妖怪ウォッチを手に入れたのが、ケータではなくカズマだったら?   作:カジ

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ボー坊

 「ダクネスさん、全然帰って来ないでウィスねえ」

 

 「連絡もよこさないし、ちょっと心配だな。いい加減、こっちから迎えに行くか?」

 

 ダクネスは領主のところに居るはずだが、あれから何の音沙汰もない。待っているだけの歯がゆい状況にも限界が来て、カズマ達は全員で領主の屋敷に向かう準備をする。

 

 「そう簡単に入れて貰えるでしょうか」

 

 「門前払いされたら、ウィスパーを見に行かせればいい。壁を通り抜けられるし、誰かに見つかる心配もないからな」

 

 「ウィス!お任せください!」

 

 何もなければいいが、もし酷い目に合っていたら救出しなければならない。もっとも、ダクネスならその場合でも楽しんでる可能性はあるが。

 

 「た、大変だあ!!」

  

 ドアが勢いよく開かれ、誰かが部屋に飛び込んでくる。カズマ達はチラッと視線を移し、そしてすぐに戻した。

 

 「んで、ダクネスが酷い目に合っていたら」

 

 「お、おい!久しぶりの登場なのに無視するな!」

 

 「え? 悪いけど、こっちは忙しいから後に」

 

 「私だ!ダクネスだ!!」

 

 その名を聞いて、カズマ達は入ってきた人物をもう一度よく見る。いつもの鎧姿ではなく、綺麗なドレスに着飾っていたから分からなかったが、紛れもなくダクネス本人だった。

 

 「ダクネス!? 無事だったのか!」

 

 「心配したニャン!」

 

 「…すまない。本当はもっと早く戻って来るつもりだったのだが、色々あって遅れてしまった」

 

 色々。その一言に、カズマ達は察した。

 

 「…お帰りなさいダクネス。まずはお風呂に入って、身も心も癒やしてください」

 

 「…オレっちのチョコボー、半分あげるニャン」

 

 「私の秘蔵のお酒も、ちょっとだけなら飲んでいいわよ…」

 

 「ど、どうしたんだみんな。そんな憐れむような目をして…」

 

 めぐみん達の不自然な優しさに、なんか引っかかる。そしてカズマが涙ぐんだ目をして、ダクネスの肩にそっと手を置いた。

 

 「苦労をかけたな。そっと、泣いてくるといい…」

 

 「…ちょっと待て、何か変な勘違いをしてるだろ!私は何もされてないし、あの領主もそんな度胸はない!」

 

 「…大丈夫、分かってる」

 

 「何一つ分かってなーーーい!!」

 

 カズマの生暖かい目が無性にむかつく。とりあえず、ダクネスは本当に何もされていなかったみたいだ。仲間が酷い目に合わされなくて一安心。なのだが、ダクネスには別の問題が残っていた。

 

 「ところで、何でそんな格好をしてるんだ?」

 

 「…それなんだが、まずはこれを見てくれ」

 

 ダクネスは一枚の絵を取り出す。それには端正な顔立ちの青年が描かれており、まさにイケメンと呼ぶに相応しい男だった。

 

 「これまたイケてるメンズでウィスね」

 

 「こいつがどうかしたのか?」

 

 ビリッ

 

 「な、何をするんだカズマ!」

 

 「おお、これはうっかり」

 

 「カズマくんはイケメンを見るとムカつく習性があるんでウィス」

 

 嫉妬心で無意識に破こうとしたが、それはダクネスのお見合い相手だ。

 

 「お見合い!?ダクネス結婚するのか!?」

 

 「誰が結婚なんかするものか!アルダープめ、小賢しい手を使ってきおって…!」

 

 ダクネスの説明によると、この絵の男はアルダープの息子らしい。父親の評判はともかく、息子の方はダクネスの父が認めるほど器量が良いという。

 お見合いの話がトントン拍子に進み、ついに危機感を感じたダクネスがカズマ達に助けを求めに来たというわけだ。

 

 「…私はまだ身を固める気はないし、冒険者でいたいんだ。頼む!父を説得するのに協力してくれ!」

 

 拝むように合掌してダクネスは懇願する。先程破ってしまった似顔絵をアクアが修復し、カズマはそれを受け取りながら考える。

 

 (…この話を受ければ、ダクネスはパーティから抜けることになる。そうなれば、本来の貴族のお嬢様に戻って幸せな家庭を築くってことか)

 

 あれ?別に悪い話じゃなくね? このまま危ない冒険者家業をやっていくより、平穏に暮らす方が良いに決まってるだろ。

 

 「カズマくん、何を考えてるんでウィス?」

 

 「…ウィスパー、ちょっと耳貸せ」

 

 カズマはウィスパーにコソコソと耳打ちする。ダクネスが嫁に行く。それは攻撃が当たらないドMクルセイダーがいなくなり、その分の枠が一つ空くということだ。

 別にダクネスが嫌いというわけではない。あくまで、ダクネスのことを第一に思ってのことだ。

 

 「…というわけで、表向きはダクネスに協力するフリをしつつ、無事に寿退社させるように仕向けるぞ」

 

 「ウィス〜。あまり気が進みませんが、やってみましょう」

 

 ダクネスには悪いが、カズマは嫁に行かせる気満々だ。作戦としては、見合いをあえて受けさせ、その上で由緒ある家名が傷付かない程度にめちゃくちゃにする。というもの。当然、実際はそうならないようにカズマとウィスパーが裏で色々と仕掛けるわけだが。

 それを聞いたダクネスは、カズマの思惑も知らずに喜んでいた。

 

 「なるほど、それはいい考えだな。成功すれば見合い話になる度に、いちいち父を張っ倒さなくて済む」

 

 愛する娘にボコられる親父さんに、カズマは少し同情する。さっそく全員でダクネスの屋敷に向かうのだが、カズマは一つ不安があった。

 

 (…まずい。めぐみんにまで付いてこられると、俺の作戦がバレる可能性がある)

 

 何だかんだで地頭は良く、勘が働くめぐみんは危険だ。どうにかして誤魔化す方法を考えていると、お馴染み検察官のセナが現れた。

 

 「サトウカズマ!街の近くでモンスターが頻出しているぞ!また何か関係してるのではないのか!」

 

 それに関しては本当に何も知らない、全くの濡れ衣だ。どうやら事あるごとに、魔王軍の関係者かもしれないカズマを疑うことにしているらしい。

 めぐみんが今はそれどころではないと、セナと言い争っている。カズマはこのチャンスを逃さなかった。

 

 「めぐみん! ここはお前の出番だ!」

 

 「え?ど、どうしたんですかカズマ」

 

 「のこのこ現れた命知らずのモンスター共に、最強の爆裂魔法をお見舞いしてやれ!」

 

 「さ、最強…!? ふ、ふはははは! いいでしょう!そこまで言うなら、我が力を見せつけてやります!」

 

 意気揚々と鼻歌を歌いながら、めぐみんは颯爽と歩いていく。

 

 「めぐみんが行くならオレっちも行くニャン!」

 

 ジバニャンも後を付いていき、邪魔者がいなくなってカズマはほくそ笑んだ。

 

 「チョロい」

 

 「カズマくん…」

 

 めぐみんさえいなくなれば、後はアクアだけならどうとでも誤魔化せる。後で精一杯頑張ったけど駄目だったって言えば、めぐみんも諦めがつくだろう。

 カズマ達はダクネスの屋敷に到着し、さっそくダクネスの父親に挨拶する。二人は臨時の執事とメイドということにして、特別に同伴を許可された。

 

 「カズマくん、中々似合ってますよ」

 

 「こういう服初めて着たけど、まあ悪くないな。ていうか、何でウィスパーも執事服に着替えてるんだよ」

 

 「そりゃあーた、私は元々妖怪執事。執事と言えば、当然あたくしの出番でウィス」

 

 「自称のくせに」

 

 「お黙らっしゃい!!」

 

 執事としてダクネスの近くに居れば、たとえ何かやらかしてもサポート出来るから好都合。メイド服に着替えたアクアと合流して、ダクネス父娘と共に相手の男を待つ。

 

 「お前が見合いを受けてくれて嬉しいよ。これでようやく、肩の荷が下りるというもの」

 

 「見合いを受けるとは言いましたが、結婚するとは言ってません。今回の本当の目的は、見合いをぶち壊すこと!」

 

 「な、なに!?」

 

 「もう二度と見合い話を持ち込む輩が出ないよう、滅茶苦茶のグッチャグチャにしてやるー! はーはっはっはっ!!」

 

 「お下品な言葉づかいはお止めを。お嬢様」

 

 父親の前で、とうとう本音をぶちまけたダクネス。しかし、臨時執事であるカズマがそれを諌めた。

 

 「んなっ!?う、裏切る気かカズマ!」

 

 「滅相もありません。臨時執事として、やるべきことをやったまでです」

 

 ダクネスが睨み付けてくるが、カズマは毅然として揺るがない。もう頼れるのはカズマだけだと、ダクネスの父親が期待した目で見てる。

 そして、見合い相手のアレクセイ・バーネス・バルターが登場した。

 

 「よくも現れおったな!ここに来たことを後悔させて…」

 

 「危ないお嬢様!」

 

 ドカッッ!!

 

 「ぶへっ!?」

 

 「お嬢様のお背中に虫が止まっておりました。足蹴にしていなかったら刺されていたことでしょう」

 

 「き、貴様〜!」

 

 ちょっと来いと、ダクネスはカズマの手を引っ張って連れて行く。アクアとウィスパーも後を追いかけ、父親とバルターは先に部屋で待ってもらうことにした。

 

 「話が違うぞ!協力してくれるんじゃなかったのか!?」

 

 「家名を傷付けないってのが前提だろ?」

 

 「ちょっと暴走し過ぎでウィスよ」

 

 「かまうものか!たとえ勘当されても、私はそれを受け入れる!」

 

 それほど覚悟を決めてるとは、いったい何がダクネスをそこまでさせるのだろう。

 

 「勘当された私は行き場もなく、住むところもままならない。時には馬小屋で泊まり、いつ襲ってくるか分からない獣のような男達に囲まれながら過ごすんだ。身も心もボロボロになった状態で無茶なクエストに挑み、最終的に魔王軍に捕まり…そしてッ!!」

 

 ダクネスは乱れた呼吸を一旦落ち着かせ、そして言った。

 

 「…そんな人生を、私は歩みたい」

 

 「とうとうぶっちゃけたでウィス」

 

 恐らく、そんな狂気の願望を抱いているのはこの世にダクネス一人だけであろう。

 

 「だいたい、あの男は私のタイプではない」 

 

 「なんで?見た目も中身もいい人っぽいけど」

 

 「全然駄目だ、貴族というものが全くなってない。何だあの綺麗な瞳は。貴族らしく、もっと下劣な視線を向けれないのか。カズマみたいに」

 

 「べっ別に見てねえし〜!」

 

 急に名指しされて焦るカズマ。確かに風呂上がりのダクネスは色っぽいとは思うが、そこまで変な目はしていかった筈だ。多分。

 

 「滅多なことでは怒ったりしない? 馬鹿者!粗相をしたメイドにお仕置きという名の変態行為をしなくてどうする!それで貴族が務まるか!!」

 

 「貴族を何だと思ってるんだお前は」

 

 どうもある種の偏見を持っている。真面目にやってる貴族が聞いたら怒るだろう。

 

 「じゃあどういう人がタイプなんでウィス?」

 

 「駄目人間」

 

 「え…」

 

 「典型的な駄目人間。働きもせず、毎日昼間っから飲んでるような男。借金背負っててもいい、年がら年中発情してるようなスケベなのも捨てがたい。お金が無くなったら私をやらしい店で働かせて、稼いだ金を無理矢理奪ってギャンブルで散財するような。そんなやつだ」

 

 「…お、おう」

 

 カズマ達も引き過ぎて、ろくに言葉が出てこなかった。これは本気でバルターと結婚させた方がいい。これ以上、取り返しが付かなくなる前に。

 ダクネスとバルターが対面して、先にバルターが挨拶する。礼儀正しく、爽やかな好青年という印象をカズマ達に与えた。

 

 (ふんっ、それがどうした。早く帰りたくなるよう脅かしてやる)

 

 (ダクネスのやつ、また変なことを考えてるな)

 

 ダクネスの考えが読めたカズマは、気付かれぬようにこっそりと妖怪を召喚する。

 

 「私はダスティネス・フォード・ララティーナ。成り上がりの領主の息子でも知っ……」

 

 「どうされました?」

 

 「…コホン、失礼しました。お会いできて光栄です。私も、今日という日を楽しみにしておりました」

 

 「おお、ララティーナ…!!」

 

 先程の見合いをぶち壊してやると言った態度とは打って変わって、優しい笑顔を見せて挨拶を返すダクネス。娘の変化に驚いた父親だが、やっとまともになってくれた嬉しさで涙ぐんでいる。

 

 「いいぞ、ホノボーノ。そのままダクネスに取り憑いてくれ」

 

 「了解ボーノ」

 

 カズマはポカポカ族の妖怪、ホノボーノを召喚していた。取り憑かれると温かい気持ちになり、優しくて穏やかになる。バルターに嫌味を言おうとしたダクネスでさえ、ご覧の有り様だ。

 

 「カズマくん、上手くいきましたね」

 

 「ああ。見合いが終わるまでこの状態で行けば、後はこっちのもんだ。正式に結婚が決まれば、ダクネスも観念す…」

 

 「た、大変ボーノ!」

 

 「どうした!?」

 

 ホノボーノが突然慌てている。どうやらダクネスの見合いをぶち壊したい意思が強過ぎて、ホノボーノの力を弾き返そうとしているらしい。

 

 「あーもう!どこまでも手を焼かせやがって!」

 

 「も、もう駄目ボーノ〜!!」

 

 弾かれたホノボーノは空の彼方へふっ飛ばされた。取り憑いた妖怪を自分の意思で追い出すとは、ダクネス恐るべし。

 

 「はぁはぁ…手強い相手だった。だが、私は勝ったぞ!」

 

 「ど、どうしたのだララティーナ?」

 

 ついさっきまで楽しそうに話していたのに、途端に雰囲気が変わった娘を見て父親は不安になる。

 

 「どうしたも何も、戻ってきたのですよ。見合いをぶち壊し」

 

 「ウィスパー!」

 

 「ウィス!!」

 

 カズマの指示で、ウィスパーがダクネスの頭をハリセンでスパーンッ!と叩いた。

 

 「お嬢様は緊張すると、時折不可思議な言動を取るお茶目な方でして」

 

 「そうなのですか。可愛らしい人ですね」

 

 「そう言って頂けて、お嬢様も大変喜んでおります。ほら、こんなに顔を赤くして。ははは」

 

 (お、覚えてろよ〜!!)

 

 ダクネスが頭を擦りながら涙目で睨んでくるが、カズマとウィスパーは知らんぷりをする。

 

 「ララティーナも緊張しているようだから、ちょっと外の空気を吸ってくるといい。私は席を外すから、後は任せたよ」

 

 ダクネスの父親が退出し、カズマ達も部屋を出て中庭へ移動。

 

 (カズマのやつ、協力するって言ったくせに全然その気がないじゃないか。もう誰も当てにならん。こうなったら自分で見合いをぶち壊してやる)

 

 (そうはさせるか。この見合い、何がなんでも成功させる)

 

 バチバチと視線で熱い火花を散らす二人。見合いを成功させたら、ダクネスの父から報酬が貰えるとあってカズマも必死だ。

 

 「ご趣味は? ララティーナ様」

 

 「ゴブリン刈りを嗜んでおります」

 

 そらミミィー!

 

 「ご、五厘刈りを嗜む…? 頭を丸めるご趣味があるとは意外です」

 

 「え?! い、いや私は…はっ!?」

 

 確かにゴブリン刈りと言った筈だが、何故かバルターは聞き間違いをしている。もしやと思いカズマを見ると、やはり妖怪を召喚していた。

 

 「空耳させる妖怪、そらミミズク。ダクネスの問題発言を空耳させてやったぜ」

 

 「いや、これはこれでどうかと思うわよ」

 

 「おのれカズマ〜!またしても邪魔を〜!」

 

 散々思惑を邪魔され、我慢の限界が来たダクネス。とうとう開き直り、動きやすいように長いスカートをビリビリに破いた。

 

 「こんなこともうやってられるか!バルターとやら、私と勝負しろ!お前がどの程度の男か見極めて…」

 

 「ボーーー」

 

 「ば、バルター…?」

 

 まるで埴輪のように間抜けな表情になり、バルターはボーッと立ち尽くしてる。

 

 「今のバルターに何を言っても無駄だ。ボー坊が取り憑いて、ボーッとさせられているからな」

 

 「くっ、またしても…!」

  

 悔しがってるダクネスの横で、アクアがボー坊を指差して笑っている。

 

 「プークスクス!なにあの妖怪!ソーセージみたいでウケるんですけど〜!」

 

 「あっ馬鹿!!」

 

 「アクアさんなんてことを!」

 

 「へ?」

 

 ソーセージ、ボー坊の前でそれは絶対に言ってならない。もし言ってしまうと…

 

 「今なんつったゴルアアアアアア!!!」

 

 ボー坊がブチ切れるのである。

 

 「おいコラ、今なんつった?」

 

 「な、なによ。妖怪のくせに、女神の私に文句でもあるって言うの? ゴッドブローで昇天させてあげ」

 

 「…座れ」

 

 「え…?」

 

 「す・わ・れ!!」

 

 「は、はい!」

 

 迫力に圧され、アクアは足をたたんで正座する。その後はしばらく、ボー坊にお説教をくらって半泣きになっていた。

 

 「こうなったらカズマ、私と勝負しろ!」

 

 「はあ?なんで俺が」

 

 「バルターはボーッとしてるし、アクアもあの状況で、残るはお前だけだ。裏切ってくれた礼をしないと気が済まん」

 

 「やだよ、面倒くさい」

 

 「ええいこの腑抜けめ!お前には闘争心というものがないのか!所詮お前は、妖怪がいないと何も出来ないのだろう!」

 

 勝負なんかする気はさらさら無かったが、聞き捨てならないセリフにカズマはカチンときた。

 

 「…いいぜ、その喧嘩買ってやるよ」

 

 「おお!?カズマくんがやる気に!」

 

 「来いカズマ!お前とは一度やり合ってみたかったのだ!」

 

 「俺を怒らせたこと、後で後悔しても遅いからな!お前を死ぬほど恥ずかしい目に合わせて、涙を流して俺に許しを請うまで責め続けてやる!!」

 

 「な、何をする気か知らんが…そんな脅しに、屈すると思うにゃよおおおお!!」

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…ちょっと席を外してる間に、いったい何があったのだ?」

 

 ボーッと突っ立っているバルター。正座してオイオイ泣いているアクア。膝に手を付いて、肩で息をしているカズマ。その横にずぶ濡れで倒れている愛娘。中庭に広がるカオスな光景に、ダクネス父はポカーンと口を開けていた。

 結局、お見合いは当然うやむやになって終了。バルターは途中から記憶が無く、ダスティネス家の悪い噂を流すこともなかった。

 

 「あのバルターってやつ、結構いい奴だったよな。遠慮せずに、ダクネスを引き取ってくれたら良かったのに」

 

 「残念だったな。私は意地でもこのパーティにしがみつくぞ」

 

 カズマはため息を吐き、どうせこういうオチになるだろうと思っていた。

 自分達の屋敷に戻り、玄関を開ける。そこには検察官のセナが待ち構えていて、また新たな厄介事を持ってきたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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