お盆休み中にどこまで書けるかが勝負です!
それと、感想をくださった方、誤字報告を下さった方、ありがとうございます!
皆さんのおかげでとても助かっております! 今後も応援よろしくお願いいたします。
追記:Fate/Steins;Gate という作品も投稿し始めましたので良ければご覧ください。
こちらがメインとなるので、投稿スピードはどうなるかわかりませんが。
エミヤの日常 Ⅲ
「この時間に賑わっている学園というのは新鮮だな」
いつも早めに学校に出勤しているが、今は学園祭間近という事もあって早朝でも学園は大変賑わっている。
「ほう、これはすごいな」
眼前には聳え立つ巨大な門。麻帆良の学生は技術が高い。特に門や着ぐるみ等の創作物のクオリティは学生とは思えないほどの出来だ。
「ん? あれは」
その門の手前で見知った顔を見つける。
「おはよう。五月」
「おはようございます。衛宮先生」
四葉五月。3-Aの騒がしい生徒達の中で数少ないまとも……基、落ち着いた子だ。
確か、料理が得意でお料理研究会に所属しているんだったか?
「朝早くから何をしているのかね?」
「学園祭の期間中、超包子というお店をやるので準備をしているんです」
五月の話によると学園祭と学園祭の準備期間中は、超が経営する店「超包子」を開くらしい。
五月のほかに働いているのは店長である超、それから聡美、古、茶々丸達。明日から開店するので今日は準備をしているそうだ。
「そうか。では、開店したら是非寄らせてもらうよ」
「はい。お待ちしております」
皐月との雑談もほどほどに学園に着くと、まず学園長室に向かい昨日の事を学園長に報告した。
「エヴァくんに話は聞いていたが、なるほどのぅ」
「迷惑をかける」
「いや。エミヤ君が気にすることはないぞ」
「しかし……」
「悪いのは君の世界意思であって君ではない。話はこれで終わりじゃ」
学園長は手のひらをパンッと打って話を打ち切る。
本来であれば、責められても仕方がないことだというのに。本当に学園長には頭が下がる。
「感謝する。……と、そうだ一つ訊ねたいんだが」
「なんじゃ?」
シロウはアーティファクト『
「ほ?……これは」
『
シロウは茶々丸から聞いた『全てを救う正義の味方』の情報を伝え、何か知らないか聞いてみた。
「ふむ、これは元々近衛家が所持していたものじゃな」
「なに?」
学園長の話によると『全てを救う正義の味方』代々近衛家に伝わっていた刀で、誰も使用する事はできなかった事と、かなりの魔力を有している事もあり、いつか使い手が見つかるようにと学園長自身が魔法協会にアーティファクトとして登録したらしい。
「ワシも詳しくはわからんが、婿殿のいる京都の本山なら何か資料があるかもしれんのぅ」
「京都か……」
京都に行くとなると休日か……だが、調べるとなると数日はかかる。
早く調べたいとは思うが、今は学園祭のも迫っていて忙しいし、しばらくはお預けだな。
「よし。京都へ行ってきなさい」
「……私には仕事があるのだが?」
「なら、エミヤ君に休暇を出そう」
「は?」
笑顔でそんな事を言う
これには流石に頭を抱えずにはいられない。
「なに、ネギ君もそろそろ1人で大丈夫じゃろ。それに当分は学園祭の準備じゃし、問題なかろう」
たまに、ごくたまにだが……いや、結構頻繁に思う。こんな人が学園長でいいのだろうか? と。
何はともあれ、とりあえず明日から休暇という事になったので今日は普通に仕事をした。
数日留守にすることを伝える為にネギを探していると、帰り道で夕日を眺めるネギを見つける。
「ネギ君」
「あ……シロウさん」
様子がおかしいな?何か思い悩んでいるような……
「どうかしたかね?」
「いえ、なんでもないです」
ネギはパッと笑顔を作って誤魔化す。だが、そんな笑顔で騙される事などない。
「理由は聞かんが、あまり思いつめるなよネギ君」
「……はい」
しばし無言が続く。これだけ待っても何も語らないということは、私では解決できないもしくは自分で解決すべきことなのだろう。
ならば、今は一人にさせておくべきか。
「そうだ。私は所用で出かけるから、数日は1人で頑張ってくれ。と言っても普段から私はあまり、補佐らしいことはしていないが」
「いえ、そんな事ないです。シロウさんにはいろいろとお世話になって」
「まあ、それはさておき。数日は頼んだぞ」
「はい。任せてください」
朝、準備を済ませ寮を出る。
「ああ、そうだ」
ふと超包子に行く約束を思い出した。しばらくは京都だろうし、学園祭中はいけるかわからない。
そう思い、いつもより早い時間で会える可能性は低いが、駅に向かう前に超包子へ行くことにした。
「おはよう。五月」
「おはようございます。いらっしゃいませ衛宮先生。今日も早いですね」
今日もにこやかに挨拶をする五月、ほかのメンバーはまだいないようだ。
ということは、まだ開店前の仕込み時間だったのだろうか。
「何か食べますか?」
「ああ、だがいいのか? まだ開店していないのでは?」
「大丈夫ですよ。仕込みはもう終わってますし、そろそろ開店するところだったので」
「そうか。では、これから所用で京都に行くんでな。何か軽く食べられるものを頼む」
「はい」
少しして、五月が出してくれたのはサンドウィッチとスープ。
サンドウィッチのパンは少し焼いてあるのかサクッと歯ごたえがよく、スープの方もしっかりと出汁をとってあるようでとても美味しかった。
「ごちそうさま。美味しかった」
「お粗末さまです」
「五月は料理が上手いんだな」
「いえそんな事は、ただ料理が好きなので」
はにかむ五月の笑顔は普段落ち着いていて大人びて見える彼女を年相応に見せた。
よほど料理が好きなのだろう。これほどの腕で料理が好きとなれば、五月は将来すばらしい料理人になれるはずだ。
「そういえば、衛宮先生も料理がお上手だと近衛さんに聞きました」
「このかが?」
「はい。もしよろしければ今度食べさせてください」
「了解した。機会があればご馳走しよう」
私は五月にサンドウィッチとスープの料金を渡し席を立つ。
と、そこであることを思いつき。五月にさらにもう一つ分のスープ代を渡した
「あの、これは?」
「ネギ君が元気が無いようだったのでな。もしここによる事があれば、先ほどのスープでも飲ませてやってくれ」
シロウは返事をする五月を後にして駅へと向かった。
京都関西呪術協会総本山
「いつ見ても大きいな」
いや、大きさが変わるなんて事はないから当然なのだが、いくら和風の家が好きな私としてもこれほど大きいと……なんというか圧倒されるものがあるな。
「お待ちしておりました」
その時、丁度詠春がこちらに歩いてきた。
「ああ、突然ですまないな詠春」
「いえいえ。お義父さんから話は聞いてますし、一剣士としてはやはり興味があるので」
詠春の案内の下、古い書物がたくさんある書庫に連れて行かれる。
「近衛家の歴史は古いですからね。すぐに見つかるといいのですが」
詠春は端の方から本に目を通し始める。シロウもそれに習い隣の棚から調べていく。
数時間後
「む? 詠春、見つけたぞ」
詠春を呼び本の内容を読む。
京の都に古より封印されし鬼が目覚め災いがもたらされる。
帝は兵を放つも鬼の一撃は一振りで百の兵をなぎ払う。
やがて、人々は怯え家に篭る様になり、京は絶望に染まる。
だが一人の若者立ち上がりて鬼に挑む。その者の名を「近衛京四朗」という。
京四朗は陰陽術で鬼に挑むも効果はなし。その時、空から現れし老人、京四朗に一振りの刀を授けた。
刀を手にした京四郎は赤き輝きと共に鬼を祓い、人々に救いを与える。
後に名も無きこの刀に
「わざわざ来ていただいたのに、エヴァンジェリンと茶々丸君の情報とさほど変わりませんね」
「いや、そうでもないさ」
申し訳なさそうに頬を掻く詠春に、シロウは満足そうに答える。
本の中の「空から現れし老人、京四朗に一振りの刀を授ける」という部分。
これは、はじめから
『
そして、この老人。
そんなとんでもない老人にシロウは心当たりがある。
「まあ、まさかとは思うがな……」
その後、他に『全てを救う正義の味方』について書かれている本がないか探すが見つからず。夜も遅いので詠春の所に泊めてもらうことになった。
翌日
「今日はどうしますか?」
「そうだな。思いのほか早く終わったし、麻帆良に帰るとするよ」
その時、家の中から電話の音が響いた。
「ちょっと失礼します……ああ、お義父さん。ええ、はい」
電話の相手はどうやら学園長らしい、言二言話した後詠春がシロウに電話を渡す。
「もしもし?」
「おお、エミヤ君か」
「ああ、調べ物も終わったし。今日そちらに帰る」
「なんじゃ、せっかくの休暇なんじゃしゆっくり観光でも……なんじゃ? 今、電話中……ふご!?」
話していた学園長の声が遠ざかる。遠くから何やらばれる物音。
嫌な予感がする。そう思いそっと受話器を下ろそうとして。
「おい、シロウ!」
電話から学園長ではなくエヴァの声が響いた。
「……只今留守にしております。ピーという発信音の後に」
「貴様ふざけるな! 詠春の家の電話は黒電話だっただろうが!」
「……何かね?」
「私に無断で京都へ行くとは、うらやま……どういうことだ!」
何か今本音が聞こえたような。
「どういうことも何も、私がどこへ行こうと私の勝手だろう。何故君の許可がいる?」
「貴様は私の弟子だろう」
どうだ! と言わんばかりのエヴァの声。電話の向こうでふんぞり返っている光景が目に浮かぶ。
「……用が無いなら切るぞ?」
「待て待て、用ならある」
電話を切ろうとした所をエヴァがあわてて止める。
「なら、はじめから言いたまえ。で、用件は?」
「宝石を買って来い」
「ふむ。この辺りにあるはずだが……」
今私シロウはエヴァに頼まれた宝石を買うため麻帆良の隣にある街に来ている。
エヴァに頼まれた内容はこうだ。
「ぼーやの修行の為に
シロウは麻帆良の隣街なら自分で行った方が早いと言ったのだが、エヴァは「私は忙しい」の一言でばっさり切り捨てた。
しかも電話で住所を伝えたはいいが、挙句の果てにはいつも茶々丸に頼んでいたから店の名前がわからないときた。
いくらエヴァの名前をだせば、向こうはわかるといっても会えなければ意味が無いだろう。故に、現在は今迷っている。
「誰かに尋ねるか?」
「うぅ……」
「ん?」
誰かに道を尋ねようと辺りを見渡すと、道に座り込む少女が目に入った。
「どうかしたのかね?」
「!!」
シロウが声をかけると体を震わせてこちらを窺ってくる。
「驚かせてすまない。こんな所でどうしたのかと気になってね、もし何か困っているなら力になるが?」
「え? ええと……」
話を聞くと、どうやら少女はお使いに行っていたらしいのだが、途中で転んで足を捻ってしまい歩けなくなってしまったらしい。
了解を取って足を見せてもらうと、骨は折れていないが軽く捻挫をしていて小さな少女が歩くのは難しそうだった。
「家はどこかね? 送っていこう」
シロウはそう言って少女と荷物を抱える。
「えっ!? い、いえ! そんな申し訳ないです!」
「気にする事はない。私も道に迷って困っていたのでね、君を運ぶ間にでも教えてくれると助かる」
「ほへ……ふ、ふふっ、わかりました」
シロウの言動がおかしかったのか、そう言って少女は微笑んでくれた。
ふわりと笑う少女の顔、シロウはどこか見覚えがあった。
「ああ、自己紹介がまだだったな。私の名はエミヤシロウというのだが、君の名前は?」
「あ、はい。私は遠坂桜です」
「遠坂……桜」
そうだ、この少女は桜にそっくりだ。いや、そっくりというより平行世界の桜なのだろう。
しかし苗字が間桐ではなく遠坂という事は、この世界では凛と仲良く暮らしているのだろうか。
「どうかしたんですか?」
「いや、すまない。知り合いに同じ名前の人がいたのでね。少し思い出していたのだ」
「そうなんですか? あ! そこが私の家です」
桜が指差したのは小さなお店。『宝石店 Dignified Cherry』
威厳のある桜……いや、この場合凛とした桜と訳すのだろうか。
「……凛と桜か」
店の名前にするくらいだ。きっと2人は仲のいい姉妹なのだろう。
都合のいいことに、この店はエヴァが指定した住所と同じ場所である。
少女を連れ店に入ろうとした時。
「桜に何すんのよぉぉぉおおおお!!」
シロウの後頭部に魔力の篭った拳が叩きつけられた。
油断していたうえに、桜を抱えているので両手が使えないシロウはモロに拳を受け意識が薄れていく。
なんとか倒れる瞬間桜に怪我をさせないよう抱え込み、背後を見ると黒い髪を左右で結う赤い服を着た少女の姿があった……。
「……む、ここは?」
目が覚めると見慣れない天井。現状を把握する為、一つ一つ記憶を遡る。
「そうか、確か私は桜を家まで運んでいきなり殴られて……」
「あ、目が覚めたんですね!」
横を見ると目に涙を溜めた桜が座っていた。
「ああ、迷惑をかけた。桜、あの後どうなったんだ?」
「えっと、姉さんがちょっと……とりあえずお父さん呼んできます!」
桜はパタパタと部屋を出て行ってしまった。
部屋を見渡してみると、部屋の隅で小さくなっている少女を見つけた。
「君は何をしているのかね?」
少女はシロウが話しかけると ビクッ と反応し、もぞもぞと立ち上がる。
「え~と……ごめんなさい」
少女は申し訳なさそうに頭を下げた。
そんな少女に名前を聞くと、少女の名前は思った通り「遠坂凛」という名前だった。
桜の帰りが遅いので探しに行き、見つからなかったので先に帰ったと思い家に戻ると桜を抱えているシロウを見つけ、シロウが桜を誘拐しようとしていると思い殴りかかったらしい。
「些か早計ではあるが、桜を助けようとしての行動だ。気にするなとは言わんが、気に病む必要はない。だがな凛、もう少し考えてから行動したまえ。家の前で誘拐をする馬鹿がいるわけがなかろう。それに私だったからよかったものの、一般人だったら君の魔力を乗せた拳は相当危険だ」
凛を説教しながら思う。遠坂のうっかりは遺伝というレベルではなく、平行世界をも超える代物だったのだと。
「な、何よ偉そうに……って、アンタ魔力って言った!? もしかして魔法使いなの!?」
「こらこら、何を騒いでいるのかな? 凛、いつも言っているだろう。常に優雅たれ、と」
驚く凛を止めるように桜と父親と思わしき人物が入ってきた。
「お、お父様」
「さて、まずは自己紹介といこう。私の名前は遠坂時臣、よろしくエミヤシロウ君。君の事は闇の福音から聞いているよ」
「そうか、では早速で悪いが、エヴァの欲している宝石をもらい受けたい」
気絶しているうちに夜になっていたので、このままでは麻帆良に帰るのがさらに遅くなってしまう。
失礼だとは思ったが、できるだけ早く宝石をもらって帰ろうと判断した。
「まあ、そう慌てなくても。よければお詫びの意味も込めて今晩は家に泊まっていかれては如何かな?」
時臣氏の提案に桜は笑顔を見せ、凛は露骨に嫌そうな顔をする。
「それはありがたいのだが、エヴァがなんと言うか」
エヴァの使いとして来たのに一日泊まって宝石を持ち帰るのが遅くなっては何を言われるかわかったもんじゃない。
「では、エヴァンジェリンさんの方には私から連絡を入れておくとしよう。それならば、構わないだろう?」
そこまで言われては逆に失礼なので、ありがたく泊めてもらうことにした。
「では、妻を紹介しよう。おーい、葵ー」
時臣氏が呼ぶとパタパタと足音とともに落ち着いた雰囲気の女性が現れる。
顔立ちは凛に似ているが、雰囲気は桜に近い。いや、逆か。凛と桜が母であるこの女性に似ているのだ。
「こちらはエヴァンジェリンさんのお弟子さんのエミヤシロウ君だ。彼は今日家に泊まるから料理の方を頼む」
「はじめまして、遠坂葵です。先ほどは凛がごめんなさいね」
「いや。とても元気なお子さんで」
ちらりと凛の方を見るとこちらを睨んでいた。その表情は優雅とは言い難い。
なので、シロウも遠坂夫妻にばれないよう皮肉げな笑みを浮かべる。
「お食事の用意ができましたら、お呼びいたしますのでゆっくりしていて下さい」
そう言って葵さんと時臣氏は部屋を後にした。残されたのは私と、チラチラとこちらを伺う桜
それから、妙に殺気を出す凛だ。
「さて、凛。君は何を怒っているんだね?」
「アンタのせいで恥じかいたじゃないの!! どうしてくれんの!?」
いや、それは君のせいで私は関係ないだろう。
「それは失敬。だが先ほど時臣氏が言っていた“常に優雅たれ”はどうしたのかね?」
私がそういうとさらに顔を赤くして怒る凛。いかんな、どうもからかいたくなってしまう。
「あ、あのぅ。姉さん、シロウさん」
シロウ達を見ておろおろする桜。シロウはそんな桜心情を察し、頭に手をのせなでる。
「ああ、すまん。別に喧嘩をしているわけじゃないから心配するな」
すると桜は再び満面の笑みを見せてくれる。この世界の桜はよく笑うようで安心した。
「……」
「何かな凛」
凛はこちらを更に睨む。だが、それは先ほどのような怒りからくるものではなく、なにか羨ましそうな……。
「ククッ。ああ、これはこれは気づかなくて失礼」
そういいながら凛の頭もなでる。
「ちょっ! 何すんのよ!」
文句は言うが払いのけようとはしない。本当に素直じゃない。
「いやなに。君があまりにも羨ましそうな顔をするのでつい、ね」
「~~~~~!!」
凛は再び赤くなる。その後も葵さんから声がかかるまで3人で話をしたり、凛をからかったりして遊んだ。
翌朝、晩御飯と泊めてもらった礼という事で朝食の準備をさせてもらっていると桜がやってきた。
「おはよう。桜」
「おはようございます。何してるんですか?」
桜は興味深そうに私の手元を覗き込む。
「葵さんに頼んで朝食を作らせてもらっているんだ」
「へぇ~」と言いながらも桜の目は私の手に夢中である。
私の世界でもそうだったように、この桜も料理に興味がるのかもしれない。
「一緒に作ってみるか?」
「いいんですか?」
「ああ、では一緒にやろうか」
桜と共に朝食を準備する。
最初は包丁の使い方などぎこちなかったものの、飲み込みが早くすぐに安定して包丁を扱えるようになる。
「……(こうして桜と料理をしていると昔を思い出すな)」
自分を先輩と呼び慕ってくれた桜。
最初はおにぎりすらまともに握れなかったのが、いつしか自分と並ぶほどの料理の腕になった。
「おはよ~」
「……おはよう」
そこに、ふらふらと幽鬼のような凛と平然としているように見えるが若干顔が悪い(要するに今の凛と似たような顔)時臣氏が現れた。
「2人ともこれを飲んで顔を洗ってきたまえ」
2人に牛乳を渡し、洗面所へ追いやる。その光景を葵さんは楽しそうに見ていた
「「いただきます」」
テーブルに並んでいるのは、シロウの作った鮭の塩焼きと味噌汁。
そして桜が作った玉子焼きとおにぎりがそれぞれに置かれた。
「和食は久しぶりだがこれは美味い。桜もたいしたものだ」
「本当。シロウ君は料理を作るのも教えるのも上手なのね」
「うっ、悔しいけど美味しい。桜もやるじゃない、美味しいわよ」
シロウの料理は遠坂夫妻には好評のようだ。桜も両親と姉に褒められ頬終始緩んでいた。
そんな暖かな風景に、シロウも頬が緩む。
「……うん。美味しいな」
世界が変わればこうも変わるものなのか。
私の世界の魔術師の家系は一子相伝。才ある凛が遠坂の魔術を受け継ぐ事になり、凛と同様才能があった桜は良かれと思い間桐に養子に出され家族はバラバラになってしまった。
だがこの世界の魔法はそんな事はない。そのおかげでこの家族は皆仲良く暮らしている。
この世界でも争いが無い訳ではないが、こういった在り方はとても好ましいな。もし、この世界に生まれていれば私も……いや、それは考えるべきではないな。
「これがエヴァンジェリンさんが注文した宝石だ」
朝食が終わり時臣氏は麻帆良へ帰るシロウに宝石の入った袋を渡す。
「確かに受け取った。世話になったな」
「シロウさん帰っちゃうの?」
桜が悲しそうに言う。正直もうしばらくここにいたいという気持ちはあるが、そういうわけにもいかない。
「すまない。私も仕事があるのでね」
「じゃあ。また今度お料理教えてくれる?」
「そうだな。機会があればまた教えよう」
桜の頭に手をのせて言う。
「シロウ! 今度来た時はあんたの魔法見せなさいよ!」
凛はぶっきらぼうに言うが、
それは遠回しに、また来いと言っているようなものだ。本当に素直じゃない。
「クッ、了解した。その時には君が驚く
そう言って凛の頭にも手をのせる。
「では、いつかまた」
シロウは桜と凛の頭から手を放して立ち上がり、遠坂夫婦に軽く頭を下げる。
「うむ。その時は歓迎しよう」
「お待ちしています」
「「またね~」」
シロウは凛と桜に手を振りながら、宝石店 Dignified Cherryを後にした。
「衛宮先生~」
麻帆良に着くと上機嫌な幽霊、もとい上機嫌なさよが飛んできた。
「さよか。何か嬉しそうだな」
「はい! 今日ネギ先生と朝倉さんとお友達になれました~!」
今までシロウ以外の人には気づいてもらえなかったのでかなり嬉しいらしい。
「そうか、それは良かったな」
「衛宮先生もなんかうれしそうですね~」
「ああ、古い知り合い……の様な人と会えたのでね」
「知り合いの様? なんかよくわかんないけど良かったですね~。やっぱり友達がいるのはいいものですよね!」
「そうだな」
上機嫌な英霊と幽霊は2人並んで歩き?だす。
こうしてエミヤの休日は終わるのであった。
はい。今回はエミヤの日常Ⅲでした。並行世界のFateがまた登場しましたね。
エミヤの日常ではこんな感じでFateのキャラを出していこうと考えています。
そして次回からは学園祭篇が始まります! どうぞお楽しみに。
それではまた次回!!
あ、そうだ、ついにこの物語過去に別サイトで投稿していた分の半分が投稿完了しました。いろいろ直したり増筆しつつ頑張っていきたいと思います。