夢×   作:ハークライムツ

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閲覧ありがとうございます。

今回短めです。


第5話 東京優駿 前半

 

大外からヤマトノヌシ!ヤマトノヌシが上がってきている!!

200を通過!先頭に立った!まだ伸びる!まだ伸びる!!

2番手、ムーンレーザー3番手争いは激戦だ!

ポーカーフェイス、キースアンデット!!

抜けた抜けたヤマトノヌシ!!ヤマトノヌシだ!!これが我が国の主!!皇!!ヤマトノヌシです!!

 

ーーー

 

その前日は雨が降っていた

空は暗く、決して良バ場とは言えないコンディション

しかし、かのウマは意にも介さず先頭でゴール版を横切る。

そのあまりに鮮やかな勝ち方に人々は次の夢を見た。

勝ったのは……

 

皇 ヤマトノヌシ

 

ーーー

 

「NHKマイルカップ優勝、おめでとうございます!!ヤマトノヌシさん!今のお気持ちは!」

「ありがとうございます、まだ実感がなく、夢の中にいるみたいです」

「夢、ですか」

「そうですね、子供の頃からの夢だったので、第一歩が踏み出せて本当に嬉しいです」

「道中少し下がったように見えましたけど、それでレースが動いて、全てヤマトノヌシさんに噛み合って見えましたが、それも作戦ですか?」

「いえ、まぐれですね、たまたまです」

「今の気持ちを誰に伝えたいですか?」

「関係者各位、指導員殿、そして一緒に練習してくれた仲間たちに伝えたいです、本当にありがとう」

「次のレースは?」

「優駿、日本ダービーですね」

「中2週間で厳しいとの声もありますけど……」

「そうですね、でもレースを見てくださればわかると思いますよ」

「最後に一言!お願いします!!」

「NHKマイルカップ、ありがとうございました

来るダービーではかの白騎士ではなく、私を1番人気にしてください、ありがとうございました」

「いやぁ、自信たっぷりのコメント!!次のレースも期待しています!!では今度は前田トレーナーよろしくお願いします!!」

「どうもーーー

 

ーーー

 

 皐月賞の話題もいつしか薄れ、巷では春の天皇賞を勝ったロマンフット先輩とNHKマイルカップを勝ったヤマトちゃんの話題で持ちきりになっていた。

「流石ヤマトちゃん!!見事な勝ちっぷりだね!!」

今もこうして、食堂のテレビで何度も放送されている。

「チッ、つまんねぇ会見しやがってロマン先輩を見習え、ロマン先輩を」

そう言っていながら、応援の時小さくガッツポーズをしてたのを私は見逃さなかった。

「でもレースは良かったでしょ」

「フッ…まぁな、流石ヤマトってところだって何笑ってんだ?」

「別にーーー?」

「でも確かに、ロマンさんの会見も感動したなぁ、思わず泣いちゃったよ」

先輩の代の代表だった私の姉が亡くなり、大親友だったロマン先輩はショックのあまりそのまま学園を辞めてしまう勢いだった。

けれど、それでは手向けにも何もならないと言い、レースを走った。

元々弱いウマではなかった。しかし、人気を背負うと惨敗し、人気がなくなると鮮やかに勝つ。そのあまりに自由な勝ち方に『気まぐれロマン』という愛称で親しまれていたわけだが、姉が亡くなってからは一度も負けていない。人気も高く私も大好きな先輩だ。

「何だお前、詳しいな」

「だって私寮で同室だもん」

「え?そうなのか?」

「うふふ、そうよぉ」

後ろにきていたことなど全く気づかなかったが、滑らかに私の体に腕を絡ませてきた。こんな芸当ができるのは一人しかいない。

「ロマンさん!」

「私のことは親しみを込めてロマンねぇさんと呼びなさいと言ってるでしょぅ」

「ロマンさん!!」

「うふふ、わざとかしらぁ?」

「えっと……この人はもしかして……」

「そう!ロマンフット先輩!!」

「初めましてぇー、人呼んで気まぐれロマンことロマンフットでぇす」

「なんというか……」

「うふふ、イメージと違ったかしらぁ??」

「ロマンさんはレースと普段でキャラが違うからね!!」

「そうねぇ……自覚はないけどぉそぉ言われることが多いわねぇ」

「こんなおっとりしている人が……」

すると、食堂が黄色い歓声で溢れた。

大衆の向いている方角を見てみると、見知った茶褐色の髪と可愛らしい耳が見えた。

「ヤマトちゃん!!」

「キャーキャーと煩くて敵わんなぁ」

「その割に嬉しそうじゃねぇか」

「なんじゃ、黒、嫉妬かえ?」

「チッ、くだらねぇ」

ホープちゃんもあまり強くは言わない。彼女なりに優勝を祝いたいんだろう。だから、助け舟を出したあげることにした。

「おめでとう!ホープちゃんも流石ヤマトだって言ってたよ!!」

「バカ!余計なこと言うな!!」

「なんじゃ?なんじゃ、黒!!そんなこと言ってたのか?ほれもう一回言うてみぃ!

流石ヤマト様って!」

「チッ!くだらねぇ!くだらねぇ!!」

「仲良いわねぇ」

いつの間にか昼ごはんのプレートを取ってきていたロマンさんが私たちの隣に座った。

「……そちらにいらっしゃるのは……浪漫先輩ですか?」

「初めまして……よね?ロマンフットよぉ

よろしく」

「初めまして、よろしくお願いします」

独特な緊張感。上の世代である先輩と激突するのはまだ先の話だが、特殊なローテを組んでるヤマトちゃんと上の世代最強候補に名を連ねるロマン先輩なら、最初に激突するのは天皇賞・秋といったところだろう。

世代の壁として立ちはだかってくるウマの一人であることは間違いない。

「そんな畏まらなくていいわよぉ、取って食ったりはしないから」

そう言いながら、付け合わせの人参を喰らう。

「レースではわからないけどねぇ」

そんな言葉を付け加えた。

「こちらも望むところです」

それに一歩も引かず渡り合う、皇・ヤマトノヌシ。

「…ふふふ、簡単に勝てると思うなよ?」

そう言い残し食べきっていた昼飯を片付けに席をたった。食堂を出て行くときにヤマトちゃんよりも大きな黄色い歓声が沸き起こった。

「なんというか、不思議な方じゃの」

「やっぱ、強ぇんだろうな、最後の瞬間そう感じたぜ」

「うーん、でも私には無理しているように見えるんだよね」

「は?」

「昔は、the気分屋って感じで、前日までやる気満々だったのに、次の日はやる気が無くなってたり、その逆もよくあったしフラフラしてたよ、最近はずっと気を張ってるみたいで…ちょっと心配……あ、でも優しいのはずっと変わらないよ!私のこともずっと気にかけてくれてたし!!」

「親友である世代の代表ウマ娘に想いを託されたなら、そうならざるを得なかったのではないかの?」

「うーん、無理してないといいけど……」

「んなことより、俺たちのことよ

あと少しで日本ダービーだぜ?日本ダービー!!」

「そうだね!皐月賞からパラディンちゃん

私、レッドちゃん、ホープちゃんにロンリーちゃん、青葉賞からロタリオちゃん、それにNHKマイルカップよりヤマトちゃん!!

他にもいっぱい強いウマ娘がでるはずだよ!!」

「相手にとって不足なし……二人ともわしに負ける準備をしとくことじゃ」

「こっちのセリフだ」

「負けないからね!!」

 

ーーー

 

 放課後、いつも通りレッドちゃんを起こしホープちゃん、ヤマトちゃん、ロンリーちゃんに別れを告げトレーナー室に向かう。

「ということで!次の作戦は??」

中に入るといつも通り書類と睨めっこしていた。

「Oh、唐突ですね!ですが、そうですね……そろそろ次の作戦の話をしましょうか!!前回の皐月賞、先行策を取ったわけですが、どうでした??」

「悪くなかったよ!!あそこまでパラディンちゃんに迫ったのも初めてだったし!!」

「Umm…やっぱり……ズバリあなたの脚質は自在、と呼ばれるものでしょう!」

「自在?」

「どこからからでも力を発揮できる根性やスピードの全てを持ち合わせた馬のことを自在脚質って呼ぶことがありまーす、マヤノさん、オペラオーさんとかがこの脚質なんじゃないかって言われてまーす」

「ほんへー??」

「Oh……あんまし実感なさそうですね」

「そりゃねぇ……」

「いいでしょう!とりあえず今回の作戦を説明しまーす!!今回の作戦はーーー

 

ーーー

 

「って言う作戦で行こうと思うんだが、何かいいてぇことはあるか?」

「それよりこうした方がいいんじゃないか?」

「なるほどな…確かにーー

 

ーーー

 

「と言う作戦でいこうと思います、異論はありますか?」

「ないよ、それでいこう」

「何にせよーーー

 

ーーー

 

『打倒、パラディン(ちゃん)』

「だね!」

「だな」

「ですね」

 

ーーー

 

「パラディン…今回の作戦で何か言いたいことはあるか?」

「特にないです、前回の反省も考慮しましたし、万が一にも負けることはないです」

「そうか……何かあれば何でも頼れよ?」

 

ーーー日本ダービーが、始まるーー!!

 




ウマ娘紹介文

ロンリーロンリー

ヒィィィ!!前へ!!前へ!!

紺色のショートカット、青色の垂れ目、覇気がないと良く言われる。
身長はシシシンオーほどではないにしても小さい方である。

勝負服はピンクと黄色のワンピース型。
好きな数字は2
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