正義の味方にやさしい世界   作:アンリマユ

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また会おう!

 

 

 

「すー……すー……」

 

すやすや と気持ちよさそうに眠るこのかを背に、重い体でモニターのある広場を目指す。

このかから魔力供給を受けていたとはいえ、残りの魔力は殆どない。

 

「やれやれ。『貴き雷』を使うと、一気に魔力が持っていかれるのが難点だな……!!」

 

爆音と共に光る空。

残る魔力で視力を強化し見てみると、空の上でネギと超が戦っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい。今のを持ちこたえたか、ネギ坊主」

 

「はぁ、はぁ……」

 

障壁を全力展開しなければ、完全にやられていた。

確実にネギ以上の魔法。凄まじい魔力だ。

超が魔法を……しかも、自分よりも強力な魔法を使った事にネギは驚いた。

だが、そんな事ありあるのか? いくら超が天才だとしても、魔法まで最強クラスの使い手なんて。

そして、超から感じる妙な魔力の流れ。

 

「ハハ……ここまでくれば、もはや策などない。後は、互いの思いをかけた、力と力のぶつかり合いがあるのみネ」

 

超の全身には、妙な模様が浮かび上がる。

 

「あれは……!!」

 

超の全身に呪紋処理が施されている。見た事もない魔法様式いや、それはもはや魔法様式というより科学様式だった。

 

「ラスト・テイル・マイ・マジック・スキル・マギステル……ぐっ! 『火精召喚 槍の火蜥蜴29柱』!!」

 

超が呪文を唱えると、苦しみながらも魔法を発動させる。

 

「間違いない!!」

 

超はあの全身の科学様式で、無理やり強力な魔力行使をしている。

でもあんな無理をすれば、身体に物凄く負担がかかるはずだ。現に、さっき超は魔法を使おうとした時、苦しんでいた。

 

「『風精召喚 戦乙の女17柱』!!」

 

超の火蜥蜴(サラマンダー)をネギの戦の乙女(ヴァルキリー)が相殺し、その中心でネギと超は、魔法を駆使した接近戦闘を繰り広げる。

 

「もうやめてください超さん!」

 

無茶をする超を止めようと、ネギは必死に声をかけるが。

 

「かッ……ゲほッ!?」

 

超の拳がネギの鳩尾にめり込む。

超が魔力を使う度に身体に痛みが走っていることに気づいたネギは、無意識のうちに手を緩めてしまっている。

そんな状態で、全てを懸けた超の猛攻を止める事はできない。

 

「今さら手を緩めてどうする。死ぬゾ?」

 

超の猛攻は更に続く。

 

「私はこの為だけに、この時代にやてきた! 2年の歳月と、全ての労力をこれに注いだのダ!」

 

超は叫ぶ。

その背後には、大量の火属性の魔法の射手が浮かんでいる。

 

「この計画は、今の私の全てだネギ坊主! 言葉などでは止まらぬヨ!!」

 

「全て……?」

 

超の叫びに何かを感じたのか、ネギも光属性の魔法の射手を準備する。

 

魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・火の59矢(セリエス・イグニス)

 

魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・光の37矢(セリエス・ルーキス)

 

衝突する火と光の魔法の矢。数は超の方が上。

だが、魔力の扱いに長けているネギは、1本の矢で2本の矢を止めるなど、超の約2/3程度の矢で上手く相殺させた。

 

「『紅き焔(フルグランテイア・ルビカンス)』!!」

 

しかし、超は力技で強引に吹き飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

ネギは爆風を利用して超から距離を取り、体勢を立て直した。

これ以上、超に魔法は使わせられない。でも、止まれと言ったからといって、超は止まらない。

いや。そもそも全てを懸けて戦っている超を、言葉で止めようなんていうのが間違いだ。

持てる全ての魔力。出せる全ての力。全力で、真正面から超さんを倒す。

 

「それが、今の僕にできることだ!!」

 

「ハァ、ハァ……やっと本気カ。……そうだ、それでいい」

 

ネギの様子が変わった事に気づいたのか、息を切らしながらも超は満足そうな顔をする。

 

「この計画を止めたくば、私を力で倒せ。完膚なきまでに。お前は……サウザンドマスターの息子ダロ!」

 

「……1つだけ、教えてください」

 

ネギは、1つだけ超に聞きたい事があった。

それは、超の気持ち。

 

「この為だけに、この時代へ来たと言いました。これが全てだと……では、くーふぇさんや葉加瀬さん、3-Aの皆と過ごしたこの2年間は、超さんにとって何だったんですか?」

 

そう。これだけは聞かずにはいられなかった。

超はこの計画が全てだといった。けど、クラスの皆との思い出まで、否定はしてほしくなかった。

だからこそ、問いかけた。

 

「クラスの……みんな」

 

超の脳裏には、この2年間の思い出が走馬灯のように映し出された。

そして、自分の宝物である双剣をくれた親友の顔が。

 

「フッ……そうネ。それが私の唯一の計算違い。驚いたことに、この2年間はとても楽しい2年間だたヨ。……だが、私にとては儚い夢のようなモノ」

 

そう言った超の表情は、先ほどまでの覚悟を決めた戦士の様な顔ではなく。

まだ、幼さの残る。1人の少女の顔だった。

 

「超さん……」

 

「おしゃべりは終わりネ」

 

ネギと超の周りには魔力が渦巻く。

お互い分かっているのだろう。

次の一撃で、勝敗が決する事を。

 

「ラスト・テイル・マイ・マジック・スキル・マギステル 契約に従い 我に従え炎の覇王!!」

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル 来れ雷精 風の精!!」

 

呪文を唱え始めると超の手には炎が灯り、ネギの手には電撃が集まる。

 

「来れ浄化の炎 燃え盛る大剣 ほとばしれよソドムを焼きし……」

 

「雷を纏て吹きすさべ 南洋の風!」

 

超の方が威力の高い魔法だが、威力が若干劣る分ネギの方が詠唱が早い。

ネギは超が呪文を詠唱しきる前に魔法を発動させた。

 

「『雷の暴風(ヨウイス・テンペスタース・フルグリエンス)』!!!」

 

走る『雷の暴風』が超を襲う。

 

「くっ……火と硫酸 罪ありし者を死の塵に『燃える天空(ウーラニア・フロゴーシス)』!!!」

 

『雷の暴風』が直撃するギリギリのタイミングで超は『燃える天空』を発動させる。

『燃える天空』の方が威力が高いとはいえ、これだけの至近距離。『雷の暴風』と『燃える天空』は拮抗する。

 

「くぅぁああああああ!!!」

 

「ふぅうあああ!!!」

 

焦りによる魔力制御(コントロール)の乱れか、それとも元から限界だったのか。もしかしたら、その両方なのかもしれない。

何かが割れるような音と共に超の体の科学様式が消え去り、『雷の暴風』に飲み込まれた。

魔力も切れ、気絶してしまった超は地上へと落下していく。

 

「超さん!!」

 

ネギは何とか気絶する超の腕を掴み、落下を阻止する。

すると、超はうっすらと目を開いた。

 

「ネギ……坊主?」

 

「ハァ、ハァ……超さん、よかった!」

 

その時、聡美の起動させていた魔方陣が発動し、麻帆良上空に魔力が集まる。

 

「強制認識魔法……発動してしまったようネ」

 

「そ、そんな!」

 

「当然ネ。私を倒してもハカセを止めなければ儀式は完成する」

 

上空1万8千mまで打ち上げられた大魔法は、さらに世界樹の魔力を吸い上げ、数分後には世界12箇所の聖地と共鳴する。

 

「それで終わりネ……私との戦いに時間を取り過ぎたナ」

 

「だったら、止めるだけです!!」

 

ネギは、掴んでいた超の手を引き抱えなおす。

 

「まだ数分あるんでしょう!? それなら、今す……うぶっ……こふっ!?」

 

急に吐血するネギ。

魔力切れに過剰な魔力行使による反動。

 

「あと、少しなんだ……!」

 

ネギは、上昇する為に最後の力で魔力を絞り出すが、プツン と、糸が切れた人形のように崩れてしまう。

 

「ダメだ……超さんも抱えているのに。こんな、ところで……力尽き……」

 

ネギが気を失った事により、2人はまっ逆さまに落下してゆく。

 

無理もない。最後のは、このネギに出せる全力だ。

おまけに、超のように世界樹の魔力を利用するのではなく、自分の魔力を使ってのカシオペアの連続使用。

 

「……当然の結果ネ」

 

超はボディスーツの浮遊機能を起動させてみるが、動く気配がない。

いや、破損していて当然だろう。あれほどの魔法を食らったのだから。

 

「フム……このままでは、2人とも一巻の終わりネ」

 

死の間際に立って尚、超の心は穏やかだった。自分は使命を全うした。精一杯やったのだ。

だから、後悔も未練も何もない。……でも。

 

「私に未練はないガ……」

 

超はネギを抱きしめる。その小さな体を護るかのように。

落下する中、超は走馬燈を垣間見る。自分の走馬燈は自分が生きてきた世界での生活だと思っていた。だけど、実際は違った。

浮かんでくるのは全てこの世界でクラスメイト達と過ごした日々だったのだ。

 

「フフ……仕方あるまい。最後の魔力で私が盾になって、何とかこの子だけでも───」

 

「───たわけ。魔力が残っているなら最後まで足掻け」

 

諦めかけたその時、そんな厳しくも暖かな声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

空では、ネギと超が激戦を繰り広げている。

 

「ネギ君の雰囲気が変わったな」

 

超が魔法を使ってから何やらネギの動きが鈍ったが元に戻った。

いや、元に戻ったというよりは……

 

「覚悟を決めたか、ネギ君」

 

全力で向かってくる相手を止める為には、相手が誰であろうと全力で向かわなければならない覚悟を。

 

ネギと超は、魔法の詠唱に入る。詠唱の長さから言って、この一撃で決めるつもりだろう。

しかし、見た感じ2人とも限界に近い。最悪の場合を考え、助ける手段を考えておくべきだろう。

 

「しかし、あの高さでは……ん?」

 

その時、超包子の屋台に入る五月を見かける。

いや、五月だけではない。屋台へ入ったのは、五月、美砂、桜子、円、アキラ、風香、祐奈の7人だ。

 

「な!?」

 

全員が乗り込むと、あろうことか屋台は空へと飛び立った。

まさか飛行機能が付いているとは……流石は超が責任者の店だな。

しかし、これは好都合。あの場へ行く手段を探していた私には渡りに船だ。

私は地面を蹴り、屋台の屋根へと着地する。

 

「きゃっ!? 何今の音!」

 

「ちょっ!? ホントに大丈夫なの、さっちゃん?」

 

下が騒がしい。

静かに着地したつもりだったのだが思いのほか揺れたらしい。

 

「すまん。驚かすつもりはなかったのだが」

 

「「衛宮先生!!」」

 

私が屋根から顔を出すと全員が驚く。

 

「衛宮先生、あの青いヤツとの戦いは!?」

 

美砂が身を乗り出して聞いてくる。

ああ、そうか。私が偵察機を破壊したから皆は結果を知らないのか。

 

「ああ。私の、勝ちだよ」

 

「「やったー!!」」

 

「さっすが、衛宮先生!」

 

「これで、後はネギ君が勝てば私達の勝ちだね!」

 

私の勝ちを知り皆は大喜び。その光景を見て、シロウはなんとも不思議な感じがした。

 

「ん、ん~……しろう?」

 

「目が覚めたか?」

 

その時、背中にいるこのかが目を覚ました。

 

「しろう、なんかあったん? 変な顔しとるよ?」

 

「む、そうか?」

 

「うん。なんや上手く言えへんけど……嬉しそう? なんかな」

 

このかの言葉に疑問符がついてしまうが、それは仕方ないだろう。

今まで戦いに勝利して恨まれる事、恐れられる事、疎まれる事はあれど、喜ばれる事など全くといっていいくらいなかった。

自分の勝利をこれほどまで喜んでくれる彼女らを見て、戸惑うのも無理はない。

 

「……嬉しいかどうかはわからんが、戸惑っているのは確かだな」

 

しかし、この戸惑いの感情は、う嫌なものではない。

そんな事を思うシロウであった。

 

「士郎!」

 

「……ち~っす」

 

そこへ、空で超のロボ達と戦っていたアスナと箒でアスナを運ぶ美空がやってきた。

 

「アスナに美空か。空の敵はもういいのか?」

 

「うっ……いや、その……私、刹那さんみたく空飛べないし」

 

「アスナが乗ると、なんか箒の調子が悪いんすよ……」

 

アスナが乗ると箒の調子が悪くなるというのは、おそらくアスナの魔法無効化能力のせいだろう。

飛べないアスナは戦力になれず、ここまで来たという事か。

 

「「!!」」

 

鳴り響く爆音。

見上げれば、ネギの放った魔法が超に直撃していた。意識を失い落下する超を、ネギは掴む。

しかし、お互い魔力はほぼ空。後どれくらい浮いていられるかわからない。

 

「五月、もう少し急ぐ事はできないか?」

 

「すいません。飛行機能が付いているとはいえ、一応屋台ですからこれ以上早くは……」

 

五月は、申し訳なさそうに首を振る。

無理もないか。この機能は本当に緊急用の様だからな。なら、私が何とかするしかないのだろう。

私はこのかを背中から降ろす。

 

「しろう、ネギ君と超ちゃんを迎えに行ってあげてね」

 

背から下ろしたことで私の考えが読めたのか、このかはそう言ってきた。

 

「いってらっしゃい」

 

手を振るこのかには何の疑いもない。空を飛ぶ術のない私を、何の疑問も持たず信じて送り出してくれる。

ならば、その期待に見事応えて見せよう。

 

「いってくる───投影(トレース)開始(オン)

 

呟いて、私は屋根を蹴り跳ぶ。

 

「な、なんじゃありゃー!?」

 

「すごーい!!」

 

「わぁ~!」

 

「きれい……」

 

目の前に起きた幻想的な光景に、屋台の乗っていた生徒達は驚きの声を上げた。

宙に浮かぶのは、無数の剣。剣達は空へと階段のように続き、その上をシロウが駆け上がる。

投影された剣は残りの魔力も少ない為、外見だけで中身のないモノ。

それに、もともとは剣を魔力で飛ばす為の技法であって、人が乗る為のものではない。

一度踏めば剣は耐え切れず砕け、魔力となって霧散する。だが、霧散した魔力が月明かりに照らされ青く光り、より幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「ふむ。即席の階段にしては上等だな」

 

ネギ達との距離にして約10メートルという所。

ついに限界だったのか、ネギは抱えていた超ごと落下する。

 

「ちっ!」

 

シロウは剣を登る速度を上げる。

そんな時。

 

「私に未練はないガ……」

 

ネギを護るように抱きしめる、超の声が聞こえた……。

その言葉に怒りを覚えた。彼女がそんな言葉を発したことに。彼女にそんな言葉を吐かせる状況を生み出した何かに。

だからこそ、自然と皮肉げな声がでた。

 

「───たわけ。魔力が残っているなら最後まで足掻け」

 

そんな超達を掴み、こちらへ引き寄せる。

 

「エ、エミヤ先生!? 何故貴方がここにいるネ!?」

 

上空4000mという高さに、飛ぶことのできない私が現れた事に超は驚愕する。

驚くのも無理はないと思うが……。

 

「少し口を閉じていろ。でないと舌を噛むぞ」

 

2人を抱えた状態で体勢を立て直し、ゆっくりと浮上してくる超包子の屋台の屋根へと威力を殺して着地する。

 

「大丈夫、超りん!?」

 

「何この全身傷まみれ!? 大怪我じゃん!」

 

「おわっ!? ネギ君も!」

 

「ここここ、これ特殊メイク!?リアルすぎ!!」

 

傷だらけの2人を見て、皆が屋根へ集まってくる。

 

「あはは、大丈夫やて。こんなん、ウチがこの杖を振るえばあら不思議~♪」

 

このかは惜しげもなく魔法を使い2人を治療する。

完全治癒魔法は私に使ってしまったとはいえ、エヴァの下で修行をしているこのかの魔法ならば十分だろう。

 

「シロウさん……強制認識魔法が」

 

意識を取り戻したネギはすぐに強制認識魔法の心配をする。

世界樹の真上には巨大な光球が今にも破裂せんばかりに膨らんでいる。

 

「超、アレを止める方法は?」

 

「もう遅いネ。科学で制御しているものだから、それさえなんとかすれば止められるだろうガ、茶々丸がそれを許しはしないヨ」

 

「ネギ君、千雨にカードで念話はできるか?」

 

ネギはカードを額に当て、悔しそうに首を振る。

 

「……駄目です。まだ阻害されています」

 

「衛宮先生。よろしければどうぞ」

 

五月が差しだしたのは店に備え付けられている電話の子機。何でも超と葉加瀬が手を加えてあるらしく、今の状況でも使えるらしい。

私は電話を受け取ると、作戦会議の時に念のため聞いておいた千雨の番号へと掛ける。

 

「だぁぁぁあああーーー! 誰だこんな時に! 私は今忙し───」

 

「エミヤシロウだ」

 

「あ、あー衛宮先生ですか。今もの凄く忙しーんですけど!? アンタの建てた作戦のせいでな!」

 

おお。かろうじて敬語にしようとしているようだができていない。かなり焦っているな。

やはり茶々丸の包囲網を突破するのは苦戦しているとみえる。

 

「それはすまない。では手短に話そう。あとどれくらいでセキュリティを突破できる?」

 

簡潔に。あとどのくらい時間があれば茶々丸に勝てるか問うた。

それは千雨が負けるなどという可能性は微塵もない、勝利を確信している問い。

 

「───っ! ずるいですよその言い方は。……あと1分お願いします」

 

「了解した」

 

たった一言答えて電話を切る。

このかに目配せすると、すかさずカードで魔力を送ってくれた。

 

「投影、開始」

 

手の中に現れるのは黒塗りの西洋弓と赤い槍。槍は骨子を歪めるとたちまち長さと形状を変え、矢となる。

正直世界樹上空に集まった魔力は膨大過ぎて消滅させるのは不可能。だが、この槍ならば一時的に霧散させることができる。

 

「切り裂け───『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルク)』!!」

 

紅い軌跡を残し放たれたゲイ・ジャルクは、一瞬で魔力を霧散させる。

しかし、周囲の科学式が直ぐに魔力の収束を再開する。だが、その一瞬を稼げれば千雨が茶々丸を破る。

収束した魔力が霧散する前と同じ大きさまで集まったところで、強烈に発光し弾ける。

 

周りを見渡せば、スクナモドキたちは次々と消滅していき。科学式も消えていった。

スクナを制御していたのも、科学式の魔方陣の制御も、すべて茶々丸が制御していた。

つまり。

 

「見事だ、千雨」

 

学園祭最終イベント。火星ロボ軍団体VS学園防衛魔法騎士団。

勝者───学園防衛魔法騎士団。

 

 

 

 

 

 

 

世界樹から少しはなれた所にある草原。超の特殊弾に撃たれた者達が続々と解放され賑わっている。

そこから更に少しはなれた、ストーンサークルがある場所。そこでシロウと超は対峙していた。

 

「おや、エミヤ先生。ネギ坊主たちハ?」

 

「直に来るだろう。彼らには悪いが、先に私だけ来させてもらった」

 

「そうか……エミヤ先生。貴方にも色々と迷惑をかけたネ、すまない」

 

「ああ、構わん。生前知り合いに掛けられた迷惑を考えれば今回の件など可愛いものだ」

 

冗談だと思ったのか超は一瞬笑ったが、私の心底嫌そうな顔を見て事実を言っていると気づき苦笑いをする。

 

「だとしても、面倒事には変わりないだろう。何故あなたは私をここまで気にかけてくれル? 副担任という理由にしては度が過ぎていると思うガ?」

 

「ああ。残念ながら学園には辞表を出してしまったのでね。私個人の勝手なお節介だ」

 

「え……あ、本当にすまないネ……」

 

驚いた超は私が辞表を出した経緯に思い当たったのか、本当に申し訳なさそうに頭を下げた。

だが、私はそれを無視して言葉を続ける。

 

「なぁ、超。私の前のマスターが言っていたことなんだが。なんでも「酷い目に遭ったんだから、せめてその後は楽しくやらなきゃ嘘でしょう」だそうだぞ」

 

それは凛が冬木の大火災で唯一の生き残りであることに罪悪感を持っていた衛宮士郎に向けて放った言葉。

 

「遠坂凛のセリフか……だが、何故それを私ニ?」

 

超の言葉に答える代りに、私は草原の向こうから走ってくる彼らに視線を向ける。

そこには、疲れる体に鞭うち必死に走るネギと3-A の生徒達。

 

「ネギ坊主、みんな……」

 

「超、過去を変えるという行為は君にとっての現在(いま)を生きる人達の思いを踏みにじる。それはどんな綺麗事を並べても許されるものではない。だが───君の想いは間違いではない。誇っていい」

 

そんな頑張り屋な彼女との別れが悲しい物であっていいはずがない。

 

「誇っていい、か。……ありがとう、エミヤ先生。貴方に逢えてよかった」

 

超は胸の前で手を合わせ、頭を下げる。

 

「さ、行きたまえ」

 

私が軽く背中を押すと、超は笑顔でネギ達の方へ駈け出した。

無邪気にクラスメイト達とはしゃぐ彼女。あれこそが本当の超の顔なのだろう。

それからひとしきり騒ぐと解散し、この場に残ったのは魔法の存在を知る関係者のみになった。

 

「では、私はそろそろ行くとするネ。楽しい別れになたヨ、感謝するネギ坊主。私には上場ネ」

 

「でも、本当にこれでいいんですか? 超さん、あなたは何一つ……っ!」

 

「いや、案ずるなネギ坊主。私の望みは既に達せられた」

 

ネギに最後まで言葉を言わせず、超は誇らしげに言った。

 

「我が計画は消えた。だが、私はまだ生きている。ならば、私は私の戦いの場に戻ろう。ネギ坊主、君はここで戦い抜いていけ」

 

超のカシオペアが輝きだし、空に巨大な魔方陣が展開する。

 

「五月、超包子を頼む。全て任せたネ」

 

「任せて」

 

五月はコクリと頷く。

次に超は、茶々丸と聡美の方へ向く。

 

「2人とも御苦労だた、ありがとう。ハカセ、未来技術(オーバーテクノロジー)についての対処は、打ち合わせ通りに。あと、この間の実験途中のデータだが……」

 

「全て、わかっていますよ。超さん」

 

聡美は超に心配させぬ為、目を瞑り胸に手を当て自信を持って答える。

 

「ウム……茶々丸。お前はもう自立した固体だ、好きに生きるがいい」

 

「……了解しました。ありがとう、超 鈴音」

 

ありがとう。

それは、茶々丸が心を持っているからこそ出た言葉だろう。

 

「……(二ッ)」

 

「……フッ」

 

魔力が溜まり超の体は宙に浮き始める。その時、超は目が合ったエヴァと微笑を交わした。

宙に浮く超を中心に、魔力が渦を巻いていく。

 

「超よ。未来に帰って、どうしても力が必要な時は、私とランサーからの贈り物(プレゼント)有効活用(・・・・)してくれたまえ。茶々丸のデータから私の過去を見ているのなら……わかるだろう?」

 

「……?」

 

不敵に笑う私に対し、超は?を浮かべるが何かに思い当たり笑顔を見せる。

 

「な、なるほど……!!。その時は、遠慮なく頼らせてもらうネ!」

 

「まぁ、私はどうなるかわからんがね」

 

手を上げ応えた超は小さく息を吐いて居直り、親友へとその目を向ける。

 

「古!! いつかまた、手合わせするネ!!」

 

「ッ……うむ! 必ず!!」

 

そのいつかは、くるかわからない。むしろこない可能性のほうが高いだろう。

それでも、親友(とも)であり宿敵(ライバル)である2人は約束をする。

 

「さらばだ、ネギ坊主。また会おう!!」

 

「ハイ! また、いつか……!!」

 

強烈な閃光と共に超の姿は薄れていき───未来へと帰った。

 

 

 

こうして、学園全体を巻き込んだ 未来人 超 鈴音の事件は幕を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。というわけで学園祭最終話でした! いかがだったでしょう?
それにしても、アニメFate UBW終わっちゃいましたね……いやーいい話でした。
私も負けずいい話で完結できるよう頑張ります。

それではまた次回!!
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