妖怪ウォッチを手に入れたのが、ケータではなくカズマだったら?   作:カジ

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ようやく完成しました。なかなか納得のいく仕上がりにならなくて苦労しましたが、これでキールのダンジョン編は無事に終了です。


バスターズトレジャー! 脱出!

 迷い込んでしまったネコ2世を見つけるべく、カズマ達は必死になってダンジョン内をくまなく探し回った。

 

 「ネコ2世様ぐわぁ!!」

 

 「ゾンビーがまた罠にかかったニャン!?」

 

 「さめー!?宝箱に食われるー!!」

 

 「もんげー!!ソフトクリーム落としちゃったずらーーー!!」

 

 「花鳥風月〜♪」

 

 (まとまりがねえ…)

 

 ダクネスとめぐみんがいないにも関わらず、いつも以上に騒々しいメンツにカズマは頭を悩ませる。

 普通ダンジョン探索というものは、声を押し殺して罠やモンスターに神経を尖らし、恐る恐る慎重に進むものだろう。

 それなのに、こいつらときたら無警戒でズンズン進んで罠にかかり(一応無事だから問題ないのだが)、ただでさえ松明が目立つのに、大声を出してモンスターを引き寄せるという、ダンジョン探索のタブーを平気で破っている。

 

 「…こりゃさっさとネコ2世を見つけて退散するしかないな」

 

 元々、探索能力が有効かどうか試しにダンジョンに来たカズマ。それは無事に示せて後はネコ2世を救出するだけなのだが、これが中々見つからない。ダンジョンに入って数時間がたち、いたずらに時間ばかりが過ぎていく。

 

 「ああ、ネコ2世様〜…」

 

 「落ち着けゾンビー、きっと大丈夫だ」

 

 「ねえ、これだけ探してもいないんだから、もしかしたらもう脱出してるんじゃないの?」

 

 アクアの言うことも一理ある。ここは手分けして、一度ダンジョンを出る組と残る組を決めるべきだろう。カズマがそう提案しようとすると、アクアがもたれかかっていた壁が急に消えた。

 

 「痛ッ!?」

 

 不意に壁が無くなり、アクアは思わず頭を打ってしまう。そこには隠し部屋があり、カズマ達は覗き込んだ。

 

 「君は、プリーストかな?」

 

 ベットや椅子などが置いてあるだけの質素な部屋。その椅子に腰がけ、柔らかそうな物腰で話しかける骸骨。

 

 「私はキール。このダンジョンの創始者であり、貴族の令嬢をさらった悪い魔ほ」

 

 「あーー!!」

 

 キールが言い終わるより前に、ゾン・ビーが真っ先に駆け出して行く。

 

 「ネコ2世様!ネコ2世様ですね!?」

 

 キールの膝の上には、エジプトのファラオのような冠を着け、おしゃぶりを咥えてすやすや寝ているネコ2世の姿があった。

 

 「こんなところにいたのか」

 

 「探したニャン」

 

 「無事で良かったずら〜」

 

 「この子はネコ2世と言うのかね?ダンジョン内で迷子になっていたから、私が保護していたのだよ」

 

 普通の冒険者相手ならここまでしないが、流石にこんな小さな子が迷っているのを見過ごせなかったのだろう。ネコ2世はキールの膝の上で、安心したように眠っている。

 ジバニャン達はネコ2世を保護してくれたキールに礼を言い、特にゾン・ビーは頭が床にめり込むくらい感謝していた。

 

 「話しを戻すが、私はキール。過去に色々あってリッチーになった身でね、是非ともそちらの方に浄化をお願いしたいんだ」

 

 確かにアクアならリッチーが相手でも浄化は出来るし、さっきから浄化したくてウズウズしているから問題ないだろう。

 

 「助かるよ。アンデッドは自殺出来ないから、どうしたものかと悩んでいたんだ。そしたら今日、物凄く神聖な力を感じてね。思わず目覚めたというわけさ」

 

 アクアが浄化の詠唱をすると、淡い光が部屋を包み始めた。ジバニャン達は近くにいると巻き添えをくらうから、部屋を出て少し離れたところから見守っている。

 隣のベッドに横たわっている女性らしき骸。キールはその人物の手にそっと触れた。

 

 (…妻よ、今行く)

 

 浄化されたキールは、何とも穏やかな顔をして旅立って行ったのであった。

 

 「終わったニャン?」

 

 「ああ、もう入ってきていいぞ」

 

 浄化が終わったのを見計らって、ジバニャン達が部屋に入ってくる。

 

 「お、おいカズマ!そのお宝はどうしたんだ!?」

 

 インディがカズマの背負っている袋を見て驚く。中にはお宝が入っており、キールが浄化のお礼にくれた物だった。

 

 「それもこれも、ぜ〜んぶ私のおかげよね。私がいなかったら、浄化出来なくてお宝もゲット出来なかったし、皆もアンデッド相手じゃ逃げるしかないもんね」

 

 クスクス笑って早速調子に乗っているアクア。これが無ければ今日は立派な女神様してたのに。

 

 「なんたって私は女神なんだから。ほらカズマ、皆に私がどれ程高貴な存在か言ってあげなさい」

  

 「お水の神様」

  

 「おを付けないでよ!意味違ってくるじゃない!」

  

 水の神様とお水の神様。一文字加えるだけでこうもイメージが違ってくるとは。でもアクアはそっちの方が合ってる気がする。

 

 「…ん、ん〜?」

 

 「おお!ネコ2世様、お目覚めになりましたか!?」

 

 アクアの声がうるさかったのか、ゾン・ビーに抱っこされているネコ2世が起きた。

 

 「ふわぁ〜…せっかく気持ちよく寝ていたのに、ここどこで…チュ」

 

 「ネコ2世様〜」

 

 「チュ…チュミャアアアアアア!!??」

 

 ゾン・ビーの顔を見て悲鳴を上げるネコ2世。そもそもネコ2世はまだ子供、というより赤ちゃんに近い。寝起きに至近距離でゾン・ビーの顔は刺激が強かったのだろう。

 ネコ2世はゾン・ビーから急いで離れて、ジバニャンの元に駆け寄った。

 

 「び、びっくりさせるなでチュ!もっと離れるでチュ!」

 

 「そ、そんな!?」ガーン!

 

 「相変わらず怖がられてるニャンね」

  

 ゾン・ビーはネコ2世の部下だが、その見た目ゆえネコ2世からはとことん避けられていた。

 

 「ネコ2世も無事に見つかったことだし、そろそろ帰るか」

 

 「そうそう、今日は私の大活躍を肴に宴会するんだから」

  

 アクアは早くも宴会のことを考えているようだ。それは別にいいのだが、カズマは気になることがあった。

 

 「なあアクア」

 

 「なに?」

 

 「このダンジョン、やけにアンデッドが多いよな」

  

 「そうね」

 

 「それってさ、お前がいるからじゃね?」

 

 ドキッ!!

 

 アクアがその場に立ち止まる。その額には汗が流れていた。

 

 「思えば、私達だけの時はアンデッドに襲われなかったのに、カズマ達と合流してから急にアンデッドが群がってきたな」

    

 「そういえばそうニャン」

  

 「ネコっちも見てないでチュニャン。ちゅぱちゅぱ」

 

 「こんだけ人数がいて、アクアと一緒にいる俺達だけがアンデッドに襲われる。明らかに異常じゃねえか」

 

 「そ、そそ…そうかしら?べ、別に普通じゃない…?」

 

 外堀が埋められていく感じがして、アクアは冷や汗が止まらない。

 

 「デュラハンの時だって、配下のアンデッドに妙にアクアばっかり狙われてたし…」

 

 「…い、いいじゃない。そんな昔の話は。ね、ねえ皆。なんでそんなに距離を取るの?そ、そういうの私、良くないと思うな」

 

 カズマ達はアクアと距離を取って、ジリジリと後退りしている。対してアクアも、絶対に離れまいと距離を詰めてくる。

 

 「ええい!こっちに来るな!お前がアンデッドをおびき寄せてる元凶だろ!」

 

 「アクア!もう少し離れるニャン!」

 

 「もんげ〜…」

 

 「…アクア、君のことは忘れない」

 

 「来るなでチュ!来るなでチュ!」

 

 「ネコ2世様を一緒に探してくれたのは感謝しているが、今だけはネコ2世様の近くに寄らないでくれ」

 

 「う、うわああああん!皆酷いー!」

 

 拒絶されて大泣きするアクア。こうなったら意地でも離れてやるもんかと、勢いよくカズマ達に向かって走り出した。

 

 「私を置いていこうなんてそうは行かないわよ!アンデッドが出てきても、どうせ退治するのは私なんだから!あんた達は大人しく、この女神アクア様を敬って着いてくればそれでい」

 

 カチッ

 

 「ん?」

 

 「おい、何だ今のカチッは…?」

 

 アクアが地面の出っ張りに気付かず、足で押してしまった。この場に嫌な予感が漂う。少しの静けさの後、ダンジョン内が大いに揺れ始めた。

 

 「じ、地震ずら〜!」

 

 「う、うわあ!?アクア、お前また何かしたのか!?」

 

 「な、何もしてないわよ!」

 

 パラパラと上から小石が落ちてきて、周りから砂煙が上がっている。ズゴゴゴゴゴ…!!という大きな音がダンジョン内に鳴り響いていた。

 

 「こ、これはまさか!?」

 

 「ど、どうしたインディ!」

 

 「インディ・ジョーズの冒険格言に、こんな言葉がある。遺跡やダンジョンから脱出するとき、大体最後は…」

 

 「さ、最後は…?」

 

 「崩れ落ちると思えーーー!!」

 

 「な、何ーー!!?」

 

 まさにインディの言葉通り、今にも崩れ落ちそうなダンジョン。このままここに残っていたら、脱出が間に合わず崩壊に巻き込まれてしまう。

 一行は、全力で出口を目指した。

 

 「に、逃げろー!」

 

 「ニャー!」

 

 「もんげ〜!?」

 

 「うおおお!急げー!!」

 

 「ネコ2世様は俺がお守りします!」

 

 「チュミャアアア!?顔を近づけるなでチュー!」

 

 「待って皆ー!私を置いてかないでえええええ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、カズマ達の帰りを待ってるめぐみんとダクネス。

 

 「なんか、ダンジョンの中が騒がしくありませんか?」

 

 「入ってから結構時間が経ってるし、大丈夫だろうか」

 

 カズマには待っとけと言われたが、中の様子を確認しに行った方が良いのではないか?そう思った時、入口の奥から人影が見えてきた。

 

 「あ、見てください。カズマが戻って来ましたよ」

 

 「入った時より、何故か人数が増えてるような」

 

 最初は二人だったのに、出てくるときは七人に増えている。まずはカズマ、めぐみん達の足元にズザー!とヘッスラする勢いで出てきた。

 

 「うわああっ!?」

 

 続いてジバニャン達が飛び込むように入口から出てくる。

 

 「ニャー!!」

 

 「さめー!?」

 

 「助かったずら〜…」

 

 「ネコ2世様!ご無事ですか!?」

 

 「チュ〜…はっ!?ね、ネコっちはこれくらい何ともないでチュ。ちゅぱちゅぱ」 

 

 そして、最後のアクアが脱出した直後にダンジョンの中が瓦礫で埋まった。

 

 「うわああああああん!死ぬかと思ったよおおおお!!ひっく、えぐぅぅ!皆が、私を置いて、置いてええぇぇぇぇ…!!」

 

 中で一体何があったのか、めぐみんとダクネスの二人には知る由もなかったが、何となくこうなることは察していたのだった。

 

 「ところで、知らない顔がいくつかあるんだが、彼らは?」

 

 「ああ、皆ジバニャンの友達だよ。偶然ダンジョンの中で出会ったんだ」

 

 インディ達と初対面のダクネスとめぐみんは、お互いに自己紹介を交わす。

 

 「私はダクネス、カズマのパーティーでクルセイダーをやっている」

 

 「私はインディ・ジョーズ。大・大・大冒険家だ!!」

 

 「我が名はめぐみん!爆裂魔法の使い手にして、大・大・大・大冒険者です!!」

 

 「張り合わんでいい」

 

 その後もコマさん、ゾン・ビー、ネコ2世と紹介を交わした。皆ジバニャンの友達らしく、優しくて良いやつばかりだ。

 そして、カズマ達はたんまり貰ったお宝を携えてギルドに凱旋した。久しぶりにクエストの大成功ということもあり、その日は飲んで騒いでの大盤振る舞いだった。

 

 「もんげ〜!ごちそうずら〜!」

 

 「私は今回何もしてないのに、何だか申し訳ないな」

 

 「私のおかげでお宝ゲット出来たんだし、取り分は9︰1で勘弁してあげるわ」

 

 「バーカ、借金の返済に当てるに決まってんだろう!」

 

 アクアはおかわりをじゃんじゃん頼み、インディ達も我先にと料理にかぶりつく。ギルドのお姉さん達には妖怪は見えないから、カズマ達の4人だけで凄い量を食べていると驚かれていた。

 宴会もだんだん盛り上がってきて、いつの間にかギルド全体でパーティーしていた。なぜかカズマの奢りという話になっているが、酔って気が大きくなっているカズマは喜んで場を盛り上げた。

 

 「カズマー!アレやってくれよー!」

 

 一人の冒険者が、カズマに余興をリクエストする。

 

 「ふ…ったく、仕方ねえなああ!!」

 

 手を蠢かせて気持ち悪く笑うカズマ。アレというのはスティールのことであり、カズマが最も得意とする必殺技だ。

 スティールコールに湧き上がるギルド。カズマは一人の冒険者の手に握られたハンカチに狙いを定める。

 

 「行っくぜええ!!スッティーーール!!」

 

 「ここがギルド?賑やかなところね。あ、カズマ〜。私もまぜて…きゃあ!?」

 

 タイミング悪くギルドにやってきたのはふぶき姫。カズマのスティールを代わりにくらって、眩い光に目を細めている。

 

 「も〜、いきなり何するの…って、え?え!?」

 

 何が起きたか分からなかったが、妙に下の辺りがスースーする感覚がして慌てて確かめる。さっきまで履いていた物が無くなっていて、まさかと思いカズマの方に視線を移した。

 

 「か、カズマ…その手に握ってるのって、ひょっとして…」

 

 カズマの手には雪のように白い布が握りしめられており、ふぶき姫は怒りや恥ずかしさで顔を真っ赤にして震えていた。

 

 「…カズマ、それは流石にどうかと思うぞ」

 

 「もんげ〜最低ずら…」

 

 「変態ニャン…」

 

 インディ達にもドン引きされ、カズマは妖怪達の間でも、カスマやクズマなどの呼び名が広まってしまうことになった。

 

 「ち、違うんだふぶき姫!これはその…事故というか何というか、そう…俺も思わなかったよ。まさか、ふぶき姫がふんどs」

 

 「カズマのバカーーー!!」

 

 ふぶき姫の逆鱗に触れたカズマは、一瞬で氷漬けにされたのでした。

 

 「うおお!?スゲー!なんか知らんがカズマが急に凍ったぞ!」

 

 「ぎゃはは!ウケるー!!」

 

 周りの冒険者はこれもカズマの芸だと思ったらしく、氷漬けになったカズマを見て盛大に笑っていた。

 

 「うるさいでチュニャン、いったい何の騒ぎでチュ?」

 

 「ネコ2世は見てはいけません。それより、ミルクがちょうど温まりましたよ」

 

 冒険者達の賑わいから少し離れたところで、めぐみんとネコ2世が一緒にいた。哺乳瓶でネコ2世にミルクを飲ませるめぐみんは、まるで母親のようだった。

 

 (…こめっこが、赤ちゃんだった頃を思い出しますね)

 

 実家の妹を少し懐かしむ。昔はよく妹と食材調達をして、お姉ちゃん凄いと喜ばせたものだ。

 

 「お前なかなか見込みがあるでチュ。ネコっちが王様になったら、褒美をたんまり取らせてやるでチュニャン。ちゅぱちゅぱ」

 

 「はい、楽しみにしてますね」

 

 なんとも微笑ましい光景。それをゾン・ビーは羨ましく思い、悔し涙を流して影から見ているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カズマは氷漬けにされてますがとりあえず生きてます。
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