妖怪ウォッチを手に入れたのが、ケータではなくカズマだったら?   作:カジ

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所々にパロディ毎回入れてるけど、皆気付いてくれてるかな?


首無しの騎士

 「ごらあ!めぐみんはどこだこの野郎!」

 

 爆裂魔法から帰ってきたカズマとめぐみんがギルドでゆっくりしていると、黒焦げのウィスパーがキレながら戻ってきた。

  

 「あ、ウィスパー。生きてたんですか」

  

 「生きてたんですか、じゃねえよ!あたしがいるのに、よくも爆裂魔法撃ってくれましたねえ!もう少しで死ぬところだったんでウィスよ!」

 

 「…ちっ。私の爆裂魔法を喰らってピンピンしてるとは」

  

 「あー!今舌打ちしましたねー!」

 

 爆裂魔法をぶち撒けておいて反省もしないめぐみんに、ウィスパーはカンカンに怒っている。

 

 「大体あーた!あたしと敬語キャラが被ってるんでウィスよ!紛らわしいので口調変えて貰えますう?」

 

 「はあ!?ウィスパーなんかとキャラ被りとか最悪です!そっちが口調変えてください!」

 

 二人でギャーギャーと言い争っているが、他の人にはめぐみんが一人で騒いでるようにしか見えない。元々めぐみんは、頭のおかしい爆裂狂い娘として認識されているから、そこまで気に留められることも無いのだが。

 

 「カズマくん!あーたからもこの小娘に何か言ってやってくださいよ!」

 

 「カズマ!この偽妖怪執事クビにしてください!」

 

 「二人とも、うるさい」

 

 カズマにとってはどうでもいいことなので、喧嘩に巻き込まれない内にバイトを探しに行く。いつまでクエストが出来ない状態が続くか分からないが、キャベツの報酬もいつかは無くなってしまう。めぐみんの日課の爆裂魔法には付き合うが、それ以外の時間はバイトをしなければ。カズマがギルドを出てからも、めぐみんとウィスパーの小競り合いがしばらく聞こえていた。

 一方。実家に帰ったダクネスは、ブシニャンと共に激しい修行に打ち込んでいる。

 

 「でっかい岩真っ二つ斬り!」

 

 ブシニャンが、自分の何倍もある大岩を両断する。

 

 「さあ、やってみるでござる」

 

 「あ、ああ。では…たあああああ!」

 

 気合を入れて岩に突進するダクネスだが、その剣は見当違いな方向にばっかり行く。動かない岩が相手なのに、全くかすりもしない。

 

 「どこ狙ってるでござる!ここ!ここでござる!」

 

 「…す、すまない。今度こそっ!」

 

 その後、何回やっても岩に傷一つ付けることは出来なかった。そこでブシニャンは、剣術よりも基本的な体力を付けさせることにした。

 

 「腕立て百回でござる!」

 

 「は、はいぃぃ!!」

 

 鎧を脱ぎ捨て、身軽な格好で腕立て伏せを開始する。ダクネスの大きな胸が地面に付いたりしてるが、ブシニャンは猫なのでそんなとこには目が行かない。

 

 「次!腹筋五百回!」

 

 「くっ…ふうぅぅんん!」

 

 「スクワット千回!」

 

 「はぁ…はぁ…んんっ!」

 

 ブシニャンの修行は苛烈を極めたが、ダクネスはめげずに毎日必死に頑張っていた。それどころか、日に日にキツさを増す修行に、逆に元気になっていたくらいだ。

 

 「ダクネス、もっと腹筋を固めるでござる!」

 

 「ぐうっ!はぁ…はぁ…なんのっ…まだまだあああああんっ!」

 

 小さい手にグローブを付け、ダクネスの腹を撃ち抜くブシニャン。強い刺激で腹筋を鍛えるトレーニングを、ダクネスは妙にニヤけながらこなしている。ブシニャンが与える過酷な修行の数々を、ダクネスは次々にクリアしていった。

 早朝ランニングをしているダクネスを、ブシニャンは傍で静かに見守る。長い階段を段飛ばしで駆け上り、朝日に向かってダクネスはガッツポーズを掲げた。

 

 「もう教えることは、何もないでござる」

 

 「ブシニャン師匠…!」

 

 共に過ごした期間は短かったが、最高の師弟だと、二人はガシッ!と固く握手を交わしたのだった。

 そして数日後、ダクネスとブシニャンは再びギルドに戻ってきた。そこにはカズマとウィスパー、ジバニャン。そして、爆裂魔法を撃ってきたばかりで疲れているめぐみんがいた。

 

 「おうダクネス、ブシニャン。久しぶり」

 

 「おや?ダクネスさん、ちょっと見ない間に、少したくましくなったんじゃないでウィス?」

  

 「ああ。ブシニャン師匠との…熱い日々の、おかげでな」

 

 「深い意味は無いでござる」

 

 頬を赤く染めて、息を乱して身体をよじらせるダクネス。数日ぶりに会ってもそこは相変わらずで、カズマは呆れた。

 

 「で、修行はどうだった?」

  

 「それについては、自分の目で確かめるでござる」

 

 「ああ、修行の成果をとくとお見せしよう」

 

 カズマ達はギルドを出て、手頃な大きさの岩のある場所まで移動する。めぐみんは疲れているから今は動けないらしく、ギルドに置いてきた。

 

 「カズマ、ダクネスの成長っぷりをよく見ておくでござる」

  

 「まさか、こんな大きな岩を斬る気か?」

  

 カズマの目の前に、自分の背丈よりも大きい岩がある。攻撃さえもろくに当たらないダクネスが、これからこの岩を斬ると思うと、カズマも少し緊張してきた。

 

 「…すぅぅぅぅ、よし」

 

 剣を抜き、息を深く吐いてダクネスは集中する。皆が見守る中、振り抜いたダクネスの剣は……ウィスパーを、斬っていた。

  

 「いやあたくしいいいいいいい?!」

 

 「…やった、遂にやったぞー!」

 

 「でかしたぞダクネスー!」

 

 「ブシニャン師匠ー!」

 

 「ちょっと待てええええええい!!」 

 

 ひしっ!と喜びを分かち合い、強く抱きしめ合うダクネスとブシニャン。しかし、真っ二つにされたウィスパーは当然納得していない。

 

 「何であたしなんですか!?どう見ても岩を斬る感じ満々だったでしょうよ!おかしいですよねカズマくん!?」

 

 「…あのダクネスが、ここまで成長するなんて」

 

 「オレっち、猛烈に感動したニャン…!」

 

 「あたしの味方ゼロおおおおお!!」

 

 何はともあれ、ダクネスの攻撃が当たるようになったのは大きな進歩だと思う。その対象は今のところウィスパーだけだが、カズマとジバニャンはダクネスに拍手した。

 

 「ったく、どいつもこいつもよー。いい加減にしろっつーの」 

 

 ウィスパーがいじけながらセロハンテープで体を引っ付けていると、突然アクセルの街に警報が鳴り響いた。キャベツ狩りの時と同じように、全冒険者は今すぐ正門前に招集せよとのことだ。

 カズマ達も急いで正門に移動すると、そこには既に沢山の冒険者が集まっていて、その中にアクアの姿も見えた。

 

 「おいアクア、めぐみんは?」

 

 「え?カズマ達と一緒じゃないの?」

 

 どうやらめぐみんはまだ来ていないようだ。それより、皆が見つめる先に只ならぬ気配を放つ者がいる。首が無く、全身を分厚い甲冑で覆った騎兵。その禍々しい迫力に、街の冒険者達は冷や汗をかいている。

 

 「俺は魔王軍幹部、ベルディア。つい先日から、この付近の廃城を根城にしている」

 

 魔王軍幹部と聞き、冒険者達に衝撃が走る。この街は魔王の城から遠く離れていて、レベルの低い駆け出し冒険者の街とも言われている。そんなところを、よりによって魔王軍幹部が現れるとは想像もしていなかった。

 

 「お前らに聞きたいことがある。飽きもせずに毎日毎日、俺の家に爆裂魔法をぶっ放してる大馬鹿野郎は、どこのどいつだああああああ!」

 

 爆裂魔法と聞き、カズマは猛烈に嫌な予感がした。何しろ、その張本人を知ってるから。この数日、自分も一緒に日課に付き合ってたから間違いない。しかし、まさかあの廃城に魔王軍幹部が住んでるなんて思わないじゃないか。

  

 「どうした!この中にいるのは分かっている!大人しく名乗り出ろ!」

 

 周りの冒険者達がざわつき始める。このままでは、イライラしているベルディアが何をしでかすか分からない。魔法使いの女の子が一人いたが、爆裂魔法は使えないと必死に否定した。

 

 「ふん、誰も名乗り出んとは。この街の冒険者は、とんだ腑抜け揃いのようだ。まあ、無理もない。魔王軍幹部の前に出てくるなど、相当の覚悟が必要だろう。そんな勇気のある者が、こんな駆け出しの街にいるわけ…」

 

 その時、正門が重い音を立ててゆっくりと開いていく。皆が視線を集めるその先に、一人の少女が立っていた。

 

 「…我を呼んだのは、あなたですか?」

 

 その少女は羽織っているマントを勢い良く翻し、高らかに名乗りを上げた。

 

 「我が名はめぐみん!アークウィザードにして、最強の爆裂魔法を操りゅっ…!」

 

 噛んだ。せっかく格好良く登場して、皆の注目を浴びる中で名乗りを上げたかったのに。

 めぐみんは恥ずかしいのか、カ〜ッと顔を赤くする。気不味さを紛らわすように、コホンと咳払いを一つして、改めてもう一度名乗りを上げた。

 

 「我が名はめぐみん!アークウィザードにして、最強の爆裂魔法を…操る者!!」

 

 噛まないようにちょっと間を開けたが、何とか最後まで言い切った。格好良く登場することが出来て、決まった…!と小声で呟いた。

 

 「や、やっぱりこの子だったか」

 

 「よく考えたら、爆裂魔法を使えるのはめぐみんくらいだもんな」

 

 「確か今は、カズマと同じパーティーに…」

 

 他の冒険者達の視線から、カズマはサッと目をそらす。

 

 「…し、知らない。あんな恥ずかしい子、俺は知らない」

  

 同類だと思われるのが恥ずかしく、カズマは他人のふりをした。

 めぐみんはベルディアに向かって歩いて行き、周りの冒険者達が道を開ける。

 

 「お前か、俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでいたのは」

 

 「…え、ええ。そうですよ。それが何か?」

 

 ギロリと睨みを効かせるベルディア。魔王軍幹部の威圧に、めぐみんは小さく汗を流す。

 

 「よくも人んちにポンポン爆裂魔法を撃ち込みよって…!一体、何が狙いなんだ?」

 

 「…ふ、作戦ですよ」

 

 「作戦?」

 

 作戦?とカズマも首を傾げる。毎日めぐみんの爆裂魔法に付き合っていたが、ただの日課で作戦なんて大層なものは無かった筈だが。

 

 「あなたを誘い出す為に、わざと爆裂魔法で挑発してたのです。まんまと引っかかりましたね」

 

 「何ぃ?」

 

 まずい、ベルディアが苛立ち始めている。魔王軍幹部を本気で怒らせたら、ここにいる全員ただじゃ済まないだろう。これ以上怒らせないよう、カズマはめぐみんを呼び戻そうとした。

 

 「全ては作戦通り、ですよね? カズマ!」

 

 「え!?」

 

 いきなり名前を呼ばれ、カズマは思いっきりビックリした。

 

 「ほう…?貴様の策だと?」

 

 「い、いえいえいえいえ…!お、俺は何も」

 

 身に覚えのない容疑をかけられ、カズマは必死に首を横に往復させる。

 

 「お、おいめぐみん!変なこと言うんじゃねえ!」

 

 「大丈夫です、私に任せてください」

 

 ビッ!と親指を立てて、めぐみんが自信ありげに微笑む。何か考えがあるのだろう、とりあえずカズマは様子を見守った。

 

 「俺を誘い出したからと言って、倒せるとでも思っているのか?」

 

 「思ってますよ。今ここには、街の冒険者が勢揃いしてます。そして、随一の魔法使いである私もいます。どう考えても、あなたに勝ち目はありません。ですよね? カズマ!」

 

 「だからっ!俺の名前を出すんじゃねえええ!!」

 

 結局めぐみんに大した作戦はなく、カズマも共犯にして罪を軽くしようという安易な考えだけだった。

 

 「さあ、観念してください!カズマの作戦で、あなたは袋のネズミです。カズマにかかれば、あなたなんか敵じゃありません。今こそ、カズマ率いる冒険者の力を…」

 

 「連呼するな!」

 

 「カズマとやら、死ぬ覚悟は出来てるんだろうな…?」

 

 「覚えられたじゃねかよおおお!!」

 

 魔王軍幹部に名前を覚えられ、カズマは膝から崩れ落ちる。しかし、ベルディアは今日は抗議に来ただけで、冒険者達をどうこうするつもりは無かったみたいだ 駆け出しの街のレベルの低い冒険者なんか、相手しても仕方ないというとこだろう。

 

 「今回は大目に見てやる。次からは、もう二度と人んちに爆裂魔法を…」

 

 「無理です。一日一回は、爆裂魔法を撃たないと死ぬ病気にかかってますので」

 

 もちろん、そんな病気なんてあるわけない。せっかく何事もなく帰ってくれそうだったのに、めぐみんのこの一言でまた事態が一変した。

 

 「…大人しく、家で震えてれば良いものを。小娘、貴様には苦痛が必要みたいだ」

 

 「まずいっ…!めぐみん、逃げろおおお!」

 

 嫌な予感がしてカズマが叫ぶが、ベルディアがめぐみんに向かって魔法を放つ。しかし、間一髪のとこでダクネスが間に入った。

 

 「ぐあああっ!!」

 

 「ダクネス!?」

 

 めぐみんの代わりに魔法を受けだダクネスが、力なく地面に倒れる。

 

 「あと、ついでに貴様も」

 

 「おんぎゃああああああ!?」

 

 「ウィスパー!?」

 

 何故かついでに、カズマの隣にいたウィスパーも魔法をくらった。

 

 「何で?!何であたくしまで!?」

  

 「なんか、ムカつくから」

 

 「そんな理由で!?」

 

 ベルディアが二人に放ったのは、一週間後に相手を呪い殺す死の魔法。呪いを解きたければ、それまでにベルディアを倒さなくてはならない。

 

 「…なるほど、私はあと一週間も生きられるのか」

 

 「だ、ダクネス…?」

 

 ダクネスが心配で、カズマも近くに駆け寄る。

 

 「ああそうだ。一週間、死の恐怖に怯えて震えるが良…」

 

 「…つまり貴様は、一週間も私を責め続ける気だな?」

 

 「え?」

 

 ダクネスに変なスイッチが入った。その意味を理解してしまう自分が悲しいと、カズマは思った。

 

 「呪いを解いてほしくば、俺の言うことを何でも聞けと。どんなハード系だって、思いのまま。そう言いたいわけか。ふ、とんだ変態だな」

 

 変態はお前だ。カズマは心で強く思う。

 

 「しかし、私の体は良いように出来ても、心まで屈服するつもりはない。というわけでカズマ…行ってくりゅ」

 

 「待て」

 

 この時ばかりはベルディアに同情した。スイッチが入ったドMはある意味無敵。ベルディアは巻き込まれないうちに、城に引き返して行った。

 

 「ちょっと、あいつの城にカチコミに行ってきます」

 

 ダクネスが呪殺魔法を撃たれた事に責任を感じて、めぐみんは一人でベルディアの城に乗り込むと言い出した。今日の分の爆裂魔法は既に撃ってるから、今日はもう使えない。それでも、じっとなんかしていられなかった。

 

 「めぐみん!オレっちも行くニャン!」

 

 「…ありがとうございます。でも、危ないですから、私一人で行きますよ」

 

 「危ないなら、余計に一人で行かせられないニャン!オレっちが、めぐみんをお守りするニャン!」

 

 「ジバニャン…」

 

 ジバニャンの気持ちが嬉しく、めぐみんはそっと優しく頭を撫でてあげた。

 

 「ジバニャンだけにいい格好させられるかよ。俺も少なからず、責任あるしな」

 

 「カズマ…二人とも、ありがとうござ」

 

 「えいっ、呪い解除」

 

 カズマ達が盛り上がってるところ、なんとアクアがあっさりとダクネスにかけられていた呪いを解いてしまった。仮にも女神、こういうことは得意中の得意だった。

 

 「私を誰だと思ってんの?女神よ女神」

 

 「あ、はい…」

 

 「ささ、一件落着したし、パァーッと皆で飲みましょう!」

 

 ベルディアもいなくなり、ダクネスの呪いも解呪した。周りの冒険者達も盛り上がって、アクアは楽しそうに宴会芸を披露する。 

 カズマ達は肩透かしを食らった気分だったが、結果オーライと顔を見合わせて笑ったのであった。

 

 「…あのー、あたくしの呪いも解いて欲しいんでウィスけど」

 

 

 

 

 

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