妖怪ウォッチを手に入れたのが、ケータではなくカズマだったら?   作:カジ

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タイトルだけ真面目です。


勝利、そして

 「ずるいぞウィスパー!お前だけあんなに楽しんで!私だって、あの衝撃を受けてみたいのに!」

 

 「全然楽しくないでウィス!こっちは命懸けだったんでウィスよ!」

 

 爆裂魔法を浴びたウィスパーを、ダクネスが羨ましがっている。

 

 「お前だけに良い思いはさせない!次は私の番だ!」

 

 「いやだから、全然良い思いじゃ」

 

 「勝負だベルディア!相手にとって不足なし!」

 

 ダクネスがベルディアに斬りかかる。ベルディアも大剣で身構えるが、ダクネスの剣は動いていないベルディアにかすりもせず、近くの岩を斬っただけだった。

 

 「…流石は魔王軍幹部、やるな」

 

 「まだ何もやってないぞ」

 

 (お前が不足だわ!んもう!仲間として恥ずかしー!)

 

 ダクネスの不甲斐なさに、カズマも目を覆いたくなった。岩を斬る程の攻撃力はあるが、相手に届かなければ意味がない。

 

 「次はこちらから行くぞ、クルセイダーよ!」

 

 ベルディアは大剣を軽々振り回し、ダクネスに襲いかかる。魔王軍幹部の名は伊達ではなく、その圧倒的な攻撃にダクネスは防戦一方だった。

 

 「どうした、その程度か?自慢の鎧が剥がれているぞ」

 

 頑丈なダクネスの鎧は所々破損しており、見るも無惨な状態だった。

 

 「…ふ。お前こそ、やっと本性を現したな」

 

 「何?」

 

 「一撃で私を葬れば良いものを、あえて鎧の一部分だけを破壊するとは。あえてそうして、より扇情的にして辱めようとする作戦か。面白い、受けて立つ!」

 

 ダクネスは両手を横に大きく開き、まるで斬ってこいと言わんばかりに攻撃を待ち受ける。

 

 「さあ!魔王軍の真の辱めを見せてみろ!私は絶対に、屈したりはしない!さあ!さあ!!」

 

 「な、何だこいつは…」

 

 「おお!相手が怯んでいるでウィス!」

 

 「ダクネスやるニャンね、カズマ!」

 

 「…そうだね」

   

 カズマは少し、ベルディアに同情した。ベルディアは真面目に戦ってるのに、ダクネスの言動のせいで変に誤解されてしまっている。

 しかし、ダクネスにベルディアが構っているおかげで、カズマも魔力を貯める時間が稼げた。

 

 「隙あり!クリエイトウォーター!」

 

 「ぬっ!」

 

 「うわっ!?」

 

 手の平から水を噴射したが、ベルディアに上手く躱されてしまう。代わりにダクネスに直撃させてしまった。

 

 「…カズマ、時と場所くらい考えてくれ。こんな時に水責めなんて、今はお前の趣味に付き合ってる暇はないんだぞ?」

 

 頬を染めて、びしょ濡れになったダクネス。そういうプレイをしていると勘違いしているみたいだ。

 

 「俺もお前の趣味に付き合う暇はねえわ!これはこうするんだよ!」

 

 先程撒いた水は布石。カズマはベルディアの足下の水溜りを凍らせ、一時的に身動きを封じることに成功した。

 

 「…ほう、考えたな」

 

 「今だ!スティール!」

 

 スティールでベルディアの剣を奪う。そういう作戦だったが、ベルディアにスティールは通用しなかった。

 

 「レベル差があるとスティールは効かない。残念だったな、小僧」

 

 「くそっ!こうなったら…」

 

 カズマはポケットから、ヨコドリのメダルを取り出そうと中を探る。しかし、他にも何枚かメダルを入れているから、どれがヨコドリのメダルか分からない。

 

 「あ、あれ?ど、どれだ?これか?」

 

 適当に取り出した一枚のメダルを、ウォッチにセットして召喚する。

 

 「カズマさん?何かご用ですか?」

 

 「お前かよ!」

 

 出てきたのは、ブキミー族のじんめん犬。眼鏡をかけたおじさんの顔をしている犬の妖怪。間違って召喚したとはいえ、何たる人選ミス。

 

 「…あー、まあいいや。人面おっさん!ベルディアを倒してくれ!」

 

 「じんめん犬!人面おっさんは普通のおっさんでウィスよカズマくん!」

 

 こうなったらじんめん犬に頑張って貰うしかない。カズマはじんめん犬をベルディアに向かわせる。

 

 「もう、妖怪使いが荒いですね。それで、そのベルディアさんはどちらで…」 

 

 「何だ貴様は」

 

 「ひいいい!何でもございませーん!」

 

 ゴゴゴゴ…!!という気迫がベルディアの背後に見える。じんめん犬は恐怖のあまり、その場から急いで逃げ出した。

 

 「じんめん犬!」

 

 「あちゃー、逃げちゃいましたね」

 

 「別にいいや。どうせ無理だと思ってたし」

 

 「え、じゃあ戦わせなくても…」

 

 じんめん犬じゃ勝てないのは最初から分かっている。今度こそヨコドリを召喚しようと、カズマはポケットの中を探した。

 

 「遅いわ!」

 

 「しまった!」

 

 カズマの隙を突いて、ベルディアが大剣を振り上げる。カズマは死を覚悟した。しかし、間一髪のところでダクネスがベルディアの剣を受け止める。

 

 「私の仲間に…手出しはさせない!」

 

 「ふ、いつまで持つかな?」

 

 ベルディアの猛攻をその身に受けるダクネス。致命傷は受けていないが、鎧がもうボロボロだ。このままでは、ベルディアの剣がダクネスの肌に届いてしまう。

 

 (まずい!これはマジでまずい!思い出せ、相手はデュラハンだ。ゲームでは何が弱点だった?)

 

 生粋のゲーマーとしての記憶を頼りに、ベルディアの弱点を模索する。

 

 「…そうだ、あいつの弱点は」

 

 カズマはポケットから、ニ枚のメダルを取り出した。

 

 「出てこい、雨ふらし!雨女!」

 

 雨ふらしに雨女。どちらも雨を降らせる妖怪。

 

 「二人とも、今から思いっきり雨を降らしてくれ!」

 

 「いいよ〜」

 

 「わ、分かりました」

 

 二人が能力を発動すると、さっきまで晴天だった空に厚い雲が覆い出す。ポツポツと小さな雨が降り始め、やがて激しいスコールを巻き起こした。

 

 「うおおっ!?急に大雨が!」

 

 「どうなってんだ!?」

 

 事情を知らない他の冒険者達は、突然の雨に驚いている。まさにバケツをひっくり返したように、ザーザーと轟音を立てて降り注いでいた。

 

 「ぐおおっ!お、おのれ!雨を降らせるとは、味な真似をッ…!」

 

 「やっぱりそうだ、あいつは水に弱い。二人とも、もっと雨を降らせるんだ!」

 

 カズマのクリエイトウォーターをベルディアが慌てて避けた時、少し違和感を感じていた。仮に直撃したところで、ベルディアなら痛くも痒くもない筈。それを上手く回避してしまったことで、自ら弱点を晒してしまったのだ。

 

 「…仕方ない。口惜しいが、ここは一度退く」

 

 「な、何ッ!?」

 

 「命拾いしたな。だが、次に会う時が貴様らの最後と知れ!」

 

 この豪雨に、ベルディアは馬に乗って逃げ出して行く。ここで逃したら駄目だ。同じ作戦は二度は通用しないだろう。雨で弱っている今が、ベルディアを倒せる絶好のチャンスなのに。

 

 「ちょっとカズマ、あいつ逃げちゃうわよ。どうするの?」

 

 「アクア!お前も一応女神なんだから、ちょっとくらい役に立て!」

 

 「むっ!失礼ね。私こそが、誰もがひれ伏す正真正銘の女神よ!見てなさい。女神が本気になれば、こんな小雨とは比較にならないくらいの水を喚び出せるんだから」

 

 水の女神としてのプライドか、雨ふらしと雨女に対抗するアクア。両手を天に掲げ、珍しく真面目な顔になる。口上を述べると、その手に力が集まっていくのがカズマにも分かった。

 

 「セイクリッドクリエイトウォーター!!」

 

 空から膨大な量の水が一気に溢れ出し、無慈悲な神の鉄槌となって降り注ぐ。その狙いはもちろん、城を目指して駆けているベルディアだ。

 

 「ぐあああああっ!?やめろおおお!!」

 

 真下にいたベルディアはその大滝に飲み込まれ、その水圧で押し潰されそうな圧迫感を受けた。

 

 「おっしゃあ!これであの首無し野郎も終わりでウィス!」

 

 「そんなこと言ってる場合じゃねえ!アクア!水出し過ぎだ!止めろおおおお!!」

 

 アクアの出した水はベルディアを飲み込んだが、そこで勢いは止まらなかった。その流れは大きな濁流となり、カズマ達冒険者に向かって来た。

 

 「うわああああっ!?」

 

 「洗濯機で洗われる服の気持ちがよく分かるでウィスーー!!」

 

 雨ふらしと雨女が降らせていた豪雨とも合わさり、水の勢いは巨大な渦になって増していく。それは固い正門までも破壊し、その破片が次々にウィスパーを襲った。

 

 「痛っ!ごふぅっ!いや、なんであたしばか…ヴィシュ!」

 

 「ウィスパー!お前ばっかりずるい!」

 

 好きで流れてくる破片やらに当たってるわけではない。そんなに羨ましいなら交代してくれと、ウィスパーは薄れゆく意識の中で思った。

 やがて水が引いていき、所々に大きな水溜りが出来ている。

 

 「痛ってて…おい皆、無事か?」

 

 「な、なんとか…」

 

 「ニャン…」

 

 めぐみんとジバニャンも一応無事のようだ。ジバニャンも水が苦手ながら、爆裂魔法の疲労で動けないめぐみんを背負って頑張って泳いでいた。

 

 「大丈夫かウィスパー?」

 

 「ぴゅー…あんまり大丈夫とはぴゅー。言えなぴゅー、でウィぴゅー」

 

 ウィスパーは水を沢山飲んでしまい、パンパンに体が丸くなっている。ダクネスがお腹を押してやると、小さな噴水のように水が噴き出ていた。

 

 「もうだめ〜」

 

 「私も〜」

 

 強い雨を降らせ続けて、雨ふらしと雨女の力が尽きる。厚い雨雲が覆っていた空は雲一つ無くなり、明るい太陽が輝いていた。

  

 「くっ…おのれ。この俺をここまで追い詰めるとは」

 

 足下がふらつきながらも、尚もベルディアは立ち上がった。しかし、弱っているのは明白。今ならスティールが狙える、カズマはベルディアと相対した。

 

 「嘗めるなよ…!弱体していても、貴様ごときにやられる俺ではないわあ!」

 

 大剣をかざしてベルディアがカズマに突進する。皆が見守る中、カズマは得意のスティールを発動した。

 眩い光の後、辺りが静寂に包まれる。果たして、スティールは成功したのだろうか。

 

 「…ふ」

 

 手に触れる感触に、カズマは悪い笑みを浮かべる。逆にベルディアの方は、冷や汗が止まらなかった。取られたのは大剣ではなく、唯一の弱点とも言える自分の頭部だったのだから。

 

 「き、貴様っ!離せ!離せえ!」

 

 いくら喚いても、頭を取られたらどうしようもない。もはやベルディアの命運は、文字通りカズマの手の平の上。

 しかしカズマは、ガタガタとうるさいベルディアの頭をそっと地面に置いた。

 

 「なんだ?意外に聞き分けがいい…」

 

 「キックオフ!!」

 

 ドカッッ!!

 

 「ぎゃあっ!?」

 

 ベルディアの頭を蹴っ飛ばし、試合が開始される。カズマはいつの間にかサッカーのユニホームに着換え、ベルディアの頭で軽快なドリブルを見せる。

 

 「ウィスパー君!」

 

 八頭身の人間姿になり、カズマと同じユニホーム姿になっているウィスパー。パスを受けて、ゴール目掛けて思いっきり蹴り込む。

 

 「ウィス!シューッツ!!」

 

 ドゴッ!

 

 「ゲボおッ!?」

 

 ゴールの角を上手く狙ったが、そこには守護神のジバニャンキーパーが立ち塞がった。

 

 「百烈肉球セーブ!ニャニャニャーン!!」

 

 「ぐあああっ!?や、やめんか貴様らああああ!!」

 

 文字通り手も足も出ず、無慈悲にボコられるベルディア。はね返ってきたベルディア(ボール)を、ウィスパーがダイレクトでカズマにパスする。

 

 「カズマくん!」

 

 「これで決める!必殺、ファイアカズマトルネーーーード!!」

 

 空中で旋回しながらシュートを決め、ベルディアの頭がゴールに向かって飛んでいく。その豪速球にジバニャンは反応出来ず、ベルディアの頭が頬をかすめた。

 ゴールの網を突き破り、試合終了のホイッスルが鳴り響いたのであった。

 

 「…ベルディア(ボール)は、友達」

 

 「き、貴様と友達になった覚えはな…い…ガクッ」

 

 ベルディアの意識が切れ、体の方も大きな音を立てて崩れ落ちた。

 

 「これくらい弱らせれば、もういいだろう」

 

 「そうだな。アクア」

 

 「了解!」

 

 アクアが杖をその手に引き寄せ、浄化の魔法を発動する。満身創痍なところに女神の浄化をくらったベルディアは、眩い光の塵となって消滅したのだった。

 そして翌日。カズマは一人、ギルドに向かって歩いていた。ベルディアを倒した後、喜びを分かち合うのも程々に解散した。今日は冒険者全員で、ギルドに集まって宴会を開いている。

 

 (昨日は疲れたなあ。最終的に魔王退治ということは、これからもあんな化け物と戦わなくちゃいけないってことだろう?…無理だな)

 

 そんな生き死にのかかった生活は、現代日本で平和に暮らしてきた自分には向いていない。大人しく簡単なクエストをクリアするだけで充分だ。

 

 「あ、カズマー!もう始めてるわよー!」

 

 「ウェーイ!カズマきゅんウェーーーイ!!」

 

 扉を開けると、早速皆で盛り上がっている。ウィスパーも両手に大ジョッキを持ち、勢い良くゴクゴク飲んでいた。絡み酒がウザい。

 

 「おっちゃん良い飲みっぷりじゃなーい!」

 

 「ぷはあ!これくらい、サラリーマン時代に比べたら全然普通ですよお」

 

 じんめん犬がアクアと楽しげに飲んでいる。ベルディアからはすぐに逃げたくせに、宴会にはちゃっかりと参加していた。時折アクアの胸や際どいスカート丈を見て興奮しているが、アクアは気にしていないみたいだ。

 

 「よく見ると、結構妖怪が集まってるな」

 

 周りを見回すと、楽しい宴会の雰囲気に誘われて妖怪達も盛り上がっているようだ。

 

 「イヤッホー!もっとアゲアゲで行こーぜー!」

 

 金髪の青年にアゲアゲハが取り付いて、ハイテンションに騒いでいる。他にも、笑ウツボに取り憑かれて可笑しくもないのに爆笑してる者。はらおドリに取り憑かれて腹芸を披露してる者もいた。

 人間と妖怪が入り混じったカオスな光景だが、皆宴会を楽しんでるみたいだ。

  

 「カズマ〜、飲んれますか〜?」

 

 「めぐみん!?おまっ、酔ってるのか?!」

 

 裾をクイクイ引っ張られ振り向いてみると、頬を赤くしてふらついてるめぐみんがいた。

 

 「す、すまない。ちょっと目を離した隙に…」

  

 「オレっちも気付かなかったニャン…」

 

 ダクネスとジバニャンが申し訳なさそうに謝る。めぐみんはまだ13才で、この世界でも飲酒出来る年齢に達していない。

 

 「全然酔ってませんよ〜。ほら、見てくらさい。酔ってないでしょ〜?」

 

 ふらつきながら一本足で立つめぐみん。酔ってる者しかやらないことを見事にやってしまっている。

 

 「ひっく、なんだか今は気分が良いです。ここは景気付けに…我が名はめぐみん!爆裂魔法やりまーす!」

 

 「待て待て待て!一発芸のノリでギルドをふっ飛ばそうとするな!」

 

 カズマはめぐみんから杖を奪い取り、爆裂魔法を阻止させる。

 

 「ああ!?返してください〜!」

 

 「お前はもう水飲んで大人しくしてろ!」

 

 酔った勢いで爆裂魔法を撃たれてはたまったもんじゃない。慣れない酒で酔っためぐみんは、しばらくするとテーブルに突っ伏して寝てしまった。

 

 「カズマくんカズマくん。今回、あたし達のパーティーには特別ボーナスが出る噂でウィスよ」

 

 「特別ボーナス?」

 

 「魔王軍幹部を倒したパーティーだからな。それなりの報奨金が出ると思うぞ」

 

 ベルディアは高い懸賞金が懸けられていたお尋ね者。それも魔王軍幹部を打ち破ったとなれば、当然破格の待遇が用意されている筈だ。

 ギルドのお姉さんがやって来て、カズマは胸を高鳴らせる。

 

 「サトウカズマさんのパーティーには、特別報奨金として3億エリスが…」

 

 「さ、3億エリス?!」

 

 予想よりも高額な報酬に、カズマは驚き過ぎて目が飛び出るかと思った。実際にウィスパーは目が飛び出している。

 

 「私の水のおかげで倒せたようなものだから、9割くらいは貰ってもいいわよね?」

 

 「なに言ってんだ。俺はこれを元手に、これからは安心安全な異世界スローライフを満喫するんだ」

 

 「異世界スローライフとやらは知らんが、強い刺激を与えてくれる相手と戦えないのは私としては困る」

 

 「…わ、私も爆裂魔法を…ぐー」

  

 めぐみんも寝言で反論し、様々な意見が飛び交う。しかし浮かれているカズマ達に、お姉さんがコホンと咳払いする。

 

 「まだ続きがあります。報酬として3億エリスを授与します…が、同時に賠償金も発生しています」

 

 「賠償金?」

 

 「はい。アクアさんが出した水の被害が甚大で、外壁等が損壊しております。魔王軍幹部を倒すために仕方なかったとは思いますが、全額とは言いませんので弁償をお願いします」

 

 「…へー、おいくら?」

 

 カズマは恐る恐る、請求書を確認する。すると、カズマは膝から崩れ落ちた。代わりにウィスパーが読み上げる。

 

 「えーと、一、十、百、千、万、十万、百万…さ、3億4000万!?」

 

 「…え、てことは」

 

 「…報酬が一気にマイナス4000万になってしまった」

 

 呆然とするカズマ達。さっきまで宝くじに当たったみたいな感じだったのに、天国から地獄に落とされた気分だった。

 自分の水が原因だと知り、アクアはそ〜っとこの場から逃げ出そうとする。だが怒りのカズマにあっさり捕まった。

 

 「ア〜ク〜ア〜」

 

 「…ご、ごめ〜んごめ〜ん。一旦ごめ」

 

 「ごめんで済んだら警察はいらねえんだよおおおお!!!」 

 

 やはり、魔王を倒すまでこの世界でやっていくしかないのだろう。カズマの声が、ギルド中に響き渡った。

 一方その頃、催したじんめん犬がギルドの壁に野ションしていた。

 

 「うー、ぶるるっ!こんなに酔ったの久しぶりだあ」

 

 「ちょっと君」

 

 「はい?」

 

 じんめん犬の後ろに、二人組の男がいた。一人は若く、もう一人は初老。青い服に制帽を被っていて、日本でよくお世話になった警察官だった。

 

 「こんなところで立ちションなんて、何を考えているんだ。ちょっと来なさい」

 

 「いやいやいや!ここ異世界ですよ!?何でいるんですか?!というか、どうやって来たんですか!?」

 

 「うんうん、署で聞くからね」

  

 「ああちょっ待っ!ちょっ…ちっくしょおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




逮捕オチ

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