これがいつまで続くのか……そろそろ忙しくなるけど、来週中にあと一回は更新できるかな? できるといいな。
「「行くぞっ!!」」
シロウとエヴァは同時に飛び出す。
エヴァは魔力を込めた爪で薙ぎ。シロウは干将・莫耶で受け止める。
力は五分。いや、シロウが身体強化を施しているのに対し、エヴァは素の腕力だ。
普段からは予想もつかないが、流石は吸血鬼。純粋な力勝負になったらシロウの方が力負けする。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック」
エヴァは再度爪を振るってシロウを後退させ、呪文を唱え始める。
「
エヴァが放つのは17本の氷属性の魔法の矢。
シロウは魔法の矢をかわしエヴァに接近しようとしたのだが、矢はシロウのよけた方へと追ってくる。
「なるほど。追尾効果のある矢か」
干将・莫耶で魔法の矢を打ち消す。
「
その瞬間、矢を斬る為に止まった一瞬の隙を突いて、エヴァが中級の氷魔法を放ってきた。
「
すかさずエヴァの魔法に干将・莫耶を投げつけ、爆発によりエヴァの魔法を相殺する。
爆発で視界が遮られると同時に新たな干将・莫耶を投影し左右に投げる。
「ふっ、これで貴様の武器はない。もらった!」
爪がシロウの首下へ伸びる。
エヴァが勝利を確信した瞬間、再びシロウの手に現れた干将・莫耶によって防がれた。
「なっ!?」
「驚いている暇などないぞ?」
シロウの視線はエヴァではなく、エヴァの後ろに向けられている。
それに気づいたエヴァが振り向くと、大きな弧を描いて干将・莫耶が迫っていた。
「くっ! がっ!」
エヴァは障壁で飛んできた干将・莫耶を弾くが、その隙にシロウに左腕を斬りつけられる。
「浅かったか」
更なるシロウの追撃に、エヴァは魔法の矢を放ち距離をとる。
(くっ、前に見たやつの魔法で気づくべきだった。確かヤツはアレを無限の剣製と呼んでいた。つまりヤツは剣を転送していたのではなく、文字通り無限に剣を生み出す事ができるということか)
エヴァは斬られた腕を再生し再び呪文を唱える。
「
「また魔法の矢か」
シロウは全ての矢を干将・莫耶で斬り捨てる。
「
さらに魔法の矢を放つエヴァ。
流石にこの量の魔法の矢を全て干将・莫耶で防ぎきるのは不可能。
「
シロウは丘から最強の盾を引き出す。
「────
七枚の花弁が魔法の矢を防ぐ。
どんなに数が多くとも、分類が“矢”であることに変わりがない魔法の射手ではアイアスは敗れない。なぜなら、アイアスは投擲武器に対して絶対の守りを誇るのだから。
しかし、何故シロウはアイアスの盾を選んだのか。それは、この矢が目くらましで、次に更なる強力な魔法が来ると予想したから。
「
予想通り、魔法の矢が止められる事は予測済みだったエヴァは更なる呪文の詠唱に入っている。
「
放たれるは暗闇に包まれた氷雪の暴力。
アイアスを襲う中級の魔法は、確実に盾にダメージを与えていた。
「くっ!」
段々と威力を上げてくるエヴァの魔法に耐え切れず、アイアスにヒビが入る。
「来れ氷精、大気に満ちよ。白夜の国の凍土と氷河を……」
「なっ!? 更なる詠唱だと!?」
まずい。呪文の長さから言って闇の吹雪より更に高位の魔法。
既に花弁にヒビが入り始めている今のアイアスでは耐えきれるかどうか微妙なところだ。
「
エヴァの魔法により地面が凍りつき、氷柱が飛び出してくる。
正面からではなく下からの攻撃により、ヒビの入ったアイアスは砕け散り、行く手を阻むものがなくなった氷柱はシロウを襲う。
「!!」
シロウは咄嗟に投影した干将・莫耶を爆発させ、反動でその場を離脱する。
エヴァの魔法と壊れた幻想のダメージで、投影した外套は消し飛んでしまった。
「はっ、やるじゃないか。今のを、かわすとは」
別荘の中とはいえ、学園の結界がある状態では全力で戦えないのか、息を荒げながらエヴァが言う。
「いや、かわせてなどいないさ。正直驚いたよ、多少なりとも学園結界の影響を受けているこの状態でここまでとは」
平然と答えるて見せるが、正直かなりまずい。
アイアスの投影にかなり魔力を使い、至近距離での壊れた幻想による衝撃で体のあちこちが悲鳴を上げている。
「お互い、そろそろ限界のようだな」
「ああ、次で終わりにしよう」
開始時と同じようにお互い距離をとり構える。
エヴァは残りの魔力を全て使い、高密度の魔力の剣を作った。
(あの魔力量……干将・莫耶では打ち負けるな。ならば)
シロウは丘に刺さる一振りの剣を引き抜く。
それは1人の少女が王になる為に引き抜いた選定の剣。大切な人の命を奪ってしまった剣。
今までは自分の戒めの為、この剣を投影する事ができなかった。
だが、ここで生半可な剣を投影すれば、それはエヴァへの侮辱となる。
目の前の少女の本気に応える為。自らの罪と向き合う為。
───
エヴァとシロウは互いに地面を蹴り飛び出す。
「
「
断罪の剣と黄金の剣が交差した瞬間、世界は光に包まれた。
光が収まると、そこにはお互いに背を向け合い動かないエヴァとシロウ。
「……見事だエミヤシロウ」
「君もな、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」
お互がお互いに賛辞の言葉を贈り、エヴァはその場に崩れ落ちた。
「マスター!!」
「エヴァちゃん!?」
離れた場所で戦いを見ていた茶々丸とこのかがエヴァに近寄る。
「問題ない、ただの魔力切れだ」
近寄る2人に、大丈夫だと手を上げるエヴァ。
だが魔力切れの為傷の再生が出来ないようだ。
「大丈夫か?」
「問題ないと言ってるだろう。それよりも、しばらくしたら早速魔法の修行を始めるぞ」
心配された事に照れているのか、怪我をしているにもかかわらずそんな事を言い出すエヴァ。
「その怪我では無理だろう」
「ふん、こんな怪我など魔力があればすぐに元に戻る」
参った。手を抜けばこちらがやられていたとはいえ、エヴァの怪我は私の責任でもある。
どうしたものかと悩んでいた時、シロウのカードが微かに光り脳に直接情報が流れ込む。
「くっ!?」
突然の事に少しよろめく。だが、理解できた
「おい、どうした?」
「……何故かは分からんが、今カードからアーティファクトの使用方法が流れ込んできた」
「なんだと?」
そんな事はありえない、と驚くエヴァ。茶々丸もそんな事があるはずはないと驚いている。
だが、ありえないと言われようが、事実なのだから仕方がない。言うよりも実際に使ってみせた方が早そうだ。
「
言葉と共に現れる刀。微かだが光を放っている。
「エヴァ、動くなよ?」
「は?」
『
真名開放と共にエヴァの体を斬る。
が、そこには無傷の───いや、傷の回復したエヴァの姿があった。
「貴様! いきなり何……を? 馬鹿な! 傷が治っただと!?」
「ああ、想いを力にするとは使用者のイメージした能力をこの刀に付加するという事だったのだ。つまり今のは「回復」をイメージしながらがら刀を振ったというわけだ」
「な、なんて出鱈目な……」
「いや、そうでもないさ。この力はある程度の威力しか出す事が出来ないようだ」
確かにエヴァの体の傷は殆ど消えたが、大きな傷はまだ完治していない。
「だが、その程度では記録通り都を護るなどできんだろう? どういうことなのだ」
「さてな、この刀の能力はまだ完全にはわからん。今も突然使用方法が頭に流れ込んできただけだからな」
「……そうか。まぁそのことは私と茶々丸が調べておく。それよりも1時間休んだらはじめるぞ」
やれやれ。傷はほぼ完治したとはいえ、魔力はお互い殆ど回復していないというのに。
「はぁ、了解した。このかも悪いな、こんなに長くつき合わせて」
「ええよ別に、ここやったら寝不足になる事もあらへんし」
こうして、私達は塔の中にある部屋へと向かう。
エヴァとの模擬戦から約1時間。シロウ達はエヴァの別荘で紅茶を飲んでいる。
「さてシロウ、今のうちに貴様の魔法……いや、魔術だったか。魔術の事を説明してもらおうか」
エヴァは足を組み私の入れた紅茶を飲みながら言う。ちなみにこのかは別の部屋で寝ている。
シロウ達がエヴァの家に来たのが9時30分頃で、エヴァとの模擬戦の時間も考えると実際にはもう寝てる時間なのだろう。
このかはこの部屋で紅茶を飲んでいるうちに寝てしまい茶々丸が別の部屋へと運んだ。
「ふむ、そうだな。では、まず私の魔術の前に、この世界の魔法と私の世界の魔術の定義の違いについて話すが構わんかね?」
「ああ」
エヴァから了承を貰い私は魔術について説明する。
「私の世界で魔術とは、人為的に奇跡・神秘を再現する行為の総称として使われる」
「人為的?」
「ああ、例えば魔術を使って火をおこしたとする、だがこれはライターなど人為的に作られた物でも再現が可能だろう?」
そう言うとエヴァが納得したように頷く
「つまり貴様の世界では、現代の科学技術等で再現できる現象を魔術と呼ぶわけか」
今の説明だけで理解できるとは、流石は最強の魔法使いを名乗るだけはあるなと感心する。
未熟だった頃の私は初めの頃は切嗣から。凛と出会ってからは凛から何度も説明を受けようやく理解したというのに。
「その通りだ、そして現代科学では再現できない現象を“魔法”と呼んでいる。私の世界ではこの“魔法”に到達する事が魔術師の最終目的とされている」
「では、私達の魔法は貴様の世界では魔術と言う事になるな」
「ああ」
エヴァはしばらく考え込んだ後、視線を私に戻し口を開く。
「では、貴様の魔術はどういったものなんだ?」
「私の魔術は“投影”という。その名の通り、魔力によってモノの贋作を作る魔術だ。だがこれは本来使い勝手が悪く、使用するものは殆どいない」
「何故貴様はそんな魔術を使う? 先ほどの話から考えると、もっと戦闘向きの魔術があるだろう?」
そう、現代科学で再現できるのが魔術だとシロウは言った。
ならば極端な話、爆弾のように爆発する魔術や、火炎放射器のような炎の魔術が使えてもおかしくはないはずだ。
「それについては二つ理由がある。一つは私には才能がなかった、投影以外の魔術は殆どできなかったのだ」
「は?」
突然の私の才能がない発言に口をあけて固まるエヴァ。
ツッコまれると面倒なので、気にせず説明を続ける。
「それと二つ目だが、私に限り投影は本来の投影と異なるのだ」
「本来の投影と異なる?」
本来のモノと異なると言う言葉を聞き固まっていたエヴァが正気に戻り、不審な顔をして問いかける。
「先ほど言った通り投影は使い勝手が悪い。なぜなら投影したモノは長くは持たないし、中身が空っぽなので、
「それはそうだろう。どんな魔法でも魔力で作られたものが永遠に存在するわけないからな」
エヴァは当然だと頷く。
「だが私の投影は、私が壊れるとイメージするか投影したモノが破損しない限り半永久的に存在し続ける」
「なんだと?」
先ほどのあきれた顔とは違い今度は驚愕の表情のエヴァ。
「その中でも“剣”に属するものならば、一度目にしただけで限りなく
「という事は、貴様が私との戦闘で最後に使った剣。あれも贋作だと言うのか!?」
模擬戦でシロウが最後に使った剣にはかなりの魔力が込められていて、一種の幻想ではないかと見間違うほどの輝きを放っていた。
それが贋作? そんなデタラメな事があるか。
「そうだ、あの剣も投影による贋作だ」
「あれが、贋作だと……まて、貴様一度目にしただけで、と言ったな? では貴様はあれほどの剣を見たことがあると?」
エヴァはシロウの言葉に驚きを隠せない。
いくらこことは違う世界とはいえ、シロウの普段の生活を見るに、この世界と大して違いのない世界にいたことは明らか。
そんな世界に、あれほどの剣が現存しているものなのだろうか?
「そうだな。詳しくは話せないが、私は世界中を旅していて、神話や伝説に関する様々な武具を見る機会があった。私の魔術は触れずとも見るだけで理解できてしまうから多くの武具を解析するのはそう難しくなかった」
実際は勝利すべき黄金の剣(カリバーン)はセイバーの記憶で見たもので、他の宝具は英雄王の蔵の中の物が殆どだが、世界を回っていた時に見た物もいくつかあるからあながち間違いではないだろう。
「君との戦闘で最後に使ったのが
「カリバーン? アーサー王伝説に出てくる選定の剣の事か?」
どうやらエヴァはアーサー王伝説を知っているようだ。と言う事は、この世界も神話などの部分ではシロウの世界と共通していると言うことになる。
「さすがに知っていたか。ちなみに
「裏切りの短剣? 何故そんなもので呪を解く事ができる?」
当然の反応だろう。エクスカリバーやカリバーンのように有名で、その用途も剣としてわかりやすい物ならばともかく、裏切りの剣で呪が解けるとは誰も思うまい。
「そこが少し複雑な所なんだが、
「神性を具現化?」
「ああ。神話や伝説には必ず武具や道具などのキーアイテムが出てくるであろう? メディアで言えば、竜の骨や金羊の皮。そして、裏切りの短剣だ。宝具というのは英雄のシンボル。故に短剣には魔女メディアの神性が付加されたのだ。その効果は魔力で強化された物体、契約によって繋がった関係、魔力によって生み出された生命を“作られる前”の状態に戻す。だから君の呪いは解呪されたというわけだ」
「作られる前の状態……おい、貴様そんな危ないものを私に使わせたのか!」
「危ない?」
ルールブレイカーの効力を聞くといきなり怒り出すエヴァ。
殺傷能力はナイフ程しかないのだから、それほど危険と言う事はないと思うのだが?
「私の吸血鬼化が解けたらどうするつもりだったんだ!!」
ああ、そういうことか。
つまりエヴァはルールブレイカーによって自分の吸血鬼化が解けてしまうのではないか、と怒っていたのか。
「まあまて。それに関しては平気だという確信があったんだ」
「確信だと?」
「ああ。私は桜通りの一件の時、学園長に真祖について説明してもらったのだがね。君の体の吸血鬼化は単なる肉体変化ではなく、ある種の転生のようなものではないかと考えたのだ」
「肉体変化ではなく転生?」
「いくら古の儀式魔法だとしても、人の手による肉体変化で吸血鬼の真祖になどなりえると思うか?」
そう、いくら世界が違うとはいえ吸血鬼の真祖ともなれば、
「つまり、吸血鬼化の儀式魔法とは肉体変化の魔法ではなく、死者の肉体を媒体とした転生、または新たな生命を生み出す魔法なのではないか? と私は考えたのだ」
シロウの考えにエヴァは唖然とした。
確かにそうだ、人間の肉体をただ吸血鬼に変えるだけのまがい物では真祖などとは言わないだろう。
「それほどの大魔術……いや、魔法ならば
だが、君は長きに渡る戦闘によりその力を身につけた。これこそが一から生み出された証明に他ならない。
だから私は、
「……なるほどな、やはり貴様は面白い。まさか話を聞いただけでこちらでも解読できていないような魔法をここまで推論できるとはな」
今まで自身の体についてはあまり考えなかったが、なるほどヤツの考えは理に適っている。
才能がないとヤツは言ったがそれを補う知識、そして経験がある。もしこれでシロウがこちらの魔法を覚えたらどうなるか楽しみで仕方ない。
その後、魔術回路の事やこちらの世界と魔法との相違点などを話し、いよいよこの世界の魔法を教えることになった。
「さて、もう十分回復しただろう? そろそろ始めるぞ」
そう言いながらエヴァは外へと向かう
「そうだな、茶々丸、悪いがこのかを起こしてきてくれないか?」
「はい、わかりました」
今まで部屋の隅で静に話を聞いていた茶々丸にこのかを起こすよう頼む。何せここを出てもまだ外は夜なのだ、寝れなくなってしまっては明日の授業に支障が出てしまう。
「まずは初心者用の呪文から始めるか。っとそういえば貴様は杖を持っていなかったな」
「ああ、やはりこちらの魔法には杖が必要なのか?」
エヴァはともかく、ネギが魔法を使う時に常に杖を使っていたのを思い出す。
「まあな、私達の使う魔法は精霊に呼びかけることによって発動させる。そのために杖は必要なんだ」
ふむ、精霊に呼びかける、か。やはり私の魔術とは全然違うな。
さて、杖はどうしたものか……そうだ、アレなら。
「
呟くとシロウの手に一つの短剣が現れる。
「これで大丈夫だろうか?」
そう言ってエヴァに手渡したのはアゾット剣。
この剣は生前、凛から譲り受けたものだ。魔法の修行をするのならばピッタリだろう。
「ほう、面白いな。剣の形状でありながら、杖としての役割を果たすか。これなら問題ないだろう。ではまず魔力が体を淀みなく流れるようイメージして、プラクテ・ビギ・ナル
「プラクテ・ビギ・ナル
エヴァの指示に従い呪文を唱える。すると、アゾット剣の先に小さな火が灯った。
「む?」
「ほお?」
どうやらこちらの魔法ならば、魔術の才能がないシロウにもある程度は扱えるようだ。
投影や強化以外の魔術が点で駄目なシロウは、小さいながらも剣の先に灯る火に少しだけ感動を覚えた。
「あー、剣から火が出とる!!」
その時現れたこのかが私のアゾット剣から火が出てるのを見て声を上げる。
「いいな~、ウチもやりたい~」
「なら、貴様もやってみるか? 近衛このか」
「へ? ええの」
このかの言葉に対し以外にも了承するエヴァ。
「近衛詠春からもお前が望むなら魔法の事を色々教えてやってくれといわれているからな」
どうやら詠春にいわれたらしい。それならば私が口を出す問題ではないし、こちらの世界にかかわってしまった以上、ある程度身を守る術は必要だと思っていたところだ。
「お父様が?」
「ああ、それでどうする?」
このかはしばらく考え一度私を見る。……なんだろうか?
そしてすぐにエヴァの方へと向き直り言った。
「じゃあ、お願いするわ」
こうしてこのかと共に魔法を習う事になったのだが。
「あ~ん、全然火がでーへん」
シロウは形態が違うとはいえ魔力の扱いには慣れてるからすぐにできたが、かなりの魔力を保有しているとはいえ一般人のこのかがいきなり魔法を使うのは難しかったようだ。
「まあ、最初はこんなもんだろう。エミヤシロウ、貴様は次の段階に行くぞ。まずは、お前専用の始動キーを考えろ」
始動キーか。たぶんエヴァが呪文を唱える前に言っているヤツの事だろう。
ネギが君が魔法を使う所も見たが、あまり短すぎてもダメなのだろうな。トレース・オンでは短すぎるだろうから何か考えなくては。
「……ふむ、
私自身を示すこの言葉ならしっくりくるし、長さ的にも問題はないだろう。
「
エヴァから魔法の射手の説明を受ける。最初はうまくいかなかったがしばらくすると。
「
一本の氷の剣が出るようになった……ん? 剣?
「おい、なんで貴様が魔法の矢を撃つと剣の形をして出てくるんだ?」
「さあな、私はこちらの魔法には詳しくないのでね。考えられるとすれば私の属性が“剣”だからじゃないか?」
エヴァに教わっているから魔法の属性こそは氷だが、私自身の属性は“剣”だからな。その影響が魔法の射手にも出たのだろう。
「まあ、魔法の矢が撃てるという事には変わりないからいいだろう。次は矢の数を増やしてみろ」
指示通り矢の数を増そうと試みるが一向に成功する気配がない
「……おい、貴様、真面目にやっているのか?」
エヴァは怒りの表情をあらわにしている。こちらは額に汗を滲ませながらやっているというのに……。
「失敬だな、これでも私は大真面目だ」
基礎の魔法や魔法の矢が出せたからこちらの魔法は私にも扱えると思ったが、やはりシロウには才能がないらしい。
少しでも魔法のレベルを上げると全て失敗してしまう。
「はぁ、本当に貴様は才能がないのだな」
「言わないでくれ、自分でも理解しているのだ」
少しは期待していたのだが仕方あるまい。
この体がエミヤシロウである限り、才能などとは縁のないものなのだから。
「まあいい、矢の数は修行して増やすしかないだろ。この分だと他の魔法も同様だろうな」
エヴァは「どうするか?」なんていいながら顎の下に手をつけ考え込んでいる。
しばらくすると何か思いついたのか、ポンッと手を打った。
「先に貴様に詠唱の必要ない魔力のみを使った戦闘方法を教えよう」
「ああ、よろしく頼む」
その後エヴァにより「瞬動」や「虚空瞬動」等といった魔力を使った移動法を学ぶ。
これに関してはもともと魔力での身体強化などに慣れていたので思いのほか早く覚える事ができた。
だが魔力を体外に纏う事はどうしてもできなかった為、浮遊魔法だけは会得できなかったが……。
「貴様はどうやら魔力を体外に放出するといった行為が苦手なようだな。(体外への放出系魔法は苦手だが、体内での魔力運用はすんなりとこなすか。……こいつなら、
「どうかしたのか?」
「いや。よし、今日はここまでだ。明日は今日に引き続き魔法の射手の矢を増やす訓練をする。それと私のとっておきを教えてやる」
エヴァはいかにも悪の魔法使いといった感じの邪悪な笑みを見せる。
「やれやれ、お手柔らかに頼むよ」
明日からのエヴァの修行の事を考え、頭を痛めながらもこのかと共に別荘を後にする。
「明日もエヴァちゃん家行くん?」
帰り道、完全に目の覚めたこのかが聞いてきた。
「そうだな、しばらくは通う事になるだろうな」
「ふ~ん、じゃあウチも一緒に行ってええ?」
「ああ。構わないが、あまり別荘を使いすぎると早く年を取るぞ?」
「ははは、まだウチ若いし少しくらい平気やよ~」
女性は歳を気にするらしいが、このかはそうでもないらしい。まぁ、まだ中学生だしな。
そんな事を思っていると「それに早く年取れば、いつかしろうと同い年になれるしな」と小さな声で呟いた。
「ん? なんか言ったか?」
「ううん、何でもないえ」
こうして、このかと2人、寮への道を話しながら歩いていく……
戦闘シーンは書いてて一番楽しいですね。まぁ、文章力がもっとつけば読者の皆さんももっと楽しませることができるのでしょうが……頑張ろう。
さて、エヴァの言うあの魔法とはお察しの通りアレです。ええ、そうですアレです。
それではまた次回!