのは不安でゲスが一人で行くでゲスよ!
早く山脇様を元気にするためでゲス!
「山脇様! 図書館に行ってくるでゲス!」
「…うん」
ぼーっとベッドに横たわっている山脇様を見ているのは辛いでゲス…。早く良くなってもらうために使い魔のあちきが頑張るでゲスよ!
そうと決まれば、すぐに向かうでゲス! 全速力で図書館へ向かうでゲス!
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着いたでゲス!
早速、鬱についての本を探すでゲス。この機械で検索すればいいでゲスね…『う、つ、び、ょ、う』……たくさん出てきたでゲス。あっちの方でゲスか。
このあたりでゲスね。たくさん本が並んでいるでゲス。
『猿でもわかるうつ病』…これはあちきには不向きでゲスね。
『鬱病大全』…分厚くて良さそうでゲス。少し読むでゲスか。…ちょっとわからないでゲス。
『異世界に転生したのにワイちゃん鬱でひきこもってる件』…変なタイトルでゲス。どんな人が読むんでゲスかね。
なかなか良さそうな本が無いでゲスね…もうちょっと探してみるでゲス
あっ、これなんか良さそうでゲス!
『うつを治す。うつ病に寄り添う方法』……『うつ病の原因となったストレスを振り返って対処法を学ぶ』でゲスか…
なるほど! 分かったでゲス!
そうと分かれば、さっそく山脇様の「ストレス」を見つけるでゲス! あちきが思うに、一番のストレスは「世界征服」に関係していると思うでゲス。昨日は失敗ばかりだったから嫌になったのかもしれないでゲスね…もっと、情報を集めて原因を特定するでゲス!
さっそく聞き込みでゲス!
まずは本を棚に戻すでゲス。
そして、図書館を出て……いざ出発でゲス!
「あっ! ぶんちゃん!」
と思ったらいきなり声をかけられたでゲス! 使い魔でゲスか!
…生意気でうっとうしい奴でゲスが、今はちょうどいいでゲス! さっそく聞き込みでゲスよ!
「相変わらずかわいいなー。ぶんちゃんはあたしの癒しだよ。そうだ! 今日も一緒にパンケーキを食べに行こう!」
パンケーキでゲスか!? 昨日食べたあの美味しさは忘れられないでゲスよ!
…でも、今は全く食べたい気持ちが湧いてこないでゲス。
それよりも山脇様のことが心配でゲスよ…。
「行かないの!? そっか…それは残念というか、予想外というか…え? ワッキーの元気がないから原因を知らないかって? ワッキー体調悪いんだ。大丈夫かな…」
とにかく聞き込みでゲス。「うつ病」ということは周囲に言わない方が良いって本に書いてあったから隠して聞いてみるでゲス。
「……ん~、なんだろうね」
返事に微妙な間があったでゲスね…
使い魔のくせに何か隠してるでゲスか!? 吐かないと地獄に落とすでゲスよ!
「地獄!? 怖い! …ん~、でも、私から言えることは何もないかな。ワッキーに聞くのが一番だよ」
それができないから困ってるんでゲスよ!
まぁ、使い魔に言っても仕方ないでゲスね。これ以上聞いても無駄そうでゲス。
次へ向かうでゲス!
「あっ! ちょっと待って! さっき、マリー達がぶんちゃんを探してたよー、って、足はやっ! ぶんちゃん足速すぎっ! 待ってー」
何か話しかけてくるけど無視でゲス! そんなことよりも「ストレス」の原因を探るでゲス!
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…結構いろんな場所にいったでゲスが、あちきが知っている人はぜんぜんいないでゲスね。この基地に来てからまだ二日目だから当然でゲスか。知っている人なんてルームメイトの人たちくらいでゲスよ。…でも、やけにルームメイト達はあちきのことを詳しいんでゲスよね…謎でゲス。
あっ! 見たことのある人でゲス! 昨日の訓練所にいた怖そうなオバサンでゲスよ!
さっそく話を聞くでゲス!
「こんにちは、豊後さん。…山脇さんのことは聞いているわ。軍で精神を病んでしまう人は多い。その分、病院には豊富な経験があるから必ず良くなるわ」
このオバサンは山脇様がうつ病になっていることを知っているでゲスね。それなら遠慮なく聞けるでゲス!
「そう。ストレスの原因を探っているのね。…申し訳ないけど、私から言えることは無いわ。それは、あなたと山脇さんで解決する問題よ」
またでゲス! さっきの使い魔も似たようなことを言っていたでゲスね。…もしかして、あちきにも何か関係があるのでゲスか?
「あなたたちの関係はとても不安定だと思うわ。これを切っ掛けに、あなた達の関係が…いえ、なんでもないわ。とりあえず、山脇さんのことは安心してちょうだい。投薬治療を継続していけば良くなるはずよ」
「それじゃあ遅いでゲス! 治療には数ヶ月かかると本に書いてあったでゲスよ! 山脇様が可哀想でゲス!」
「…仕方ないのよ。今はできることをするしかない」
「…もういいでゲス!」
「豊後さん!」
あのオバサンに話してもどうにもならないでゲス! 山脇様はあんなに辛そうなのに、どうして助けないでゲスか! 使い魔も、オバサンもみんなみんなわからず屋でゲス!
基地中を走り回るでゲス。もっと情報がほしいでゲス。でも、知っている人はほとんどいないでゲス。この基地に、あちきと山脇様を助けてくれそうな人は全然いないでゲス…。
そういえば、あちきはここに来る前はどうしてたんでゲシたか…
…思い出せないでゲス
なんだか、おかしいでゲス…
不安でゲスよ…
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31Cの部屋に来たでゲス。昨日まで山脇様と一緒に寝ていた部屋。でも、それより前は…思い出せないでゲス。
部屋には…誰もいないでゲスね。あちきの布団が綺麗に畳まれているでゲス。誰かわからないけどありがたいでゲス。
ここは短い期間でゲスが山脇様と過ごした部屋でゲス。なにか山脇様の助けになる情報があるかもしれないでゲス。
探すでゲス!
これは! NINJAフィギュアでゲスか… いらないでゲスね…
これは! 水晶玉でゲスね… たくさんあるでゲス… いらないでゲスね…
こ、これは! 魔導書でゲスか! いかにも凄そうでゲス!
山脇様が世界征服に困っているなら、この本を読めばなにか助けになるかもしれないでゲス!
…わからないことが多くて不安でゲスが、とにかく山脇様を助けるでゲス! 早速山脇様に見せに行くでゲスよ!
…でも、もしも、中身が駄目だったら山脇様にショックを与えてしまうかもしれないでゲスね。…先にあちきが見たほうがいいでゲスね。使い魔が先に見るのは良くないでゲスが山脇様のためでゲス!
本を開くでゲス! …これは…実験の記録でゲスかね? なかなか悪くないように見えるでゲス!
えっと、記憶喪失の観察…記録……でゲスか………?
「………」
…読み進めると情報がどんどん出てくるでゲス……これは、あちきでゲスか?
あちきは記憶喪失で、ずっと山脇様と31Cと一緒に戦っていたでゲスか?
ど、どういうことでゲスか…? 信じられないでゲス。山脇様は世界征服を企んでなくて、あちきに付き合ってただけでゲスか…?
…もしかして、ルームメンバーがあちきのことにやけに詳しかったり、使い魔とオバサンが話しにくそうにしてたのは、これが理由でゲスか?
……それじゃあ、山脇様のストレスって、あちきのせいでゲスか…?
「……」
山脇様…、いや、山脇様じゃないでゲスかね… あちきは使い魔でもなくて、世界征服を企んでもなくて、じゃあ、あちきは何なんでゲスか…
ずっと、ずっと、山脇様を苦しめていたんでゲスか……?
「……」
頭が割れそうでゲス…。自分が分からないでゲス…。
怖いでゲス…。山脇様に会いたいでゲス…。でも、山脇様はあちきに会いたくないかもしれないでゲス…。ずっと我慢していたのかもしれないでゲス…。
「うっ… うっ… うぅ…」
駄目でゲス…。あちきなんかよりも、山脇様の方がもっともっと苦しい思いをしてるはずでゲス…。それなのに…あちきが泣くなんて…ダメでゲスよ…。
「うっ… うぁっ… うわぁぁ…」
止まらないでゲス…
部屋を飛び出して、どこかへ向かうでゲス。身体を動かさないと、何かしていないとおかしくなりそうでゲス。
とにかく、走って、走って、走り回って……気づいたら病院に着いていたでゲス。
山脇様…。
でも、今のあちきが山脇様に会う資格なんて…無いでゲス…
「うぅっ…」
病院には行かないでゲス…泣かないでゲス。これから、どうすればいいでゲスか… 明日になったら、この記憶も無くなってしまうんでゲスか… 知らないまま、ずっと山脇様を傷つけ続けるんでゲスか…。
そんなの嫌でゲス…。それなら、いっそあちきなんて………。
「ぶんちゃん! やっと見つけました!」
「っ!」