タコピー鬼こええ!   作:タコピーは食材

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3話

「ひ、久しぶりだね、しずかちゃん」

 

目が合ってしまった手前、無視することも出来ず声をかけた。

声が震えているのは、多分気のせいだ。

 

「うん、久しぶり」

 

そう言ってこちらを見てくるしずかちゃん。

 

『タコピーの原罪』

 

それがどういった漫画か?

超簡単に言えば人が死ぬ漫画だ。

まぁ最後はハッピーエンドだったが。

 

しかし、そのハッピーエンドに至るには、タコピーという異星人の死が必要だったわけで。

結局は誰か死ぬ。

 

そしてその1連の事件に、目の前のしずかちゃんが絡んでいるのだ。

 

しずかちゃんの見た目は、おそらく小学生。

作中の時間と近い。

 

つまり、もしタコピーとしずかちゃんが出会ってしまったら?

 

まりなちゃんの手により、チャッピーは殺処分され、しずかちゃんは自殺の道を選ぶだろう。

いや、結局しずかちゃんは生き残るのだが、チャッピーは結局いなくなるし、代わりにまりなちゃんがタコピーに殺される。

 

結局は、誰かが死ぬ。

 

体が、震え始めた。

 

それをしずかちゃんに気取られないように、目を合わせる。

 

「お隣さんは、今までどこに行っていたの?」

 

静かにそう聞いてきた。

その言葉に含まれた感情は読むことが出来ない。

 

「あぁ、少し世界中をね。回っていたんだ」

 

声と体の震えを必死に抑える。

誰かが、死ぬ。

 

作中通りに進むなら、誰かが死ぬ。

「タコピーの原罪」には様々な時間軸が存在する。

タコピーが「ハッピーカメラ」で時を戻したり「大ハッピー時計」で時間を行き来するからだ。

 

なら、この時間軸は、どれだ。

 

しずかちゃんが自殺する世界線か?

まりなちゃんが自殺を選ぶ世界線か?

それとも、ハッピーエンドか?

 

誰が死ぬ?

 

いや、そもそも俺という存在がいるせいで、ルートが完全に変わることも有り得る。

そうだ。俺という例外が・・・

 

俺が、殺される、なんて、ルートも有り得る?

 

「そうなんだ。すごいんだね、お隣さん」

 

目の前のしずかちゃんが、とても恐ろしい存在に見えてきた。

目を合わせることができない。

それを誤魔化そうと、チャッピーに目を向けた。

 

「チャッピー、元気そうだね」

 

震える体を誤魔化すために、立ち上がる。

声は震えてないだろうか。

 

「うん、前よりすっごく大きくなったでしょ?」

 

チャッピーは俺のことを覚えていないのか、じっと俺を見ている。

 

あぁ、懐かしいな。

昔はあんなにちっちゃかったのに、もうしずかちゃんより大きい。

 

「お隣さん、こっち来てよ」

 

そう言って静かに微笑むしずかちゃん。

無邪気な子供の声にも、悪魔の囁きにも聞こえた。

 

恐怖で呼吸が荒くなる。

おそらく、この子達に関われば、間違いなく誰かの死に出会う。

 

それがチャッピーなのか、しずかちゃんなのか、まりなちゃんなのかはわからない。最悪俺かもしれない。

 

1歩、しずかちゃんに近づく。

 

目が合った。綺麗な目だった。

昔と変わらない綺麗な目だ。

 

もう一歩近づく。

チャッピーのしっぽが動いた。

匂いで俺のことを思い出したのか、大きくしっぽを振っている。

 

1歩近づく。

昔の記憶が蘇ってきた。

しずかちゃんと、チャッピーと遊んだ記憶。

 

あぁ、あれは楽しかった。

 

もう一歩近づく。

体の震えが止まった。

懐かしい記憶が蘇る。

 

柵を隔てて、しずかちゃんと向き合った。

昔と変わらないキレイな目をしている。

何かを期待しているかのようにこちらに頭を傾けてくる。

 

そうだ。

目の前にいるのはしずかちゃんだ。

 

漫画の設定に恐怖しすぎた。

目の前にいるのはあのしずかちゃん。

 

人を殺すなんてことをするわけがない。

 

「久しぶり、しずかちゃん」

 

そう言って頭を撫でる。

猫のように頭を動かしながら喜んでいるようだ。

 

服はボロボロで髪もキレイとは言い難い。

小学生だからおしゃれにも興味があるだろう。

 

まずはお風呂に入れて、それから服を買おう。

あぁそうだ、またお母様に許可を貰わないとな。

その次は遊ぼう。昔みたいに。

チャッピーも大きくなったな。抱き上げるのは難しそうだ。

 

「久しぶり、お隣さん」

 

自殺なんて絶対にさせない。保健所なんて行かせない。

この二人がずっと遊んでいる光景をずっと見ていたい。

 

俺は、全力で守る

この大切な人たちを。

 




主人公はロリコンじゃないよ
ホントだよ
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