妖怪ウォッチを手に入れたのが、ケータではなくカズマだったら? 作:カジ
「さて、オラ達の出番ずらね」
「そうズラね」
ピシッとスーツに着替え、帽子をキュッと被る2つの影。車のドアを開け、エンジンをかけて走り出す。今日もまた、一台のタクシーがネオンの輝く街をひた走っていた。
「…えーと、何で俺タクシーに乗ってんの?」
今日の乗客は、佐藤和真。気付いたらタクシーに乗せられていて、どういう状況にあるのかまだ分かっていない。
「心当たりがないずら?」
「こ、コマさん!?」
「自分が何故、このタクシーに乗せられているか」
「コマじろう!?」
運転席に座り、ハンドルを操縦しているのはコマさん。助手席には弟のコマじろう。コマさんが車を運転出来ることに驚いたが、何故タクシーに乗っているのかは分からない。
「…い、いや。まったく分かんねえ。俺、何かしたかな?」
「何か、ずらか」
「自分の胸に手を当てて、よく考えるズラ」
「そんなこと言われても…」
胸に手を当てて考えてみるが、やっぱり分からない。いつもは可愛らしい様子のコマ兄弟だが、今はなんか雰囲気が違う。カズマも少し不安になってきた。
「実はカズマに、苦情のお便りが届いてるずら」
「く、苦情?」
コマさんは苦情のお便りをコマじろうに渡して、コマじろうがそれを読み上げる。
「ペンネーム、クーリスさんからのお便りズラ。先日、カズマにパンツを剥ぎ取られました。凄く恥ずかしかったです。だそうズラ」
「…あー、あれね」
そのことはカズマもはっきりと覚えている。スティールでパンツを奪い取ったのが嬉しく、ついついはしゃいでしまった。
「他にも、パンツの値段を自分で決めさせたり、お金を毟り取られて悲しかった。とも書いてあるズラ」
「これが証拠の映像ずら」
ピッとテレビのスイッチを入れ、その時の映像を流す。そこには奪ったパンツを振り回している様子や、全裸にすると脅してるカズマの姿があった。お便りをくれたクーリスさんの目には、プライバシー保護で黒い線が貼ってある。
「女の子相手に、これはやり過ぎズラ」
「ちょ、ちょっと待った!確かに、俺も少〜し悪かった気もするけど、あれは向こうから仕掛けてきた勝負だぜ?俺だけ悪者扱いはさすがに…」
「他にもお便りが届いてるずらよ」
「え?他にもあるの?」
コマさんから手紙を受け取り、またコマじろうが読み上げる。
「ペンネーム、紅蓮の爆裂少女さんからのお便りズラ。尿意を刺激する妖怪を呼ばれて、トイレを我慢させられた。最悪の場合、爆裂魔法で何もかも消し去ってやろうと思った。ということらしいズラ」
テレビに映る証拠VTRに、カズマは何も言えず苦笑いを浮かべている。
「最後に、ペンネーム、清く正しい水の女神さんからもお便りが届いてるズラ」
「まだあるのか…」
「貸したお金をいつまでも根に持って、返せ返せとうるさい。この私にお金を貸すということは、あげたと思って諦めなさい。だそうズラ」
「おい!それは俺悪くねえぞ!」
「これは確かに違うズラね」
テレビに清く正しい水の女神さんが映っているが、前の二人と違って目線のモザイクが少しズレていた。
「最後のはともかく、カズマ。女の子にはもう少し、優しくしなきゃ駄目ずらよ」
「…はい、すんません」
「分かればいいずら」
佐藤和真、反省!!
「はっ!そんなの知るか!俺は真の男女平等主義者!たとえ相手が女でも、ドロップキックくらわすのが俺だ!こんなタクシーに乗せられたところで、俺が反省するわけ…」
ピッ
「ぎゃあああああああああ!!」
コマさんがスイッチを押すと天井が開いて、カズマの席が勢い良くバネ式になって飛び跳ねた。カズマはそのままキラーンと輝き、笑顔で星空に浮かび上がったのである。
さて、次は誰がコマさんタクシーに乗るんでしょうね