仮面ライダーSPIRITS〜混沌の死者達〜 作:仮面ライダーハードエボル
EPISODE,01 〝マスクド・ライダー〟
side:ニューヨークのある路地裏
「ハァ・・・ハァ・・・!!!」
真夜中のニューヨークにある路地裏で1人の娼婦が息を切らしながら走り回っ待ていた。
その娼婦の後ろから不気味な神父と大きなコウモリのような異形に追いかけられていた。
神父は娼婦を咎めるような顔で見つめながら蝙蝠の異形達と共に徐々に追い詰めていた。
神父がそう言いきったのを皮切りに蝙蝠の異形達が娼婦に襲いかかり、娼婦は無惨に殺された・・・
娼婦に襲いかかった蝙蝠の異形達は数発の弾丸を受け、娼婦から離れた。
襲われた際に転けてしまった娼婦は自分を救った弾丸が飛んで来た方向に視線を向けた。
「・・・・・・・・・」
「ヒッ・・・!?」
そこにいたのは僅かに飛蝗の印象を残しながらも、頭部の半分はエンジンの様に見え、スラッとしながらもガッシリとした異形が奇妙な武器を構えて立っていた。
「何者だ貴様・・・?」
蝙蝠の異形達を連れて来た神父が苛立ちに満ちた顔をしながら目の前の存在に問いかけた。
「その姿・・・かつて彼等を葬った忌々しい
神父は目の前の異形を憎悪を込めた目で見つめつつ、自身の体から不気味な音を出しながら近づいて行った。
それを見ていた異形は紫色のミニカーを取り出し、そのミニカーを機械的なベルトに挿したと同時に、奇天烈な音を出した。
その音と共に異形の背中に着いているタイヤの部分が稼働し、目にも止まらない速さで蝙蝠の異形達を殴り飛ばした。
その隙をついた異形は娼婦を抱き抱え、神父達の前から姿を消した。
「逃げたか・・・まぁいい。奴が何者であろうと関係無い・・・全てあの方達の供物にすればいい・・・」スゥゥ…
憎悪を込めた目で知らない異形が向かった方角を見つめながら、ニューヨークの暗闇へ消えて行った。
side:国連ビルーFBI分室ー
ニューヨーク州にある国連ビルに存在するFBI本部にある連続殺人事件の担当捜査官達が集まって会議をしていた。
「これまでに起こった謎の連続失血死事件・・・今までに12人の犠牲者が出ている。彼等の共通点は皆、9割の体液が無くなっている」
「うへぇ・・・まるでミイラだな・・・」
捜査資料に映し出された被害者達の悲惨な姿に捜査官達は思わず顔を顰めた。
「今回13人目の被害者になりかけた娼婦、アリン・デイソン。彼女は今回の事件の容疑者に襲われていたが運良く逃げ切り、近くの警察署にて保護された。」
「現在彼女は我々が見張っている病院に入院しており、詳しい事情聴取を行っている」
これまでに起こった連続失血死事件の唯一の証人が現れた事で事件解決の1歩だと一息ついた所に一人の捜査官が声を上げた。
「それとは別に最近増えているハーレムの失踪事件・・・時期的に見ても何か関連があるんじゃないか?」
「関連たってどんな・・・?」
「それでだ・・・今回入手した物がこれなんだが・・・」
捜査官の言葉と共にスクリーンにある拡大された画像が表示された。
その画像にはニューヨークの街頭に照らされた夜の闇を飛ぶ巨大な鳥の様なものだった。
「男ですかコレ・・・大きな鳥・・・・・・?」
「明るいこの街の夜ならカラスだって飛んでますよ」
「こんなモノ捜査の役にたつのか?」
ただのカラスの写真・・・捜査官達はそう判断し、誰もまともに取り合わなかった・・・
「ブップハハハハハ!翼長4mのでかいカラスねェ・・・・・・今までの失血死事件もハーレムの失踪事件も、その怪人が絡んでるって線じゃないんすかねェ?」
「怪人だぁ?」
その男はくらい会議室の中でも一番端の出入口の壁際に煙草を吸いながら座り、周りの捜査官を小馬鹿にした目で見ていた。
「何故お前がここにいる・・・滝!!」
滝和也──かつて日本で暗躍していた悪の組織・・・
しかし今の彼は同僚達に煙たがられ、窓際族的な立場へ追いやられていた。
「お前は部外者の筈だろ・・・さっさと出ていけ!!!」
「ハイハイすみませんね、ドーーモ」(( (・∀・) ))ヘラヘラ
会議に参加していた上司に怒鳴られながら追い出されながらも滝はヘラヘラと笑っていた。
しかし出ていく前に立ち止まり、真剣な顔で上司に問いかけた。
「ねぇ
「フン、此処は経済の中心地だぞ・・・パニックを避ける為だ!!」
「いやいや、12人も犠牲者が出ていたらホームレスでも噂は出ますよ?何で噂が出ないんです?お得意の隠蔽工作?それともこの国の誰かさんが・・・承知の上でやらせている事・・・とか?」
滝の度の過ぎた物言いに黙って聞いていた上司も流石に胸ぐらを掴んで止めさせた。
「おい!滅多な事を言うな!!」ガシッ!
怒鳴った上司は直ぐに冷静になり、滝の胸ぐらを直ぐに離した。
「お前に話す事は何もない」
「・・・・・・いいんですかねぇ?そんな手回しの悪い事をして・・・・・・この国に・・・〝
そう言って滝は真剣な目と声で上司と同僚達に言い放った。しかしそれはほんの一瞬で消え、滝はヘラっとした態度で会議室を出ていった。
「なんちて!そういう事で失礼しました!!」パタンッ
「フン・・・またか」
「マスク・ドライダー・・・何ですかそれ?」
滝の残した捨てセリフに興味を持った捜査官が何か知っている様子の上司に聞いた。
「奴の作り話だ・・・無償で戦う仮面の戦士・・・そんな酔狂な男がいるわけないだろ」ハァ…
見返りを求めず、人を救う為に戦う戦士・・・そんな絵物語の様な存在が現実にいる訳がない。
「あのぉ・・・その事についてなんですが・・・・・・」
「ん?」
「実は被害者にのアリン・デイソンが気になる事を述べておりまして・・・」
「何?」
上司は顔を顰めながらも部下が聞いた被害者の話を聞く事にした。
被害者ことアリン・デイソンの証言によれば襲って来たのは吸血鬼の様な化け物で、自分を助けたのは銀と紫を主張した異形だった。
話を聞いた捜査官達は最初は彼女が薬をヤっていると思い反応を調べたが何も無く、一時的なパニック状態に陥っていると判断した。
最後に彼女は自分を助けてくれた異形の名前を聞こうと尋ねたらしく、異形は彼女にこう名乗ったらしい・・・
side:国連ビルー食堂ー
(仮面ライダーを名乗る謎の人物・・・ねぇ・・・・・・?)
会議を出てから少しだけ盗み聞きをしていた滝は、食堂で会話の内容を思い返していた。
被害者を襲った吸血鬼の群れにそれを指揮する存在・・・それ等から被害者を救った知人達と同じ〝仮面ライダー〟を名乗る人物・・・。
(聞いただけだが姿形はアイツらに似て非なるみてぇだな・・・何者かの自作自演か?)
「タキィ!!お前また捜査から外されたってぇ!?」
「相変わらず地獄耳だな、ホプキンス・・・」
思考していた滝に開口一番に怒鳴ってきたのは同じFBIの同僚であり、人生の先輩でもあるホプキンスという窓際族だった。
「仕方ないだろ?俺は嫌われてんだから」
「滝さん口悪いから」フフフッ
そう笑ってコーヒーを出したのは仲のいい友人であるブリジットという女給仕だった。
コーヒーをもらった滝はすぐに飲み干し、上着を羽織って外に出た。
「ごっそさん、ブリジット!それじゃ嫌われ者は嫌われ者らしく、痴漢逮捕に行ってくるぜ!!」
「行ってらっしゃ〜〜い!!」
side:ニューヨーク路地裏
ハーレムの街に誰もが聞き惚れる歌声が響いていた。歌声の主はハーレムに住む黒人の少年、スパイクだった。
「ありがとうスパイク!これでまた生きる勇気が湧いてくるよ!!」
「大袈裟だなオイ!」
「流石だな、マイケル・ジャクソン!!」
「「「タキ〜〜!!!」」」
外に出ていた滝はハーレムに住むスパイク率いる少年達の元へ来て路上ライブを聞き、投げ銭を入れて子供達と戯れた。
「本当に素晴らしい声です、スパイク君」
「神父さん!」
「ぜひ今度の礼拝で
「柄じゃないよw」
「スパイク、その人は?」
スパイクに話しかけた初めて見る神父に首を傾げ滝にスパイクが紹介した。
「この人はペトレクス神父。最近このハーレムに越して来たんだ」
「ほら、イーストハーレムに無人の協会があったろ?あの汚ったない所に好んで赴任して来た変わり者だよ」
「∑コラ、スパイク!!」
「いいんですよ」
スパイクの言い方に慌てて大人が叱るが、ペトレクス神父は笑って窘めた。
それどころか周りの人々に食事を振る舞う程の慈悲深い精神を見せた。
「皆さんどうです?今日夜風をしのげる所がない方、教会でよろしければれ少しなら食べ物もありますし・・・」
「おぉ!それは有難い!!」
神父の優しい対応を見た滝は関心しながら自分ももしもの時は頼もうと茶化した。
「慈悲深い神父さんだな。俺も仕事クビになった時は宜しく頼むよ」
「喜んで!神の愛は誰しも受ける権利があります」
滝の言葉に笑顔で答えるペトレクス神父。しかしそこに横槍の声が入った。
「神の愛か・・・神が本当にいるのなら、俺はそいつに色々と聞き出したい事があるな・・・・・・」
「ん?」
声がした方へ顔を向けた滝が見たのは、紫のライダースジャケットを纏った冷たい印象が残る無表情の青年だった。
「お帰りチェイス!靴磨きはどうだった?」
「問題ない。少ないが一応稼げた」
ライダースジャケットの青年──チェイスはスパイクに稼いで来た金を渡した。
また初めて見る日本人の様な顔立ちのチェイスに滝は声をかけた。
「兄ちゃんも始めて見るな。チェイス・・・だっけ?よろしく!」
「チェイスだ。それと1つ言っておく事がある」
「何だ?」
滝に挨拶したチェイスは滝の足下に落ちてい紙くずを拾って渡した。
「お前のポケットから落ちてきた。〝ゴミのポイ捨てはしない〟・・・人間のルールだ」
「お・・・おぉ、悪い・・・(
自分が落としてしまったゴミを戸惑ながら受け取りつつ、チェイスの言い回しに違和感を感じた滝はスパイクに素性を聞く事にした。
「なぁスパイク・・・あのチェイスって奴は何処から来たんだ?」
「知らね!俺達が屯っていた廃車に倒れて所を助けただけだよ」
「倒れてた?」
「うん」
スパイク曰く、目立った外傷もなく倒れていたチェイスを1ヶ月間介抱し、一緒に暮らしているらしい。
彼は夜になると時々居なくなったり、みんなから離れた所で1人考え事をしているそうだ。
「ふぅん・・・(アイツも警戒して置いた方が良さそうだな)」
話を聞いた滝は子供達に囲まれているチェイスに訝しげな目を向けつつ、自身も子供達の相手をする事にした。
「ねぇタキ!アレのお話聞かせて!!」
「アレって?」
「ほら、アレだよ!!」
ピクッ
(仮面ライダー・・・?)
この時の滝はチェイスが仮面ライダーの単語に反応したことに気づかず、子供達に仮面ライダーの武勇伝を聞かせていた。
ダブルライダーを支えた戦友と止まった世界を始まりの戦士───この小さな出会いが後に始まる大きな戦いの序章に過ぎない事は誰も知らない・・・。