仮面ライダーSPIRITS〜混沌の死者達〜   作:仮面ライダーハードエボル

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EPISODE,10 荒れる酒場

side:夜の酒場

 

 

「∑何ぃ!!ビール一杯で千ペセタ!?ぼったくってんじゃねぇのか!!!」

 

 

沖でちょっとしたイザコザがあったものの、ある程度の調査をした滝達は酒場で食事をしていたが、ビール一杯が日本円で約六百円もする事に思わず声を上げる滝。

 

そんな滝を以外にもチェイスが窘める。

 

 

「この町は例の海難事故の所為で漁師達が海に出る事が出来ない。そのせいで町の物流にも影響がでた事で町の物価も自然に高くなる・・・・・この店を責めるのは筋違いだぞ、滝」

 

 

「おう、兄ちゃんの言う通りだ。特に魚が1番高い!!漁に出れないせいでね」

 

 

「ウッ・・・・・」

 

 

チェイスと店員の話でバツが悪そうに滝は口を閉じる。とそこに、サングラスをかけた革スーツの男が近づいて来た。

 

 

「それなら一杯くらい俺が奢るよ・・・・・3人分な」

 

 

「?」

 

「誰だお前・・・・・?」

 

 

「黒井恭一郎・・・・・海難事故が気になって調べに来た物好きだ」

 

 

「ヘェ・・・・・」

 

 

「・・・・・」

 

 

突然現れ、海難事故を調べに来たと言う黒井恭一郎にアンリエッタは疑いの目を静かに向けるが、滝は同じ同郷という事もあり、彼を近くに座らせた。

 

 

「海難事故を調べに来たって事は・・・・・警察関係か?」

 

 

「いや、ただの野次馬根性から来た興味本位だ。被害にあった人達が銀色の何かに襲われたと証言している・・・・・本当かどうかこの目で確かめたくなってな」

 

 

「物好きだなァ・・・・・あんまり関わるんじゃないぞ?」

 

 

「ハハハッ!その忠告・・・・・確り聞きました!!」

 

滝からの忠告を笑って聞き流した黒井恭一郎は頼んでいた自分のビールと滝達の分を配る。

 

 

「では改めて・・・・・この些細な出会いに乾杯!!」

 

 

「おう!」

 

 

「「・・・・・」」

 

 

乾杯を交わした4人はビールを煽り、一息つく。すると先程から騒がしかった酒場が更に大きくなる。

 

騒ぎの中心に目を向けば、そこは酒場のステージでフラメンコをしている1人の女性と3人の男達がいた。

 

 

「さっきから何か騒がしかったが・・・・・ありゃ何だ?」

 

 

「ロッサのフラメンコショーだな」

 

「俺が此処に来る少し前にやって来たフラメンコの一座だ」

 

「彼女達がここに来てから漁師達も笑顔が戻ってきたそうだぞ」

 

 

「その通り!あの美貌・・・・・あの舞・・・・・酒に溺れ、ボヤく事しか出来なくなった男達にとっては最高の癒しさ❤」

 

 

そう言って顔をニヤケさせながら語る店員の目は未だにロッサの舞に見とれていた。

 

店員以外にも酒場中の男達がロッサの美貌と舞に興奮し、酒を煽る。

 

店員の言う通り海に出る事が出来なくなった男達にとってロッサはまさに救いだった。

 

しかし、そんな癒しの時間に横槍が入る。

 

 

ガシャーーーン

 

 

「ヒック・・・・・」ಠ_ಠ

 

 

「グ・・・・・グレコ爺さん?」

 

 

ロッサのステージに横槍を入れたのは酔った状態で舞台まで近づき、両手に持っていた酒瓶の内1つを叩き割ったグレコだった。

 

グレコは酔っ払ったままロッサを睨む───まるで憎き敵を見つけた様な様相だった。

 

 

「オウ・・・・・何時までも騙し通せると思うなよ?何をしに()()()()()()()()!?何を企んでいやがる!?え!?」

 

 

(帰ってきた・・・・・?)

 

 

「オイオイ、アンタいい加減にしろよ!!」( ꒪҇൧̑ ꒪҄ꐦ)

 

 

「そうだぜ!!このボケジジイ!!」( #・᷄ὢ・᷅ )

 

 

グレコの酔った勢いで始まった突然の罵声・・・・・その言い回しが気になったアンリエッタだが、周りの男達の怒号が響く。

 

 

「ウガアァァーーーッ!!!」

 

 

「∑ウオォォっ!!?」

 

 

「振り回すなクソジジイ、危ねぇ!!!」

 

 

グレコは酔った状態で割った酒瓶を振り回して周りを威嚇し、男達にも怒鳴り散らす。

 

 

「お前らおかしいと思わんのか!?この女が来てから海がおかしくなったんじゃぞ!!」

 

 

「関係ねーよ、そんなの!!」

 

 

「今時そんなに迷信みたいな話辞めてやれよ!!」

 

 

「クッ・・・・・!!」

 

「キ・・・・・キサマらは40年前の事を棚に上げて・・・・・!!!」

 

 

(あの爺さん・・・・・やはり何か知っているな・・・・・)

 

 

酔ってる状態とは言え、必死に訴えるグレコの様子に黒井恭一郎は何かを察する。

 

黒井恭一郎自身、この町に来たばかりの頃は右も左も分からなく、色々な事を調べ回っていた。その際に40年前に起こった悲劇にグレコが関与していた事も・・・・・。

 

しかし20代~30代後半の世代である男達には全く関係のない話だった。

 

 

「・・・・・・・・・・?」

 

 

「・・・・・は?何言ってんだ?」

 

 

「チ・・・・・」

 

 

バシャ

「あ・・・・・」

 

 

グレコの言ってる事が分からない男達はただ困惑していた。それが癪に触ったグレコは腹いせにロッサのドレスには酒をぶちまけた。

 

余りにも無礼な態度のグレコに男達の我慢の限界だった。

 

 

「流石にやり過ぎだぞ!!」

 

 

「このオイボレ、もう許さねぇ!!!」

 

 

「ホラホラ、オイボレだからこそ勘弁してやんな!」

 

 

「老人に優しくするのが人間だろ?」

 

 

「と・・・・・!?」

 

 

「お爺さんも落ち着いて」

 

 

「ヌゥ・・・・・」

 

 

男達の暴行を滝とチェイスが間に入って止め、黒井恭一郎がグレコの方を抑える。

 

 

「爺さんも酔っ払い過ぎた上にボケちゃってんだろう」

 

 

「ナニィ?」

 

 

「滝さん、それはただの悪口だ」

 

 

「ここまでされて引っ込みがつくかよ!!」

 

 

「あっそ・・・・・」

 

 

「ちょっと」

 

 

(以外に喧嘩っ早いな・・・・・)

 

 

場を落ち着かせようと滝は仲裁に入るが、男達が拳を収める気配がない。

 

流石にイラッとした滝は早速喧嘩腰になり、チェイスも仕方なく相手になろうとしてアンリエッタが止めようとする。

 

一触即発の空気が酒場に張り詰めて来たその時、入口から1人の男が来店して来た。

 

 

「じゃあこの俺をぶん殴るって事で勘弁して貰えんかなあ」

 

 

「「「「!」」」」

 

 

「世話が焼けるぜ・・・・・ったく」

 

 

「ケイスケ」

 

 

入って来たのはグレコの船に新入りとして入った神敬介だった。彼の名を聞いたアンリエッタは意外な所で会った事に驚きを隠せなかった。

 

 

「ケイスケ・・・・・彼が!!」

 

 

「え?知ってんのか?」

 

 

「ええ・・・・・彼は・・・・・あなた達が出会わなければ行けない男よ」

 

 

「「?」」

 

 

(やはり・・・・・Xライダーか・・・・・)

 

 

「こいつは・・・・・?」

 

 

「最近グレコん所に住み込んでる下働きだよ」

 

 

「ち・・・・・物好きが・・・・・」

 

 

突然割って入って来た神敬介に男達は不満や舌打ち等を漏らすが、神敬介の度胸に免じて一発殴る事にした。

 

 

「面白ぇ!!いっちょぉ殴らせてもらおうかぁ!!!」

 

 

そう言ってガタイのいい男が代表として顔面に1発入れる。殴られた事で神敬介は鼻血を流すが、床に倒れたのはガタイのいい男の方だった。

 

 

「て・・・・・いってえぇ・・・・・!!」

 

 

「どうした!?」

 

 

「!!・・・・・お・・おい、拳が折れてるぞ!!!」

 

 

「痛えええよぉぉぉ・・・・・!!!」

 

 

「そんじゃ・・・・・」

 

 

1発殴らせた神敬介は鼻血をひと舐めしてからグレコを連れて店を出ようとするが、そこへロッサが駆け寄ってくる。

 

 

「ちょっと待って」

 

 

「ロッサ・・・・・」

 

 

「キ・・・・・キサマ・・・・・」

 

 

「きっと昔会ったヒドイ女に似てたのね?ゴメンナサイ」

 

 

ロッサはそう言って一輪の薔薇をグレコの頬に添える。一見酔っ払った老人に優しく語り掛けるいい女だが、黒井恭一郎の目には嘲笑っている様にしか見えなかった。

 

 

「キ・・・・・キ・・・・・!!」

 

 

「それにあなたの顔・・・・・痛かったでしょう?」

 

 

「いや、意外と頑丈な体でね」

 

 

神敬介はそう言ってグレコと共に酒場を後にする。2人を見届けたロッサは酒場の男達に飲み直しとして奢ると言って、再び皆を湧かせる。

 

 

 

 

 


side:黒井恭一郎

 

 

酒場でひと騒動があった後、黒井恭一郎は滝達と別れて夜の街を眺めていた。

 

 

(やはりこの世界は俺の知る歴史と少し違うな・・・・・)

 

 

黒井恭一郎は酒場で接触した滝と一緒にいた女、そして人間と行動しているロイミュードの魔進チェイサーが気になっていた。

 

特に魔進チェイサーは仮面ライダードライブとレース勝負していた時に乱入して来る程の人間に対する敵意を感じなかった。

 

 

(魔進チェイサー・・・・・奴が変わったのもお前のお陰なのか・・・・・泊進ノ介・・・・・)

 

 

かつてショッカーの手先として仮面ライダードライブを嵌め、ショッカー主催のデスレースでドライブに敗北した黒井恭一郎。

 

ドライブに論され、正義に目覚めた彼はチェイスが善人として行動している姿を見て、仮面ライダードライブ───泊進ノ介を思い出して笑う。

 

その時、不穏な空気を感じた黒井恭一郎はベンチから立ち上がり、その原因の場へと走り出す。

 

 

 

 

 


side:滝

 

 

「任務・・・・・それもわかるさ。けどアイツはもっとこう・・・・・違うと思ってた」

 

 

「滝・・・・・!」

 

 

酒場を出た滝は

 

 

酒場を出た滝達はそのまま神敬介と接触し、彼の誘いもあって2人の寝床へと世話になる予定だった。

 

最初滝は神敬介がグレコの息子が昔死んでからずっと独りだったのが心配で一緒にいる優しい男だと思っていた。

 

しかし、アンリエッタとの会話で海難事故を調べる為に近づいたと冷たく言いきった事を聞き、チェイスを連れて寝床から出ていった。

 

出て行く前に聞いた銀の髑髏を持った魔女や同時期に現れたというダンサーのロッサの話を聞いたが、それでも一緒にいる気にはなれなかった。

 

 

「ガキみたいな言い分で悪いが・・・・・インターポールの有名人はまだまだケツが青くってね・・・・・」

 

 

「・・・・・」

 

 

「うわあぁぁぁ!!!」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

そうやって不貞腐れる滝にアンリエッタとチェイスが呆れていると、昼に船に乗せてくれた漁師のホセの悲鳴が聞こえ、急いで現場へと滝達は向かう。

 

そこでまた新たな戦士に会うとは思いもよらず・・・・・。

 

 

 

 

 


side:夜の町中

 

 

夜の町を散歩していたホセは突然現れた絶望───〝銀の牛〟から逃げていた。

 

事の始まりはフラメンコの一座であるロッサ達が彼の前に現れた・・・・・噂であった銀の髑髏を抱えて。

 

ロッサが自分が観光客を海に連れて行った事を咎めたと思ったら、ロッサの付き添いの男達画銀の液体となって溶けていき、自分が1番恐れている牛に姿を変えた。

 

ホセは悲鳴を上げながら急いで逃げるが、次第に〝銀の牛〟に追いつかれ始め、とうとう串刺しにされそうになる。

 

しかし、突然自分を横から抱えて飛んだ人物───黒井恭一郎に救われて難を逃れる。

 

 

「あ・・・・・あぁ・・・・・!!」

 

 

「早く逃げろ!急げッ!!」

 

 

「・・・・・!!」

 

 

黒井恭一郎の希薄に気圧されたホセは急いでその場から逃げ出す。一方予想外の乱入者に邪魔をされたロッサは路地の陰に隠れ、様子を伺う。

 

 

「あらあら・・・・・飛んだお邪魔さんね」

 

 

そう言いながらロッサは〝銀の牛〟を操り、黒井恭一郎に襲わせる。

 

〝銀の牛〟の突進を避けた黒井恭一郎は上着の革スーツを開け、隠していたベルトを露わにする。

 

そのタイミングで駆け付けて来た滝達は丘にも現れた〝銀の牛〟にも驚いたが、それに対峙していた黒井恭一郎にも驚く。

 

 

「〝銀の牛〟・・・・・やはり丘の上にも出たか!!」

 

 

「ちょっと・・・・・彼酒場にいた・・・・・!?」

 

 

「あのベルト・・・・・ショッカーの・・・・・!!?」

 

 

滝は黒井恭一郎が付けているベルト───〝タイフーン〟の蓋に描かれているショッカーのマークを見て驚きを見せる。

 

そんな彼らに気づいていない黒井恭一郎は左腕を斜め右に伸ばし、右手を〝タイフーン〟の左右に着いている〝エナジーコンバーター〟の右側のスイッチを押す。

 

そこから両手を右から逆時計回りに回し、右腕を左側にガッツポーズの様に構え、左手を左側の〝エナジーコンバーター〟を推し、改号を唱える。

 

 

「変──身ッ!!!」

 

 

その言葉と共に〝タイフーン〟の蓋が開き、高速回転で回る風車がパワーを生み出し、黒井恭一郎の姿を変えていく。

 

外見は全体的に仮面ライダー1号の旧タイプの姿に似ているが、基本的にダークトーンで複眼は黄色、胸部の装甲の〝コンバーターラング〟に口元の〝クラッシャー〟、グローブやブーツは青に近い緑色、肩から脚にかけて3本の金色のラインが伸びていて、さらに金色のマフラーが風に吹かれていた。

 

更に手首や足首にはショッカーのマークが入った枷が嵌められており、それぞれに引きちぎったような鎖がついていた。

 

その姿こそかつてダブルライダーを倒し、歴史改変を起こす切っ掛けとなり、最後に自身の消滅を省みずにショッカーと戦った偽りの歴史が産んだ戦士───仮面ライダー3号であった。

 

 

「俺は仮面ライダー3号・・・・・」

 

「これ以上は・・・・・好きにはさせん・・・・・!!」

 

 

仮面ライダー3号

 

 

 

 

 

〜END〜

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